瀬戸市民言論広場

明るい未来社会をみんなで考えるために瀬戸市民言論広場を開設しました。

夢酔戯言

2024年07月22日 | お知らせ
 夢酔戯言
今宵は ♬新日本紀行(冨田勲作曲)を聞きながらの一献。
新日本紀行はここ瀬戸も舞台に放送されました。
洞の本業窯。
ご存知のかたはいらっしゃいますか。

夏は疫病払いの祭り。
秋は五穀豊穣の祭り。
宵宮は時計の停止と赦しの日。
若い男女の出会い。
自由恋愛など許されなかった時代の「知恵」です。
電気のない夜。
月明りだけの暗闇で「火」は効果満点。
現代人も、花火や夜景は大好きですね。

大事に次の世代へ繋いでいきたい。
伝統や日本人の精神性(identity)は大丈夫ですか。
多様性とか聞きますが、
覚悟はできていますか。
とにかく言葉は軽くなっているようです。

おやすみなさい。



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言論広場からおしらせ

2024年07月19日 | お知らせ
 言論広場からおしらせです。

今夏も「子ども議会傍聴」を実施します。
「子ども議会傍聴」は実際に行われている瀬戸市議会本会議を傍聴します。
何がおこなわれているのか子どもには理解できないかもしれません。
しかし『ここで瀬戸市の大事なことが議論されて決められています』という説明に、子どもたちはうなずいてくれます。
何より本物を見せて子どもが持っている感受性を信じて実施しています。
(社会見学会ではありません)

瀬戸市議会傍聴規則第6条で中学生以下の児童は議場傍聴席に入ることはできないのですが、「子ども議会傍聴」は議長から議会運営委員会へ特別許可を協議事項として提出いただき、採決頂いて実施しています。
今年も例年どおりに許可が頂けるものと思います。

当日の予定は、
8月30日午前9時30分瀬戸市役所1階シビックモール集合(時間厳守です)
全員市役所5階議会事務局で本会議傍聴申請書に記入
午前9時45分市役所6階議場傍聴席へ、議場内と議会について簡単な説明をします。
午前10時瀬戸市議会9月定例会本会議開会
午前10時20分ころ議場退席
そのあと、南庁舎6階から順に各課がどんな仕事をしているのか説明していきます。
本庁舎内すべての部課を巡ります。
だいたい12時ころ1階シビックモールで自由解散となります。

小学生以上ならどなたでも参加できます。
お問い合わせは当ブログコメントまで。
事前申し込みは必要ありませんが、当日の集合時間と場所は厳守してください。
(遅刻者は待ちませんのでご注意ください)

以上です。



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夢酔戯言

2024年07月09日 | お知らせ
 「若者よ政治に興味を持とう。」
まるで交通安全標語のようにむかしから言われてきた。
投票箱を用意して模擬投票ごっこをしたりもする。
しかし、
この醜さはどうだ。この下品さはどうだ。
小生も下町育ちのガラッパチなのでとてもじゃないが品など持ち合わせていないが、
相手の悪口、誹謗中傷、あろうことか自分が気に食わない候補者に投票した有権者にも上から目線のお説教。

メディアはその役割を捨てて自滅モードに入ってから久しいが、
個人が入手しづらい情報や政策論点を整理して伝えるのではなく、
当確を打つレースを自分たちで勝手にゲーム化して悦に入っている。
20時ジャストに当確を報道することに、いかほどの価値があると考えているのか。

むかし衆参同日選挙の開票特番スタッフだったとき、次期総理候補を視聴者から電話で投票してもらうコーナーがあった。
ナマ放送中に大阪ABCのスタジオからある政治評論家に「一国の総理大臣を競馬の予想のごとく扱うとは何事か!!」と、
叱責されたのを忘れられない。
昔話で今と比べるつもりはないが、
政治家も評論家もメディアも肝腹が坐っていたし、ある意味覚悟があった。

課題を共有し、その解を示し、民衆に説明し、納得してもらう。
これが政治であり、演説であり、公約。

「若者よ政治に興味を持とう。」
真面目に考えている若者に対し、年長者は本気でこう言えるのだろうか。
わたしは気恥ずかしい。

今夜は酒量が多い、饒舌になってしまった。

ZZZ





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議会改革のあゆみ

2024年06月29日 | お知らせ
 今回は近年瀬戸市議会が改革を進めてきた歩みをたどります。
長文になりますが最後までお付合いください。

我が国は近代国家建設を目指し、現代の原型となる廃藩置県、市町村制、府県制を明治初期に施行しました。
その後、都道府県知事の公選制、地方税制度、交付金制度等の導入が図られました。
戦後昭和期以降、全国的に一定の都市型施設の整備や福祉政策が整ってきましたが、一方、住民のニーズや価値観の多様化など地域特性を活かした社会を形成するには、全国一律標準の行政スタイルでは限界が生じてきました。
このため中央集権から地方に権限や財源を移行させて地方分権の改革が必要とされました。
1993年(平成5)6月に国会で可決(全会一致)した「地方分権の推進に関する決議」から地方分権改革が始まりました。この流れは現在も続いています。
2000年(平成12)4月に地方分権一括法が施行されました。
それまでの首長や自治体執行機関に対し、法律や政令により国が事務を委任して実施させる「機関委任事務」ではなく、それぞれの首長が各自治体代表の立場で行政事務を行えるようになり、国の地方に対する関与が大幅に制約されることになりました。

このことは国に依存し、国にお任せであったことから、各自治体が主体的に事務事業を行うことを意味しています。
つまり各自の「改革」次第でまちづくりが違ってくるということです。
自治体は住民から預かった資源(お金だけではありません)で、住民が必要だとする制度などを整備し、必要とする課題を解決する政策に取り組みます。とは言え何が必要で、何が課題なのかという問いに「これが正解だ」というのは難しいことです。
「正解」はわからないけれどやらないわけにはいかない。
課題は無限大、資源は有限なので自分たちなりの「答え」を導き出すしかありません。
これを職責により行政機関を動かして実行するのが『市長の役目』です。

一方、市長の行政事務事業は為すべきことを行っているのかを『監視』し、どうすればよくなるのかを『提案・意見』し、必要なことを『議論』し、議会活動を『公開』し、住民の意思はどうなのかを『意見交換』する。これらが『議会の役目』です。
『議会の役目』を行うための規範を法制化したのが『議会基本条例』です。
住民の自治意識を法制化したのが『住民自治基本条例』です。(注:瀬戸市には制定されていません)

