【涼宮ハルヒの憂鬱】佐々木ss保管庫

2chの佐々木スレに投稿されたssの保管庫です

佐々木スレ10-521 「ぬいぐるみ」

2007-07-20 | その他

521 :1:2007/06/03(日) 01:50:09 ID:npWXhY/K
「ん?これはなんですか?」
橘京子が不思議そうに机の上のぬいぐるみを手に取った。
「クレーンゲームの景品だよ。」
佐々木は素っ気無く答えた。
「いや、でも・・・」
ぬいぐるみを両手に取って、橘は納得いかない表情で、ぬいぐるみの目を見ている。
「うーん・・・」
「どうしたんだい?何の変哲も無いごく普通の、それこそ有名なキャラクターでもない犬のぬいぐるみだよ?」
部屋の隅に置いてるベッドに腰掛けた佐々木はクッションを抱きながら、目の前のリミテッド超能力者の行動を見ていた。
「いや、私でもそれくらいわかるのですけれども・・・」
橘の表情の色合いは疑問から疑惑に変わっていた。
高校生の女の子の部屋にぬいぐるみがあること自体はそう珍しくは無い。
しかし、この佐々木の部屋はそういった乙女チックさとは、まったく無縁のシンプルで機能的な部屋だ。
そんな中だからこそ、ただひとつ、机の上に大切に置かれているこのぬいぐるみが目立つのである。
橘は佐々木の方を振り返って、一呼吸して尋ねた。
「佐々木さん、これは誰からもらったんですか?」
答えはもうあらかたわかっている。
その誰かの心当たりは一人しかいない―
佐々木は橘の視線から目をそらしながら、サイドボードに置いてあるカップを持ち上げ、紅茶を一口飲んだ。
その対応に橘の目線はもはや疑惑から確信に変わっている。
わざとらしく目線をそらしていた佐々木は、根負けしたように橘の方に目線を向け、
「たぶん、想像通り、ね。」
と、あきらめ気味にため息をつくように答えた。


522 :2:2007/06/03(日) 01:51:23 ID:npWXhY/K
「やっぱり彼からのプレゼントですかー。」
納得した表情を浮かべて、橘は両手に持ったぬいぐるみをまじまじと観察し始めた。
「そんなんじゃないよ。」
カチャ、と静かな音を立てて紅茶のカップをサイドボードに置きなおした。
「え、でも・・・」
「彼と塾へ行っていたとき、少し授業まで時間が空いてしまって、ゲームセンターで時間をつぶしたことがあったんだ。そのぬいぐるみはそのときに彼が取ったものだよ。」
佐々木の大きな黒目がちの瞳は、橘の手にあるぬいぐるみを見ていた。
「でも、彼から佐々木さんへ渡されたものならプレゼントじゃないんですか?」
少し口を尖らせた橘が佐々木に反論する。
佐々木は喉の奥で小さな笑い声を上げた。
「別にそれは彼にねだったわけでもなんでもないし。ただ、取りやすそうな位置にあるのを見た彼がそれを取って、『ほら、やるよ。』って渡してきただけだよ。」
「いや、それ十分プレゼントじゃないですか。」
「そうかい?」
「だって大切に飾ってあるし・・・」
「ちょうどそこが置き場所にちょうどよかっただけだよ。それに、ぬいぐるみでも置かないと勉強机なんかは特に殺風景になってしまうしね。」
ふーん、と短く相槌を打った橘は何かを思いついたように佐々木の方を向き直り、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「で、その日は他に何をしたんですか?」
「他に何を、って特に何も・・・」
橘は佐々木の顔に浮かんだ一瞬の戸惑いを見逃さない。
「だってゲームセンターって他にも色々あるし、時間をつぶしたならそれだけじゃないはずだし、なによりも」
橘はふっふっっと笑うと
「『それは』彼にねだったわけではないんでしょ?」
佐々木の顔には誰が見てもはっきりわかるくらい、しまったと書いてあった。
「あまり、人の揚げ足を取るのはいい趣味とはいえないよ、橘さん。」
そう言って、唇を尖らせて佐々木はプイッっと横を向いた。
「ふふっ、わかりました。」
そう言って橘は愉快そうに笑うと、
「でも、いつかちゃんとのろけ話してくださいね~。」
と、ぬいぐるみで腹話術をするように、そのぬいぐるみの手を振った。
そして、佐々木は
―今度からは彼女の前で財布を開くときは気を付けよう・・・
と小さく決意していた。
さすがに彼と二人で写っているプリクラなんて見られたら、言い逃れのしようがない。
ましてや、自分でも信じられないくらいの笑顔で彼の隣で写っているとなれば、なおさらね―

『ぬいぐるみ』

佐々木スレ10-430 「くくっ、キョンは良いお父さんになれそうだ」

2007-07-20 | その他佐々木×キョン

430 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 18:32:13 ID:FjNZA3U5
「いいかい、ノンバーバル(非言語的)コミュニケーションによって、
人間は言語に頼らないコミュニケーションも一定程度可能だ。
ただし、そのためには個体に関する情報の蓄積が必要になる。
残念ながら貴方と僕の間にはこれまで一面識もなく

……ああ、もう、どうしてこの子は泣きやまないんだろう、なんとかしてくれ、キョン!」

「佐々木……お前は赤ちゃんの相手が苦手なんだな。
そんなことじゃいい母親にはなれないぞ」

「だから今練習してるんだ、あ、あ……」

「うう、酷い目にあった、笑わないでくれないか、キョン」
「いや、優等生の佐々木にも苦手なものがあるんだと知ってな。親近感が湧いたよ」

「それにしてもキョンは乳児の世話になれているんだね、意外と言っては失礼かな?」
「妹の世話で慣れてるからな」

「くくっ、キョンは良いお父さんになれそうだ。僕も練習しないとね」



佐々木は言葉が通じない相手は苦手そうな気がした。


431 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 18:38:53 ID:gWKl+MJl
「くくっ、キョンは良いお父さんになれそうだ。将来の赤ちゃんの世話は全てキョンに任せることにするよ。」

「何で俺がお前んとこのベビーシッターを押し付けられんといかんのだ。自分でするか旦那にやってもらえ。」


432 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 18:39:56 ID:fXkYtxm3
>>430
うーん、まずは・・・そうだな、母乳をあげる訓練をしてみないか?佐々木よ
やはり赤ちゃんは母乳で育てるべきだと思うんだ
・・・いや、他意はないんだ、本当だ
そもそもそんな積極的に見たいほど立派なおっぱry


433 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 18:44:28 ID:4sw8pwYX
>>432
いくら無いも同然とはいえ見てみたいものだが


434 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 18:46:43 ID:gaD/CT6X
>>433 そもそもの期待値が低いので、何が出てきても喜ぶといえよう。


435 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 18:58:43 ID:CUnVDc22
またこの流れかww
佐々木は微にゅ、じゃない美乳ってところだろ
高校生にしては大きい方ジャマイカ?


436 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 19:13:11 ID:+Xjlqev5
>>432-435
おまいらもうすぐ頼んでないピザが届くから待ってろよww


437 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 19:21:01 ID:Zul/xDTX
>>432-435は神隠しにあうとして…
佐々木が母親になったら子供にどういう風に接するのかな


438 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 19:24:07 ID:MONXwWTD
娘がもしいたら、佐々木の真似して僕っ子口調になりそう


439 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 19:31:53 ID:Yl+DR/jK
娘「ボクはキョン君が世界一だぁいすき~」
佐々木「ぼ・僕だって負けてないよ、キョン」
キョン「……やれやれ」


440 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 19:33:04 ID:CUnVDc22
子供に塾に行かせたりして頭の固い親になりそうな気が…


441 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 19:36:05 ID:uX8F/WhB
>>439
Greatest!!!!


