アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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翁長知事の「高江ヘリパッド容認」は「オール沖縄」の全体責任

2016年12月08日 | 生態系・自然環境

   

 翁長雄志知事が「高江ヘリパッド容認」(11月28日の記者会見、写真左は29日付沖縄タイムス)を「否定」した「釈明会見」(2日)が、逆に「公約違反」を認める結果になったことは先に(5日のブログ)述べました。しかし翁長氏は「容認していない」と言い続けています。折しも6、7両日は沖縄県議会の代表質問。ことの真相を明らかにする絶好の場でした。

 ところが、7日付の琉球新報、沖縄タイムス(写真中)はいずれも、「『決して容認したわけではない』と改めて強調した」(沖縄タイムス)などと一言報じただけで(見出しは大きいですが)、質疑の詳しい報道はなく、翁長氏の”釈明”を追認しただけでした。代表質問2日目(8日付)は両紙ともこの問題にはまったく触れていません。

 いったいどういうことでしょうか。

 翁長氏の「高江ヘリパッド容認」はきわめて重大な「公約違反」であり、その真相を明らかにするのは、県議会と県紙の重要な責務です。しかし、いずれもその役割をまったく果たしていません。
 百歩譲って、「容認していない」という翁長氏の言い分を認めるとしても、では具体的に政府に対してどういう行動をとるのかを明らかにし、直ちに実行させるべきでしょう。しかしそれも行われていません
 
 とりわけ重大ないのは、翁長県政与党の「オール沖縄」陣営の責任です。

 翁長氏の「容認」会見(28日)に対し、連日反対活動を続けている作家の目取真俊氏は、「弱みを突いてきた政府に有効に反撃できなかった。県民に失望を与え、求心力を失った」「本当は反対できたし、反対すれば県民も多数が支持した」(29日付沖縄タイムス)と翁長氏を批判するとともに、こう指摘しました。

 「オール沖縄自体が辺野古反対の一点だけで、他の問題を棚上げしてきた。個人だけの問題ではなく全体の責任だ」(同)

 目取真氏の指摘を裏付けるのは、翁長氏が2日の記者会見でも、「引き続き『建白書の精神に基づき、普天間飛行場の閉鎖・撤去、辺野古新基地の建設・オスプレイの配備に反対』との公約の実現に向けて取り組んでいく」と述べた「建白書」(2013年1月28日)です。
 翁長氏を当選させた「オール沖縄」の代名詞ともいえる「建白書」には、「高江」のタの字も、「ヘリパッド」のへの字もありません。目取真氏が指摘する通り、「高江ヘリパッド」問題を棚上げしてきたのです。
 その結果、翁長氏の「公約文書」には「高江」は盛り込まれませんでした。ここに翁長氏が「公約違反」の言い逃れを図る余地があります。

 しかし翁長氏は2日の記者会見で、「高江のヘリパッドは当然反対していく」と言明した政策発表会見(2014年10月21日、写真右)も、「その時点の私の認識という意味で間違いない」と、「公約」であることを自ら認めたのですから、言い逃れはできません。

 目取真氏の指摘をまつまでもなく、「オール沖縄」の翁長与党(日本共産党、社民党、自由党、社大党など)はこの2年の間に、「公約文書」には盛り込まなかったけれど記者会見で言明した「高江ヘリパッド反対」のための具体的な行動を翁長氏にとらせるべきでした。

 しかし「オール沖縄」陣営はそれを行ってきませんでした。その上、今回の「容認」会見に対しても県議会などで翁長氏の姿勢をただそうとしないのは、二重の責任放棄と言わねばなりません。

 選挙で推した知事でも、いいえ、選挙で推した知事だからこそ、裏切り行為(公約違反)は厳しく追及し、県民のための具体的な行動をとらせねばなりません。それが翁長氏を当選させた「オール沖縄」の責任ではないでしょうか。


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