金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

5月は株の売り時か?

2012年04月30日 | 投資

歴史的に見ると米国株は5月から10月にかけてパフォーマンスが悪く、反対に11月から4月にかけてパフォーマンスが良い。アルマナック社のトレーダーの計算によると、1950年以降の5-10月のダウの平均リターンは0.3%に過ぎなかったが、11-4月の平均リターンは7.5%だった(グーグルファイナンスによる)。

確かに昨年も4月の終わりに株を売り、11月の初めに株を買っていたらパフォーマンスは最高だった。経済学的に説明のつかない理由で株価が変動することをアノマリーと呼ぶ。12月のファン度決算が過ぎると、ニューマネーがファンドに流れ込むから1月から暫くは株価が高いというのが、一般的な説明だが、皆がそう信じて同じような投資行動を起こすと、結果として市場は5-10月の株安を生む・・・という面もあるだろう。

世界経済や株式相場を見ると、不確定な話が多い。欧州ではフランスの大統領選挙やオランダの総選挙で、財政の舵取りがどう変わるかが注目点。中国景気も不透明な中で比較的先行きが明るいのが米国だが、米国も政治のもたつきが気になるとこころだ。

☆    ☆    ☆

個人的には今年の冬にはお金が必要だった(車の買い替え、入院等)ので、2月頃に少し株式を売却した。「暫くして株式相場が下がればそこ(願うべくは「底」)で買えば良い」と考えての行動だった。金融株を中心にまだ少し下がりそうなので、買い場は少し先になりそうだが。

ただし相場が悪いといっても、悪材料はかなり織り込まれているから、ダウンサイドリスクも小さいと私は考えている。積極的な売りは控えて微調整に留めるべきかもしれない。1-3月に株を売らなかった人にとっては今年の5月が株の売り場かどうかは微妙なところだ。

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少し早かった足利のふじ

2012年04月28日 | 旅行記

連休初日(4月28日土曜日)はなんと朝から頑張って、足利の「あしかがフラワーパーク」を車で往復した。ワイフが「大藤棚」を観たいというので、3連休のどこかで出かけようと考えていたが、天気と交通渋滞のバランスから意外にも初日に行くことになった。

朝7時半に西東京市の自宅を出発。大泉から外環道路は空いていて、2時間弱であしかがのフラワーパークに到着。一人1,300円の入園料(ただし新聞切り抜き持参で100円引き)

ここまで順調だったが、パークの中に入って少し唖然とした。あのパンフレットにあった滝のような藤がない!

藤の花はところどころに咲いている。だがあの圧倒的な大藤棚にはまだ藤は咲いていなかった!

Flower1

Fuji2

水辺の藤もきれいなんだけれど花房が1.8mにも成長するという「大長藤」が観たい。

Fuji3

Shakunage

フラワーパークの見学は小1時間で終わり。足利市では「足利学校」と「鑁阿寺」という旧跡・名刹があるが、以前見学したことがあるので、高台にある織姫神社をお参りすることにした。

駐車場から少し降り、参道中腹に立つと空が青い。

Orihimejinjya

青い空の下に赤い神社の拝殿が美しい。

Orihimejinjya2

境内から下を見ると渡良瀬川をはさんで足利の街が広がっていた。

Ashikaga_4

織姫神社は気持ちの良いところだった。今回は山道は歩かなかったが、ここはハイキングコースのスタート点でもある。

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ほつれが目立ち始めた「欧州の結婚」

2012年04月27日 | 国際・政治

昨日(4月26日)S&Pはスペインの長期格付を2ノッチ引き下げBBB+とした。S&Pは「政府の一般純債務がGDPの80%を超えると更なる引き下げもありうる」と述べた。S&Pがスペインの格下を行なった理由の一つは経済成長の見通しの悪さだ。少し前まで同国経済は2012年中に実質ベースで0.3%拡大すると予想されていたが、現在の見通しでは1.5%のマイナスである。