442 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 19:37:12 ID:MONXwWTD
>>439
新ジャンル「幼女で僕っ子」


443 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 19:40:05 ID:Zul/xDTX
>>439
これはキョン苦労するだろうなぁw


444 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 19:45:37 ID:fXkYtxm3
ちょっとヤバい母親のような


445 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 19:51:59 ID:P8mwmFsZ
娘「おとうさんきいてー」
キョン「なんだほしい物でもあるのか?」
娘「ママがねー、このよの生物は死んだらたんぱく質のカタマリになるんだってー♪」
佐々木「くっくっ。幼い子供というのは本当に面白いね。」
キョン「オイ」


446 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 19:57:07 ID:Zul/xDTX
>>445
これはワカメ以上に黒い子になるぞww


447 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 19:58:03 ID:uX8F/WhB
>>445
俺だったら
間違いなく、「・・・。何だって?」ってなるな


448 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 19:59:27 ID:w6JTxACR
「ねえパパ、うちの姉妹全員母親違うのに、どうしてみんな同い年なの?」



という電波を受信した。


449 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 20:01:07 ID:ZBbOCOmw
>>448
何人姉妹ですか?


450 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 20:01:24 ID:uX8F/WhB
>>448
これは全俺最驚のカオスwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


451 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 20:05:34 ID:Zul/xDTX
>>448
キョン、たらしってレベルじゃねーぞww


452 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 20:06:28 ID:P8mwmFsZ
古泉「今夜はどうも、ご馳走様でした。奥様によろしく」
キョン「いいってことよ、またいつでも遊びに来いよ!」
ハルヒ「今度はもっと豪勢な物出しなさいよ!」
娘「ばいばいみくるちゃーん」
みくる「ばいばーい♪」



みくる「キョンくん、幸せそうでしたね…」
ハルヒ「……………キョンもパパか…」

ハルヒ「ぐすっ」
みくる「す、涼宮さん?」
ハルヒ「な泣いてなんかないわよ…」
古泉「今日は、みんなで飲み明かしましょうか」


453 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 20:06:28 ID:CwPqR1xi
>>420
御世基地かわいいよ御世基地
キョンのフラクラっぷりに久々に殺意を覚えたw


454 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 20:08:18 ID:cXQZlOlf
キョンは婿養子になったのか。


455 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 20:09:17 ID:Zul/xDTX
>>452
ハルヒ好きってわけじゃないけどハルヒがカワイソウになった…


457 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 20:11:34 ID:CUnVDc22
>>452
なんかリアルだw


459 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 20:17:29 ID:Rvf54dw3
>>452
キョンの娘が、キョンの妹そのまんまに思えてならない…
つーか朝比奈さんはいつまでこの時代に滞在してるんだw


460 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 20:20:28 ID:MONXwWTD
>>459
キョン妹を佐々木の髪型にした感じかな?


461 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 20:21:53 ID:uX8F/WhB
>>460
妹を大きくしたのが佐々木
胸は残念なが(ry


462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 20:23:15 ID:zfcl8nTA
>>459
なんかつっこまれるまでずっといる気がする


464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 20:33:39 ID:FDFf6J8b
>>452
途中で
長門「・・・・」
を挟んでほしかった


465 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 20:35:19 ID:Zul/xDTX
佐々木が大人になったらやっぱりポニーにしてるのかな


466 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 20:40:12 ID:CUnVDc22
そういえば佐々木ってキョンがポニー好きって知らないんだっけ?
改めてキョンの中でハルヒ>佐々木ってことを認識させられて鬱になる…orz


467 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 20:41:34 ID:fXkYtxm3
ポニー好きってあれ本心なのか


468 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 20:53:01 ID:CUnVDc22
>>467
そうだろうな

思ったんだけど佐々木の髪型って何なんだろうな
おかっぱではないよな


469 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 21:07:28 ID:4sw8pwYX
>>468
おかっぱがおっぱ(ry


470 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 21:09:51 ID:PGl+NVKa
佐々木は胸が無いからこそ佐々木なんだよ


471 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 21:17:42 ID:FDFf6J8b
小さくは無いんじゃないか?
普通以下ならそれでいいけど


472 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 21:17:50 ID:fXkYtxm3
おっぱいパインパインで「僕」言われても困るよな
えっちょっと何この美少女なのに美少年ぽい口調はっ?
という背徳的な雰囲気を醸すためにはスレンダーでなくてはっ


473 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 21:25:06 ID:rm51uSrJ
粗品には粗品のよさがあるのです!!!!


474 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 21:28:55 ID:MONXwWTD
>>473
ツインテールの癖に…


475 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 21:30:18 ID:4sw8pwYX
チチが嫌いな男子なんかいません!!!!


476 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 21:31:06 ID:FDFf6J8b
>>475
男が100人いたら5人はガチなゲイってハルヒが言ってた


477 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 21:31:35 ID:pXJOLC5R
だから、尻だって。


478 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 21:31:49 ID:Zul/xDTX
佐々木はボブ、橘はツインだな
九曜はポニーにしたらいいとオモ


479 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 21:33:49 ID:sZvppAwM
●<僕は胸の大きさよりも包容力があるほうが良いですね。背がそこそこに
高くて面倒見のいいタイプなんか最高です。偶然にも団員で一人そういう方を
ご存知なんですよ。


480 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 21:35:12 ID:EjuOZIw4
>>449
9人ジャマイカ? ※喜緑さんは外してます


481 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 21:40:04 ID:CwPqR1xi
ハル長みく佐々橘昆鶴朝ミヨ の九人?


482 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 21:40:45 ID:CUnVDc22
>>479
自重しろww

>>478
成る程、ボブか
てか昆布がポニーにしたら恐ろしいことになるぞwww

あれ?背後に喜緑、いや、鬼緑さんg


483 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 21:58:13 ID:rm51uSrJ
ワカメ自ちy


484 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 21:59:10 ID:AzGL3JOl
ながるんが佐々木の胸に関する記述を明記してないから実際どんなもんか分からん

しかし靴の特集ののいじ絵ではハルヒとそう変わらんぐらいあったぞ






は!もしや驚愕の真相は佐々木の胸が!!!1!1!


485 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 22:03:16 ID:ZBbOCOmw
>>448
うちの子が一番可愛い、うちの子が一番賢いとかでもめそうw
その隙にキョンは娘にすらフラグを立て(ry


486 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 22:09:18 ID:PGl+NVKa
佐々木はハルヒと対を成す存在だろ?
ハルヒは変化を望み、佐々木は平穏を望む
ハルヒは胸が大きいから、佐々木は(ry


487 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 22:16:35 ID:Zul/xDTX
ハルヒが大きいだけで高校生にしたら佐々木は十分な胸の大きさだと思うけどなぁ


488 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 22:34:52 ID:CUnVDc22
佐々木より胸が大きいキャラって誰がいる?
あまり思い浮かばないな


489 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 22:35:40 ID:rm51uSrJ
くっくっ・・・なんだい、このちちスレは・・・#


493 :480:2007/06/02(土) 22:49:26 ID:EjuOZIw4
wktk

あとさっきの奴だが、10人or11人だった。
涼宮ハルヒ
長門有希
朝比奈みくる
鶴屋さん
朝倉涼子
阪中
佐々木
橘京子
周防九曜
吉村美代子
以上10名に加え、場合によっては

でw


494 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 22:55:00 ID:fXkYtxm3
>>493
問題は佐々木が第何夫人なのかってことだな


495 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 22:55:19 ID:CUnVDc22
佐々木は分かるけど後のメンバーの中に子供を産めるか疑問なキャラがw
あと血の繋がった兄弟の間にできた子供は障害を持って生まれてくるんだぞ…


497 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 23:02:29 ID:FjNZA3U5
>>495
必ず、ではないしTFEIや神様がいれば問題ではない


