常熟にて

常熟で働く日本人。常熟生活を綴ります。

中国へ赴任する者へ 〔2〕

2015年07月23日 09時36分23秒 | 日記

 さて赴任2年目になる。いや私は1年しか常熟にいないと言われる方もおられるだろうが、要は任期の長短に関わらず3段階で仕事をせよということである。そのあたりご自分の立場で読み替えていただきたい。

 生活にも慣れ当面の安全は確保でき、完全には程遠いが中国語で少なくとも仕事上のコミュニケーションができるようになった。さていよいよ中国人の懐に飛び込み、彼らとコミュニケーションをとりながら実際に仕事を進めていく段階となる。ただしこの段階はまだ本番ではない。勝負の最終段階に向け、自分の立ち位置を決めるステップと心得たい。

 あえて誤解を恐れずに断言する。仕事をするとは一種の演技をすることである。組織の中では自分の果たすべき役割、つまり役柄というのがあるのが通常である。それはまさしく演者のそれである。自らの個性はひとまず置き、まずはその役柄を演ずる力量がなくてはリーダーはつとまらない。個性などあと出しでかまわない。

 以前にも書いたと思う。中国へ来れば元々の職位が一段ないし二段上がるのが通常。本社課長なら部長、部長なら総経理という具合だ。未知の管理領域にいきなり自分を置くのは容易ではない。突然の主役抜擢である。実のところを言えば、管理される中国人の側もそのことは十分承知なのである。畢竟あなたが部下を評価するよりも、まずあなたが部下たちの厳しい評価にさらされるのである。

 そこで多くの日本人は失敗する。ある者は例えば自分は総経理であるから、自分の言うことにはすべて従えと高圧的な態度に出る。ある者は本社頼み、すべての決定権を本社に委ね、これは本社の指示であるからと単なる連絡役になり下がる。ある者は日本ではこうこう、と事あるごとに日本のやり方が正であるかのように、文化の違いを無視して日本的な仕事の仕方を押し付ける。

 中国人の懐に飛び込むとは上記のいずれでもない。自らを、例えば総経理なら総経理の役を演じるだけの存在であることを虚心坦懐に認めよ。また自認するだけでなく、そのような者であることを中国人の部下に対しても少なくとも隠し立てしないことだ。その上で人間としての誠意を見せることが一つの解である。そのような人間としての誠実さは、自ら率先して苦難に当たるリーダーとしての責任感につながり、結果的に人々に真のリーダーとして己を認めてもらえる結果となることが多い。

 自分の演じる立場相応の信頼を得ること。誠に困難なことである。これに比べれば中国語をマスターすることなぞ比較しようもないほど容易なことなのである。

 中国あるいは中国人の懐に飛び込むための、もう一つの不可欠な要素については次回に述べる。

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