アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

空から「有害物質」ばらまく米軍・日米安保の危険

2018年01月04日 | 日米安保体制と平和・民主主義

     

 日米軍事同盟(安保条約)がいかに市民の生命・安全を脅かしているか。それを端的に示したのが、昨年沖縄で相次いだ米軍機の故障・落下ではなかったでしょうか。

 10月以降だけをとっても、次の通りでした。

高江の民有地に米軍大型ヘリCH53Eが墜落(10月11日)

普天間基地に隣接する緑ヶ丘保育園の屋根に米軍機の付属物が落下(12月7日、写真左)

普天間基地に隣接する普天間第二小学校の校庭に大型へりCH53Eの窓枠(約8㌔)が落下(12月13日、写真中)

  いずれの事故(事件)も、米軍は原因究明さえせず、「人的ミス」などと言って訓練を再開しました。安倍政権は米軍のいいなりにそれを容認し、対米従属の実態をあらわにしました。

 米軍のこうした横暴を許している元凶が、日米安保条約(運用規定の日米地位協定)であることは言うまでもありません。その害悪を集中的に受けている沖縄の実態を、「本土」の私たちは自らの問題として受け止める必要があります。

  同時に、米軍によって市民の安全・生命が脅かされているのは沖縄だけではありません。そのことを示す事実が先月起こりました。

  12月11日、広島県上空で「火の玉」が複数の市民によって目撃されました(写真右)。それは、「ミサイル回避」のためにおとりに発射する火炎弾「フレア」といわれるもので、小野寺防衛相は12月17日、米軍機FA18の訓練によって発射されたものだったと認めました。

 「フレア」は「通常海上の訓練空域で発射される」(軍事ジャーナリスト黒井文太郎氏)もので、陸地しかも住宅地上空での発射は異例です。さすがに小野寺氏も「住民が不安を覚える訓練は決して適当ではない」(12月18日付中国新聞)と認めざるをえませんでした。しかし防衛省は、陸地上空の「フレア」発射も「日米地位協定違反に当たらない」(同)と強弁し、米軍の横暴を容認しました。
 
 広島県の湯崎知事が「大変遺憾だ」と述べたのをはじめ、関係自治体や市民団体から相次いで抗議や申し入れが行われました。しかしその後、「フレア」をめぐる報道はみられず、このままうやむやになるかと思われました。

 ところが、ある新聞記事に驚くべきことが書かれていました。

 「米軍落下物絶えず 首都圏 紛失含め14件」という見出しの東京新聞の記事(12月14日付)で、その中にこうあります。
 「今月初めには敵ミサイルを避けるためのおとりの火炎弾『フレア』の一部が紛失都によると、北関東防衛局から『有害物質で触れるべきではない』との通知があった」(12月14日付東京新聞)

  記事は米軍横田基地の話です。広島の民家上空の訓練で発射され目撃されたもの以外に、「フレアの一部」が横田基地で紛失していたというのです。
 しかもそれは、「有害物質」だから「触れるべきでない」、と北関東防衛局から東京都に通知があったというのです。
 これ自体、単独で報じるべき重大ニュースですが、見過ごされていました。

  「フレア」は「有害物質」。ということは、防衛局が「触れるべきではない」と警告したその「有害物質」が、広島の住宅地に何発もばらまかれたということです。

 「有害物質」とは具体的に何かは明らかにされていませんが、沖縄で墜落した大型ヘリCH53Eには放射性物質があったことから、「フレア」の「有害物質」も放射性物質である可能性は否定できません。

  米軍は「訓練」と称して日本の住宅地上空で放射性物質の可能性もある「有害物質」をばらまくのです。それを日本政府は口では「適当ではない」と言いながら容認する。
 これが日米軍事同盟=安保条約体制の実態です。
 「北朝鮮脅威」論をふりまきながら、「ミサイル防衛」と称して「有害物質・フレア」が住宅地にばらまかれる危険性は今年一段と強まる恐れがあります。

  書かねばならないテーマがたまっているので、明日も書きます。


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