しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

2061年宇宙の旅 アーサー・C・クラーク著 山高 昭訳 ハヤカワ文庫

2015-02-17 | 海外SF
2001年宇宙の旅」シリーズの第三作です。
2010年宇宙の旅」に引き続き手に取りました。
本そのものはこの後の「3001年終局への旅」と併せブックオフで入手済みでした。

なお「3001年終局の旅」もこれを書いている時点で読了済。

本作はシリーズの他の作品と異なり伊藤典夫氏の訳ではありませんが文章に特に違和感はありませんでした。

2061年という中途半端な年代設定は、1985,86年に接近したハレー彗星の再接近に合わせての設定です。
クラークが「前回(1986年)のがっかりな接近にインスピレーションを受けて書いた」ようで1987年の刊行。

1986年の接近時に私は高校生でしたが、確かに夜空を見てかろうじて見えたような気がする…という状況で残念だったのを覚えています。

内容紹介(裏表紙記載)
2061年、ヘイウッド・フロイドは高鳴る動悸を抑えきれなかった。75年ぶりに再接近してきたハレー彗星の探査計画への参加を要請されたのだ。最新型のミューオン駆動宇宙船ユニバース号に乗り組みハレー彗星をめざす―そして、みずからの手で彗星を調査する。だが、彗星に着地し探査を始めたフロイドたちを、思いもよらぬ事件が待ち受けていた・・・・・。巨匠クラークが読者の熱烈な要望に応えて贈る待望の<宇宙の旅>第3部!


前作で主役だったフロイドは100歳を超えていますが宇宙ステーションに住んでいて、低重力のおかげもあり相変わらず元気という設定。
2010年の活躍で有名人でもあるフロイドが他の分野の様々な有名人といっしょにハレー彗星探査のためのロケットに招待されます。

ハレー彗星の描写などはさすがクラークという感じの科学的知識をちりばめたものになっています。
ただハレー彗星接近から30年、2061年まで46年という2015年現在では「だからどうした」感がないではないです…。
(オンタイムで高校生のとき読みたかった。)

フロイドたちの宇宙船がハレー彗星を探査中に木星・エウロパで他の宇宙船のトラブルが起き、その救助のために、ハレー彗星からエウロパへ早急に向かうことになります。
そのための秘策としてある燃料を使用するわけですが...。
この辺が本作のクライマックスで、場面転換してからのエウロパでのお話は2010年から3001年へ向かうつなぎ的なものでしかないかなぁとも感じました。

木星が太陽化したのちのエウロパとそに住む生物たちの描写はクラークらしい科学性があり、その辺好きな人には楽しめるかもしれません。

エウロパに突如出現した山の謎も、割とメインの「謎」になっているのですが、「2010年」を読んだ人ならすぐにわかってしまうでしょうし、割と安直なような…。
エウロパで活躍するのがフロイドの孫という設定で最後は「家族愛」的なものも出てきてめでたしめでたしなのも安直といえば安直です。

ラストで「2010年宇宙の旅」で「終局」は20001年ということになっていた設定が覆され、終局は「3001年」ということになります。
短縮された分エウロパ上のモノリスのお守り役としてボーマンとHAL9000の他もう1名加わることになるわけですが、それも必然性に欠ける気がしました。

「2001年」シリーズを読破したい人と、そこそこ退屈しないで深く考えなくていいハードSFタッチの作品を読みたい人にはお薦めです。

とけなしながらも私は昔から天体ものの「科学小説」的がは好きな人なのでそれなりに楽しめはしました。
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