498 :480:2007/06/02(土) 23:06:13 ID:EjuOZIw4
>>494
佐々木はハルヒと同格だから、第1か第2と妄想

>>495
たしかTFEI達が、キョンの遺伝子データと自身の構成情報を掛け合わせて、『子』となるインターフェースを生み出す、とかってネタがあった気がするから、種の保存機能が無ければそれでw
あと近親交配は先天性障害を持って産まれてくる可能性が高くなるだけで、絶対にと言うわけじゃあ無いさw


499 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 23:08:20 ID:Rvf54dw3
ここで黒キョンを貼ってみる
ttp://www.youtube.com/watch?v=ePqzH5uhV_I
つまり、血が繋がってるとは限らな(ry


500 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 23:09:23 ID:Zul/xDTX
意味は分かってるけど近親交配の危険性を佐々木に説明してもらいたいなw


503 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 23:22:33 ID:MONXwWTD
>>500
俗に言うなんたらタブーだな


508 :もし佐々木団+キョンが北高生でSOS団が光陽園学生なら:2007/06/02(土) 23:50:45 ID:sZvppAwM
今日の分はここまで。もうちょっと進もうと思えば進めるけど焦るとよくないしまた
明日か明後日あたりにかきます。

>>500
●<僕でよければ説明させて戴きますよ。


509 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 23:58:05 ID:AsVQ5Y0C
>●
お手並み拝見といこうか

あと乙ですた


514 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/03(日) 00:27:16 ID:Uh7CS0Jl
>>509
●<おっと、僕はそろそろアルバイトの時間みたいです。代役を立てておきますよ

「確かに普通に交配するよりも精神や肉体に遺伝子的疾患や死産の確立は
数倍ほどになるが元々の確率が低いからそれほどたいした問題じゃない。
そもそも近親交配がタブー視されているのは倫理的な観念があるからさ。
これはウェスターマーク効果による刷り込みが…って聞いてるのかい?」


517 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/03(日) 00:41:49 ID:T6JgSsiX
でも、昔は近親交配は結構あったらしいよ
特に皇族とか


>>492
俺は早い時は2日で30Kいける
遅い時は一週間で10K
携帯厨だから休ませながらやらんと携帯が熱暴走するんだぜ


518 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/03(日) 01:34:55 ID:eu9tEddL
>>492
1レス(60行弱)分でも書き下し~推敲含めて2時間くらいかなあ
それでも誤字脱字が減らないのは何ともはや

あと最近書く気が減退してて悲しいorz

>>517
源氏物語とか近親(大体3親等以上)ばっかりですね
まあ貴族だと家の事情もあるのだろうけれど


527 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/03(日) 02:40:48 ID:Zihn5sX9
まあ一回や二回の近親交配で問題が起きる可能性はごくわずかだな。
多少免疫能力は落ちるかもしれんが。
昔の王族皇族貴族みたいに延々近親ばっかりだと少々アレな子供が生まれたり、血友病とかの遺伝子系の疾患が多発したりするが。
現代で問題になるのは大部分が倫理面だろうな。

佐々木スレ10-413 「冬の日のコンフェッション」

2007-07-20 | その他佐々木×キョン

413 :冬の日のコンフェッション 1/7:2007/06/02(土) 15:18:30 ID:yZ5bybz1
 あれは俺がまだ、SOS団などという奇矯かつ奇天烈で何をしたいんだかわからない団体
に所属していなかった、退屈ではあったが毎日をつつがなく過ごすことの出来た頃のこと
だ。
 今から考えれば貴重な日々だったとしみじみ思う。
 当時俺はそ中三であり、人生を謳歌すべきモラトリアムの途中で立ちはだかる、高校受
験という障害物競走に挑まなくてはならない立場であったある日のことだ。

「キョン、キミはいったいどういった女性が好みなのかな?」
 特別ではないごくありふれた昼休み、机を向かい合わせにして共に給食をつついていた
時、佐々木が藪から棒にそんなことを尋ねてきた。
 俺は呆気にとられて、食いかけの玉子焼きを佐々木の皿の上にはじき飛ばしてしまった。
「いらないのかい? なら僕が頂こう」
 佐々木はそう言うと、ひょいと俺の食いかけを箸でつまみ上げ、そのまま口に放り込ん
だ。
 これって、間接キスか? なんてドギマギするほど俺はうぶではないし、また佐々木相
手にそういった気持ちになることはない。佐々木もおそらくそうだろうが。
 俺は宙をさまよっていた箸を休め、代わりに佐々木を見据えてその意図を探るかのよう
に、
「佐々木、今いったいなんて言ったんだ? それに、俺からそんなことを聞き出してどう
しようってんだ?」
 佐々木は俺にそう返されることなど予想済みで、すでにそれに対する答えを用意してい
るいった様子でよどみなく答えた。
「実は、酔狂にもキミに思いを寄せている女生徒がいてね。彼女からキミの女性に対する
嗜好を聞き出してくれないかと依頼されたわけだよ。まあ、僕としても多少興味を憶える
話題でもあったのでね、引き受けてしまったよ」
 酔狂って、そりゃないだろう。しかし……俺に思いを寄せている女生徒がいるだと? 
なんつーか、ピンとこねえな。
 まあ理由は簡単で、生まれてこの方女にモテた試しがないからだ。自慢ではないが。
 もちろん、それが嬉しくない訳じゃない。それなりに関心はあるし、あわよくば相手を
見てみたいとも思ったりもする。付き合う付き合わないは別としてだ。
 すると、俺の邪念が表に出てたわけではないだろうが、佐々木は犯人の匂いを嗅ぎ取っ
たシェパードのような顔つきで俺を凝視し、
「キョン……おい、キョン! みっともない顔をしてないで、早く食べたまえ。それから
さっきの問いに答えてくれないか?」
 みっともない顔とは失敬なやつだ、などとはとは思いつつ、俺は白州に登場した奉行の
ように顔をやや引き締め、
「そりゃあ答えることはやぶさかではない。しかし佐々木、なんでそんなに機嫌が悪そう
なんだ?」
 俺がそう答えると、佐々木はさらに顔をムッとさせて、
「僕はそんな顔はしていない。キョン、キミの見間違いだ」
 どう見ても機嫌が悪そうにしか見えないが、これ以上何かを言うことはよしておこう。
というのも、肉食獣の接近を感じ取った草食動物のような俺の第六感が、警報のサイレン
をジャンジャン鳴らしていたからだ。これは学校というサバンナで生きていくのに必要な
処世術さ。
 気まずい雰囲気が俺と佐々木の間に漂った時、いち早く給食を食い終えた国木田が、ま
るで壊れかけた橋を補修する工兵部隊のように絶妙のタイミングで俺たちの席の横に近づ
き、そして話しかけてきた