議会基本条例を最初に制定した自治体は、北海道栗山町です。
2006年(平成18)5月18日に施行されました。

瀬戸市議会は2005年(平成17)8月から「瀬戸市議会の活性化に関する取組み」が始まりました。
平成22年5月から平成23年3月までと平成23年5月から平成24年3月までの活動は報告書にまとめられています。
平成22年度の主な検討事項として、①一般質問における一問一答方式の導入、②本会議の傍聴について、③議員定数条例・委員会条例について、④会議録の作成について、⑤常任委員会関連について、が協議報告されています。
平成23年度以降の検討事項は、①議会の政策立案能力向上について、②市民への議会情報の発信について、③議員間討議の実践について、④全員協議会について、⑤正副議長・正副委員長・常任委員等の任期について、⑥議会活性化検討委員会の設置について、⑦議会基本条例の制定について、が協議報告されています。

瀬戸市で全議員による議会報告会は(以前は会派別、議員個人等で報告会が行われていました)、
2013年(平成25)4月26日(金)午後7時から瀬戸市文化センター31会議室において、
第1回議会報告会と ~市民との意見交換会~が開かれました。
この時は議長要請による全議員の自主的出席で、例規に基づく議員派遣ではありませんでした。
第2回は同年11月30日(土)午後1時30分からやすらぎ会館で行われました。

そして2015年(平成27)6月30日の議会運営委員会において「議会改革推進委員会」(任意の会議体であり特別委員会ではありません)を設置することが決定しました。
この間、議会活性化の協議は、議長の諮問機関である「各派代表者会」で行われてきましたが、議題が多岐にわたり、議会活性化に特化した協議に傾注できないことや、議長の諮問機関であるためどうしても議長発議の議題が多くなりがちでした。またその時々の議長の志向ではなく、活性化は議会全体の問題として議員各自が議論できる会議体で検討するのが望ましいことなどの理由で、議会改革推進委員会が設けられたのです。
その後、2016年(平成28)4月18日、第17回の委員会をもって議会改革推進委員会の活動は終了し、同年5月19日の第1回臨時会において議員提出議案を上程可決して、「議会改革推進特別委員会」を設置し、これまでの活動を継承して協議することになりました。

任意の委員会ではなく、特別委員会は地方自治法第109条に定める議会の議決により特に付議された事件を審査するために設置される会議体で、その存続は付議事件が審査されている期間に限られ、審査が終了すれば消滅することとなります。このため特別委員会を設置するには本会議で議員提出議案として上程し、議会の議決が必要です。

同議会改革推進特別委員会での協議事項はいくつかありましたが(後ほどご紹介します)、なかでも大きなテーマは議会基本条例の策定でした。
委員会では専門的知見の活用として龍谷大学(当時)の土山希美枝教授を招いて協議を進めました。
2016年(平成28)9月26日(月)午前10時から庁舎6階の議場において「瀬戸市議会議員研修会」を開き、同第1部は「市民と議員の合同研修会」が行われ、藤井篤保委員長から議会基本条例策定準備の状況について報告があり、土山希美枝教授の「自画像としての議会基本条例」と題しての講演がありました。
このあと、参加した市民と意見交換が行われました。
ここで筆者は「会派」について、無所属で出馬した議員が当選後何の説明もなく既存の会派に所属するのはいかがなものかと意見を述べました。
土山教授は、何も説明なく既存会派に属するのは議員からではなく、有権者からみれば「後だしジャンケンのようなものです」とお答えいただいたのを覚えています。
このような意見を言ったのは、まず地方自治体(特に市区町村)は多数政党会派が政権を取る議院内閣制ではないこと。また「会派」という文言は地方自治法に政務活動費の交付対象としてしか位置づけされていないこと。(瀬戸市議会の政務活動費は会派ごとではなく各議員個人ごとです)議案採決に際し賛否を会派内拘束するのなら、選挙時から既存会派の市議団候補として立候補するべきではないかなどがその理由です。この考えは今も変わってはいません。

その後、同年10月24日土山教授を交えて条例の素案について意見交換。
同年11月6日土山教授を交えて委員会を開催

2017年(平成29)4月1日『瀬戸市議会基本条例』施行されました。

このほか同特別委員会の活動として、
①正副議長、常任委員及び組合議会議員の任期(いずれも2年になった)、②正副議長選挙に係る所信表明(H29年5月から実施)、③事業評価シート(徳島県小松島市を参考に評価シート案を理事者に提示)、④議案説明資料の作成(説明書の統一様式を作成し理事者に提示)、⑤議会基本条例の検証(評価検証方法について他市の事例を参考に協議)、⑥委員派遣、行政視察(H30年1月30日、31日福島県会津若松市議会視察)、⑦議員定数について(岐阜県可児市議会元議長 川上文浩氏)、⑧政務活動費について、⑨市民との意見交換会を起点とした政策サイクルについて、⑩予算(決算)準備会について(令和6年9月定例会も8月26日から28日に各分科会所管分の準備会が予定されています)、⑪常任委員、議会運営委員の任期について(H31年から任期を2年としています)、⑫正副常任委員長及び正副議会運営委員長の報酬加算について(毎月委員長1万円、副委員長5千円の加算)

その他策定された要綱、規程はつぎのとおりです。
◎瀬戸市議会反問権実施要綱
◎瀬戸市議会広報広聴協議会に関する規程
◎瀬戸市議会請願及び陳情取扱要綱
◎瀬戸市正副議長選挙に係る所信表明演説会実施要綱
〇視察報告の公開、視察後の取り組み、成果の公開
〇市民との意見交換会を起点とした政策サイクル
〇予算決算準備会について

2017年(平成29)4月17日(月)午前10時から瀬戸市会議場において
『市民と議員の合同研修会』
議会基本条例制定後の研修会が開かれました。
第1部基調講演「議会基本条例を真の自画像とするために」講師:龍谷大学教授 土山希美枝氏
第2部課題共有型円卓会議「市民に信頼される市議会を目指して」
  コーディネーター:龍谷大学教授 土山希美枝氏
  ゲストスピーカー:会津若松市議会議長 目黒章三郎氏
          :可児市元議長 川上文浩氏
2019年(平成31)3月25日付をもって同議会改革推進特別委員会は一旦幕を閉じました。
この時の報告書には下記のことばで結んでいます。
(略)民間調査による議会活性度ランキングは全国38位、県内2位という高い評価を得られた。ただし、このことを瀬戸市民がどう受け止めているのかはわからない。また、市民一人一人が理解しているのかと言えばそうではない。(中略)議会改革推進特別委員会は、本日をもって活動を終えることになるが、議会改革が終わりになることはない。来期以降も市民福祉の増進をめざし、議員が一丸となって議会改革に取り組んでいくことを市民の皆さんにお約束し結びとする。

