薩摩おごじょ

薩摩狂句勉強中です。

7月フォト狂句 自由吟 天

2012-07-31 06:19:12 | 日記

自由吟の部
(天)
西瓜割(すかわ)いも 故意(わざ)き外(はず)せっ 
孫(ま)げ譲(ゆず)っ 
        扇香(7月16日投稿分)(西瓜割り)

(寸評)
私事で恐縮ですが、母一人、子二人の貧乏な家に育った私には、あの高価な西瓜を丸々一個買うことさえ贅沢なのに、それを単なる遊びの道具として棒で割って食べられなくするという発想に、子供心にも異常なほどの違和感、疎外感を思えたものです。今でも心の隅にはその感覚が少し残っています。
 それはさておき、この作品の面白いところは、中七にあると思います。西瓜が見えているならともかく、目隠しをしてぐるっと一回転した後で、確実に割れると言う事は、ほとんど「マグレ」に近いのではないでしょうか。自信のある人はまずいないでしょう。
それを孫のためにわざとはずしたように威張って?見せているところが狂句らしいと言えましょう。
作者の孫思いの優しさが出ているとも解釈されますが、割れなかった言訳にも聞こえるようで可笑しさがこみ上げてきました。
 言葉選びの大切さを思い起こさせてくれる作品だと思います。