![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/6f/c01857d6ecf97962328c1f620ade7ee4.jpg)
12月30日(土曜日・雪のち曇り)
(その9)のつづき
(その10)
今日入った外湯「鯖湖湯」の建物です。美しい建物を見ただけで期待感がわいてきます。
”其夜飯塚にとまる。温泉あれば湯に入て宿をかるに、土坐に筵を敷て、あやしき貧家也。灯もなけれバ、ゐろりの火かげに寝所をまうけて臥す。夜に入て雷鳴、雨しきりに降て、臥る上よりもり、蚤・蚊にせゝられて眠らず。持病さへおこりて、消入斗になん。”
(注:「飯塚温泉」とあるのは、今の飯坂温泉のこと。)
温泉につかった後に借りた宿は、「灯」もない「あやしき貧家」だったといいます。雨漏りはする上に、蚤や蚊に苦しめられたそうです。(注:”あやしき”は、”粗末な”の意味。)
これだけ読むと、飯坂温泉はたいした事もなかったのかと思います。しかし江戸時代、今のように安心して長旅をすることなど無理でしょう。ということは、飯坂温泉だけひどかったわけではないはずです。
立石寺における芭蕉の筆は、困難な道中においても心は平静を保ち、ほとんど神々しい境地に達しています。それに比べると、飯坂温泉におけるそれは、「あ~しんどい」というような気持ちがストレートに出ていて、実に素直な文章だと思います。「奥の細道」は、この二つの対比が魅力です。
つづく
![](https://railroad.blogmura.com/img/railroad106_24.gif)