萩生田光一文部科学相は27日、衆院文部科学委員会で、高校野球の大会日程の過密さや投手の投球数制限などについて問われ、「もはや甲子園での夏の大会は無理だと思う」などと述べた。日本維新の会足立康史氏の質問に答えた。

 足立氏は、日本高校野球連盟の有識者会議が、投手1人あたりの総投球数を1週間に計500球までとする答申をまとめたことなどにふれ、萩生田氏の見解を聞いた。萩生田氏は、「自分の思い」とした上で、「IOC(国際オリンピック委員会)のアスリートファースト(選手第一)の観点から言えば、もはや甲子園での夏の大会は無理だと思う」と答えた。酷暑での開催が懸念された東京五輪のマラソンと競歩の会場を札幌市に移したIOCの判断を、念頭に置いた発言とみられる。

 日本高野連は29日の理事会で、投球数制限など選手の負担軽減策について話し合うことにしている。

 萩生田氏は投球数制限については評価しつつ、「団体競技なので、仲間と流してきた3年間の汗を考えたら、腕がちぎれてもこのマウンドで最後までがんばりたいと思う選手もいると思う」とも述べた。

 今秋のプロ野球ドラフト会議でロッテなど4球団から1位指名された岩手・大船渡高の佐々木朗希投手が、今夏の岩手大会決勝で登板せず、チームが敗退した件にもふれ、「賛否両論あり、どちらが正しいか私は答えを持っていないが、いろんな思いがご本人も選手たちもあったと思う」と話した。その上で「プロ野球のためにこの選手を今つぶしたらもったいないみたいなことが議論されているんだとすれば、大きな間違い。選手の健康管理を考えるのが一番大切な視点じゃないか」と語った。(宮崎亮