日々是興味深々

日々の生活の中で興味を持った光景を画像に切り出した日記帳

秋晴れの穏やかな海

2016年10月17日 | Weblog




ここは、宮城県七ヶ浜の海岸。
秋晴れの青い空には、秋の雲のタペストリーが散在する。
かつてこの海岸には、想像を絶する大津波が押し寄せて、すべてのものを飲み込み、持ち去った。
あれから5年猶予、今ではすっかりもとの青い海原と、一定の感覚で押し寄せる静かな波に洗われし、砂浜が広がっている。

遠くを眺めれば、多くのサーファーが横一線になって大波を待つ姿が目に入る。
彼らにとって、既にあの災いは、既に忘却の彼方に押しやられたに違いない。
当時、津波とは全く関係なかった東京在住の私だが、ニュースで見た押し寄せる大波と飲み込まれる車や家屋の映像、鳴り響くサイレンの音が脳裏に焼き付いている。
押し寄せる津波に避難せず、最後まで周囲に避難を呼びかけながら津波にのまれていった若き役場の女子職員さんの映像も忘れられない。
津波が来れば、自分も避難しなければ命がないことを知りながら、何故に二十歳そこそこの女の子が、最後まで避難を呼びかけたのだろうか。
後にその映像をご両親が確認し、「あの子、まだ言っている、まだ言っている!」と泣きながらつぶやく姿に泪した。

故に平穏なこの海の情景が永久に続くことを願って止まない。
水平線の彼方に連れ去れたまま未だ行方の知れない精霊に向かって静かに手を合わせて浜辺を後にした。