薩摩おごじょ

薩摩狂句勉強中です。

12月投稿句

2016-01-18 20:15:21 | 日記


(フォト狂句課題吟の部)
《選評と蛇足》

 今回は素材が人間そのものでしたので、作りやすいと思われたのですが、投句数が意外と少なかったのが惜しまれます。写真の中心になっている二人の人物に焦点を当てる方がよいのではないかと思います。

.子が育(そだ)っ隙間(すっま)が開(え)たちにじい寄(よ)っ
 この句も二人の距離に着目したのは良かったと思いますが、下五がやや違和感を覚えさせるような気がするのですが

5.仏壇(にょうさん)にケーキも供えっクリスマス
 「仏壇(にょうさん)に尻(しい)どん向(む)けっクリスマス」(一徹)という句を思い出して笑いました。「供えっ」をそのまま読むと破調になります。「供(あ)げっ」とすれば解決です。

●兼題「買物(けもん)」

《選評と蛇の足》
5.消費税予想(かっご)ん外(ほか)ん婆(ば)が買物(けもん)
 
 消費税が上がったことをうっかりしていて、思いのほか高くついた買い物にお年寄りが溜息をついているのでしょうか。「かっごんほか」は発音どおり「覚悟(かっご)ん外(ほか)」がよいでしょう。漢字の当て方の原則はできるだけ「発音されるとおりの漢字を当てる」と言う事です。意味を当てるのではないと考えましょう。勿論、例外も沢山ありますが。

7.買物(けもん)上手(じょし)何時(いっ)も狙(ねろ)ちょい特売日(とくばいび)

 この句も目新しさを感じないのが残念です。もう一つは、「買物」と「買物上手」は厳密に言えば意味が違っています。「課題そのものを詠む」からすこしずれているという感じがします。

11月投稿狂句

2016-01-18 20:06:27 | 日記


9.花盗人(はなすし)て取んなちバラん刺(いら)が叱(が)っ
  バラよりはバラの棘が強い印象を受けますが、この句が一番課題に近いようにおもわれます。

(フォト狂句課題吟の部)

《選評と蛇足》
 
 自分が一句も詠まないのに、人様の句の選評をするのは、忸怩たる思いで一杯です。「そげん議を言(ゆ)となあわいが作っみれ」と言われれば一言もありませんが、勇気を奮って書いてみます。
今回の「バラの花」は、課題そのものが人間ではないので、バラと人間をどう関連付けるか結構難しかったのではと思われます。ご存知のとおり、薩摩狂句は「人間を詠む」のが基本ですが、人間以外のものを素材にする場合は次の二つが必要です。

1.擬人法を使う 2.人間との関りを持たせる。

今度の場合ですとバラそのものを詠むのではなく、バラと人間がどのように関っているかという視点が必要です。しかも「バラ」そのものが動かないことが重要です。ほとんどの句がそのような条件を満たしているので、問題はないようです。ただ、中には「バラ」でなくても成立するような句が見受けられました。課題の「バラ」が動くのは避けたいところですが、何句かあったようです。

課題吟の場合は「課題が動く」のはいけないと先人の教えにあります。課題そのものが句の中心になるように詠むということです。これがなかなか「曲者」で、課題吟のもっとも難しい点の一つです。初心者、ベテランを問わずしっかり念頭においておきましょう。

自由吟より課題吟の方が作りにくい最大の理由だと私は思っています。また、課題の写真を選ぶ場合も、風景画や生物などよりは、人間の方が詠みやすいと思います。次回からご配慮いただければ有難いです。


自由吟
2.綺麗(みご)て化粧(けしょ)我(わ)が家(え)ん中は塵(ごん)の山

  外面だけを飾る心理を穿った句ですが、表現は少し違っていても同想句が結構詠まれています。

「良(よ)か着物(いしょ)は着(き)いが台所(おすえ)は油虫(あまめ)ん巣」

など。今後の参考にして下さい。

2015.10月投稿句

2016-01-18 19:46:39 | 日記
フォト狂句課題吟の部)
《選評と蛇足》



1.都会(まっ)の嫁へっぴり腰(ごい)で稲を刈(か)っ

 意味もよく分かりますし、稲刈りなどしたこともない都会暮らしの嫁さんのへっぴり腰が目に浮かぶようでユーモラスな句になっています。惜しむらくは「へっぴり腰」を薩摩言葉で表わせたらもっと面白くなったでしょう。ぴったりの薩摩語がみあたりません。どなたか教えてくださればありがたいです。

総評 黒柱先生



3.御礼(ごれ)言(ゆ)わん隣(つっ)の稲刈(いねか)や
こら堪(の)さん
 
 「御礼(ごれ)を言(ゆ)わん」としたいところですが、破調を避けるための表現として、これは認められているようです。世の中には、この句のような失礼な人間は、稲刈りに限らずいろんな場面でみられるようです。来年からは手伝う人もいなくなるでしょう。皮肉味の効いた一句です。

総評 黒柱先生

兼題「泡(ぶっ)」

《選評と蛇の足》
1.泡(ぶっ)を吹(ふ)っ藻屑蟹(やまたろがね)が命乞(いのっご)い
 原作でも間違いではないのですが、「泡(ぶ)くば吹(ひ)っ」とする方が、より薩摩語の雰囲気が伝わりやすいでしょう。「やまたろがね」は正式には「藻屑蟹」ですが、薩摩語では「山太郎蟹」という字を当てているようです。これも発音と漢字を一致させたれいと考えればよいでしょう。

2.口元(くっもと)を泡(ぶっ)が仕切きちょい饒舌(しゃべ)いごろ

 お喋りが口角泡を飛ばしているようすが面白く詠み込まれています。「口角」という言葉が薩摩狂句には少し硬いのでそのままでは使いにくい難点がありますので、苦労されたようです。「仕切っている」を「仕切きちょい」は無理な言い方です。「仕切っちょい」といいたいところですが、そうなると破調になります。また「しゃべいごろ」も発音どおり「喋(しゃべ)いごろ」がよいでしょう。例えば「口元(くっもと)を泡(ぶっ)が仕切った喋(しゃべ)いごろ」または「口元(くっもと)は泡(ぶ)ち仕切(しき)られた喋(しゃべ)いごろ」などでもいいかもしれません。

3.儲(もうか)かったパチンコ金(ぜん)な泡(ぶ)ち変わっ

  パチンコ好きを皮肉った面白い句です。「パチンコ金」とは普通言わないようです。無理な造語は避けましょう。語順を入れ替えて「パチンコで儲(も)けた金(ぜん)どま泡(ぶ)ち消(き)えっ」ではどうでしょうか

総評 黒柱先生