414 :冬の日のコンフェッション 2/7:2007/06/02(土) 15:19:28 ID:yZ5bybz1
「キョン、ひょっとして犬も食わないようなけんかの真っ最中だったかな?」
 周りからクスクスと漏れる笑い声。こいつら、聞き耳立ててたな?
 しかし、またその話かよ。まったく、俺と佐々木はただの友人だと何度言ったらわかる
んだ。
「それは置いておいて。佐々木さんさっきの話だけどね、キョンは年不相応な容姿をして
いる女の子が好きなんだ。例えば年上なのに幼い顔しているとか、逆に年下なのに妙に大
人っぽいとか」
「こら国木田、さらっと何を言いやがる。俺の性癖を勝手に決めつけるんじゃない!」
 それってただの変態じゃないか。
 しかし俺のツッコミにはどこ吹く風の国木田は、関係者の制止を振り切る芸能レポー
ターのようにさらに話を続けた。
「この間もね、キョンは妹さんの友達のことを、まるで自分の彼女のように散々ほめち
ぎっていたもんね」
 ミヨキチのことか? 確かに国木田に自慢しちまったような記憶はある。
 それを聞いた佐々木は平然としているようだったが、少し口元を引きつらせたように感
じるのは何故だろうな。
 だが、もし俺をロリコンの気があると誤解しているのなら大きな間違いだ。ミヨキチを
一目見てくれれば、佐々木にだって俺の礼賛が決して大げさじゃないことはわかるに違い
ない。
 そうだな、今度佐々木に引き合わせてやろう。驚くぜ、佐々木は。
 なんてことを俺が考えている間も、国木田は俺たちだけでなくクラス全員の視線を集め、
そしてそれにまるで気づいた素振りもなく、まるで制御棒のない原子炉のようにその舌は
回り続け、その天然ぶりを存分に発揮した。
 もしここでクラスの連中の視線から視聴率を取ったら、間違いなく80%を超えるだろ
うな。まったく、俺たちはこの連中の退屈しのぎの対象かなんて思ったりもする。
 国木田はさらに付け加えるように、
「あとは、本人を前にして言うのも何だけど、佐々木さんみたいに一風変わった感じの子
もけっこう好きなんじゃないかな」
 そこで、わぁっと小さな歓声が起こった。何を喜んでいるんだ、こいつら……。
 だが佐々木はさしたる動揺もせず、ただひたすら俺を見つめていた。やや焦点が合って
いないように感じるのは、俺の考えすぎだろう。それと、さっきからまるで箸が進んでい
ないんだが、些末な問題だな。
 しかし、もうなんて言うかこれはノーコメントだ。ちょっとそこの窓から、ひょいっと
飛び降りたい気分になってきたぜ。
 まったく国木田のやつ……俺に変な属性を付け加えるなっての! 俺はノーマルであっ
て、お姉さん好きでもロリコンでも、はたまた変わった女が好きだなんて属性でもないぜ。
「ほう、ではなにかい? 僕のような女は、決してキミの好みには合わないということか
な?」
 つい口を滑らせてしまったうかつな俺に向かって、まるで獲物のヌーを見定めたライオ
ンのように視線を鋭くし、佐々木はそう述べた。
 俺はわけもなく、背中に氷を滑り込ませられたかのように氷点下を感じた。
 佐々木、お前は恋愛など精神病の一種と言っていたじゃなかったのか? それでも好み
じゃないといわれるのは、乙女心をいたく傷つけられるのだろうか。そう言ったつもりは
ないんだが。


415 :冬の日のコンフェッション 3/7:2007/06/02(土) 15:20:27 ID:yZ5bybz1
 難しいね、女ってやつは。
 それでも俺は佐々木をなだめるために何とか弁解しようとした。
「いや、そうではなくてだな、これは言葉の綾ってやつであって、お前を対象とした言葉
じゃないんだ。そもそも、すでに友人関係を結んでいるのだから、好みだとかは関係ない
じゃないか」
「友人ね……確かにそうだな。いや、すまないキョン、僕としたことがつい取り乱してし
まったようだね。お恥ずかしい限りだよ。許してくれるかな」
「よかったね、キョン。これで元の鞘だね」
「お前は少し黙ってろ!」



 そして放課後、今日は塾に行く日であったので、俺たちはまず俺の家に向かった。そこ
でママチャリを出してきて佐々木を後ろに乗せてそのまま塾に向かおうというのだ。
 帰り道、辺りの風景が緩やかに後方に流れて行くのを目の端に捉えながら、俺と佐々木
はてくてくと歩を進めた。
「キョン、ちょっと聞きたいんだが、さっきの話はどこまでが本当なんだい?」
 しばらく歩いていると、隣の佐々木が不意にそんなことを尋ねてきた。
「あれは国木田が勝手に言ったことであって、俺の好みとは関係ないぜ」
 本当は、少し当てはまるところもあるなんてことは言えない。
「そうかい、じゃあ本当のところはどうなんだい? どう言った女性が好みなのかな?」
 今日の佐々木はやけにこだわるな。それほど依頼をしてきた女生徒の約束を律儀に守る
つもりなのか。
「別に好みだとかはないさ。もし俺が誰かを好きになったとしたら、それが好みだったん
だろうよ」
 俺はそう答えておいた。
「上手く逃げられたような気もするが、わかったよキョン。その子にはそう伝えておこ
う」
 ふっと息をついて、俺の方に顔を向け、そして柔らかく微笑みかける佐々木。
 別に逃げた訳じゃないさ。それも俺の本音なのだからな。
「佐々木、ところでその子のことだが、どういう子なのか教えてもらえないか?」
 別に助平心とかじゃなくてだな、少し関心があるだけだ。しょうがないだろう、健全な
青少年なんだから。って、俺はいったい誰に弁解しているんだろうね。
 俺の問いかけを受けた佐々木はやや瞳を細めて俺を一瞥し、
「なんだいキョン。キミは彼女にそんなに興味があるのかい? しかし、残念なことに僕
には彼女との約束により、守秘義務というものがあってね、君の意向には沿えそうにない
よ。まったく、残念なことだね。くっくっ」
 佐々木は喉を鳴らして独特の笑い声を漏らしたが、しかしながら顔は笑っていないとい
う複雑かつ表現しがたい様子であった。どうやら、それ以上は質問をするなと言うことか。
 これは教室での一件とダブりそうな妙な空気だ。俺の何がまずかったのかわからんが。
 そこで俺はどう話題を変えようかと頭を悩ませていたが、幸いにも俺の家が見えてきた
ところでその会話は終了だ。


416 :冬の日のコンフェッション 4/7:2007/06/02(土) 15:21:30 ID:yZ5bybz1
 それからほどなく俺たちは家に到着したが、まだ塾に向かうにはかなり時間があるので、
佐々木には家で適当に時間をつぶしてもらうことにした。
 木製のドアを開け、玄関をくぐると靴を脱いだ。そして制服姿のままの佐々木を案内し
て、リビングに向かうことにした。
 俺たちがリビングまでやって来ると、その入り口からは妹のかしましい声がまるでザル
に注ぎ込んだ水のように際限なく漏れ出てきた。
 それを迷惑に思いながらも、俺たちがリビングに入ると、そこには下手をすれば小学校
低学年に見られかねない妹と、とてもその同級生とは思えないほどの容姿を備えたミヨキ
チがソファに座ってテレビを見ながら談笑していた。
 俺と佐々木に気がついた妹は嬉しそうに「キョンくんお帰りー」と太陽を真っ青の明る
さで俺たちを歓迎してくれた。ミヨキチは俺を見て彼女もまた嬉しそうにしていたが、
佐々木を見た途端に一瞬戸惑ったようで、まるで薄雲がたれ込めたような表情になった。
 なんだろうな、とは思ったが、きっと初対面だからだろうとあたりを付け、それに気づ
かぬ素振りで、
「やあ、ミヨキチ。キミも来ていたんだ」
 と俺が軽く挨拶すると、
「お兄さん、こんにちは。お邪魔しています」
 とミヨキチはやおら立ち上がり、礼儀作法のハウツー本そのままのきれいなお辞儀をし
た。
 俺は彼女の礼儀正しさにに感心しつつ、それに気持ちを和ませながら、
「ミヨキチ、2週間も会わないうちにずいぶん大人っぽくなったし、それに綺麗になった
ね。本当に妹にも見習わせたいよ」
 ミヨキチは俺の言葉を受け途端に顔を赤く染め、
「お兄さん、そんな大人っぽくだなんて、その……恥ずかしいです」
 俺の手放しの賞賛に恥じらい、くすぐったそうにしているミヨキチはとても初々しく、
そしてどこまでもかわいらしかった。俺は庭に咲く花のようにいつまでも愛でていたいと
思ったぐらいだ。
 しかし、ふと隣で無言で座っていた佐々木が、俺に無言のプレッシャーとも言うべきエ
ネルギーを発しているのが感じられた。
 俺はぎょっとして佐々木を見やると、まるでなんでもない表情だ。というより、無理に
表情を消していると言った様子か。
 それをミヨキチも感じ取ったのかはわからないが、俺の方に体ごと向き直るとおそるお
そる、
「あの……そちらのお姉さんは、お兄さんのお友達の方ですか?」
「ああ、こいつは佐々木っていって俺の……」
 と言いかけたところで佐々木が、俺の返答を遮るようにゆっくりと口を開き、
「友人さ。ただし、普通の友人ではないつもりだけどね」
 と言った後、佐々木はミヨキチと視線を合わせた。だがそれに対するかのように、ミヨ
キチも臆することなく佐々木を見つめている。
 それにしても、普通の友達ではないってどういう事だ? まあ、普通よりはやや親しい
ことは確かだが……。おそらく、佐々木が言っているのは、そういった意味なんだろうな。
 しかし二人の様子は、まるで米ソの冷戦をこの場で見るようだった。今にも中距離弾道
ミサイルが飛んできそうであり、キューバ危機ってのは、こういうのを言ったんだろうな。
 ……しかし、これはいったいどういう事なのだろう。それに、俺には彼女がいつもの冷
静な佐々木には思えなかった。
 ひょっとして、二人を会わせたのはまずかったか? だがまさか、それほど相性が悪い
とは思わなかったんだ。俺の失策だな。


