瀬戸市民言論広場

明るい未来社会をみんなで考えるために瀬戸市民言論広場を開設しました。

視点・観点・論点 第6回

2016年09月23日 | お知らせ
第6回は「見えざるは・・」



本日9月23日、9月定例会が閉会しました。
議会より、いくつかの提言書と申し入れ書が行政執行部に提出されました。
議会改革の一歩前進であると思います。
今後の議員各位の鋭意努力に期待しましょう。

さて以外に思われるかもしれませんが、瀬戸市議会は他市町と比べてとても開かれた会議をしています。
各常任委員会はじめ、予算決算分科会、予算決算委員会、議会運営委員会、議会改革推進特別委員会などは市民傍聴が許可されています。
一年に2度開催する議会報告会と意見交換会、行政視察報告書の閲覧、理事者の反問権、反論権の導入等議会改革が進められています。
現在、議会基本条例策定に向け特別委員会で議論が続けられています。
また9月26日(月)午前10時より市民と議員の合同研修会が本会議場において議員は理事者席に、市民は議員席に座って開かれる予定です。
市民に議場議員席を開放するのは新庁舎では初めてです。
この機会にぜひ参加されてはいかがでしょう。
ただし、先着26人で午前10時までに議会事務局で受付をしてください。

本題は行政執行部のこと。
市役所職員や自治体関係者ならご存知でしょうが、おそらく多くの市民はご存知ないお話です。

地方自治体で働く職員の勤務条件、給与、職階制などは地方公務員法に定められています。
服務は同法第30条に、すべての職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。とあります。
同法31条には服務の宣誓。
同法32条には法令や上司の職務命令に従う義務。
同法33条には信用失墜行為の禁止。
同法34条には秘密保持義務。
同法35条には職務専念義務。
など職務上の義務が課せられています。

実務を行うのに各自治体で条例や規程を定めています。
市民は給与や待遇面に関心を注がれるでしょうが、本稿では庁議と決済に関する規定をご案内します。

瀬戸市庁議に関する規定 平成28年3月31日訓令
行政運営の基本方針、重要施策等を審議し、その推進に当たって事務事業の総合調整を行い、もって行政の計画的な運営を図るため、庁議を置く。
と、瀬戸市庁議に関する規定、第1条に書かれています。
庁議は、政策会議、調整会議、部長会議、幹部会議及び企画会議のことです。

政策会議は、市政の基本方針を形成する最高機関で、会議は市長が主宰し、下記の幹部職員で構成されています。
現役職者です(敬称略)
副市長・青山一郎、教育長・深見和博、経営戦略部長・加藤慎也、行政管理部長・加藤仁章、交流活力部長・横山彰、市民生活部長・加藤眞二、健康福祉部長・瀧本文幸、都市整備部長・柘植義昭、消防長・矢野研一、教育部長・加藤都志雄
政策会議は、毎週水曜日に開催され、市長が必要と認めたときは変更したり、臨時に開催されます。

調整会議は、政策会議から命を受けた事項を協議する機関で、経営戦略部長が主宰します。
構成員は経営戦略室長、議題に関係する部長及び課長並びにこれらに相当する職にある者です。
調整会議は必要な都度開催されます。

部長会議は、市政運営上の重要な情報交換及び連絡調整をする機関で、市長が主宰し毎月第1と第3月曜日に開催されます。

幹部会議は市政運営の基本方針について全庁的な意思の統一を図る機関で、市長が主宰し課長及びこれに相当する職にある者で構成します。
幹部会議は、必要な都度開催されます。

企画会議は、各部局相互の情報交換及び連絡調整をする機関で、経営戦略室長が召集し、各部局の企画補佐及び経営戦略室長が必要と認めた者で構成します。
企画会議は、毎週木曜日に開催されます。

