東京・横浜あたりはちょうど桜の見ごろを迎えたようです。近所の公園の桜も満開っぽかったので、ケータイのカメラで写りがあんまりよくありませんが、ま、雰囲気ってことで昨日の帰り道に撮ってみました。
さて。
村上春樹訳の「ロング・グッドバイ」を読む。原作を授業で半年かけて読んだことを思うと、なるほど誠実に訳された母語バージョンだと、正確にサクサクと腑に落ちながら読めていくんだと感じる。
あとがきでも共感することしきり。恩師が授業で説いてた(と勝手に思ってる)この作品を読むことの魅力も、つまりはこういうことだったんじゃないかという気がした。
プロットとはほとんど関係のない寄り道、あるいはやりすぎとも思える文章的修飾、あてのない比喩、比喩のための比喩、なくもがなの能書き、あきれるほど詳細な描写...(中略)...そういう「偉大なる寄り道」の細部をひとつひとつあらためて検証していく機会を持てたことが、僕にとっての大いなる至福となった。(p. 567-8)
あとがきを読んでいてもう1つ、面白いことに気がついた。36章の一節で、"bar"をどう訳すべきか、村上はずい分考えた末、これは"barn"の誤植じゃないかという結論に達して、納屋と訳したと書いている。ふーんどれどれ、と、自分の持っている原作を引っ張り出してみると、件の箇所は"barn"となっている。ちなみにわたしが持ってるのはPenguin Booksの1988年版。原書でも"bar"版と"barn"版とが存在してるってことらしい。
「それがどーした」と言われればそのとおりだけど、こういうことを見つけるのは、やっぱり楽しい。
なかなか神秘的ですね~
ホント、東京の桜は満開です。桜の花の下を通る気分は不思議と良いものですよね。
『ロング・グッドバイ』・・・
面白い本のようですね。ボクは原書はもちろん、日本語に訳された本も読んだことがありません。
今は原書を読む時間も勇気もないので、日本語訳のほうを読んでみたいと思っていますけど、村上春樹さんの約した本だと『グレート・ギャッツビー』も気になっているんですよね。
ところで、「"bar"の秘密」はボクにも興味深い話です。
作者本人のみぞ知るメッセージ(もしかしたら本人も無意識のメッセージ?)ってことはないのかも知れませんけど・・・
未来の人への「偉大なる寄り道」の案内看板になっていることは間違いなさそうですね(笑)。
コメント・TBありがとうございました。昨年に引き続いていまひとつ鮮明じゃない写真ですいません(笑)今日の雨で、桜もずい分散ってしまいましたね。でも、近所でお気に入りの八重桜はこれからのようなので、見ごろになったらまたお送りしたいと思います。
ロング・グッドバイのbarとbarnですが、村上訳の底本と手元にある原作とでは出版社がちがっていました。実際のところ作者の意図はどうだったんでしょうね。面白い作品です。よろしければゼヒ試してみてください。