2019年(平成31)4月21日瀬戸市議会議員選挙が行われ、第23期市議会議員26名が決まりました。
2019年(令和元年)7月5日付議会改革推進特別委員会が再度設置されました。
 この時の委員数は7名 委員長藤井篤保、副委員長戸田由久、委員中川昌也、高桑茂樹、池田信子、浅井寿美、長江公夫の各氏です。
設置理由は、議会基本条例に基づき市民にとってわかりやすい議会、参加しやすい議会の実現を目指す実践段階にあり、本条例の評価検証及び議会改革のさらなる推進を図ることとしています。

同委員会の活動結果報告は下記のとおり
①議会基本条例の評価・検証
 評価・検証シートを用いて各条文について各議員が評価・検証することにしました。土山教授から「新しく議員になる人に議会基本条例を知ってもらうことは重要」「時間の経過とともに課題が出てくるので検証は必要」などの助言がありました。
項目ごとに評価をまとめた結果、ほとんどは「概ねできている」あるいは「一部できている」でしたが、条例中第3条5項「合議制の機関であることに鑑み、意思決定に当たっては、議員間の自由な討議を積極的に行い、課題に関する論点・争点を明らかにし、合意形成に努める。」取り組み状況として自由討議の場の確保について、場の確保はできているが議員間討議は消極的であるとか、環境づくりが必要など、この項目の評価は「できていない」でした。
②政策検討会議・政策サポーター制度の検討
 委員会を越えて政策を深く議論する場が必要であるとし、『政策検討会議』の設置を協議。せとまちトークで出された意見を常任委員会に振り分ける前に取捨選択や優先順位付けを行うこととし、全議員参画する形式で令和3年度から運用を開始しました。
政策サポーターについてはその必要性などを引き続き検討することになりました。
③議員定数・報酬の検討
 これについて令和3年8月2日、有識者として可児市議会の川上文浩氏を招き、平成29年7月同市議会作成の「議員定数報酬検討特別委員会報告書」を基に説明を受けました。
④政策検討会議・市民との意見交換会の制度見直しの検討
 市議会の政策サイクルが活性化するためには、政策検討会議での意見交換が活発に行われることが不可欠ですが、令和3年度の導入初年度の運用実績を踏まえると課題が残るということで意見交換が行われました。せとまちトークなど政策資源を獲得する仕組みの検証もともに再協議することとなりました。
⑤委員会代表質問の調査研究
 議会の政策立案機能が発揮されるためには、委員会活動の強化が不可欠であるとの考えに立ち、すでに制度を導入している岐阜県可児市議会を参考に見聞を深めました。

瀬戸市議会近年の改革のあゆみを辿ってきました。
簡略してお伝えしているつもりですが、これでもかなりの長文となってしまいました。
瀬戸市議会は先進地事例として、福島県会津若松市議会をモデルにして改革に取り組んできました。
文中にあったように、民間調査会社のランキングは県内でも上位で、例えば会議の傍聴規則やネット配信等、議会改革の制度設計は決して他の市町村とくらべても見劣りするものではありません。

モデルとしている会津若松市とどこが違うのでしょうか。
まず言えるのは、議会改革による制度が市民に浸透しているわけではないことです。
現代風に言うなら「議会取り扱い説明」をわたしたち住民は受け取っていないということです。
目黒章三郎氏は会津若松市議会議長時代に、議会をより身近な存在にするため、『見て知って参加するための手引書』を平成25年度に発行。オールカラー20ページ以上の議会白書で、ときの市長に必要となる予算を折衝して作成、平成26年度版は全戸に配布したそうです。
その後も平成30年度版、令和2年度版が発行されています。ご関心あるかたは会津若松市議会HPを検索してください。

『議会改革への挑戦 会津若松市議会の軌跡』という本が 株式会社ぎょうせい から出版されています。
この本に、市民の意見を起点とし、政策立案・提案に結び付けていく「政策サイクル」などが紹介されています。

先に書いたように、自治体行政は住民から預かった資源(お金だけではありません)で、住民が必要とする制度を整備し、住民が課題とすることを解決するように取り組みます。
議会はこれらに対する意見は、住民と話し合いますという制度にしてあります。
ただし、何が必要で、何が課題なのか、またその優先順はどうするのか、これらに正解はありません。全住民が全員一致することはまずあり得ません。議会改革でできた制度の「トリ説」を受け取ったとしても、議会議員と住民が意見交換する場(せとまちトークなど)に臨むまえに、何が必要で、何が課題でどこを解決してほしいのか、自分たちで解決できる部分とムリなところを区分けする話し合いができるのかどうか。

多くの自治体議会が「苦手」「課題」としているのは、住民との意見交換(住民の参画)、それと自分たち(議員間)の議論だそうです。
瀬戸市議会と東京近郊の市議会議員で、これらについて合同勉強会が開かれたこともあります。(筆者も傍聴参加しました)
議会の改革と住民の意識、ともに向上してクラッチがつながらなければ、まちづくりという名のタイヤは1ミリも動きません。

令和元年7月5日に再度設置された議会改革推進特別委員会は、令和5年3月23日に幕を閉じました。
昨年行われた瀬戸市議会改選のあと、特別委員会は設置されないままになっていましたので、さきの令和6年6月定例会に議員提出議案を出す予定でしたが、同定例会閉会までに議会運営委員会で合意に至りませんでした。
9月定例会には設置議案を提出できるよう引き続き協議されるようです。
まずは各派代表者会で協議する旨、議長から提案がありました。

議会改革はここがゴールだということはありません。
議会議員の絶対不可避な職務でもありません。

課題は無限大、資源は有限。

今回は長文にもかかわらず読了いただきありがとうございます。











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夢酔戯言

2024年06月23日 | お知らせ
国政をみても
都知事選をみても
瀬戸市をみても
やはり政治家には哲学と理念が絶体必要。

ノスタルジーではありません。

ホントに劣化、低俗化しました。
政治家が・・? いいえ私たちです。
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行政って何でしょう?

