アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「大統領に攻撃されるメディア」と「首相に好かれるメディア」

2017年02月04日 | 政権とメディア

     

 今月10日に安倍首相とトランプ大統領の会談が行われます。この日程は先月29日の安倍・トランプ電話会談で決まった、と安倍氏が記者団に発表しました(写真中)。

 ところがそれより3日前の26日、「日米首脳会談 来月10日」と1面トップで大々的に報じた新聞があります。読売新聞です(写真左)。その根拠は書かれていませんが、記事は「日程は近く、日米両首脳が電話会談を行い正式に決定する予定だ」というところまで見通しています。よほど政権の中枢に食い込んだ「スクープ」(?)なのでしょう。

 すると、同じ26日の「首相の動静」欄にこうありました。「25日 6時32分、東京・飯田橋のホテルグランドパレス。日本料理店「千代田」で渡辺恒雄読売新聞グループ本社主筆と会食

 なるほど、あの「スクープ」は渡辺氏が安倍氏との「会食」で直接安倍氏本人から聞いた話がネタ元だったのかーこれはあくまでも私の憶測です。この憶測が当たっていれば、安倍氏は電話会談で正式に決まる前に、重要な外交日程を読売新聞にリークしたことになり、きわめて重大です。

 真偽は確かめようがありません。安倍氏と渡辺氏が「夜の料亭会食」で何を話したかは完全な秘密だからです。それが「夜の会食」というものです。

 確かなことは、安倍氏と渡辺氏の関係が非常に親密だということです。渡辺氏がメディア界に籍を置きながら「政界フィクサー」的役割を果たしていることは周知のことですが、その関係は安倍氏との間でも例外ではありません。25日から1週間後の今月2日にも安倍氏と渡辺氏は「夜の会食」で〝密談“しています。

 安倍首相とメディア幹部の「夜の料亭会食」は、もちろん渡辺氏・読売新聞だけではありません。12月12日のブログで昨年10月以降のものをピックアップしましたが(http://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara/d/20161212)、その後も「(12月20日)東京・京橋の日本料理店「京都つゆしゃぶCHIRIRI」で田崎史郎時事通信特別解説委員、島田敏男NHK解説副委員長ら報道関係者と会食」と「首相動静」は記しています。

 一方、アメリカではトランプ氏の「メディア攻撃」が収まりません。ギャラップ社の「世論調査」(2016年9月)では米国内の「メディア信用度」は32%(共和党支持層では14%)だといいます。トランプ氏のメディア攻撃がこうした「世論」を背景にしていることは間違いないでしょう。

 なぜアメリカではこれほど「メディア信用度」が低いのか(調査結果が正しいとして)、私には分かりません。しかし、たとえメディア側にどんな問題があるにせよ、大統領が記者会見で特定のメディア(記者)を攻撃し、質問もさせず、その後もメディアを悪の権化のように攻撃し続けるのは異常であり、決して許されることではありません。

 トランプ氏の「メディア攻撃」は異常でも、メディアの側からみれば、大統領(国家権力の中枢)に嫌われることはけっして異常なことでも好ましくないことでもありません。というより、メディアの役割が「国家権力を見張る番犬」である以上、権力に嫌悪され攻撃されるのはむしろメディアの健全な姿と言えるのではないでしょうか。

 トランプ氏と緊張関係を強めるアメリカのメディアと、読売新聞やNHKに代表されるような安倍氏と仲の良い日本のメディアと、いったいどちらが正常な姿なのか。
 私たちは「トランプ現象」を傍観するのでなく他山の石とし、日本の問題として、メディアのあり方考え直す必要があるでしょう。

 「世論調査」に表れる「安倍政権高支持率」のナゾ。その〝陰の功労者“は「夜の会食」などで親密な関係を続ける日本の〝仲良しメディア”ではないでしょうか。

       

 

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