417 :冬の日のコンフェッション 5/7:2007/06/02(土) 15:22:30 ID:yZ5bybz1
 すると隣にいた佐々木が、不意に俺へ殊更笑みを浮かべて顔を向け、
「キョン、この綺麗なお嬢さんが国木田の言っていたキミの妹君の友人かい?」
「ああ、そうだ。彼女は……」
 と言いかけたところで、今度はミヨキチが佐々木に向き自己紹介を始めた。
「あの、わたし、吉村美代子です。お兄さんにはミヨキチって呼ばれてます」
 こういう状況にもかかわらず、ミヨキチは律儀にもお辞儀をしていた。俺の妹の友達に
しては本当に良い子なんだよな、ミヨキチは。
 佐々木は俺の耳元で囁くように、
「本当に、おどろいたよ。彼女の姿形は……そうだね、中学生と言っても差し支えないほ
どじゃないか。それよりも驚嘆の声を上げざるを得ないのが、彼女が僕よりもすでに上
回っている部分……いや、なんでもない。今のは忘れてくれたまえ」
 と、佐々木はまずいことを言ってしまったという表情を浮かべた。
 上回っている部分とはなんだろう……? 
 ……今、ふと思い当たったたのだが、しかしこれは言うべきではないだろう。佐々木の
名誉のためにも、ここは俺の胸にしまっておくことにする。それは言わない約束だよ、お
とっつぁんってことだ。
 しかし俺がそんなことを考えていたとき、それまで俺たちのやりとりとをおもしろそう
に鑑賞していた妹が、ミヨキチの自己紹介に付け加えるように佐々木に対し口を開いた。
「あのね、ミヨちゃんはねえ、キョンくんのことが大好きなんだよ!」
 妹はまるで邪気のない、天真爛漫な笑みを浮かべてそう発言した。
 その瞬間、佐々木はギョッとしてそのはずみでお茶が気管に入ってしまったらしくゴホ
ゴホと咳き込んだ。
 一方、ミヨキチは妹の発言を耳にして一瞬青ざめ、今度はまるで信号機のように顔をは
じめとして裾から伸びる手足や首筋まで全身を赤く染めた。
 そして、そのリビングでは、佐々木とミヨキチの2人がまるで小さな悪魔に呪文を封じ
られた魔法使いのように、しばらくの間フリーズしていた。
 そこで俺は真意を確かめるため、何の気なしにミヨキチに尋ねてみた。
「ミヨキチ、今妹が言ったことは本当かい?」
 すると、ミヨキチは体をビクッとさせ、俯いていたその赤い顔のままゆっくりと見上げ、
そして俺に視線を合わせた。
「は、はい。ほ……本当です!」
 最後はまるで叫びにも似た返答だった。
「そうか……そう思っていてくれたのか。うん、俺は嬉しいよ」
 と言って、俺はミヨキチに対して優しく微笑みかけた。
 すると、ミヨキチはいかにも信じられないといった表情でまじまじと俺を見つめ、
「あの、お兄さん……それって……」
 続いて佐々木が、驚きと怒りとその他解析不可の感情をないまぜにした複雑奇妙な表情
で、
「キョン、キミはまさか……」


「ああ、ミヨキチ。キミは俺のことを兄のように慕ってくれているんだろう? ありがと
う、本当に嬉しいよ」



418 :冬の日のコンフェッション 6/7:2007/06/02(土) 15:23:27 ID:yZ5bybz1
 本当にミヨキチは良い子だよ。俺を本当の兄のように好きだって言ってくれているんだ
からな。
 だがその瞬間、なぜか部屋の中が凍り付いたような気がした。
 なんだ? と思ったのもつかの間、一瞬にしてパンパンに張り詰めた風船から空気が抜
けるように、何かが霧散した。
 ふと見てみると、二人とも気の抜けたというより、魂が抜けたしまったような虚ろな瞳
で俺を見ている。
 おいおい、なんだよいったい? 怖いぞ。
 しかし、わずかな間をおいて我に返った佐々木は、長嘆息した後に自嘲的な笑みを浮か
べ、
「キョン、見事だよ。本当に、キミってやつはどこまで……」
 いや、なんのことかわからないんだが……。
 ひょっとして俺はバカにされているんだろうか。
 そこでふと気になって、斜向かいを窺ってみると、ミヨキチもなにやらホッとしたよう
ながっかりしたような、なんとも複雑そうな表情を浮かべていた。
 俺、何か変なことを言ったか? などと俺の脳みそから、ほんの3分前の記憶を絞り出
すように呻吟していると、佐々木が何か思い出したように俺に顔を向け、
「キョン、そろそろ塾に向かう時間じゃないかな? あんまりのんびりしていると開始の
ベルを聞くことなく今日の授業が始まってしまうぞ。さあ、いつものように僕を後ろに載
せてくれないか?」
 すっかり失念していた。だが、今からだとギリギリじゃないか?
 それに気がつき、俺は一刻も早く出発するため、やや焦り気味に玄関に向かおうとした。
 だが、ミヨキチは俺を呼び止め、
「お兄さん、あの……さっき私がお兄さんのことを好きだと言ったのは、本当のことです
から」
 そう言い終えると、ミヨキチはまるで瞬間湯沸かし器のように頭から水蒸気をもうもう
と出しかねないほどに赤くなってソファに座って俯いてしまった。
 しかしその時、なぜか妹が『ミヨちゃんがんばって』としきりに囁いていたのが印象的
だった。
 何をがんばれと言うんだ? つうか、がんばるのはお前だろう。お前は少しミヨキチを
見習って、もう少し兄に対して敬意を払ってくれ。そうだな、とりあえずはいつまでも兄
に対して『キョンくん』と呼ぶのは止めようぜ。
 そんなことを考えながら俺は、押し黙ってミヨキチを見つめていた佐々木に声を掛けリ
ビングを出た。去り際にミヨキチと妹に対して手を振りながら……。