これら庁議において決定された事項は、部課長から所属職員に周知しなければいけません。
庁議に関する事務は、経営戦略室において処理されます。




瀬戸市決済規程 平成28年4月1日施行
これは市長の権限に属する事務の決済に監視必要な事項を定めています。
決済とは、市長又はその補助機関が、市長の権限に属する事務について、最終的に意思決定を行うことです。
専決とは、市長の補助機関が、この訓令に定める範囲の事項について決済することです。
代決とは、決済権者が不在である場合において、この訓令が定めるものが当該決済権者に変って決済することです。
この訓令に基づいてなされた専決及び代決は、市長の決済と同一の効力を有するものとされます。

市長の決済事項は概ね下記のとおりです。
1、市行政の総合企画及び運営に関わる一般方針に関すること。
2、重要な事業の計画及び実施方針に関すること。
3、重要な儀式及び表彰に関すること。
4、予算の編成に関すること。
5、議会の召集に関すること。
6、議会の議決、承認及び同意並びに議会に報告を要する事項に関すること。
7、条例及び規則の制定及び改廃に関すること。
8、重要な行政処分に関すること。
9、行政組織及び権限の委任に関すること。
10、重要な訴訟及び審査請求その他の不服申立てに関すること。
11、損害賠償及び損失補償に関すること。
その他別表に定める事項に関すること。

副市長は、市長の決済事項のうち、特に重要なもの意外のものについて専決できます。
なお幹部職員の第1専決権者は行政管理部長です。

行政の会議に同席傍聴することはできません。
決まったことが知らされるだけです。
現在、第6次基本構想と基本計画が策定されようとしています。
またこれに伴い、来年4月に庁内組織の改編があるようです。
市長直轄新組織に「監」という役職(現在は防災監だけ)が置かれるような情報もありますが、傍聴できないので正確なことはわかりません。
「監」は部長級かそれに準じる幹部です。
幹部ポストが増えるということなのでしょうか。

私たち市民が選べるのは市長と議員であり、職員任用は市長に委ねてあります。
市民が役所の部長級と話せる機会はほとんどありません。

どのような人事をし、どのような市政をとるのかは市長権限です。
行政内部は「見えざることだらけ」なので、当ブログでお伝えできることは限られています。
リーダーシップに期待するよりありません。

組織は地方公務員法の服務規程がいうとおり、公共の利益のために勤務するためであり、ゆめゆめ庁内事情の目的化としないようお願いしておきます。

今回も読了いただきありがとうございました。










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視点・観点・論点 第5回

2016年09月17日 | お知らせ
第5回は2部構成
第1部は「議会の本分」

9月定例会が開会中です。主な議題は平成27年度決算審査。

予算審議は地方自治法第211条により議会の「議決」を経なければならないとされていますが、決算審査は地方自治法第233条で議会の「認定」に付さなければならないとされています。
予算は議会の議決を経なければ執行できませんが、決算は認定にとどまり、仮に認定されなくても次年度予算策定は妨げられません。
3月定例会に提出される予算案は「議案」、9月定例会に出される決算は「認定」です。

それなら決算審査は軽い扱いでも良いのか?

横断的な視点から財政運営をコントロールするには、決算について十分な分析がなされ次の施策や予算に結び付けることが重要です。
「財政民主主義」といわれています。
特に「統一的な基準による地方公会計」の導入により、発生主義を基本とし複式簿記化することでフローとストックが連動した情報となります。また固定資産台帳等を整備してストックマネジメントも可能にする会計制度です。
これらにより自治体の財政分析の精密さが向上し、予算編成や政策形成、評価基準等に影響していきます。

議会は決算の執行部説明を拡充させ、決算ベースの分析の充実を図っていく必要があるのです。

そこで問われるのが議会議員の審査力でしょう。

歳入歳出の科目は款・項・目・節の4段階に分類され、予算執行のため議決を必要とするのが款・項で議決科目といいます。
目・節は首長が予算を執行する場合の科目で執行科目といいます。
決算審査は実際に執行された目・節を評価することです。

