shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Twist And Shout [EP] / The Beatles

2015-01-12 | The Beatles
 私はレコードを買う時、人一倍ジャケット・デザインを重視する。「アビー・ロード」は言うに及ばず、「ラバー・ソウル」も「リヴォルヴァー」も「サージェント・ペパーズ」も、すべてあのジャケット・デザインが醸し出す独特な雰囲気が中身の音楽と密接に結びついて初めてひとつの作品として完成するのではないだろうか。だからそのジャケットを見ただけで音楽が聞こえてくるような、そんな意匠を凝らしたデザインのレコードを見ると、手持ちの盤と曲がいくらダブっていようがついつい買ってしまうのだ。今日取り上げるEP盤「ツイスト・アンド・シャウト」もそんな1枚だ。
 私はeBayオークションでレコードを取る際にはそのセラーが出品している他のアイテムもチェックして、もしその中に欲しい盤があれば一緒に取って同梱してもらい送料を安く上げるようにしているのだが、かなり前にビートルズ関連のブツをメインに扱っているUKのセラーから「アット・ザ・ハリウッド・ボウル」を取った時のこと、同時出品されていた様々なレコードを見ていて思わずジャケ買いしてしまったのが前々回取り上げた「ノーウェア・マン」とこの「ツイスト・アンド・シャウト」だった。どちらの盤も音源的には目新しいものはなかったが、£0.99で目の保養になれば安い買い物だと思い、「ハリウッド・ボウル」のオマケ感覚で取ったのだ。
 それにしても何とまぁカッコ良いジャケットだろう! 4人のジャンプ・ポーズはアイズレー・ブラザーズのRCA盤「シャウト」のパロディーだが、若さ溢れる4人の姿をフィーチャーしたビートルズ盤のジャケット写真はオリジナルにはなかった躍動感を見事に表現している。盤に針を落とす前からエネルギーに満ち溢れた荒削りなロックンロールが聞こえてくるようだ。モノクロ写真に赤いタイトル文字を組み合わせたセンスも素晴らしい。
 届いた2枚のEP盤は GRAMOPHONEリムで “SOLD IN U.K....” リマーク無し69年製再発盤だったのだが、不思議なことに3rd プレスの「ノーウェア・マン」の音が薄っぺらかったのに対し、6th プレス(!)にあたる「ツイスト・アンド・シャウト」の方は結構野太いサウンドが入っていたのだ。今回ブログで取り上げるに当たり、せっかくなので自分のコレクションの中から「ツイスト・アンド・シャウト」入りのモノラル盤を何枚か選んで聴き比べをしてみることにした。選んだのは次の4枚だ:
  ①EP盤 [UK 1969]
  ②Gold Parlophone LP盤 [UK 1963]
  ③Yellow Parlophone LP盤 [UK 1963]
  ④Vee Jay LP盤 [US 19??]
 まずは①のEP盤だが、初回盤から6年落ちの再発盤にしては結構生意気な音をしている。このEPの1stプレス盤を持っていないので残念ながら比較することはできないが、69年製の6thプレス盤だというのに音圧はかなり高く、鮮烈な音がスピーカーから飛び出してくる。一言で言えば “ラウドでありながらクリアー&クリスプなサウンド” で、普通にアナログ音源を楽しむだけならこれで十分かもしれない。
Twist And Shout EP


 しかし①を聴いた後に②の金パロ盤を聴くとその差は歴然... わかりやすく言うと、①は感心する音、②はブッ飛ぶ音、なんである。金パロ盤ではビートルズが音溝に刻み込んだ凄まじいエネルギーを実に生々しいサウンドで体感できるのだ。ギターもエッジの効いた音でバリバリ弾きまくっている感じがよく出ているし、リンゴの爆裂ドラミングも圧巻だ。とにかくこのリアルな臨場感はとても言葉では表現できない。私の知る限り最強の「ツイスト・アンド・シャウト」である。
Twist And Shout Gold Parlophone


 ③の黄パロ盤は金パロと同じ1963年プレス盤ということもあるのだろうが、音の差はほとんど感じられない。注意深く聴き比べれば、金パロの方が低域の低~いところまで伸びていて(←ズウウウゥ~ンと床を這って伝わってくる感じ...)それがサウンド全体のド迫力に拍車をかけているのに対し、黄パロの方はやや中高域が強くてその分ヴォーカルが前に出てくる感じがするが、目隠しテストで正確に違いを言い当てることは至難のワザだと思う。
 「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」が何かの手違いで冒頭のカウント “ワン、トゥー、スリー” をすっ飛ばしていきなり “ファッ!” から始まることで悪名高い④のヴィー・ジェイ盤はアーリー・プレスのカラーバンド・レーベルではなくレイター・プレスのブラック/シルバー・レーベルなのでUK盤との比較対象にはならないが、それを差し引いても情けないプアーな音だ。例えるならAMラジオを聴いているかのようなこもった音で、音像が奥の方に引っ込んでしまっている感じ。スピーカーから音が元気よく呼び出してくる①②③とは大違いだ。ものはついでとばかりに私が中学生の時に買った東芝のシングル盤も引っ張り出してきて比べてみたが、このヴィー・ジェイ盤は悲しいことに70年代中期プレスの国内盤にすら遠く及ばなかった。
 ということで「ツイスト・アンド・シャウト」に関しては②金パロ盤と③黄パロ盤が圧倒的№1だったが、コスパを考えれば£1.00以下で買えた①のEP盤もバカにできない。今は£1.00=180円を超える超円安なのでしばらくはおとなしくしているつもりだが、そのうちアベノミクスが破綻してまた一昔前のように£1.00=130円ぐらいになったらぜひともこのEPの1stプレス盤を取ってどんな音がするのか聴いてみたいと思う。

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2 コメント

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ジャケいいですね。 (fab-for)
2015-01-12 21:53:12
shiotchさんこんばんは。
ふたつのTwist snd Shout 興味深く聴きました、確かに印象が違いますね。
EPの方が荒々しい感じでしょうか。
アナログ盤シリーズでは前にも書かれているいますがマスターテープの鮮度が重要ですよね。
あるいはアナログマスターの再生装置の状態にもよるかもしれないですが。
いくらデジタルリマスターでもアナログを再生するときの状態が悪ければ、いくらデジタルで処理しても埋められないのだと思います。

つまりデジタルが悪いとかじゃなくて、アナログ再生の時の状態が大切なんだと思います。
なんてことを今出張先の長崎で考えています。

移動の飛行機の中で読もうと思い「ビジュアル版ザ・ビートルズ全史」という本を買って見ました。
マークルイーソンのクロニクルを持っているのでいらないかなと思いましたが、写真が沢山使われていて出張中にちょっと読むには丁度よさそうです。
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ジャケ名盤 (shiotch7)
2015-01-13 20:30:55
fab-forさん、長崎出張お疲れ様です。
これ、ホンマにかっこ良いジャケットですよねー
“ジャケットを聴く名盤” と言ってもいいんじゃないでしょーか。
音の方はEPがかなりハイ上がりなのでmp3化すると荒々しく聞こえますが
実際に大きなスピーカーで聴くと金パロの重低音が凄いです。

デジタルリマスターに関してはまさに仰る通りで
いかに大元のアナログマスターの音に近づけるかが大切なんだと思います。
100ビットであろうが1000ビットであろうが
理論的には元の音を超えることはないわけですから。

「ビジュアル版ザ・ビートルズ全史」、調べてみたらネット上での評判も良さそうですね。
これは買わねば...!!!
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