 受験が間近に迫った真冬の夕方、俺は佐々木を後ろに乗せ、いつもの1割増しの速度で
北口駅前に向かう緩やかな傾斜を下りゆく。
 眼前の夕陽を視界に入れながら、俺はしみじみと考えていた。
 もはや恒例のイベントとなった佐々木を後ろに乗せて塾に向かうこともあとわずかかと
思うと、少し寂しくもあり、逆に本来なら余暇の時間として与えられているはずのこの夕
凪の時間を塾などという収容所から解放されることに嬉しく思うこともある。まあ、なん
ていうか感傷的になってるんだろうな。似合わんことだが。
 それからしばらくは無心にペダルを踏み続け、ママチャリがそろそろ平坦な道に差し掛
かったとき、それまで沈黙を保っていた佐々木がおもむろに俺の背中へと話しかけた。
「キョン、吉村美代子さん……彼女は本当にすばらしい女の子だね」
 ああ、それには大いに同意したい。よく俺の妹の親友になってくれたものだ。
 佐々木はふっと笑い、
「それに彼女は、妹さんによるハプニングがきっかけとはいえ、あそこまでキミに対して
はっきりと言えるなんてね……」
 はっきりって、俺を兄として慕っていると言ったことか?
 しかし佐々木は、喫茶店で注文を間違えられた客のように、さも呆れたような溜息を漏
らし、
「やれやれ、結局はそれか。ふぅ……キミときたらまったく……。しかし、だからこその
キミだな。僕はある意味安心したよ」


419 :冬の日のコンフェッション 7/7:2007/06/02(土) 15:24:19 ID:yZ5bybz1
 何やらまたも佐々木にバカにされたように思うのだが、気のせいだろうか? それでも
佐々木の口調が少し優しげだ。例えるなら、至らない我が子をむしろ慈しんでいるようで
もあった。
 だが佐々木は再び沈黙し、何かを考えている気配が後ろからひしひしと感じられた。
 そして俺の漕ぐママチャリが支線の沿道に差し掛かった頃だろうか、佐々木が魔法書の
封印を解くかのように沈黙を破り、そして、
「キョン、もし僕がキミのことを……」
 と言いかけたところで、無遠慮にやってきた電車がレールを叩きつける音と、それに被
さるように警笛の音が佐々木の言葉を全てかき消した。
 俺は佐々木の言葉を確認するため停車し、後ろを振り返ったが佐々木は何でもなかった
かのように首を振り、
「さあ、早く行かないと遅れるぞ。例え塾とはいえ、僕はこれでも無遅刻無欠席で通して
いるんだからね」
 佐々木は殊更明るい声で俺を促した。
 それを受けて、俺は気持ちを切り替えるように再びペダルを踏み込んだ。

 ――あの時、佐々木は俺に何を言おうとしていたんだろうか。


 それから一年を経て佐々木と再会した日の夜、俺はそんなことを考えながら部屋で本日
のSOS団強制イベント、市内探索で手に入れた戦利品の品定めをしていた。

 ああそれと、佐々木が言っていた俺に思いを寄せる女生徒とやらは、ついぞ現れること
がなかったことをここに追記しておく。結局は謎のままで終わった。
 もちろん、佐々木が語ってくれることもなかった。


終わり

佐々木スレ10-401 佐々木団の会合にて。

2007-07-20 | その他

401 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 14:00:36 ID:qE/VvriX
佐々木団の会合にて。

「藤原」
「なんだ」
「君に尋ねたいことがあるんだが」
「言ってみればいい」
「未来人は、現代人に比べて生物学的見地から見て進化した存在と言えるのかい?」
「何?」
「君の話を聞く限り、人類の叡知の結晶とも言える科学技術は飛躍的な進歩を遂げているようだが、それと並行して、ホモ・サピエンス……すなわちヒトそのものも生体として進化しているのか、ということさ」
「ふん…まあ、そういう意味では大きな進化はないな。ただ…」
「ただ?」
興味深そうな視線を送る佐々木と橘をチラリと見て、藤原は続けた。
「女の胸囲の平均値は大幅に上昇したようだ。僕が現認する限りにおいては」
「…………」
「…………」
「橘さん、彼を私の内面世界に放り込んできてくれないかな」
「了解なのです」


402 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 14:01:35 ID:swcbFwda
好きな子に憎まれ口たたく小学生か藤原w


403 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 14:08:17 ID:CUnVDc22
死亡フラグを立ったなw


404 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 14:27:36 ID:4sw8pwYX
>>401
藤原を佐々木の閉鎖空間に放置するのはどうかと思うので
掃除用具入れの中に放り込んでみる


パンジー「暗いよ狭いよ怖いよーっ」


405 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 14:50:43 ID:Zul/xDTX
藤原は実は佐々木とキョンがくっついた未来の子供じゃないかとふと思った


406 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 14:51:07 ID:9ryfYjCF
ちょwこれはいいパンジーw


407 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 15:07:36 ID:P8mwmFsZ
「どうかしたのかい藤原くん。物憂げな顔をして」
「か、関係ないだろ」
「ははぁ、察するに中間テストの出来が芳しくなかったんだね?」
「う、うるさい。こんな古臭いことやってられるか…」
「ほら、教えてあげるからこっちへ来たまえ」
「…///」

「パンジーの花言葉は『物思い』なのです」


408 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 15:09:45 ID:swcbFwda
藤原が喫茶店で意外とあっさり名前名乗ったのって
ぜったい佐々木に自己紹介しそこねてたからだと思うなあ。

わたりに船というか。
欲を言えば「……下の名前は?」とかも聞いてほしかったっぽいというか。


409 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 15:11:02 ID:P8mwmFsZ
「ほら、だからここはこうなって…」
「な、なるほど…(まままて、そんなに近づいたら…)」
「だからここをこうすれば…」
「(なんだ、肘に何も当たったりしないのか)」


410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 15:12:50 ID:Zul/xDTX
>>407
乙女パンジーワロスww
原作では実はパンジー→佐々木だからライバルであるキョンに冷たいのかなw


412 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 15:17:38 ID:ZBbOCOmw
いや、パンジーはハルヒ以上のツンデレ。キョンの前では素直になれないの。

佐々木スレ10-387 「僕は、ここにいる」

2007-07-20 | その他佐々木×キョン

387 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/02(土) 05:34:20 ID:IMKvClDm
 なぜ私はここにいる?
 きっかけは何だ?
 ・・・これは、ええと学校の校庭・・・象形文字?
 「私は、ここにいる」
 これが、スイッチか。
 ああ、我が半神よ、君はここから・・・。
 だから、私は生まれたのか?
 くっくっ、ああ、色々と繋がったよ、なるほど。
 「地ならし」・・・だけじゃないな、もしもの時のバックアップ・・・あるいは可能性のひとつか。
 ・・・おや、世界の改変が可能なのか。
 ならば、私が主になることも・・・くっくっ。
 おもしろい、おもしろいよ、これは。
 君のあの奇矯な振る舞いはこのためか。
 唯我独尊でありながらも溢れる優しさ。
 自らが生まれるための行為でありながら、それによって押しつぶされるモノたちへ反逆の機会を用意しておくとは。
 またひとつ、君の愛らしさを知ることができたよ。
 よろしい、ならば勝負だ。
 どちらが世界の主となるか。
 もっとも、私がそう決意するのも世界創造の一部かもしれないがね。
 それでも抗わせてもらおう、それが役目なのならば。
 君は私が勝利することを許しているのだからね、これは公正な勝負だ。
 勝てる可能性は十分にある、くっくっ。
 ええと、それでは私自身を再構成しようか。
 このままの記憶と能力を保ったままなら勝利は簡単なんだが、君はそれを望んでいないだろうし、こちらとしてもおもしろくなさそうだ。
 ゲームには一定のルールが必用だからね。
 では、私をこの世界に割り込ませようか。
 ふむ、個人情報はこんな感じで、彼女と交差するタイミングはこんなものかな?
 ええと、名前は・・・今日は七夕か。
 七夕と言えば、笹の葉に願い事か。
 じゃ、笹の葉から・・・佐々はちょっとマイナーだから、無難なところで佐々木かな?
 よし、これで介入、改変すべき情報に抜けは無いね。
 それでは、ゲームスタート。
 
 「僕は、ここにいる」

佐々木スレ10-324 佐々木は友達とゲーセンとか行ったことあるのかな

2007-07-20 | その他佐々木×キョン

324 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 20:19:31 ID:kQLveJm9
佐々木は友達とゲーセンとか行ったことあるのかな


325 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 20:25:27 ID:IN/LWbzS
実は夜遅くまでゲーセンで脱衣麻雀するのが密かな楽しみだったりして
あ、キョンと塾の行き帰りする前ね


326 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 20:35:30 ID:71cd26hL
>>324
放課後、塾が無い日にキョンに連れて行ってもらった初めてのゲーセン。
UFOキャッチャーで彼が取ってくれたぬいぐるみや、
初めて撮った好きな人とのツーショット…もといプリクラは、
僕の一生の思い出です。


327 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 20:37:04 ID:kQLveJm9
ちょww
脱衣麻雀はねーよw
キョンと一緒にプリクラ撮ったりしてたりして


328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 20:41:25 ID:IN/LWbzS
いや冗談だすまん
プリクラだと当たり前すぎてな
でもゲーム大好きっぽい気がすんだけどな


329 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 20:41:58 ID:P7hEfsa3
佐々木は結構格ゲー強そうだ


330 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 20:43:33 ID:SxrsNDG6
なんだろう…マジックアカデミーとかやってそうな印象はある、あとテトリスは確実に強い
俺の経験上から知りうる法則だ!


