しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

天の光はすべて星 フレドリック・ブラウン著 田中融二訳 ハヤカワ文庫

2014-05-15 | 海外SF
コンタクト」で過去の「名作SFの要素を取り入れたのでは」というようなことを書きましたが真っ先に浮かんだのが本作なので久々読み返しました。
気になった要素は「2000年を迎える」ということと「女性政治家」が出てくること。
読んでみたら「コンタクト」で本作の要素を取り入れたかは「???」でしたが…。

本作はハヤカワ文庫で復刊だか新版だかわかりませんが「最新刊」として本屋に並んだ時に購入した記憶があります。

奥付見ると昭和57年5月ですので中学校1年生のときですね。
こんな栞が挟まっていた。

懐かしー。

まぁともかく雰因気が好きで何回も読み返した記憶があります。
一番印象に残っているのは主人公が2000年を迎えて感慨にふけっているところでした。
(なお本作ハヤカワ文庫のブラウン作品の中で現在唯一発売中)

SF黄金時代の1953年発刊。
発狂した宇宙」に続くブラウンの2作目のSF長編です。

内容(裏表紙記載)
1997年、人々の興味は宇宙から離れ、宇宙開発の信奉者はごく少数となっていた。そうしたある日、木星探査計画を公約にひっさげた女性上院議員候補が登場した。鬱々たる日々を送っていた、もと宇宙飛行士マックス・アンドルーズは狂喜した。火星、金星探検のあと、宇宙探検計画は頓挫したまま。もし宇宙開発がここで再開されればもう一度宇宙に出られるかもしれない。57歳のマックスにはこれが最後の機会だ!なんとしてでも、彼女を絶対当選させなければ・・・・・星にとり憑かれた一人の男の生き方を、奇才ブラウンが情感豊かに謳いあげた、SF史上に燦然と輝く記念碑的名作!

とりあえずの感想「思いっきりストレートな作品」

「発狂した宇宙」は思いっきり変化球な作品だったのでその反動かのようなストレートさです。
どれくらいストレートかというと、主人公は若いときに読んだ「発狂した宇宙」に触発されミシンをいじって宇宙旅行を実現させようとするくらい...。(笑)

というように随所にブラウンらしいひねりはありますが、主人公の星に憑かれた男の情念といったようなものをとにかくストレートに書いています。
「SF的アイディア」は目新しいものはないですし、派手なアクションがあるわけでもなくつまらないという人はつまらないかもしれません。
また内容紹介に書かれているような「記念碑的名作」とも思いませんが….。

やっぱり私はなんだかこの作品好きだなぁ。

中学生の時にはわかりませんでしたが40代オヤジになると主人公が挫折して「酒」に逃げてしまう気持ちというのは痛いほどわかる....。
人生ってそんなに派手なことはなくても、「思い」は実らなくても...「そういうこともあるよなー」としみじみ感じることができました。

この作品ブラウンの中では「シリアス」で「重い」という評価もあるようですが、私はそれなりのユーモアと軽さを感じたのですが....私だけかなぁ?

なお唯一途中でマックスが女性上院議員を「おまえ」と上から目線な二人称で読んでいるのが気になりました。
翻訳の問題なのか原書でもそんな表現なのか?

「星屑」な「男たち」をしんみり味わえる良作だと思います。


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