2024年06月09日 | お知らせ
 朝起きて歯を磨き顔を洗います→水道法
トイレにいきます→下水道法
明かりをつけ、炊飯器やトースターを使います→電気事業法
今日はゴミ出しの日です→廃棄物処理法
ゴミは分別します→容器包装リサイクル法
車に乗って駅へ向かいます→道路交通法
今朝も見慣れた街並みが見えます→都市計画法
電車に乗ります→鉄道事業法
きょうもお仕事がんばりましょう→労働基準法
お昼は行きつけの店でランチです→食品衛生法
コンビニの支払いは電子決済で→資金決済法
スマホでSNSをチェックしておきます→電気通信事業法
子どもたちは午後も授業です→学校教育法
子どもとは公園で待ち合わせ→都市公園法
帰りはバスに乗りましょう→道路運送車両法
お風呂に入って疲れを癒しましょう→ガス事業法
帰宅後家族でテレビ見て→放送法
週末は楽しみ一泊旅行→旅行業法

毎日こんなことを意識しながら生活しているわけではありません。
だけど私たちはさまざまな法律に取り巻かれながら日常生活を送っています。
まるでそれは空気のようにあって当たり前なのですが、
なぜ私たちの社会には法律が必要なのでしょう。

日頃は関係ないと思っている法律も、
おそらく一度は直面する法手続きは遺産相続ではないでしょうか。
死亡届け出提出→市役所市民課窓口
健康保険資格喪失手続→市役所国保年金課
戸籍・住民票除票取得→市役所市民課窓口
法定相続情報取得→法務局
遺言書検認・相続放棄→裁判所
不動産名義変更→法務局
自動車名義変更→陸運局
相続税申告→税務署
現在日本には2000本超の法律があります。
私たちは法に囲まれて生きています。

複数のヒトが存在すると集団ができ、いくつもの集団で社会を形成します。
ヒトとヒト、集団と集団は互いに影響し合いながら活動します。
ヒトとヒトという個人単位なら話し合って関係を保てばいいですが、いくつもの集団で構成される社会には利害が発生し「秩序」が必要となります。
秩序を保ちつつ、安定的に社会を維持させるために決めごと(法)を定めます。
私的なグループや集団ではなく、大きな規模の集団(社会)になると法に基づき権力を使う必要があります。
大規模な社会集団が国家です。理想郷なら『地球はひとつ人類皆兄弟』ですが現実の国際社会は国家が大規模集団の「単位」です。
私たちは必ずどこかの国に所属し、日本ならどこかの都道府県のどこかの市区町村で暮らします。

秩序を保つために必要な法律は国(国会)でしか定められません。
法律に従って公機関が社会の秩序を保持するための活動が行政です。
行政活動するところを国(政府)は各省庁、都道府県の役所は庁、市・区は役所、町・村は役場といいます。
行政の活動は私人の権利や自由を制限する『規制行政』と、生活に必要なインフラや生活保護など私人に便益を提供する『給付行政』に分類されます。
行政機関が好き勝手に活動することがないように(特に規制行政)、
①私人の自由や権利を制限できる法律は国会でしか作れず、
②私人に対する自由や権利の制限は法律に基づいていなければならず、
③行政は法律に反した活動は許されません。

社会秩序を維持するための決めごとは法令と例規です。
法令は法律と命令の総称で、最高法規は日本国憲法。
次に国会議員で組織した国会(立法府)で可決されて制定する「法律」、
命令は、法律の規定を実施させるために内閣が制定するルールである「政令」と
各省大臣が行政事務について法律や政令を施行するための規則である「省令」(総理の場合は府令)があります。
そして地方自治体で定められる自治立法が「条例」、首長がその権限に属する事務について制定する法規が「規則」、行政内部における内規を「要綱・要領」といいます。
ただし条例は上位法である「法律の範囲」でなければ策定できません。
*例規は条例と規則のことです。市の条例と規則をまとめたものを例規類集といいます。
 瀬戸市例規類集は市役所1階資料コーナーやネットで見ることができます。
*一定の目的のために設けられた複数の規則を束ねた総体を規程といいます。

国や県の行政のことは別稿に譲り、市行政について筆をすすめます。
市行政の主体は普通地方公共団体である「瀬戸市」です。
市行政の客体は瀬戸市住民です。(法人も住民です)
行政主体は権利や義務を持ち、行政活動を行うことができる団体で、住民だけでなく自治体として国・県に対しても権利と義務を有しています。

社会は一定の秩序を保ちつつも、住民あるいは住民間の関係は時代とともに変化します。
国(政府)は外交や安全保障、通貨の統制など主に国家の存立に関わる事務を行いますが、私たちの身近な問題を解決したり処理するのは自治体で行った方が合理的であり機能的です。
私たちは地方自治体を国の下部組織のようにとらえがちです。
実際、1999年(平成11年)地方分権一括法ができるまでは、自治体の首長は法令に基づいて国から委任され、国の機関として処理する「機関委任事務」が行われてきました。
国からの通達が自治体を拘束していましたが現在は技術的な助言という位置づけになっています。

市内の集団、住民の課題や不満を解決するため行政活動の源となるのが「政策」です。
持続可能な自治体経営を行っていくための政策もあります。
*国家行政の客体は国民、地方自治体行政の客体は住民と表します。
政策に基づき事務事業が発案、実施されます。
瀬戸市は2014年(平成26年)市政の最上位の方針として基本構想条例を公布し、第6次基本構想を掲げそれに基づき基本計画を立てて三年毎の中期事業計画を作成。これを実行するにあたり毎年度の当初予算を編成しています。
*第7次基本計画云々を耳にしますが、なにも決まってはいませんし、条例を廃止すれば基本構想に基づく市政運営は変わります。

規制行政であれ給付行政であれ、行政活動(歳入歳出予算を伴う)はその事務事業により、市内の集団、住民等に何らかの影響や変化を及ぼすことを期待して行われるものです。街並みや景観も集団や住民に影響を及ぼします。
なにも変わらないのなら予算を使ってまで事業化する必要性はありません。
逆に変化してはいけない(困る)ために行う事務もあります。(扶助費)
とかく人や集団は自分が見えているもの、聞こえてくるもの、感じているものに課題や不満を抱きます。
これ以外にも地域の特性を知り、市全域に共通する諸問題間の関係性、重要性を踏まえて行政事務の優先順を議論していくことが大事です。
「私の不満は市の課題。解消するのが役所の仕事。」このようにだけとらえている住民が多ければ、結果的に行政による解決は遠のきます。

さて客体である私たち住民に対し、行政活動をするのが市ですと書きました。
権利や義務を有している主体が行政機関ですが、市の意思を最終決定するのは市長です。
市長は行政主体つまり普通地方公共団体の代表者であり、住民の代表は議会です。
行政機関の意思決定だけで事務事業が完了するわけがありません。
決定された行政活動を支えているのが「市職員」で、役所内の各部局課係組織はそのためのいわば『補助機関』です。
市の意思決定に意見を掲示しているのが各種審議会や監査委員等です。

市の事務を管理し及びこれを執行するのは市長です。(地方自治法第147条)
役所の組織は市長が管理し執行する事務を行うための『補助機関』です。
組織を改編する際には市長が管理し執行する事務を処理するにあたり合理性、効率性、整合性などの観点から、その必要性を行政客体である住民(代表である議会)に対する十分な説明責任が伴います。

