oregonian way of life. 

オレゴンでの学生生活から南下して社会人生活へ。IT産業でホットなサンフランシスコ・ベイエリアで地味~に文系の仕事してます

マクロビオティックは、なぜ一部のアメリカ人に受け入れられたのか?

2005-12-09 | 
現在来日中のマドンナが、マクロビオティックを実践しているのは有名な話。どの程度厳密にやっているのかは知りませんが。彼女のお抱えシェフは日本人だとか。その方がマクロビオティック料理を作っているのでしょうね。

そのマドンナが記者会見で発した、「わたしは疑問を投げかけたり、権力に挑戦したりするのが好き」という発言は、まるで1960年代のアメリカの若者のよう。一消費者として、この「反逆精神」は常に持っていたいもの。政府や企業、それにマスコミのいうことを素直にきいているだけでは、単なる「無知でおバカな消費者」になってしまいますから。ちなみにわたしは、マドンナと一応同じ学校の出身。「先輩!わたしは先輩の意思を引き継いでいきます!」ってか?

前置きが長くなりましたが、マクロビオティックは、日本でよりアメリカでのほうが知名度が高いように思われます。今年の夏日本に里帰りしたとき、メジャーな雑誌がマクロビオティックの特集をしているのをみて、やっと日本に逆輸入というか戻ってきた、という印象を受けました。戦後、桜沢如一(漢字怪しい)に「マクロビオティック伝道師」としてアメリカに送られた久司道夫(漢字?)が、ボストンを拠点としてマクロビオティックを広め始めたのが、アメリカにおけるマクロビオティックの歴史の第一歩だったようですね。

なぜボストンなのかは知りませんが、ボストンを選んだのは正解だったと思います。ボストンは元々、「質素、倹約」を、つまりシンプルライフを重んじる清教徒が築いた町。19世紀には、奴隷解放運動や、市場経済や都市化の発達とともに噴出した社会問題に対処する改革運動の中心となった町でもあります。チャールズ川を挟んで、隣町のケンブリッジにあのハーブァード大学があり、ボストンは洗練された文化都市。ちなみに、19世紀終わりに設立されたボストン料理学校は、「ボストン」という名前が付いてるだけで、信頼度が抜群でした。そんな伝統があるボストンを拠点として、久司道夫がマクロビオティックを広めようとしたのは、賢い選択だったと思います。

マクロビオティックは特に1960年代以降、反逆精神旺盛なアメリカの若者に受け入れられたようです。わたしが想像するに、「医者に頼らず、自分の食事を通して自分の体調管理をし、病気も治療する」という、マクロビオティックの考えが受けたのではないかと思います。医者という権威に頼るのではなく、自分が自分の病気の治療をする、というのは、ある意味非常に民主的。アメリカ医学界は19世後半以降、アメリカ資本主義の発達と平行して権力(高い社会的地位と、それに付随する収入)を増大させてきました。1960年代の若者にとって医学界というのは、政府や大学など官僚主義的な組織とともに、権力組織を構成する一角。自分の体を、そんな権力組織にゆだねるのではなく、健康は自分で管理し、病気になっても自分で治す、という考えは、1960年代の多くの若者にアピールしたであろうことは、容易に想像できます。

しかし、マクロビオティックを実践していた若者が死亡し、マスコミから「キラー・ダイエット(killer diet)」と呼ばれ、FBIの捜査対象になったこともあるようです。大変だった時期もあったようですが、久司道夫は、魚も取り入れたのかな?とにかく緩めの食事療法を提唱して、一部のアメリカ人に受け入れられていったようです。久司道夫がアメリカ社会に貢献したということで、現在ではスミソニアン博物館に、マクロビオティックに関する資料が保存されているはずです。マクロビオティックは、アメリカ政府のお墨付きをもらったわけです。

わたし個人は、特にマクロビオティックに興味があるわけではありませんが、病気を医者に治してもらうのではなく、自分の病気は自分で治す、というマクロビオティックの考え自体には共感します。

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4 コメント

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あやふやな記憶ですが (マーフィー)
2005-12-09 19:28:12
桜沢さんは、日本では学歴が無いため認められず、たしかフランスに渡られてマクロビが発展したと記憶してました~。 なぜフランス人が日本の思想を受け入れたかは不思議なんですが… それでフランスのトップモデルもマクロビを実践するようになったとか…聞いた記憶があります。 久司さんはアメリカで普及させるために、魚食を黙認したんですね~ なぜ魚食べるん??と、ずっと疑問でした。 ようやく理解できました。 マクロビ実践して長年たつと皆ガリガリに痩せてくるみたいですね!? それ故に私もマクロビから離れましたー 今は和食と台湾素食と地中海風菜食(トマトやオリーブ油を使うので、勝手にネーミングしました)を楽しんでいます。 やはり楽しくないと継続しにくいです。
おフランス (しんのすけ)
2005-12-10 09:19:44
フランス人といっても、一部のインテリの間だけじゃないんでしょうか? アメリカでは19世紀の終わり頃、産業化、都市化、消費社会の出現に対する反動として、仏教や浮世絵など、いわゆる「オリエント」の文化への興味が、一部のインテリの間で高まったようですし。ボストン美術館などが、莫大な量の浮世絵などの日本絵画を保存しているのは、そのためらしいですし。おそらく、この「オリエント・ブーム」というのはフランスなどでもあったんではないでしょうか?マクロビオティックに興味を持った欧米人の中には、この「東洋の神秘」に惹かれた人も多かったんではないかと思います。
初めまして (chocomi)
2005-12-10 13:52:52
初めまして☆トラックバックありがとうございます。マクロビオティックにこのような歴史があったとは。。勉強させていただきました。これから遊びに来させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします!
はじめまして (しんのすけ)
2005-12-11 02:56:52
Chocomiさん、こちらこそはじめまして。Chocomiさんのブログにも遊び行きますので、よろしく!

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