アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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相次ぐ米軍「事故」、元凶は「北朝鮮」ではなく「日米安保」

2018年02月22日 | 日米軍事同盟と朝鮮・韓国

     

 米軍三沢基地のF16戦闘機が燃料タンクを青森県・小川原湖に投げ捨て、あわや大惨事という「事故」が起こりました(20日)。相次ぐ米軍機「事故」は、米軍基地の存在がいかに住民の生命・安全を脅かすかを改めて示しています。

 しかも今回の「事故」は明らかに「米軍が本来回収する案件」(21日、小野寺防衛相)であるにもかかわらず、米軍に言われるまま自衛隊が代わって回収するというのですから、自衛隊の対米従属ぶりは隠しようがありません。

 見過ごせないのは、相次ぐ米軍機・自衛隊機の「事故」の原因が、あたかも「北朝鮮(情勢)」にあるかのような論調・記事が流布していることです。

 「米軍機が絡む事故が続く。背景に何があるのか。…永岩氏(永岩俊道元航空自衛隊空将―引用者)は、『対北朝鮮、中国をはじめ米軍は世界中で作戦を展開し、自衛隊も日本周辺で厳しい警戒を続けている。疲労が蓄積し…「組織的ストレス」も背景にあるのかもしれない』と話す」(21日付朝日新聞)

 「北朝鮮情勢などで任務が増えていないか…検証と分析が不可欠だ」(22日付朝日新聞社説)

 「20日のトラブルは、北朝鮮情勢を背景に活動を活発化させる米軍の事故が、どこでも起こり得るという現実を浮き彫りにした。…沖縄国際大の前泊博盛教授(日米安保論)は『…北朝鮮情勢を背景に現場での人繰りが回っていないのではないか』と分析する」(21日付共同配信)

 メディアや「専門家」だけではありません。

 「背景には…中国・北朝鮮への対応など任務激化と整備能力の低下といった構造的な要因が指摘されており…」(21日付「しんぶん赤旗」の「解説」)

 こうした記事・論調は、「北朝鮮対応で現場負担増」(21日付琉球新報)「北朝鮮情勢 負担か」(同、沖縄タイムス)などの見出しとともに、米軍機「事故」の原因・根源が「北朝鮮(情勢)」にあるかのような印象を与えています。

 これは事実に反するだけでなく、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)への憎悪を煽り、米軍機・自衛隊機「事故」の本質を見誤らせるきわめて危険なものと言わねばなりません。

  在日米軍とそれに従属する自衛隊が朝鮮に対して軍事的圧力を強めているのは事実であり、その「負担」が米軍機や自衛隊機の相次ぐ「事故」を誘発していることは十分考えられます。問題はそうした米軍・自衛隊の軍事圧力の根源は何かということです。それを考えるカギは「米韓合同軍事演習」にあります。

 「米韓合同軍事演習」は朝鮮戦争休戦協定(1953年7月27日)に反してアメリカが強行している軍事挑発です。朝鮮は一貫してその中止を要求していますが、アメリカはそれを無視し続けています。平昌五輪・パラリンピック後にも強行すると公言しています。(15日のブログ参照http://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara/d/20180215

  また、「北朝鮮の核・ミサイル開発」についても、休戦協定に違反していち早く韓国に核兵器を配備したのはアメリカです。そして今、世界の反核世論に逆らって「核兵器禁止条約」に反対し、新たな「使える核」戦略を発表したのもアメリカであることは世界周知の事実です。

 この危険極まりない米軍が日本に基地をもち、わがもの顔で傍若無人な振る舞いを続けている(続けられる)のは、日米安保条約がそれを許しているからです。
 安倍政権が「百パーセント」アメリカに追随し、戦争法(安保法制)で米軍と一体になって集団的自衛権を行使しようとしているのも日米安保条約があるからです。

  米軍機・自衛隊機の相次ぐ「事故」の原因は「北朝鮮(情勢)」ではありません。元凶はアメリカの覇権主義・核戦略であり、そのアメリカに追随する日米安保条約です。

  いかにも「北朝鮮」に問題があるかのように言う記事・「識者」が、「しんぶん赤旗」を含め、例外なく日米安保条約の見直し・廃棄には触れていない(「地位協定の見直し」は言っても)ことが、事態の深刻さを示しています。

 

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