行政活動とりわけ給付行政はすべての住民の利になるわけではありません。
給付金、補助金、協力金などはその財源は住民から集めたお金でありながら、対象者は住民全員としなくても構いません。
そのため対象外の集団、住民から「ここにも、うちにも、私にも」と千手観音のごとく手が出てきやすくなります。
国が行ったコロナ禍対策の給付金や協力金として会社員や不動産事業者(大家さん)は持続化給付金を受け取ることができませんでした。

また昨今行政サービスを競い合うかのような各種無償化とは、対象者にとって無償(タダ)となることであり、負担はみんなで分け合いましょうということです。
税の使い道を偏らせて行政サービスを肥大化させることは極めて慎重な議論が必要です。
そうした政策のほうが集団や住民にとって「より良い社会だ」という認識を共有して、初めて成り立つ政策です。
自分さえよければとか、かわいそうだからそれで良いというものではありません。

地方自治において、「行政の運営や政策決定過程に住民が参画すること」を『住民自治』といいます。
住民自治を活性化するには、住民間の課題と優先順を共有するための『話し合う力』が不可欠です。
住民間の話し合う力が民主主義を活かす土壌の肥やしとなり、政治家は草木のような存在です。
草木を批評するまえに、なぜそんな草木しか育たないのか、『住民間で話し合う力」をつけない限り、肥沃な土にはなりません。

この課題で、政治家も市職員も私たち行政客体に対し主体的な活動(住民への啓蒙助言等)をすることはほとんどありません。

身近な問題はより身近なところで話し合い解決するのが最適です。
国から都道府県へ、都道府県から市区町村へ、
行政機関の権限移譲はここまでですが、もっと身近なところは地域(瀬戸市は連区)です。
住民自治力の試金石のひとつが市町村行政機関から地域へ権限移譲する『地域一括交付金制度』と言われています。
瀬戸は住民自治基本条例の制定と地域一括交付金制度の導入を図れるでしょうか。

本稿も読了いただきありがとうございます。
































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議会トピックス

2024年05月25日 | お知らせ
 昨年4月に行われた市議会議員改選後、9人は無会派として活動してきましたが、4月に戸田由久・中川昌也・臼井淳(敬称略)の3名で「市民の声」という会派を結成しました。
今月には長江公夫・馬嶋みゆき・松原大介(敬称略)の3名で「新風せと無所属の会」という会派が結成されました。
会派結成の理由はそれぞれの議員に尋ねるほかありませんが、私たちが理解しておかなければいけない点は、地方自治体と国政は仕組みが全く違うということです。
なお瀬戸市議会の会派については、瀬戸市議会基本条例第6条に規定されています。

国は議会の多数派(政党会派)が内閣を組織し、首班指名選挙で内閣総理大臣を選出します。議院内閣制という仕組みです。
内閣を組織する政党会派(複数も)を与党、それ以外を野党といいます。
18世紀前半のイギリスで始まりました。
大統領制とは違い、国民が直接選挙により内閣総理大臣を選出する仕組みではありません。
一方、地方公共団体は都道府県も市町村も、首長と議会議員ともに住民が選出する、二元代表制という仕組みです。
議会議員たちで首長を選ぶわけではありません。

地方自治法第109条で、「普通地方公共団体の議会は、条例で、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会を置くことができる。」と定めています。
「置かなければならない」ではなく「置くことができる」です。

国会は、国会法第41条で衆議院は17の常任委員会、参議院は17の常任委員会を設置すると定めています。
衆参ともに全く同じ委員会というわけではなく、例えば衆議院では安全保障委員会、参議院は国家基本政策委員会、衆議院は決算行政監視委員会、参議院は決算委員会と行政監視委員会を分けてあります。

自治法は議会運営の円滑化を図るため調整を図ることを担任する議会運営委員会と常任委員会は別建てにしていますが、国会は衆参ともに議院運営委員会は17ある常任委員会のひとつです。
なおマスコミ報道等でよく聞く「国会対策委員長」は国会法にはなく、それぞれの政党内組織であり委員長会談は国会運営の『事前調整』を図るためのものです。法にはありませんが国会運営(特に与野党間)の慣行慣例となっています。

話を瀬戸市議会にもどしましょう。

地方自治法第109条により瀬戸市議会委員会条例を定めています。
この条例第5条(委員の選任)で、「常任委員、議会運営委員及び特別委員は、議長が会議に諮って指名する。」としています。
それぞれの委員会は委員定数が定められていて、総務生活委員会8人、厚生文教委員会9人、都市活力委員会9人、議会運営委員会8人となっています。
委員会委員は按分により決められていきます。
令和6年5月25日現在、自民新政クラブ11人、公明党瀬戸市議団3人、共産党瀬戸市議団3人、市民の声3人、新風せと無所属の会3人、無会派は3人で「会派別役職等比例割振表」に按分が記されています。
例えば定数8人の総務生活委員会なら、自民新政クラブ3.38、公明党瀬戸市議団0.92、共産党瀬戸市議団0.92、市民の声0.92、新風せと無所属の会0.92、無会派各議員0.31となります。

常任委員会の任期は2年と定められており、昨年改選後に各委員が決まりましたので今年(令和6年度)は委員改選は行われません。
議会運営委員会の任期は常任委員任期について準用するとしています。
常任委員会は先の比例割振表に基づき各委員の人数が割り振られる他、無会派議員も常任委員会委員職に就きます。
しかし議会運営委員会は議会の慣行慣例申し合わせにより、会派所属議員で委員を構成します
令和6年5月25日現在の議会運営委員会は、自民新政クラブ5名、公明党瀬戸市議団1名、共産党瀬戸市議団1名、市民の声1名で構成されていますが、この度結成した新風せと無所属の会について、各委員は所属会派に持ち帰り協議中で、次回開催される議会運営委員会で決定されることとなっています。

瀬戸市議会で議会運営委員会委員に就くには、会派に所属するかあるいは会派を結成するしかありません。
先にご紹介したとおり、地方議会において議会運営委員会は、議会運営の円滑化を図るために調整を図ることを担任し、会期など議会の運営に関する事項、会議規則、委員会条例に関する事項、議長の諮問に関する事項について調査を行い、議案、請願等の取り扱いを審査します。定例会や臨時会に先立って、会期中の議事運営の仕方など各会派の意見調整を行うことが主な役割となっています。

当方が毎夏実施している「子ども議会傍聴」は瀬戸市議会傍聴規則により中学生以下の議場傍聴席入場はできないため、特別に小学生の傍聴許可をいただきたい旨議長にお願いし、議長からの提案で議会運営委員会での協議事項として審議され許可をいただいているという手続きをとっています。
瀬戸市議会のほとんどの会議はYouTubeで公開されていますが、議会運営委員会は協議事項が議案に関する場合を除きYouTube公開はしていません。
もちろん一般市民の委員会傍聴は申請許可されています。