「評価する」ことは単純簡単な作業ではありません。
特に政策事務事業の評価は、施策予算の投入と事業結果の因果関係を明確に把握することが困難であり、評価を完全に数値化できない部分もあるので難しい作業といえます。

現在、国や自治体で使われている政策評価はNPM(New Public Management)という1980年代から取り入れられている行政経営に生かす手法が主流といわれています。

概ね実施されている評価手法は、
1、政策のために利用可能な資源、予算、活動、達成したいと期待する成果や変化を図式化して、各段階(アウトプット、アウトカム、インパクト)に応じて分析する「ロジック・モデル」。
但し各段階での指標はマニュアル化していないので、政策導入と成果の因果関係の統計的検討ではなく政策形成過程で使われます。

2、政策の優先度や効果を横断的に把握して分析、計測するために「費用便益分析」と「住民参加の評価」の二つの方法があります。
費用便益分析は金銭換算する評価であるため、公共土木や建築分野では広く適用される手法ですが、市民の健康、市の景観や自然など
経済市場以外の公共財評価には難があるといえます。
そこで住民参加により評価する手法を使います。同一的基準では計測できない政策効果をアンケートや公聴会などで諮り、住民主体の合意形成を目指します。

決算審査において、執行された予算額の増減のみに着目すると短絡的評価計測になってしまいます。
政策事務事業はインプット時に予算という金銭財を多く投入すれば、アウトプット、アウトカム時の成果も増大するというほど単純なものではありません。
付け加えて、インパクト評価はアウトプット、アウトカムと違い、ロジック・モデルのインパクトセオリーを詳細に分析検証する作業であり、施策前と施策後に社会的、経済的状況に差が生じているのかを把握し、生じているならどの程度なのかを成果指標等を測定することによって、その指標値の差を政策事務事業の効果であるとする評価手法です。
前回書きましたが、行政の指標値はKPIだけがほとんどです。KGIは明確にできない要素が多いため設定されません。だからKPI数値だけでインパクト評価はできないのです。

予算が適正に執行されたか否かは「監査委員会」監査の仕事です。

議会議員による決算審査とはなにか。

もし議会が横断的な視点で財政をコントロールするという役割を認識せず、個々の議員が自らの要望や政治パフォーマンスに留まる姿勢を続けるなら、たとえ行政執行部が事業評価シートや行政評価を開示しても議会機能の強化とはなりません。

持続可能な行政サービスのため、国はより効率的財政運営を図る手段として公会計制度の設計を見直しました。
瀬戸市市議会も予算決算委員会、分科会審査等改革の方向性は評価に値するものです。
また理事者も委員会において意見発言ができるようになり「制度設計」は間違えてはいないでしょう。
しかしながら改革した制度を、議会側が使いこなせているかは大いに疑問ある現状です。

執行部に対し次年度予算編成に向けて提言書を出すのなら、「提言書」の概念と規程等を議会内部で熟議しておくべきでしょう。
歳出の執行科目である目・節の評価を、まず委員会での質疑による理事者答弁で引き出して、多角的な視点、観点からの分析を加味したうえで、より効率的な、より効果的なアウトプット成果が期待できるように「議員のアイデア、アドバイス」するのが提言書ではないでしょうか。
提言書とするのなら、当該の款・項・目・節を明記するのは必然です。

上記しましたが、施策効果は予算増額というインプット財投入だけでアウトプット成果があがるなどという短絡的なものではありません。
議会はその仕組み設計の改革は行政執行部より先んじていると思います。

今後益々議員各位の研鑽ご努力に期待するところです。



第2部は「首長の本分」

地方自治体の首長は「地域の大統領」と例えられるほど強力な権限が与えられています。
議会と執行機関は対等といわれますが、自治体を統括し「代表」しているのは首長です。
議会は住民の「代表」ですが、首長は住民、議会、執行機関等自治体構成を「代表」しています。
議会の権限は地方自治法第96条により限定的に列挙されているだけですが、首長の権限は「概ね左に掲げる事務を担任する」として地方自治法第149条1号から8号にあるほか、同9号「前各号に定めるものを除く外、当該普通地方公共団体の事務を執行すること」とあり、広範にわたり権限を有していることが示唆されています。