☆  ☆  ☆

スペインの格下は予想されていたイベントの一つだが、ほつれが目立ち始めた「欧州の結婚」の一つの事例である。ニューヨーク・タイムズのコラムニスト・Norris氏が「ユーロ(欧州通貨同盟)が悪い結婚のようなものだとすると、破滅的な離婚を避けることができるのか?」という疑問を述べていた。そのコラムはフランス大統領選挙で社会党のオランド党首が僅差でサルコジ大統領を破り、5月6日の決選投票が決まったこと後で書かれたものだった。

今の欧州の問題の一つの核心は「ほとんどドイツの一人勝ち」というところにあるというのがNorris氏の指摘だ。単一通貨の下では、経済的に弱い地位は「通貨切り下げ」で競争力を回復することはできない。ドイツ連銀のある幹部は「競争力が弱い国は構造改革により内需を抑え競争力を強め、輸出を増やさざるをえない」と主張し、ドイツが大きな負担を背負うことを避けてきた。

だが風向きは変わりつつある。ドイツの忠実な支持者であったオランダで、右翼の自由党が財政緊縮策の継続に反対し、内閣が総辞職した。欧州では財政緊縮路線と景気刺激路線の対立が高まりそうだ。

☆   ☆   ☆

以下はまったく余談なのだけれど、通貨同盟が結婚にたとえられたので、思い出したのが「江戸時代の結婚関係」だ。正確にいうと典型的な「江戸に住んでいた町人の結婚関係」なのだが。

杉浦日向子氏の「江戸塾」(PHP文庫)によると「江戸のお父さんは食費を家に入れるだけで大きな顔ができ、あとは飲む、打つ、買うなんでもOKです。・・・・専業主婦というものはほとんどいない。主婦はみな何かしらの職業についている、養育費や医療費、雑費は女房の負担できれいな髪飾りや着物も全部女房が自分で買う」という文章が出てくる。

これをユーロとのアナロジーで考えると、経済状態が悪い中でお父さん(ドイツ)だけが一生懸命働いて、お金を貯めて女房連中(南欧諸国など)には新しい着物は買うな、倹約しろと言っているのが現在の状態だ。だがこの倹約疲れから反抗を起こし始めたのが、女房連中。軍配はどちらに上がるのだろうか?

話を江戸の町人に戻すと、小金を稼いだ町人は宵越しの金を持たずにパッパと使っていた。だから文化が発達し、文化が発達したのでお金を使う機会も増えたという消費循環があった。「この世は一度限り、使える時にパッパとお金を使う」というライフスタイルも悪くないだろう。それも結婚の一つの安定した形であれば。

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中国のアキレス腱、少子高齢化~エコノミスト誌

2012年04月26日 | 国際・政治

最近のエコノミスト誌の記事で読者が多かったのが「中国のアキレス腱」~急速な高齢化というものだった。中国の少子高齢化の問題は今に始まった訳ではないが、沿岸地方の急速な人件費の上昇と合わせて見ると、中国の高齢化と労働力の減少は、一般の予想を超える中期的な経済インパクトの大きな問題なのかもしれない。

☆   ☆   ☆

エコノミスト誌に龍に引っ張られるアメリカ人と中国人の戯画がでていた。中国の易経に「亢竜悔いあり」という言葉がある。上り詰めた龍は下るしかないという意味だ。2010年には工業生産高やエネルギー消費量で米国を追い越した中国。このままいくと購買力平価ベースでは2017年には世界一の経済大国になるとIMFは予想するが、このエコノミスト誌の記事は中国の抱える人口動態上の問題を指摘する。

☆   ☆   ☆

過去30年間の間に中国の出生率は2.6から1.56に減少した。特に上海など経済的に非常に豊かな地域では出生率の減少が著しい(上海の出生率は世界最低の0.6%)。国連は中国の出生率は更に低下を続け、2015-20年には1.51になると予想する。一方米国の出生率は2.08で上昇傾向にある。