5月28日 6月定例会招集告示
6月10日 本会議開会、同月28日閉会の日程予定です。(正式な日程は開会日に決まります)

今回も読了いただきありがとうございます。








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瀬戸河原落書

2024年05月09日 | お知らせ
 此比役所ニハヤル物
タライ回トゴネ得人事

改善ノ沙汰モナク

理屈ハ後カラ追イカケテ

志モ呆レ果テ
若武者ドモハ青色吐息
刀モ折レテ気モ折レテ
道半バシテ役所去ル

解デキヌハ殿ト重役
知ラヌハ民バカリナリ

バカニシタヨナ鳴声残シ
今宵モ烏ハ塒ニ帰ル。

嗚呼落日ノ追分橋
流ス涙モバカラシヤ

詠み人知らず


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この土にして、その草産す。

2024年05月01日 | お知らせ
 地方自治体の内部組織に関しては、地方自治法第158条で規定されています。

法158条「普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務を分掌させるため、必要な内部組織を設けることができる。この場合において、当該普通地方公共団体の長の直近下位の内部組織の設置及びその分掌する事務については、条例で定めるものとする。」
同②「普通地方公共団体の長は、前項の内部組織の編成に当たっては、当該普通地方公共団体の事務及び事業の運営が簡素かつ効率的なものとなるよう十分配慮しなければならない。」

「長の直近最下位の内部組織」とは、普通地方公共団体の長の権限に属する事務を分掌するために設けられる最上位の組織を意味するものであり、局又は部若しくはこれに準ずる組織の名称の如何にかかわらないものである。(中略)第一項の規定は、少なくとも長の直近下位の内部組織の設置及びその分掌事務については、条例で定める必要があるということを定めているものであり、これ以外の内部組織の設置及びその分掌する事務については、長の定める規則等で定めることが可能である。

 第二項の規定は、地方公共団体の自主組織権がより尊重される観点からの改正が行われたが、一方で、地方公共団体の事務処理についての簡素化・効率化・能率化の原則に適合することが必要であることから、普通地方公共団体の長は、内部組織の編成に当たっては、事務及び事業の運営が簡素かつ効率的なものとなるよう十分配慮しなければならないことを定めたものである。(中略)
 普通地方公共団体の長の直近下位の内部組織の設置及びその分掌する事務についての条例の提案権(発案権)は普通地方公共団体の長に専属すると解すべきである。提案権(発案権)が普通地方公共団体の長に専属する場合、議会は、本条第二項の趣旨に反するような修正を行うことができないことはもちろん、実質的に議会が提案したと同様の結果となるような修正はできない。

 【運用】第一項の条例について、議会が修正できる範囲については、例えば、次のように考えられる。
 普通地方公共団体の長の直近下位の内部組織の数を、長の提案より増加させるような議会の修正はできないが、長の提案より減少させる修正は、原則としてできる。また、普通地方公共団体の長の直近下位の内部組織の名称又は分掌する事務について、提案された条例(案)に含まれていないような長の直近下位の内部組織の名称又は事務分掌を変更する修正をすることはできないが、提案された条例(案)において対象となつている長の直近下位の内部組織について、その名称を変更し、又は既存の他の長の内部組織が分掌する事務に影響しない範囲での分掌する事務の変更は、原則としてできる。
(逐条地方自治法より抜粋)

この法により、瀬戸市事務分掌条例を定めています。
法にあるように、長の直近下位、つまり市長直轄組織及び部についてのみ定めたもので、課の設置は条例範疇外にあるので、例えば課の名称や分掌する事務の変更は議会の議決事件とはなりません。(定例会で議案として提出されない)
市長が課の名称や分掌する事務を変更しようとした場合、事務分掌条例の一部改正議案の外にあるため一般質問等で質すほかありません。
市の内部委員会として、瀬戸市事務改善委員会が規程されています。
この委員会の調査審議の内容について一般質問等で質すことも考えられます。
その他、組織改編にともなう歳出についても議会は質すことができます。

令和6年9月定例会を注視します。


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内部統制制度 ~統制環境と組織文化~

2024年04月21日 | お知らせ
 地方公共団体における内部統制制度は、平成28年3月の第31次地方制度審査会の「人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申」を踏まえ、平成29年の地方自治法の一部改正により行政サービスを安定的、持続的、効率的かつ効果的に提供していくため、その要請に対応した地方行政体制を確立することが求められたことによります。

 内部統制制度の導入により、地方公共団体は、組織として、予めリスク(組織目的の達成を阻害する要因)があることを前提として、法令等を遵守しつつ、適正に業務を執行することが、より一層求められます。組織的な取組みが徹底されることにより、長にとっては、マネジメントが強化され、政策的な課題に対して重点的に資源を投入することが可能となります。
また職員にとっても、業務の効率化や業務目的のより効果的な達成等により、安心して働きやすい職場環境が実現され、ひいては信頼に足る行政サービスを住民が享受することにつながります。

 内部統制が有効に機能するためには、長の意識が最も重要です。
長は、内部統制の整備及び運用に関する最終責任者であり、内部統制の基本的要素の一つである統制環境の根幹を成す組織文化に大きく影響を与えるからです。
長は、自らが職員の意思決定や行動様式を大きく左右する存在であることをあらためて自覚し、内部統制の取組を先導していくことが求められます。
 最終的な責任は長にありますが、内部統制は業務に組み込まれ、組織内の全ての者により遂行されるプロセスであることから、全職員が主体的に取り組むことが求められます。また、内部統制は継続的に見直しを行いながら構築していくものであることから、改正法への形式的かつ一時的な対応を図るのではなく、長期的な視点に立って取り組むべきです。

 内部統制に取り組むに当たり、地方公共団体におけるリスクや課題と向き合ってきた監査委員の知見を生かすことが効果的であり、監査委員は内部統制を前提として、より本質的な監査業務に人的及び時間的資源を重点的に振り向けていくことが期待されます。
 また、議会は、長から独立した立場で、内部統制の整備状況及び運用状況について監視を行うため、統制環境に一定の影響を与えることになります。したがって、議会に対しても適切な報告を行うことが求められています・

上記は、平成31年3月付 総務省から出された【地方公共団体における内部統制制度の導入・実施ガイドライン】の序文から抜粋したものです。

このガイドラインは、内部統制制度の導入が義務付けられる都道府県及び指定都市を想定していますが、基本的な枠組みとしては、全ての地方公共団体に共通しているものです。
*指定都市とは政令で指定する人口50万人以上の都市で、全国で20都市があり愛知県内は名古屋市だけです。