首長に多くの住民が期待し、その権限を行使して欲しいとしているのは「政策決定」とそれを実現するための「予算編成」、そして有効的かつ効率的執行のための「人事権」だろうと思います。

当ブログで書いてきましたが、地方分権改革により国の機関委任事務が廃止され自治体の権限は拡大しました。
国との関係だけでなく、県から市への権限移譲等により県と市の関係性も変ってきました。
つまり自治体独自の特色で行政運営ができるようになってきたのです。

自治体行政をとても大きな「客船」に例えてみましょう。
「瀬戸丸」は13万人の乗客と700人の乗組員が乗船している大型客船です。
首長はこの船の船長。
いちばん大切な任務は進路を決定し、航海士や機関長に指示することです。
たとえ一等航海士であっても船長以外の乗組員は進路を決められませんし、決めてはいけません。
進路は乗客から負託された首長の専決事項です。

どの方角へ舳先を向ければ、これからも安全でステキな航海を続けていけるのか、夢ある船旅ができるのかを決定してくれることを乗客は望んでいるはずです。
行く手に危険はないか、嵐はこないか、機関に異常はないか、食糧や燃料は不足ないかなど逐次乗組員から報告を受けたり、よりよいサービス企画の提案も船員から募集すれば良いでしょう。

しかし「進路」と「船内組織」だけは船長の専決で決めていただきたい。

理由は簡単。
船長以外の乗組員を私たち乗客で選択できないからです。
乗客が取捨選択できない船員たちによって船の針路と船内組織が決まることがないように。
ほとんどの乗客は気に入らないからと下船(転出)できません。

昔から「なんにも船長、言うこと機関長」と揶揄される組織があります。
瀬戸丸はそうではない船であると信頼しております。
遺憾なく指導力を発揮され、権限を行使ください。

今回も読了いただきありがとうございます。

















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視点・観点・論点 第4回 

2016年09月08日 | お知らせ
第4回は「協働のまちづくり」

本題に入る前に「協働のまちづくり」に関する資料を提供してくださっている、宮城県東松島市当局の方々に厚く御礼申し上げます。
東松島市は平成19年から「協働のまちづくり」に取り組み始め、市民と行政は根気良く話し合いを積み重ねてきました。
なぜ「協働のまちづくり」が必要なのか、東松島市が平成19年12月に作成した「東松島市 協働まちづくり指針」を参考にしながら書いていきます。

少子高齢化社会が進み人口が減少すると、一人暮らし高齢者世帯や高齢者だけの世帯が増加、消費人口の減少で商店街・市街地の衰退、働く場の現象等さまざまな問題を地域が抱えていくことになります。
これらの問題の対策は、これまでは行政が地域の要望等により対応してきましたが、行政は財政難等による職員削減や事業縮小等によりこれ以上仕事を増やせないため、今後は地域と行政が知恵と力を合わせて対応していくことが必要となってきました。
つまり地域の課題や要望は増加するが、行政ができる業務量は落ちていく傾向にあるということです。
この差を埋めるために地域と行政が協働で解決し、一緒にまちづくり事業を行う。
これが「協働のまちづくり」です。

前回もお伝えしましたが、国が全国一律のまちづくりを誘導する上意下達型(機関委任事務等)から、自治体が知恵を出し合い、住民により身近なまちづくりを行う『地方分権型』になってきています。
自治体内も画一的な行財政運営や施策から、地域ごとにそれぞれの資源を活かし、それぞれの課題を解決し、特色のある地域づくりを進めていこうとする地方自治のあり方です。