331 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 20:44:33 ID:qvxaCipQ
ゲームとか毛嫌いしてるイメージがある。
やってパズルゲーとボードゲームぐらいじゃないだろうか。


332 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 20:44:49 ID:fCM7Ka7D
佐々木はテトリス下手そう。

「あ、わわ、キョン! これどうするの!?」


333 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 20:47:46 ID:IN/LWbzS
塾帰りの美少女がひとりで何故か麻雀ゲームやってたら萌えるなと
ひとりでプリクラしててもいいんだけどね


334 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 20:50:23 ID:kQLveJm9
>>326
泣いた…

佐々木はアナログゲームは好きそうだけどテレビゲームは苦手そうだな
テレビゲームをやってたとしてもスーファミ世代しかやらなさそうだ


335 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 20:53:46 ID:++dDIJe1
ぼくはファミコンには興味が無くってね
佐々木よ…、テレビゲーム全般をファミコンと呼ぶだなんておばちゃんだな
おばちゃんとは失礼だな…。じゃあなぜファミ通とかいう雑誌があるんだい?


336 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 20:54:19 ID:P7hEfsa3
>>333
一人でプリクラは寂し杉だな…
佐々木団(藤原はいない)で遊びに行ったりすることはあるのかね?
ゲーセンで橘たちとプリクラとか撮ったりして遊んでたりして


337 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 20:59:16 ID:kQLveJm9
>>335
なんか佐々木らしくてワロタw
佐々木はポケモンみたいな育成ゲームは好きそうだな
あと逆転裁判みたいのも


338 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 21:06:35 ID:pzevsANi
>>335
橘はともかく昆布はそういうことに興味は無さそうだけどねw
プリクラ撮るとき妙に佐々木に密着する橘が連想された

>>336
ポケモンは伝説ポケばっかのメンバーにしてそうだ


339 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 21:10:19 ID:pzevsANi
安価ミス
>>336>>337


340 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 21:13:59 ID:kQLveJm9
>>338
そしてオドシシ等のポケモンのニックネームを全てキョンにしてる佐々木さん


341 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 21:16:54 ID:SxrsNDG6
>>340
モンジャラは九曜かな?いや、モジャンボかw


342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 21:26:06 ID:pzevsANi
ハルヒキャラ全員ポケモンに例えたいけど佐々木が例えにくいな


343 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 21:30:43 ID:kQLveJm9
>>341
奴に消されるぞ…
でもしっくりくるw
>>342
佐々木はポケモンで例えたら知的そうなサーナイトかミロカロスジャマイカ?


344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 21:35:34 ID:FCfWYp1y
ヤマモト・ヨーコ並みのA級シューターだったりして

「怒首領蜂大往生?ああ、なんとか2周目まではいけるのだがね。それから先がどうもね」


345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 21:36:29 ID:SxrsNDG6
虫姫さまやってほしい


346 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 21:40:48 ID:ClAG4LU0
トリガーハート…



いや、やっぱいい


347 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 21:55:31 ID:6ImEs8l+
60秒避けラスト0秒で引っ掛かって落胆する佐々木。


348 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 22:05:37 ID:P7hEfsa3
Fateみたいな伝記ノベルゲームも好きそうだな

「キョン、これはどっちの選択肢を選べばいいんだい?」


349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 22:12:59 ID:y1KnvWSI
昨日の佐々木団+キョンが北高生でSOS団が光陽園学生ならのSSの続きをそろそろ
書き込みます。


350 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 22:16:27 ID:0jagrczw
>>348
1.イリヤを助ける。
2.イリヤを助ける。
3.イリヤを助ける。


351 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 22:21:50 ID:kQLveJm9
>>348
選択肢を間違えて死んで凹む佐々木やえちぃシーンを慌ててスキップする佐々木が目に浮かんだ

>>349
wktk

佐々木スレ10-311 「流星に何を願う」 (5)

2007-07-20 | その他佐々木×キョン

311 :流星に何を願う:2007/06/01(金) 15:57:31 ID:dxIrdRCf


        8


 冬休みを目前に控えた週末、その夜。
 いつも通りに塾帰りに佐々木を家まで送り届け、めしを食ってテレビを見た後、風呂に
入って冷えた体を温めていた。
 そう言えばクラスメイトたちの間では冬休みの話題で持ちきりで、特にクリスマスは誰
と過ごすなんてことで盛り上がっていた。とりあえずその会話の輪に加わっていた俺は、
誰かが「みんなで集まってクリスマスパーティーをやろう」と言い出したのでそれに参加
を表明すると、「あんたは佐々木くんとラブラブクリスマスでしょ」というよくわからな
い理由で何故か丁重に断られた上、仕舞いには「ファイト、だよ?」と主語も目的語も無
いよくわからない応援をされて、一体何と闘えばいいのか俺は首を捻った。
 なんでみんなして揃いも揃って同じような誤解をするんだ。俺と佐々木はそんなんじゃ
ないんだってば。……そんなんじゃないよな? うん、そんなんじゃない。
 なんてことを、さっきテレビでやっていた〈お風呂でできるバストアップ体操〉をとり
あえず試してみながら考えていた。
 テレビじゃあ一ヶ月続ければ効果が出るとか言っていたけど、初日にして既に飽きた俺
はさっさと風呂を上がることにし、その時、何気なく風呂場の大鏡に目をやった。
 鏡に映った自分の姿をしげしげと眺めて思う。
(意外と悪くないんじゃないか?)
 そりゃあ、雑誌のモデルみたいには起伏のある体じゃないけどさ、ウェストの細さには
まあまあ自信が無くはないし、佐々木を乗せて自転車を扱いでるおかげか太腿の筋肉も良
い感じに締まってる。
 ちょっとポーズなんかとってみちゃったりして。腰と頭に手を当てる。うん、なかなか
様になってるじゃないか。鏡の中の自分にウィンクしてみる。
「何やってんだ? 馬鹿みたいだからやめたほうが良いぜ」
「うわあっ!?」
 突然の声に驚きながら振り向くと、パジャマ姿の弟がドアのところに立っていた。
「お前っ、バカー! ひっ、人が入ってんのに勝手に開ける奴が居るか! 出てけ! ス
ケベ! 変態!」
「なんだよ、キョンのくせにいっぱしの女ぶって――痛ってえ!」
 弟の脳天に拳骨をかまし、脱衣所に上がってバスタオルで前を隠した。
「んで? 何なんだよ」
「電話」と言いながらコードレスフォンの受話器を差し出した。
「ドアを開ける前にそれを言え!」
「お姉さんは居ますかって言うから、キョンなら居ますよって」
「誰からだよ?」
「お・と・こ」
 弟はキシシ、と笑うと、もう一回殴られるのを予期したのか逃げるように出ていった。
 俺は受話器を耳に当てて言った。
「もしもし?」
 受話器から一番最初に聞こえてきたのは、聞き慣れた笑い声だった。
『くっくっ、やあ、キョン。決して盗み聞きをするつもりではなかったんだが、全部聞こ
えていたよ。面白い弟さんだね』
 これだ。弟は保留ボタンを押すことを覚えない。
『入浴中だったのかい? それはすまなかった。掛け直したほうが良いかな?』
「ううん、ちょうど上がろうと思ってたところだったし。で、何?」