指定都市以外の市でも、日野市・藤沢市・三田市・清瀬市・下野市・豊川市・呉市・長浜市・小牧市などはそれぞれの市のHPで「内部統制制度」について公開しています。
指定都市以外の市町村において、地方自治法第150条第2項に基づくものとして内部統制に関する方針を策定した場合には、「内部統制評価報告書」の作成が求められることになり、すでに評価報告書を公開している市もあります。

 内部統制とは、
①業務の効率的かつ効果的な遂行
②財務報告等の信頼性の確保
③業務に関わる法令等の遵守
④資産の保全
これら4つの目的が達成されないリスクを一定の水準以下に抑えることを確保するために、業務に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスをいいます。
これらは、下記の6つの基本的要素から構成されます。
①統制環境
②リスクの評価と対応
③統制活動
④情報と伝達
⑤モニタリング
⑥ICTへの対応

 内部統制の4つの目的
①業務の効率的かつ効果的な遂行
 地方公共団体においては、その事務を処理するに当たっては最小の経費で最大の効果を挙げるとともに、常にその組織及び運営の合理化に努め、担当職員の個人的な経験や能力に過渡に依存することなく、組織として一定の水準を保ちつつ滞りなく業務を遂行できるようにすることで、業務の目的達成を図る。
*地方自治法第2条第14項 「地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」
②財務報告等の信頼性の確保
 財務報告だけでは地方公共団体の政策実績を十分に把握することは難しいため、非財務報告についても積極的に実施することが求められている。
③業務に関わる法令等の遵守
④資産の保全
 資産には、有形の資産のほか、知的財産、住民に関する情報など無形の資産も含まれる。

 内部統制の6つの基本的要素
①統制環境
 統制環境とは、組織文化を決定し、組織内の全ての者の統制に対する意識に影響を与えるとともに、他の基本的要素の基礎をなし、それぞれに影響を及ぼす基盤をいう。
 統制環境は、組織が保有する価値基準及び組織の基本的な人事、職務の制度等を総称する概念であり、組織独自の意識や行動を規定し、組織内の者の内部統制に対する考え方に影響を与える最も重要な基本的要素。
 組織文化とは、一般に、組織内の意識や行動及び組織に固有の強みや特徴をいい、組織の最高責任者の意向や姿勢が反映される。
地方自治体においては、長の意識が統制環境に対し最も大きな影響を有する。
長は、自らが誠実かつ倫理的に職務を果たしつつ、職員の行動及び意思決定の指針となる具体的な行動基準等を定め、職員が遵守できるよう適切な対応を行う必要がある。
 また、地方公共団体の運営方針や運営戦略に照らして、目的を達成するために適切な組織構造並びに職員の権限及び責任、人的資源に対する方針等を定めることも重要である。
②リスクの評価と対応
 内部統制の目的に応じて、リスクを適切に識別する。次に識別したリスクについて、全庁的なリスクか特定の業務に係る個別リスクか。
また、過去に経験したリスクか、未経験のリスクかなどの分類を行う。
識別・分類したリスクについて、生じる可能性及び影響の大きさを分析し、量的な重要性を見積り、質的な重要性を検討する。
地方公共団体におけるリスクとして、例えばICTシステムの故障・不具合、会計処理の誤謬・不正行為の発生などが考えられる。
③統制活動
 統制活動とは、長の命令及び指示が適切に実行されることを確保するために定める方針及び手続をいう。
統制活動には、権限及び職責の付与、職務の分掌等の広範な方針及び手続が含まれる。これらは業務のプロセスに組み込まれるべきものであり、組織内の全ての者において遂行されることにより機能するものである。
発生しうるリスクを減らすため、職務を複数の者の間で適切に分担又は分離させることが重要で、例えば契約の承認、契約の記録、資産の管理に関する職責をそれぞれ別の者に担当させるなど、担当者間で適切に相互牽制を働かせることが考えられる。
④情報と伝達
 情報と伝達とは、必要な情報が識別、把握及び処理され、組織内外及び関係者相互に正しく伝えられることを確保することをいう。
一般に、情報の識別、把握、処理及び伝達は、人的及び機械化された情報システムを通して行われる。
組織は、必要な情報を特定し(識別)、情報システムに取り入れ(把握)、目的に応じて加工する(処理)ことを通じて、伝達を行う前提として、情報の信頼性を確保する。
情報の伝達は、例えば、長の方針は組織内の全ての者に適時かつ適切に伝達される必要がある。
⑤モニタリング
 モニタリングとは、内部統制が有効に機能していることを継続的に評価するプロセスをいう。
モニタリングには、通常の業務に組み込まれた一連の手続きを実施し、内部統制の有効性を継続的に検討・評価する日常的なものと、日常的モニタリングでは発見できないような組織運営上の問題の有無を、別の視点から評価するために定期的又は随時行われる独自的評価とが考えられる。
⑥ICTへの対応
 ICTへの対応とは、組織目的を達成するために予め適切な方針及び手続を定め、それを踏まえて、業務の実施において組織の内外のICTに対し適切に対応することをいう。
ICT環境とは、組織が活動する上で必然的に関わる内外のICTの利用状況のことであり、社会におけるICTの浸透度、組織が行う事務処理等におけるICTの利用状況、及び組織が選択的に依拠している一連の情報通信システムの状況等をいう。
ICTには、情報処理の有効性、効率性等を高める効果があり、これを内部統制に利用することにより、より有効かつ効率的な内部統制の構築を可能とすることができる。
ICTに係る全般統制とは、業務処理統制が有効に機能する環境を保障するための統制活動を意味しており、通常、複数の業務処理統制に関係する方針と手続きをいう。
業務を管理するシステムを支援するICT基盤(ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク等)を単位として構築することになる。

