チケットを買って美術館へ入るのはふつうだが、今日はチケットもなしに美術館の裏側へ潜入!
国際博物館デーを記念して、平塚市美術館が行った『バックヤードツアー』に参加した。
集合時間の10時になると、年輩の夫婦連れ、おばさま中心に20数名が集まる。おや、息子の同級生のお父さん発見。ん~、やっぱりおじさんの興味も引く“大人の社会科見学”のようだ。
さあ、普段は決して見ることのできない「STAFF ONLY」のドアを開けよう!
まずは、いきなり警備室へ。一見して古そうなシステムが頑張っている。ついこのあいだオープンしたと思っていたら、もう18年にもなるそうだ。
さて、次は搬入スペースへ。ここはシャッターの中に、もう1枚シャッターがある二重構造になっている。虫などの進入を防ぐために、作品を一旦運び込むと外のシャッターを閉める。そして、内側のシャッターとの間で殺虫、防虫、防カビなど“燻蒸”という処置を行なう。その後、初めて内側のシャッターを開けて館内へ運び込む仕組み。なかなか時間がかかるのだ。
収蔵庫に進む途中、上から大きな照明機器がぶら下がっているスペースがある。展覧会用のカタログに掲載する写真を撮影する簡易スタジオだ。
次はいよいよ1000㎡あるという収蔵庫。職員のデスクまわりは節電で寒さや暑さに耐えているそうだが、こちらは常に室温22℃、湿度55%に保たれているという。
さすがに我々は中へは入れないので、金庫のような分厚い扉を開けて眺めるだけ。展示スペースが約700㎡でというから、それよりもよっぽど大きな器に1万数千点の作品が収められている。美術館というと、ついスポットの当たる展覧会をイメージするが、実は作品の保存という大きな役割も担っていることを実感した。
ここで、学芸員の方が白い手袋をすると、掛け軸の入った箱をおごそかに開ける。棒で高い位置に紐を引っかけると、スルスルッと開いた作品は、大磯に暮らした安田靫彦の「稚児文殊」。お宝鑑定団風に楽しませていただく(笑)。
今度は、3m×3m×3mのエレベーターに全員が乗り込んで2階へ。「お客さんがいてもいいかぁ」と学芸員の方が笑いながら大きな扉を開けると、いつもの展示スペースが広がっていた。なるほど、ここから搬入しているんですね。
1時間弱だったが、学芸員の方のウラ話まで聞かせていただき、まさに美術館のバックヤードとそこでの仕事をを知る貴重なひとときになった。
「なにせ初めてのツアーなので段取りがわからなくて…」
いやいや、こういう企画は素晴らしいですね。あんな 企画、こんな企画、そんな企画と、平塚市美術館はなかなかやります。市の事業仕分けがあったとしても、負けないよう応援しますよ(笑)。
写真は、ツアー後にロビーで参加者たちを。セキュリティ上の観点から当然撮影はNGだったため。このあと、萬鐵五郎や鳥海青児ら地元にゆかりの画家たちのポストカードのセットをいただいた。
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