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セイピースプロジェクトのブログ

【ニュース紹介】オスプレイ配備と沖縄島ぐるみ闘争

2012年07月21日 | 沖縄・高江
1、はじめに

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)に配備予定の米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを積載した民間運搬船が、日本時間の7月2日に米本土から出港しました。オスプレイは7月23日に山口県の岩国基地に到着する予定で、機体の点検を行った後に同基地での試験飛行を計画しており、このままいけば今夏中には普天間基地に配備される予定です。来日中のカーター米国防副長官は今日21日、10月の本格運用開始を目指すと改めて述べています(琉球新報、7月21日)。

 オスプレイ配備に反対する沖縄の世論を無視し、このような強行に配備を進めようとする日米両政府の姿勢に対し、沖縄からの反発の声はさらに強まっています。


2、この間のオスプレイに関する報道

 オスプレイ配備に反対する声が高まっている背景には、相次ぐ事故や専門家が指摘してきたオスプレイの抱える構造上の問題があります(詳しくは、論説「普天間基地にオスプレイはいらない」、「オスプレイ配備は何をもたらすのか」を参照してください)。以下では、この間のオスプレイの事故等に関する報道を整理したいと思います。

・「03年に「構造上問題」 オスプレイで国防総省報告」(琉球新報、7月3日)

・「オスプレイ 整備中に上昇、墜落 06年発生米紙報道」(琉球新報、7月10日)

・「米のオスプレイ事故調委員長「原因改善されず」」(沖縄タイムス、7月13日)

・「防衛省、滑空距離データ把握せず」(沖縄タイムス、7月14日)

・「不時着機能義務付けず 02年開発推進時」(沖縄タイムス、7月19日)

 以上に挙げたように、オスプレイは構造上の問題を抱えているだけではなく、十分な事故原因の調査や事故後の改善策が講じられていません。日本政府は基地周辺の安全対策の検討に必要なデータを把握していないことも明らかになっています。さらに、米軍による事故隠しの疑いまで生じてきています。
 このような状況を無視してオスプレイの配備を進めようとする日米政府の姿勢は、基地周辺住民に対してあまりに無責任であり、住民の命を軽視していると言われても仕方ありません。

 こうした政府の姿勢は、沖縄のみならず、米軍基地を抱える本土自治体からの反発も招いています。オスプレイが最初に搬入される予定の山口県岩国市では、基地容認派が過半数を占める市議会において、オスプレイ搬入に反対する意見書を全会一致で可決しました(沖縄タイムス、7月3日)。また、沖縄タイムスが全国46都道府県知事を対象に行ったアンケートでは、全国15府県知事が機体の安全性への懸念を指摘しています(沖縄タイムス、7月10日)。

 日本政府がこのままオスプレイ配備を強行すれば、それに対する反発はこれまで米軍基地を容認してきた本土自治体にもさらに広がっていくでしょう。


3、高江の“ヘリパッド”工事再開

 オスプレイ配備への反発の声が高まる一方で、今月10日、沖縄県東村高江で進められているヘリパッド移設工事が再開されました(沖縄タイムス、7月11日)。それも、住民の座り込み人数が少なくなった時間帯を狙ったかのように行われ、説明を求める住民を徹底的に排除して作業を進めようとする沖縄防衛局の姿勢は以前と全く変わらず、許しがたいものです。高江で建設されようとしているヘリパッドは、6月に発表された環境レビューの中でオスプレイが運用されることが明らかになっており、このままヘリパッド(=オスプレイパッド)が建設されてしまえば、オスプレイの訓練が日常的に行われ、騒音や墜落の危険に高江の住民の命と生活がさらされることになります。

 そして、工事が再開された翌日、これまでヘリパッド移設を容認してきた東村長が、「オスプレイが配備されるならば、ヘリパッド建設について、見直しも含めて再検討しないといけない」と、ヘリパッド容認の見直しについて初めて言及しました(沖縄タイムス、7月11日)。この発言を受け、又吉進知事公室長は17日の県議会米軍基地関係特別委員会で、東村が移設容認を見直した場合、県も同調する考えを示しました(やんばる東村 高江の現状、7月18日)。

 東村や県はオスプレイ配備に反対の立場をとっていますが、事実上オスプレイが運用されるヘリパッド移設を容認するのでは矛盾が生じます。オスプレイ配備に反対するのであれば、高江で進められようとしているヘリパッド移設工事についても反対・中止を求めていくべきです。



4、8.5県民大会

 沖縄県では、オスプレイ配備に反対する声が高まり、仲井真知事は「全基地即時閉鎖」に言及し、宜野湾市議会からも「体張ってでも阻止する」との声が挙がるなど、かつて普天間基地の県内移設を容認する立場であった人々からも、日本政府に対する強い不信感と反発の声が上がっています。

 こうした中で8月5日に開催することが決定した県民大会は、2010年に行われた普天間基地の県外移設を求めた前回大会を上回る大規模なものとなることが予想されます。2009年の民主党の政権交代以降、噴出した沖縄県民の日本政府に対する不満や「脱基地」の流れは、島ぐるみの闘争として今後も続いてくでしょう。一方で、米高官は県民大会が行われても計画通り配備を進めるとの見解を示しており、さらに、高江でのヘリパッド移設工事は今後も進められようとしています。今回の県民大会を契機に、高江ヘリパッド移設問題をより可視化させていくと共に、こうした沖縄県の世論にどう答えるのか、日本政府だけでなく、日本本土に生きる私たちも問われることになります。

 沖縄の島ぐるみの闘争が突きつけるのは、沖縄の声を踏みにじり続ける日本社会の構造的差別と、それを許してきた生存権の在り方はこのままで良いのか、ということにほかなりません。こうした沖縄の問いに本土から答えていく取り組みが必要となっています。


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