アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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人質事件ー一人ひとりが掲げよう「I AM NOT ABE」

2015年01月24日 | 安倍政権

          

 イスラム国による日本人人質事件は、「交渉期限の72時間」を20時間過ぎた今(24日午前10時50分)も、新たな情報は伝えられていません。

 この間、新聞やテレビの報道・コメントは、イスラム国を非難するだけで(それはもちろん必要ですが)いま私たちが何を考え、どういう声を上げるべきかについて、的確な報道、論評はほとんど見られません。
 そんな中でも、いくつか注目すべき主張・論説がありました。

 まず、23日夜の報道ステーションにおける古賀茂明氏(元通産官僚)の発言です。(写真左)
 古賀氏は、後藤健二さんや湯川遥菜さんの拘束、さらに後藤さん宅への「身代金要求」を事前に知っていながら、安倍首相がイスラエルなどを訪問し、「ISIL(イスラム国)と戦う周辺各国に総額2億㌦支援する」と演説したことについて、 「事前に知っていて行ったこうしたパフォーマンスは、イスラム国に対する宣戦布告に等しい。安倍首相は有志連合(イスラム国と戦う欧米諸国)に加わりたかったのだろう」と指摘しました。

 琉球新報の社説(24日付)も、事前に知っていた安倍首相の責任を問います。
 「今回の政府の対応を見ていると、本気で救出しようとしているのか、疑問なしとしない。・・・首相の演説がイスラム国を刺激したのは間違いない。拘束を知りながらの演説だった以上、今回のような事態は予測できたのではないか

 中東・イスラエル研究の第1人者・板垣雄三東大名誉教授は、「日本とイスラエルの国旗を背に、安倍晋三首相が記者会見で『テロに屈せず』と言明した情景は、広く世界のムスリム市民の眼に、日本幻滅への決定的瞬間として焼き付いたに違いない」とし、今回の事態の背景にある安倍首相のイスラエルへの異常接近を指摘します。
 「既に安倍政権はイスラエルとの関係を異常に強めていた。昨年の武器輸出三原則廃止は次期主力戦闘機F35の対イスラエル部品輸出と関係しており、ガザ攻撃を受けた国連人権理事会のイスラエル非難決議を日本は棄権した。中東での『非軍事の人道支援』の強調も国際的説得力は弱い」(24日付各紙・共同配信)
 こうした安倍政権のイスラエル接近の背景に、アメリカとイスラエルの関係、さらに「日米軍事同盟」があることはいうまでもありません。

 板垣氏はさらに根本的問題をこう指摘します。
 「いまは、非暴力の新しい市民革命の到来を前に、欧米中心主義にどっぷり漬かった世界が終わる苦悶の時代だ。400年続いた欧米中心の世界秩序は崩壊中で、『日米同盟こそ基軸』とする日本外交も時代錯誤。」

 ではいま、私たちは何を主張すべきなか。先の琉球新報社説は、「日本は欧米各国と異なり、中東で銃弾の1発も撃ったことがなく、人道的支援しかしていないことを粘り強く訴えたい」と言います。それだけでは不十分です。なぜそれが可能だったのか。それこそが憲法9条の力であったことを、今こそ私たちはかみしめ、訴えねばなりません。

 報道ステーションで古賀氏も、「いま憲法に立ち戻るべきだ」と強調しました。

 後藤さんのお母さんの石堂順子さんは、23日の記者会見で、「健二の命を救ってください」と訴えました。テレビはその言葉を何度も流しましたが、実は石堂さんはこうも言っていたのです。(写真中)
 「日本は戦争をしないと憲法9条に誓った国です。70年間戦争をしていません。日本はイスラム教諸国の敵ではなく、友好を保ってきました
 なぜか日本のメディアは石堂さんの「憲法9条」という言葉を取り上げませんでした。
 石堂さんは立場上それ以上は言いませんでしたが、「だから憲法9条をこれからも守っていきたい。守ります。安倍首相は9条改憲をやめてほしい」。そう心の中で叫んでいるように私には思えます。

 テレビでイスラムの人々に影響力をもつ「預言者」という人が、安倍首相の演説を批判するとともに、こう言いました。「そんな政府(安倍政権)を選んだ日本国民の責任だ

 問われているのは、安倍政権とともに、私たち日本人1人ひとりなのです。

 今ネットでは後藤さんを救うため、「I AM KENJI」というプラカードを持ってコメントする活動が行われているそうです(写真右)
 古賀氏はこれを念頭に言いました。
 「日本人は安倍首相とは違うんだ、(イスラム諸国の人々と)仲良くしたいんだと訴えるべきですね。『I AM NOT ABE』のプラカードを掲げるべきです」

 私たち1人ひとりが、「I AM NOT ABE」のプラカードを、そして憲法9条の旗を、高く掲げましょう。
 

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