常熟にて

常熟で働く日本人。常熟生活を綴ります。

常熟の恥はかき捨て・・・

2014年03月03日 14時22分30秒 | 日記

あまり中国赴任者を擁護ばかりするのも良くない。「いやぁ、実際中国に住んでみると日本ではわからない苦労がありまして…。」などと言われても、当然のことながら言われる側の人間にはわからない。他者にわかりようのないことをよいことに、ことさら自分の苦労を喧伝するのも困りものである。本社に対する言い訳ならまだよい。いささか消極的な方法とはいえ自分の仕事ぶりを認めてもらいたいサラリーマンの悲しい処世術の一つとも言えるか。

そういう類のもので終われば罪はない。自己完結的であるからだ。問題はそれが妙な被害意識となり、つらい思いをしているのだから少しぐらいの楽しみがあっても罪にならないと勘違いしてしまい、オフには羽目を外して遊びほうける人達の存在である。常熟は仮の住まいとばかり日本ではありえないような行為に及ぶ者も皆無とは言えない。いきおい人目につく。まさに当人にとっては「旅の恥はかき捨て」なのである。

「旅の恥はかき捨て」という言い方ほど便利な言葉はない。こんな言葉は中国にはない、おそらく他の国にもないのではないか。しかし考えても見よ。儀礼礼節を重んじるはずの日本になぜこのような言葉があるか普通の人なら奇異に感じるはずだ。

実はこれほど誤解されて使われる言葉はないのである。我々日本人は日頃他人に迷惑のかからないよう、自分が他人に悪く映らないよう気を配りながら生きる。そのような国民である。しかし例えばひとたび旅に出れば、旅先で出会う人どもなど人生で再びめぐり合う確率も少なくいきおい羽目を外し非礼に及ぶこともないとは言えない。気持ちはわかるがやはり人として生きる限りそうであってはいけない。「旅の恥はかき捨て」などということにならぬよう常に自らを律して生きなければならない。「旅の恥はかき捨て」というのはそうならぬようにしようという反面教師的な警句なのである。我ら海外赴任者は肝に銘ずべき言葉である。

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