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トランプ政権のもと、労働行政改悪の動き

2017-09-18 22:42:07 | 労働情報

昨年の大統領選挙の時にトランプ候補は「当選すれば、私は米国労働者を守り、そのために戦う大統領になる」と言明したが、現実はオバマ政権が目標とした労働行政改善が逆行の方向にある。
 こうした労働行政改悪の動きはトランプ大統領令、共和党優位による議会議決、またはオバマ法制の実施延期や無視といった形で表れており、労働者の雇用や生活水準を改善するどころか、生活を脅かす状況にある。

 まず労働者の給与改善問題だが、オバマ政権は2016年12月に残業代の支払い基準を年収$23,660(週給$415)以下から$47,476(週給$913)以下に引き上げて、より多くの労働者を残業代の対象に拡大しようとしたが、現政権は地裁連邦判事の違法判決を盾に、撤廃ないし基準引き下げを企てている。
 また金融規制面では、退職基金などの取扱いに顧客利益の優先を定め高額手数料を封じた信託法も、トランプ大統領は金融機関の反対から就任15日にして1年半以上の実施延期を決めてしまった。
 連邦最低賃金については、8年前の時給$7.25を$10.20に引き上げようとするオバマ大統領令も無視された。自主的に引き上げを決めた29州とワシントンDCそして数十都市はあるが、その他の州は未だ連邦賃金に連結のままである。

 安全衛生面については、造船や建築現場で62,000名が肺病や癌の危険にさらされるベリリュームの規制法が実施延期され、200万の建設労働者が癌や腎臓病の危険を持つ結晶性シリカ(ケイ素)の規制も実施延期された。
 さらには職業安全衛生局(OSHA)に対する労働災害と疾病の報告義務と通告労働者への報復禁止法も実施延期、鉱山労働者に対する危険物や災害可能物の情報開示義務も実施延期となった。

 オバマ政権は労働法に違反する業者の連邦業務受注を禁じていたが, 共和党は「労働法違反を考慮に入れる」とする決議案を通過させて法律を骨抜きにした。労働組合結成反対工作に使われる資金の報告義務も廃止されようとしている。労働者に有利な全国労働関係委員会(NLRB)への資金は削減され、企業経営者に有利な労使関係基準オフィス(OLMS)への資金は増額される。各州が採用する“労働の権利法”―労働組合費納入と労働組合加入を従業員の自由意志とする法律―については、トランプ政権は積極的に推進の構えであり、労働組合弱体化に拍車がかかる。

 トランプ政権の予算編成では労働者に大切な医療保険制度の撤廃、職業訓練計画の縮小、通勤費補助、児童保護、住宅資金援助などが削減される。特に医療保険の撤廃と職業訓練予算の40%削減とが重なると低所得者への打撃は計り知れないものとなる。労働問題だけでなく環境(食品や空気、水の安全など)問題の規制撤廃と予算削減が提起されている。
 トランプ政権には偽善が多い。キャリアー空調会社のメキシコ移転計画にも「多額の税控除で防止し、1,400名のレイオフ計画を300名以内に抑える。メキシコからの輸入には35%の関税をかける」と公約して当選したトランプだが、現実には既に632名が解雇されている。労働記念日を機会に労働者への攻撃について今後とも注意を払って行かねばならない。


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