1.56と2.08という出生率の違いは長期的には大きなインパクトをもたらす。中国の人口は2026年にピークとなり、2050年には現在の13億4千万人より僅かに少ない13億人になり、2060年には10億人を切ると予想される。

年齢の中央値を見ると1980年の中国の中央値は22歳だったが、現在は34.5歳で米国の36.9歳とほとんど差はない。しかし2050年に米国の中央値は40歳と予想されるが、中国のそれは49歳に上昇していると予想される。

☆  ☆  ☆

この傾向は金融や社会面で広範な影響を及ぼすだろう。中国は年金支払の準備が進む前に巨大な年金需給層を抱え込むことになる。他の先進国とは異なり、中国は豊かになる前に高齢化が始まるのだ。現在中国では65歳以上の人口比率は8.2%だが、2050年までにはその比率は26%を超えると予想される。

2000年にスタートした中国の国民年金制度だが、エコノミスト誌によると積み立て不足の年金債務はGDPの150%に達している。また地方政府により運営される別の年金ファンドでは年金給付と時として守られていないようだ。

☆  ☆  ☆

だがこれは問題の一部でより大きな問題は労働人口の減少だ。2010年に総人口の72%を占めていた労働力は2050年には61%に減少すると予想される。このことは「世界の工場としての中国」が終わりに近いことを示す。一時は無限に流入するかと思われた安い労働力は枯渇し、熟練労働者の不足が目立ち始めている。

☆  ☆  ☆

人材斡旋業者のマンパワー社は2030年までには中国は海外から労働力を輸入するようになると予測している。しかし例えば長い移民の歴史があり、開放的で法的・政治的制度が整っている米国に較べて中国にはそのような仕組みは全くない。

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「安い中国の終り」と言う意味では、例えばアップルのiPadsを作っているフォックスコンは先月給料を16-25%引き上げた。実際中国の労働コストは過去4年間年間2割上昇している。

コンサルタントのAlixpartnersは「人民元と輸出コストが年間5%の上昇を続け、人件費が年率30%上昇すれば、2015年には、北米での生産コストと差はなくなる」と予想する。エコノミスト誌は「現実には生産コストの収斂は恐らくもっと遅れるが、トレンドは明らかだ」と述べる。

中国の人件費が上昇すれば、ベトナムなど人件費の安い国に行けば良いではないか?という議論もあるが、それらの発展途上国のインフラとサプライチェーンの問題を考えると中国を離れることは容易ではない。多くの企業は「中国+もう1カ国」戦略をとろうとしている。

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安い工業製品とデフレの輸出で、世界経済に大きなインパクトを与えてきた中国。その中国の賃金の上昇(生産性も伸びているが)が、価格に跳ね返る時、日本にインフレリスクが高まるのだろう。そして悪いことに財政赤字の拡大が止まらない日本では金利がじりじりと上昇を始める・・・・。これは個人的推測だが。

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システム手帳の日付入りリフィルは高い

2012年04月25日 | うんちく・小ネタ

7,8年前に買ったBindexの革表紙のシステム手帳を今でも使っている。裏の緊急時連絡データを見ると二人の娘もまだtwentysomeshingである。さて日記部分がなくなったので、買いに行ったところ文房具屋でシステム手帳のリフィルの在庫コーナーが随分狭くなっていた。

日付が印刷されたリフィルは1年分で1千円もしている。「高いなぁ」と思い他の選択肢を探していたら、日付の入っていない日記が4分の1程度の値段で売っていたので、迷わずこちらを買った。

今私は主家ジュール管理には紙の手帳は使わず、スマートフォンのカレンダーを使っている。恐らくスマートフォンだとかPC上のカレンダーをメインに使っている人が増えているから紙ベースのリフィルの人気は下っているのだ。

来年か再来年リフィルのコーナーに行くともっと減っているだろうな。文具類の変遷は早いものである。システム手帳は「革表紙が付いた」重いメモ用紙の束に変わりつつある。私の場合。そしてもう直ぐ完全に使わなくなる可能性もある・・・・。

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