市の財政は硬直化しています。現在9月定例会で審査中の瀬戸市平成27年度歳入歳出決算を見ても、市税の柱である固定資産税と都市計画税の歳入が前年よりも減少しています。
医療機関等も含めると瀬戸市市民一人当たりの負債はほぼ33万円です。
一方、住民ニーズの多様化、個別化や複雑化が進み行財政の肥大化が懸念されています。
「協働のまちづくり」は、「行政しかできないこと」「地域や町内でできること」「個人でもできること」の役割分担を明確にして、効率的な財政運営の展開、つまり『税金を上げずに住みよいまちを維持していく』ための取り組みなのです。

市は自分で稼げるお金(市税)と交付金等で賄い、自分(市)でやれることは自分でやらなくてはいけません。
地域も同じで、地域が稼げるお金(コミュニティビジネス)と市からの地域交付金で賄い、自分(地域)でやれることは自分でやらなくてはいけないのです。

それでは「協働のまちづくり」を構築するには、地域住民はどうすればいいのか、行政はどうするのか、職員はどうするのか、いったい何から話し合えばいいのかなど、スタートする以前に準備の議論をしなければならないことがたくさんあります。

まちづくりを進めるには市民活動も重要です。文化的活動や学習も大切です。ボランティアも必要です。
しかしやはり自治体の基本は地域(連区)です。地域が土台です。
家庭を飛び出して文化活動をする(できるひと)のも意義あることですが、市民活動に熱心なあまりそのひとが地域との関わりや繋がりが希薄になってしまえば本末転倒です。

地域の活動は地味で、無償で、面倒なことばかりです。
できることなら行政にお任せしておきたい。
この「お任せ自治の市民意識」こそ「協働のまちづくり」を構築するうえで、最もヤッカイで時間がかかる問題なのです。
おそらくこれは程度の差はあれど、全国どこの自治体でも同様の問題でしょう。

宮城県東松島市もこの難問にぶつかったようです。
下記は東松島市職員からいただいたものです。(一部省略)

市が「こうやって行きます!」と案を打ち出したところで、市民はついてこない。
自分たちで必要性を見出して、それを実行に移してもらう。
一番初めは、やはり職員からいくつか課題解決に向けて例を提示した。

初回から3回くらいは市民からの不平不満の嵐だった。

今まで行政がやっていたことを自分たちでやるように言われたため。極端な話、市民の税金でやっていた仕事を市民に投げるわけだから、「ふざけるな!」と。

出せる限りの不満をぶつけられる中でも、市の現状を説明しお互いに把握していくと、徐々に市民も財源(税収)が先細りしていくこと、今まで自治会運営に使われていた予算を削減することで他に回せることなどを理解してくれ、自分たちでできることはやらなければいけない、という意識が芽生えてくる。
(市の予算の使い方を市民と考えるようなイメージ)

どのように課題解決をしていくか考えていく中で、例えば20世帯しかいない地域と200世帯ある地域では解決法も、必要経費も異なる。
そこで「交付金」という手法がでた。
(ある程度各地域の市民の最良で使えるお金が欲しいという要望が出てきた)
20世帯しかいない地域でも、自治会の役割としては20ほどある。20世帯の中にはお年寄り家庭などあり、全員が役職につけるわけではないので、一定のローテーションしている。そこでいわれたのは、今まで役職手当としてもらっていたお金を別で使えるようにしたいとのこと。
(どうせやらなきゃいけないことなので、手当てはいらないから自治会として自由に使えるお金が欲しい)
地域交付金化すれば自由に使える。

というご体験です。

現在東松島市は8つの地域に対し、3つの項目で算出した「地域交付金制度」をとっています。
この制度により行政は交付金全額を予算化し(この額で上限)定量化できるようになります。
本市のように同一地域内で、こっちの組織あっちの組織と個別に予算化すれば「足し算式」となって全額予算は膨らむようになっていきます。

「今年の地域交付金は○○万円です。使途については地域にお任せします」
行財政改革を謳うのならこの制度に移行していくべきでしょう。

瀬戸市で「協働まちづくり」を進めるには、地域のどの組織を土台(ステージ)に話し合いをすればいいのでしょうか。
本市独特の連区とよばれている地域は20箇所あり、そのうち地域力推進協議会があるのが16。
この地域力推進協議会をステージにすればいいのでしょうか、
否、別のステージも議論すべきだ。
協議会がない4つの連区はどうする?

