正林寺法華講員手引書

『折伏・家庭訪問・教化育成・法統相続・教学研鑚・邪義破折・支部組織の充実強化に活用』 法華講正林寺支部 正林編集部

地獄界は外界と己心にある

2005-11-19 | 十界論私考集

 私達の生命の中にも「地獄界」が存在します。宗祖日蓮大聖人は『観心本尊抄』に、
  「瞋るは地獄」(御書647)
と仰せです。私達が縁に触れて、瞋りを感じる時、生命が地獄界になります。更に、この瞋りを感じることによって、様々な結果をもたらします。瞋った勢いにより他人を傷つける場合があります。瞋りを感じたことで周囲に迷惑をかけ、地獄のような生活を強いられます。
 地獄界は、生活環境と私達の心の中と二つ存在します。しかし、生活環境が地獄界であっても、生命が地獄界でない場合や、生命が地獄界でなくても生活環境が地獄界という姿もあります。これは、日蓮大聖人が説かれる一念三千の法門という「十界互具」を知ることで理解できます。
 大聖人の御書に地獄界の様子を知ることが出来ます。特に『顕謗法抄』には、八大地獄が説かれ、地獄界の様子が拝せられます。『顕謗法抄』に、
  「第一に八大地獄(はちだいじごく)の因果を明かし、第二に無間(むけん)地獄の因果の軽重を明かし」(御書274)
と御教示のように示されています。
 「八大地獄」とは、等活地獄・黒縄地獄・衆合地獄・叫喚地獄・大叫喚地獄・焦熱地獄・大焦熱地獄・大阿鼻地獄(無間地獄)です。等活地獄が一番苦しみが軽い地獄で、一番苦しい地獄が大阿鼻地獄である無間地獄です。
 八大地獄とは八熱地獄であり、熱気・火炎などで責められる八種の地獄です。長阿含経等に説かれています。地下千由旬に等活地獄があり、その下に順次に地獄が重なって存在するとされます。各地獄の大きさは、無間地獄が縦広八万由旬、他の七大地獄は縦広一万由旬です。それぞれの地獄(大地獄)には縦広五百由旬の小地獄が十六あり、合わせて百二十八地獄となり、更に八大地獄を加え百三十六地獄といいます。
 地獄の種類については、八寒地獄・十六小地獄・百三十六地獄と経典によって様々な種類があります。
 等活地獄(とうかつじごく)が、獄卒に身を斬られ砕かれても、すぐに前と等しく復活して更に責められるところです。
 黒縄地獄(こくじょうじごく)が、黒い熱鉄の縄で身を秤量し、それに沿って斬られ、あるいは鋸で挽(ひ)かれるところです。
 衆合地獄(しゅごうじごく)が、多くの罪人が左右の山にはさまれて砕けるところです。
 叫喚地獄(きょうかんじごく)が、種々の苦しみに叫(さけ)び喚(わめ)くところです。
 大叫喚地獄(だいきょうかんじごく)が、更に大きな苦しみに叫び喚く地獄です。
 焦熱地獄(しょうねつじごく)が、常に火炎にさらされ身を焼かれる地獄です。
 大焦熱地獄(だいしょうねつじごく)が、更に極熱で焼かれ焦げる地獄です。
 無間地獄(むけんじごく)が、絶え間なく苦を受ける地獄で、大阿鼻地獄(だいあびじごく)ともいいます。この地獄には、五逆罪(殺父・殺母・殺阿羅漢・出仏身血・破和合僧)の一つを犯した者が一劫の間、堕ちて苦しみます。更に正法誹謗の者が無間地獄に堕ち、期間が五逆罪よりも長く無数劫です。もし懺悔しても、千劫阿鼻地獄で苦しまなければいけないと『法華経』に説かれています。「譬喩品第三」において、
  「見有読誦、書持経者、軽賎憎嫉、而懐結恨、此人罪報、汝今復聴、其人命終、入阿鼻獄、具足一劫、劫尽更生、如是展転、至無数劫、従地獄出、当堕畜生(経を読誦し、書持すること有らん者を見て、軽賎憎嫉して、而も結恨を懐かん 此の人の罪報を、汝今復聴け、其の人命終して、阿鼻獄に入らん、一劫を具足して、劫尽きなば更生れん、是の如く展転して、無数劫に至らん、地獄より出でては、当に畜生に堕つべし)」(法華経176)
と釈尊が正法誹謗者の結末が無間地獄に堕ちることを説かれています。