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セイピースプロジェクトのブログ

【高江】高江に関するさい塾の調査のまとめ

2011年04月06日 | 沖縄・高江
▽はじめに
この記事は、行政資料の情報公開法を基礎として平和問題に取り組む「さい塾」が行った、沖縄県北部訓練場の返還に伴う高江ヘリパッド建設の不当性についての調査とその結果を簡潔にまとめたものです。

▽調査方法
米軍の関連情報を米国の情報公開法によって請求し、場所選定や環境影響評価の経過を明らかにし、日本政府評価図書と比較しました。

▽開示文書の分析
・メッシュ調査とは
政府評価図書によると、ヘリパッド建設の候補地選定過程にはメッシュ調査という手法が用いられました。メッシュ調査とは、移設候補地の対象となる地域を180(620m×460m)のメッシュに分け、それぞれのメッシュの「自然度の総合評価」をⅠからⅤまでランク付けを行うものです。ランクⅠとⅡの区域は移設対象から除外されます。
「自然度総合評価」は「動物」と「環境」の2項目を総合して決められます。「動物」の項目は出現するノグチゲラやヤンバルクイナなど9種の「やんばる典型種」の出現種数で評価をし、「環境」の項目は樹齢、河川と高木林の面積割合、地形の複雑さなど、希少生物の生息に適した環境を評価します。
つまり、「自然度の総合評価」とはやんばる典型種をはじめとする希少生物の生息環境保護を主目的にランク付けしているといえます。
メッシュ調査の結果日本政府が選定した15か所の区域の中から、米軍は最終的に6か所を選びました。その6か所は、1:G.1、2:H.2、3:N-1.2、4:N-1.3、5:N-4.1、6:N-4.2の記号で呼ばれます。

▽調査結果
(1)希少生物生息環境を重視すれば2か所は移設不適格
「環境」の3要素の一つである樹齢の項目は、樹齢A(70年以上)、B(60~69年)、C(50~59年)というようにランク付けされました。しかし、メッシュ調査が行われた2000年から10年以上が経過した今、樹木は生長しており、「環境」評価は適切でないことが分かります。また、「動物」の項目は、調査地点において「やんばる典型種」が観測されたか否か、という偶然性に支配された評価指標であるため、それを補うために「環境」評価という要素が考慮されています。
つまり「環境」評価は偶然性に左右されず、継続的な希少生物の生息に適した環境を示す指標なのです。
米軍によって選ばれた6か所のうち5:N-4.1、6:N-4.2は「動物」評価3、「環境」評価が1ですが、この事実を踏まえれば移設候補地から除外されるべきだと考えられます。

(2)メッシュ調査の機械的適用で2か所の不適切な選定
また、1:G.1と5:N-4.1は移設候補地としては除外すべき「総合評価Ⅱ」の区域の極めて近くに位置しており、環境保護の観点からできるだけ避けるべき区域であると解釈すべきです。日本政府の選定した15か所の候補地のうち選ばれなかった残りの9か所には、1:G.1と5:N-4.1よりも移設候補地として妥当性の高い区域が4か所あります。その上、この4か所のうち3か所は米軍によって実際に選定された6か所のいずれよりも集落から離れていることも指摘できます。
メッシュ評価手法をそのまま受け入れたとしても、実際に選定された①G.1と⑤N-4.1の2か所よりも妥当な区域が3か所も存在すると結論できます。

▽まとめ
・生物多様性を守る基本となる希少生物保護の観点から、移設候補地最終選定箇所の6か所のうち、少なくとも1:G.1、5:N-4.1、6:N-4.2の3か所は不適切です。
・このような不適切な選定理由に至った理由は、米軍文書に米軍が訓練と訓練上の安全を重視していることが図示されていることと、政府評価図書に示された米軍の運用上の都合の説明で、とりわけ1:G.1に米軍の強い要望が記されていることの2点を鑑みると、米軍の訓練など作戦上の都合が、環境上の利益よりも優先された結果であることがわかります。
・上記のような結論を下しましたが、より適切なヘリパッド建設場所を求めるのが調査趣旨ではありません。現行手法に依拠したとしても不適切な場所選定が行われており、計画の進んでいない現状においては計画が撤回されるべきであるというのが私たちの主張です。やんばるの森は希少生物が数多く生息し、生物多様性が豊かに残っている数少ない地域です。その保護が優先され、また、住民生活の安全が確保されるためには、この地を米軍基地として使用を中止することこそ正しい選択であるといえるでしょう。

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