もし具体的に話を進めようとすればこのように前段階から相当の議論が必要となるでしょう。

それよりも何故か瀬戸市の行政からこの話題は聞こえてきません。

東松島市では行政内部でかなりの議論があったそうです。
職員によって「協働のまちづくり」構築の必要性等、意識にも濃淡があったためでしょう。
それでも決断し、上記のとおり「ヤッカイな市民意識」とも向き合って構築されてきました。
これが構築されていたため、大震災後の復興が比較的スムーズに進んでいるとお聞いています。
先日は「ブルーインパルス」の市内上空パフォーマンス飛行もお披露目されたようです。

私が取材している限りでは、瀬戸市当局でこの課題が熱心に議論されているようには見えません。
少子高齢化、人口減少を将来の課題と掲げていながら、うわべだけの市民自立や産業活性化による財源確保等、過去と同様の行政手法により都市経営を行っていく自信がお有りのようです。

まるでシャーシーやフレームは設計変更せずに、ボディーや内装をチェンジすればいい。
それでまだ売れる。まだ走れる。と言いたげな自動車会社ですね。

それでもこれからの10年間走れるのでしょうか。
燃費効率もエネルギーコストも全て行政マンというエンジニアだけで走らせるつもりでしょうか。

ある審議会で有識者委員から「瀬戸市は裕福なまちなんですねぇ」と指摘されたことがあります。
政策立案能力だけで大丈夫と心底思っている相当な自信家集団か、あるいは瀬戸市民に訴えてもムダ、面倒なダケ。と上から目線か。
どちらにせよ、当ブログのような市民が「協働のまちづくり」を訴え、行政側は関心なさそうな瀬戸市は「協働のまちづくり」構築に尽力した自治体からは、とても摩訶不思議な自治体に見えることでしょうね。

本稿最後にあらためて宮城県東松島市当局の方々に御礼申し上げます。
今後ともご指導ください。

今回も読了いただきありがとうございました。
次回の視点・観点・論点は「組織の部分最適化」を予定しています。








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視点・観点・論点 第3回

2016年09月05日 | お知らせ
第3回は「ロジック・モデル」

その前に地方分権改革の背景を簡単におさらいしましょう。
中央集権体制下では全国一律性の行政執行となりがちです。
本来は自治体の住民や団体と行政機関が決定すべき政策や施策事務事業、それを監視する議会機能で図られるべき「自治」が、中央政府の持つ巨大な権限により実質的に代置されてしまいます。

これでは多様化した住民ニーズや、自治体の個性を生かした地域社会形成はできません。
まちづくりに携わる首長、議会、職員、住民などの意識を改革して、機能や能力を発揮しあって地域社会の福祉の向上を図る環境整備が「地方分権改革」なのです。

第1回でご紹介したとおり、国の下請けだった「機関委任事務」が無くなり、自治体の条例制定権が強化され国と地方の役割分担がより明確化されてきました。(もちろんまだ十分とはいえませんが)
当ブログでお伝えしている「視点・観点・論点」は、瀬戸市が遅れてしまった「地方分権改革」推進の議論に必要ではないかと思われるテーマをシリーズで取り上げています。
ということで第3回の本題。

アルプス級の山岳に登ろうとしたとき、何も計画せず、準備せず、装備せずいきなり麓を出発するでしょうか。
しませんよね。

政策も同じです。
行政が政策を立案するのは「自然体」(ただ登山するだけ)だからではありません。
何かしらの目的を持った「作為」(登頂)です。
予算を使って実施する政策で何かを達成したい、あるいは達成しなければならない「目的」があるはずです。
そして「目的」を達成するまでの過程や進捗を検証しながら最終地を目指します。
当り前ですね。

