アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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米韓合同軍事演習強行!挑発しているのはどちらか

2017年08月21日 | 朝鮮半島・在日コリアン差別と日本

     

 アメリカは21日、韓国軍との合同軍事演習を開始しました(今月31日まで)。
 米韓軍事合同演習とは何でしょうか。その歴史と内容を共同通信の配信記事(21日付中国新聞)から見てみましょう。

 主な米韓合同演習(出典は韓国国防白書、在韓米軍ホームページなど)

 ★フォールイーグル 1985年以降毎年実施
           例年3,4月ごろに実施
           作戦能力向上を目的に兵器を多数動員する野外機動訓練
           今年の参加兵力は米韓合わせて31万人前後とみられる

 ★キー・リゾルブ  1994年から毎年開催
           フォールイーグルと同時期に実施
           コンピューターシミュレーションで有事の米軍増援兵力の受け入れ能力や指揮態勢を点検する指揮所演習

 ★乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン 1975年以降毎年実施
                     例年8月ごろ実施
                     米韓連合軍の作戦能力向上を目的にコンピューターを用いて行う指揮所演習
                     今年の予定参加兵力は韓国軍約5万人と米軍約1万7500人

 上記のほかに小規模な演習は年間数十回に及ぶ。

 有事の作戦統制権は在韓米軍司令官が持っており、朝鮮戦争の休戦状態が崩れて戦争になれば、韓国軍は事実上、米軍の一部として動く。

 当然、単純な「訓練」ではない。米韓は防衛目的と主張するが、北朝鮮が侵攻した時の反撃能力だけでなく、北朝鮮指導部の抹殺や体制転覆が可能だと見せつけ、軍事挑発や核・ミサイル能力の高度化をやめるよう威嚇する意味合いも大きい。

 以上が共同配信記事の概要です。

 米韓合同軍事演習(乙支フリーダムガーデン)が開始された1975年。その前年には民青学連事件(1974年4月)が起こるなど韓国の民主化運動に対する朴正熙政権の弾圧が強まっている中で米韓合同演習は始まりました。
 また、北朝鮮が最も脅威としているフォールイーグルが始まった1985年。北朝鮮は「核の挑発」どころか、この年の12月にNPT(核拡散防止条約)に加入しています(1993年脱退)。
 北朝鮮が「ミサイル実験」を始めたのは1993年から。「核実験」は2006年からです。

 時間的経過だけではありません。アメリカは「死の白鳥」の異名をとる最強の戦略爆撃機B-1B(グアム駐留)を盛んに「演習」に派遣しています。北朝鮮はその中止を再三求めていますが、アメリカは今回の「演習」でも参加を否定していません。

 重大なのは、米韓合同演習に日本が無関係ではないことです。米軍との一体化を強めている自衛隊(F2戦闘機)は、韓国へ向かうB-1B爆撃機と九州上空で共同訓練を行っています(写真中)。

 ハリス米太平洋軍司令官は韓国国防相との会談で「常に戦う構えを維持している」と北朝鮮をけん制しました(20日)。

 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙は、「火に油を注ぐように情勢をさらに悪化させる」と米韓合同演習の実施を批判しました(20日)

 以上の経過、双方の主張を先入観なしにみれば、軍事的挑発を開始し繰り返しているのはどちらなのか、アメリカ(同盟国の韓国、日本と一体)なのか、北朝鮮なのかは、明らかではないでしょうか。 

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