 内部統制に関係を有する者の役割について
(1) 長
 長は、地方公共団体の事務について包括的な管理執行権限を有しており、内部統制の整備及び運用に関しても最終的な責任者です。
長は、その補助機関である職員(副市長、会計管理者、その他職員)に対する指揮監督(補助執行の方針、基準及び手続等についての命令や、遵守義務の違反、職務の達成上不適当なことはないかの監視及び是正)を通じて、内部統制の整備及び運用を自らの事務として処理することとなります。長は、統制環境に係る諸要因及びその他の内部統制の基本的な影響を与える組織文化に大きな影響力を有しており、地方公共団体における内部統制が有効に機能するかを大きく左右します。
(2) 職員
 内部統制は職員の日常の業務執行の中で行われるもので、各部局における職員の役割と責任は重要です。
内部統制の整備の一環として策定された規則・規程・マニュアル等を遵守し、適正な業務執行に努めることが必要です。
正規の職員のほか、非常勤職員や外部委託先等も同様の役割を担うこととなります。特に、委託業務に係る内部統制についての責任は委託者にあり、委託者が適切に外部委託先を管理する必要があります。
(3) 監査委員
 監査委員は、財務監査のほか、必要があるときと認めるときは、地方公共団体の事務の執行について監査(行政監査)をすることができます。
監査委員の有する機能は地方公共団体の統制環境の一部を構成していますが、長とは異なる執行機関として、独立した権限を行使する立場にあり、長による統制活動を担う立場にはありません。
(4) 議会
 議会は、長から独立した立場で、これを監視する役割を担っており、内部統制に関しても、議決事件(地方自治法第96条)に係る質疑や調査権(地方自治法第100条)の行使を通じて、地方公共団体の内部統制の枠外から、統制環境に影響を与えるとともに、内部統制の整備状況及び運用状況について監視を行い、必要に応じて改善を促すことが考えられます。

瀬戸市について
 内部統制で重要な役割を有しているのが監査委員です。
監査基準として、監査委員が行うこととされている監査、検査、審査その他の行為は、事務の管理及び執行等について、法令に適合し、正確で、経済的、効率的かつ効果的な実施を確保し、住民の福祉の増進に資することを目的としています。
本基準における監査等は、①財務監査 ②行政監査 ③財政援助団体等監査 ④決算審査 ⑤例月出納検査 ⑥基金運用審査 ⑦健全化判断比率審査 ⑧資金不足比率審査 が該当します。
本市の監査委員の定数は3人ですが、うち1名は市議会議員が委員を務めています。
上記のとおり本来、議会は長から独立した役割を担っており、調査権を有していますので、議員が監査委員に就任するのではなく有識者等が監査委員となり、さらには監査委員とは別に、行政監査、決算審査に外部評価を行う第3者機関等を設けるべきと考えます。
平成29年の地方自治法改正により、監査委員は監査の専門性を高めるため有識者に委ね、議会は議会としての監視機能に特化し、議員の中からの監査委員選任は各自治体が判断できるようになりました。
すでに、いくつかの自治体では議会選出による議員の監査委員は取りやめています。
議会の機能については「瀬戸市議会基本条例」を参照してください。

 平成27年12月25日公布 瀬戸市事務分掌の一部改正
このときの改正により、それまでの行政経営部を経営戦略部と行政管理部に分割しました。
行政経営部の主な事務分掌は、第3条 行政経営部は、行政の経営管理により各部の施策推進の支援を行うことをその使命とし、おおむね次の事務を分掌する。とし、
第3条(2) 行政事務の管理に関すること。同(3) 都市経営の総合調整に関すること。同(5) 財産管理の総括に関すること。同(6) 情報化に関すること。

↓ 改正後
経営戦略部の主な事務分掌は、第3条 経営戦略部は、戦略的な都市経営の推進をその使命とし、おおむね次の事務を分掌する。とし、
第3条(2) 市政情報に関すること。同(3) 都市経営の総合的な企画及び調整に関すること。

行政管理部の主な事務分掌は、第4条 行政管理部は、都市経営の基盤となる行政事務の品質向上をその使命とし、おおむね次の事務を分掌する。
第4条(1) 行政事務の管理に関すること。同(2) 法務及び文書に関すること。同(3) 財政に関すること。同(4) 財産管理の総括に関すること。

事務事業を推進する部署と、事務管理をする部署に分割したのですが、その後、業務の効率的かつ効果的な遂行、またそのプロセスの透明化、明確化は進捗したのでしょうか。
都市経営マネジメントのための政策事務事業は、その事業効果の明確化(ロジックモデルにより事業アウトカムを明確にし市民に公開する)は改善されてきたのでしょうか。
事業実施結果の具体的な将来像、社会的変化など、事業のアウトカムが明確にされないまま、事業の「行政手続き論」に傾斜しているのではないでしょうか。
ロジックは高度な山登りに例えれば理解しやすいでしょう。
どの山岳のどの頂を目指し、必要な人員や物資と量、必要な時間、途中進捗を計測するための目標値(いつまでに5合目に到達するのか)など綿密な登山登頂計画に基づき実行されます。
もしアウトカム、インプット、アウトプット、KPIをデタラメなままで出発すれば、おそらく全員遭難となるのは間違いありません。

『偏らない市政』の実現は、事務事業のアウトカムをロジックモデルで明確化し、市民と議会は大いに論じ、市長自らが事業目的の重要性を訴えていくほかありません。
アウトカムを見える化しなければ、事業の是非を判断できるはずもありません。
「事業手続き論」はあくまでも法の順守以外なにもありません。つまり法に従って事業手続きを行うのは当然のことであり、その事業の必要性を論じるための判断材料とは成り得ません。

管理部門では、公文書の取り扱い、人材の適材適所の配置などに課題はないのでしょうか。
なしとするなら、なぜ若い職員が毎年途中退職していくのでしょうか。
いわゆる「寿退社」や民間企業への転職だけなのでしょうか。

ご紹介したとおり【地方公共団体における内部統制制度の導入・実施ガイドライン】に記されているように、内部統制が有効に機能するためには、市長の意識が最も重要であり、統制環境の根幹を成す組織文化に大きな影響を与えます。
組織文化とは民間会社の企業風土(社風)に相当します。どれほど大きな企業でもときに不祥事が発生するのは、その企業風土に由来します。

来年度にも組織改編を予定されているなら、市長副市長の指示によりこの期に本市も地方自治法第150条第2項に基づく内部統制制度に関する方針を策定し、内部統制評価報告書も作成されていくことを進言します。

予算を伴う各事業をタテ糸とするなら、ヨコ糸をつむぐことでしか行政サービスは面になりません。
豊富な財源があればたくさんの事業を予算化し、タテ糸だけでもそこそこ面と成り得たでしょう。
しかし本市の財政事情はそれを許す状況ではありません。
ではヨコ糸をつむぐようにするには・・。
政策「推進」課と情報「政策」課でなすべきことは、どうすれば少しでもヨコ糸をつむぎ、限られたタテ糸を補強できるかを提示、あるいは各事業の全庁共通認識(共有化)を図ることではありませんか。
庁議の企画会議は、バラバラのタテ糸報告ではなく、どうすれば政策を推進し、必要な情報を獲得してヨコ糸とすべく協議する会議体ではありませんか。

行政サービスの無償化や助成金などは住民の耳目を集めますが、住民の理解や関心が薄い問題ほど、持続可能な行政経営には必要不可欠な重要課題であると申し上げ、本稿の筆を置きます。

今回も読了いただきありがとうございます。





 


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