意図する結果(山頂)を得るために、途中の効果(○合目到着)、そのための準備(登山計画)、必要な資源資材(道具、人員、お金)など計画を綿密に練ります。
そうしなければ遭難するでしょう。

ロジック・モデルとは政策のための利用可能な資源・予算、活動、達成したいとする成果や変化の関わりを体系的に図式化することです。

ロジック・モデルの歴史や論点は浅学菲才の筆者にとても担えるものではありませんので、ごく簡単に記していきます。

ロジック・モデルの起源は1960年代後半、米国の国際開発庁が作ったロジカル・フレームワークだそうです。
誕生した背景には開発援助(ODA)の政策立案に深く関係があるそうで、巨額の税金を海外諸国に供与、貸与する合理性を求められたことによります。

1980年ころにはロジック・モデルという用語が示され、その後いくつかのモデルイメージができたようです。
当ブログでは生活の質向上の観点からできた、ケロッグ財団が示したモデルで、アウトカム・モデルといわれているのを見ましょう。

ごく簡単には。
「望む未来の姿」とするには、「いつまでにどのくらい達成」して、そのために「今、なにを、どうしなければならないのか」を図式にするのです。
未来の姿から現在へと時空を逆算して計画を立てるやり方です。
実は私たちも日常的に行っています。例えば・・

頭痛がする→痛みが治まりたい→薬を飲む→薬をもらう→医者に行く→(頭痛がする)
頭痛が治まりたいという「望む未来の姿」を実現するために、医者へ行き、薬をもらい、薬を飲む。と計画し実行するのです。

行政を例にすると・・。

○○基本計画、マスタープランなど
「十年後に望む成果・変化」これをインパクトといいます。
      ↓
中期事業計画
「4,5年での成果(アウトプットがもたらす効果)」これをアウトカムといいます。
      ↓
決算審議
「事業実施による単年度の成果・効果」これをアウトプットといいます。
      ↓
予算審議
「必要な財政、人的・地域資源等の投入」これをインプットといいます。

基本計画の最終目標に対して、その達成につながる状況をみる指標が KPI(Key Performance Indicator)です。
産業界では最終目標値 KGI(Key Goal Indicator)も立てますが、行政政策の最終目標は地域社会の環境や福祉、住民の安全や健康、幸福など数値化できないことが多いので通常KGIは設定しません。

マネジメントサイクルである PDCA(Plan,Do,Check,Action)は、アウトプット、アウトカムの評価を議会機能にも委ねるべきで(二元代表制の地方自治では当然である)、事務事業評価や行政評価、費用便益分析等も必然です。

平成14年4月1日から施行された行政評価法による中央省庁の政策評価制度(あまり知られていませんが、総務省行政評価局が全省庁の政策評価を実施して国民に公表しています)にならって、本市に行政評価審議会(レビュー)を設置してはどうでしょうか。

瀬戸市は全ての基本計画をロジカルフレームで示し、そのインパクト、アウトカム、アウトプット、インプットを議会機能に委ね、その結果を市民に公表すべきです。
これが前回書いた、議会、市民との公転関係につながるのです。

基本構想で望むインパクトを具体的に示して、未来から時空を逆算して今から行うインプットを示した基本計画を立案していただきたい。
「未来に向かって行こう」は真逆である。
具体像が見える希望の未来を示してくれなければ付いていけません。
逆算無き登山計画は遭難するのがオチです。

瀬戸市は行政、議会、市民の三者関係という視点・観点において、周回遅れの状態です。
筆者がいう「瀬戸市改革の失われた10年」です。

次回の視点・観点・論点は「協働まちづくり」を書きます。
今回も読了いただきありがとうございました。












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