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12月30日(土曜日・雪のち曇り)
(その10)のつづき
(その11)
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200円の入場券を買い、中に入りました。石鹸やシャンプーは別売りでしたが、身体は高畠できれいに洗ったので用がありません。建物は平成5年に改築されたとのこと。
中に入ると、浴室の天井は高く、太い丸太が建物をしっかり支えています。そして、素晴らしい木の香りに満ち溢れていました。意外なのは、脱衣場と浴室を仕切る壁がないことでした。コートを着たまま中に入ると、そこはいきなり浴室だったというわけです。服を着たまま、大きくない浴槽に皆がじっとつかっている光景を見たとき、僕は飯坂の地に積み上げられてきた文化の一端に触れたという気がしてなりませんでした。
湯は大変熱いです。まだ27歳というのに数十の温泉につかってきた僕ですが、その中で確実に最も熱かったはずです。
「外湯めぐりを楽しむ観光客がふえてきたので、湯の温度は42度~43度にするようお願いします。」と注意書きがありました。この温泉は、確実に44度を超えているでしょう。そして、どうやって43度まで下げればいいのかはどこにも書いていません。(逆に、これ以上熱くしたくてもその方法はないのではないでしょうか?)
洗い場で水を桶に入れてまぜるしかないようですが、よそ者のわたくしがそんなことをする気にはなれませんでした。
観光客と思われる親子連れが来ています。子供の方は、熱くて湯にさわるのも無理そうです。
飯坂に住んで30年以上になるというおじさんと話しをしました。
おじさんによれば、「他の外湯に比べればぬるい方」であり、かつ、「今日はぬるい方」だということでした。(注:飯坂温泉には、鯖湖湯のほかに外湯が8つあります。)他の外湯にせず、ここにしてよかったです。しかし、温度にして46度くらい(!)だと聞き、平然として語っておられるのにびっくり。
僕が、そろりそろりと湯につかるのを見ると、「ほら、あの子供も」と言います。見ると、さっきの子供がいつの間にか肩までつかっています。わざと温泉の湧き出し口に身を近づけるおじいさんもいます。
飛び切り熱い湯は、飯坂温泉の文化なのでしょう。旅先でその地の文化を体験できるというのなら、体中真っ赤になって浴槽でじっとする甲斐もあるというものです。
僕が、「脱衣場の仕切りがないのがいいですね」と話すと、おじさんはその利点として防犯上の効用を挙げました。そんな話題が出てくるとは少々意外でした。(脱衣場のロッカーは鍵付き。)
つづく
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