金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

FOMCを控えてハイテク売りの銀行株買い

2017年09月19日 | 投資

昨日(9月18日)の米国株市場は、ダウ・S&P500・ナスダックとも上昇。ダウは今年40回目の高値更新、S&P500も高値を更新した。

自分のポートフォリオを中心に昨日の動きを見ると、アマゾン・アルファベットなどハイテクが売られ、バンクオブアメリカが買われた。

バンクオブアメリカ、シティグループなど金融株が買われている理由は、長期金利が今秋のFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果次第では長期金利が上昇するのではないか?という思惑があるからだ。

10年物国債利回りは先週末の2.202%から2.2330%に上昇し、ドル円為替は111円台までドル高に向かった。

今回のFOMCでは利上げは予定されていないが、連銀はバランスシートの縮小を開始するとみられている。

連銀は水曜日に4.2兆ドル保有しているモーゲージ債・国債ポートフォリオの緩やかな縮小案を発表する予定だ。

このことは既に数カ月前から市場は知っていたが、ほとんど警戒してこなかった。だがFOMC直前になって連銀のポートフォリオ縮小が長期金利に与える影響を考え始めたようだ。

6月に連銀が発表したプランでは、連銀は満期が到来するモーゲージ債の内40億ドル、同じく国債60億ドルを期日落ち切りとして再投資しない。この方法で少しずつポートフォリオを縮小していく訳だ。

落ち切りにする金額自体は市場規模に比べると微々たるものだが、投資家が注目しているのは「連銀の債券縮小プログラムが順調に進むかどうか?」という点だ。連銀がリーマンショック以降8年にわたって続けてきた資産購入を緩やかにはいえ削減に向かうということは、非常時に中央銀行が大規模に債券を購入し、大恐慌を避けるという金融政策が間違っていなかったということを示すし、縮小プラグラムがうまく行かない場合~市場に混乱が起きる場合~は、金融政策の疑問符が付くことになる。

市場は連銀から「債券縮小プログラムの実施と引き換えに12月の政策金利引き上げ検討は慎重に行う」というお墨付きを引き出したいのかもしれない。

ところで銀行株自体にも長短金利差以外にも買われる理由はある。例えばバンクオブアメリカについていえば、リーマンショック以降積極的な店舗網の見直しを行い、店舗全体では5,976店舗(2009年)から4,642店舗(2016年)に減らした。

単に店舗総数を減らしただけではない。労働人口が減少している地方小都市の店舗を積極的に閉鎖し大都市圏では新規出店を行っている。

かってバンクオブアメリカはネイションズバンクと合併した時「より大きくなることはよいことだ」と言っていたが、収益性重視を鮮明に打ち出している。

ウォーレンバフェット率いるバークシャー・ハザウェイは今年6月にバンカメの増配発表を受けて優先株を普通株に転換して、筆頭株主になった。米国の銀行がリーマンショック後の後遺症から脱却し、社会構造の変化に対応し続けていることを投資のプロが認めたということだろう。

金融株が買われたのには相応の理由があると判断した次第だ。

 

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