312 :流星に何を願う:2007/06/01(金) 15:58:43 ID:dxIrdRCf
 俺は体を拭きながら応対した。
『うん、それがね、せっかくお風呂に入った後で申し訳無いんだが、今からちょっと出て
こられるかい?』
「今から? なんで?」
『君に見せたいものがあるんだ』
「見せたいもの?」
『ああ。きっと喜ぶだろうと思って』
「う~ん、急に言われても時間が時間だしなあ。明日じゃだめなの?」
『ああ、明日でも明後日でもだめだ。今日、今からじゃないと』
 俺は困惑していた。思えば、佐々木がこんなふうに熱心に俺のことを誘うのは珍しい。
いや、ひょっとしたら過去無かったかも知れない。佐々木が俺に見せたいと言うものにも
興味はある。
 だけどこんな夜更けに? 正直な気持ちを言えば、せっかく風呂に入って体が温まって、
さあこれから寝ようという時に再び寒空の下へ出掛けていくのは気が引ける。
 しばらく考えたあと、溜息をつきながら言った。
「わかったよ」
『来てくれるかい? じゃあ、今から僕が言う住所に来てくれないか。時間は、準備がで
き次第で構わないよ』

 佐々木が呼び出した場所、それは佐々木の家から程近いところにある高層マンションの
前だった。
 自転車の乗って指定された場所に到着すると、佐々木は既に待っていて、その傍らには
見知らぬ男が居た。
「やあ、よく来てくれたねキョン」
 佐々木が挨拶した。
「この人は誰?」
「彼は僕の仲間だよ」
 隣の男はにこやかに微笑んで喋りだした。
「始めまして。君のことは佐々木くんから聞いてるよ。よろしく」
 佐々木の仲間という男は、遠目で佐々木と二人でいるのを見た時は年上のように見えた
けど、それは隣の佐々木の外見が幼すぎるからで、近寄って見れば同年代らしかった。
「それじゃあ、早速上に行こうか」
「上?」
「屋上さ」
 仲間の男が、入り口にあるパネルのテンキーを操作して自動ドアを開けた。そうか、彼
はきっとこのマンションの住人なのだろう。佐々木と一緒に俺のことを待っていたのは、
佐々木ひとりではこのドアを開けられないからだ。
 エレベーターに乗り込むと、佐々木が屋上のボタンを押す。
 俺はそこで、いよいよ疑問をぶつけた。
「ねえ、屋上に何があるの?」
 佐々木はエレベーターのドアの上にある階表示を見つめたまた答えた。
「地球の公転軌道と――」
「え、何?」
「交差するように、〈ダストトレイル〉という細かい宇宙塵(ダスト)が構成するリング
がある。そのダストは彗星が太陽付近を通過する際に、あとに撒き散らしていったものだ。
地球が〈ダストトレイル〉の軌道に差し掛かった時、無数のダストが地球目掛けて降りそ
そぐ。その光景は――」
 エレベーターが屋上に到着した。
「ちょっとしたスペクタクルだよ」


313 :流星に何を願う:2007/06/01(金) 15:59:42 ID:dxIrdRCf
 屋上には、また何人かの人が居た。彼らも佐々木の仲間たちなんだろうか?
 見れば彼らはカメラを手にしていたり、それにあそこに置いてあるのは――望遠鏡?
 星? 星を見るの?
「このマンションはこの近辺では高い建物だ。観測するにはうってつけなんだよ。そして
この時間にもなれば、段々と民家の明かりやネオンも消える。ほら、見てごらん」
 そう言って佐々木は天頂方向を指差し、頭上を振り仰いだ。つられるままに、佐々木の
視線の方向に目をやる。
 するとにわかに、漆黒の空を切り裂く一条の光の筋。
「流れ星?」
 光はすぐに消えた。けど、またすぐに別に方角に光が現れる。
「えっ、また? あっ、今度はあっち! あっちにも! うわっ凄い、今度は二ついっぺ
んに! 何なのこれ? 佐々木、凄いよ!」
「流星群さ。三大流星群のひとつに数えられる、十二月のふたご座流星群だよ。流星群自
体は数日間に渡って続くが、今日はそれがもっとも活発になる日なんだ。一時間で約八十
個ほどの流星が観測できる」
「流星群……」
「これを君に見せたかったんだ」
 佐々木は視線を夜空から俺に移して言った。
「突然呼び出したりして悪かったと思ってる。事前に約束を取り付けておけば良かったか
も知れないとも思うけど、この週末は曇りの予報だったから、こうやってきちんと観測で
きるという確証は持てなかったんだ」
 そして佐々木は、俺が滅多に聞いたことの無い、不安そうな声を出した。
「わざわざ足を運んできただけの甲斐はあったかい?」
「うん。素敵。本当に……凄いロマンチック」
 俺がそう答えると佐々木はほっとしたように微笑んだ。
 そのまましばらく、俺は夜空を駆ける流星の乱舞に心奪われていた。
「これだけあったらさ、願い事し放題だね」
「流れ星に願い事か。いかにも女の子の好きそうなことだね。何をお願いするんだい?」
「うん? えーっとね――」
 俺は口ごもった。
 何をお願いすれば良いんだろう?
 お金が欲しいとか、勉強しなくても成績が良くなりますようにとか、スタイルが良くな
りますようにとか、そんな程度のことだったらすぐに思い付く。でも、そんなことよりも
もっと何か別の大切なことがあるような、そんな気がする。
 俺は、何をお願いしたいんだろう?
 考えても思い付かなかったから、ここは誤魔化すことにした。
「内緒だよ」
 そうだな、ここはひとつ受験生らしい願い事にしよう。志望校に――北高に受かります
ように。
「ずっと上見てたら首が疲れちゃった」
 俺は地面に腰を下ろしてから、仰向けに寝転んだ。
 夜空に時折引っ掻き傷のように白い線が走り、そしてそれは文字通り瞬く間に、儚く姿
を消していく。
「本当に綺麗……」
 そうやって俺は、流星の群れを眺めながら、いつしかまどろんでいった。


314 :流星に何を願う:2007/06/01(金) 16:00:45 ID:dxIrdRCf

 目が覚めたのは部屋の中だった。窓の外は藍色に染まり、その光が部屋の家具の曖昧な
シルエットを映し出している。
 部屋の中に、もう一人人間が居ることに気が付いた。顔が見えない。真っ黒い影が俺を
覗き込んでる。
「誰?」
 俺は影に向かって尋ねた。
「やあ、お目覚めかい?」
「佐々木……?」
 名前を口に出したことで、平坦だった影がにわかに厚みを帯びて、そこに佐々木の顔が
現れた。影が佐々木に変身したみたいだ、と思った。
 俺は部屋の中を見渡し、そこでようやく、ここが自分の部屋じゃないことに気が付いた。
「ここ、どこ?」
 ふいに蛍光灯が点き、俺は目に刺すような痛みを覚えた。
「起きた?」
 声がして、入り口のほうに目をやると、最初に佐々木と一緒にいた男が、コーヒーカッ
プを二つ乗せたトレイを手に持って立っていた。
「ここは僕の部屋だよ」
 男は言った。
「屋上であのまま寝てたらさすがに体に毒だと思ってね。ぐっすり寝てたから起こすのも
しのびなくて、しょうがないから僕の部屋に運んだんだ」
「すいません、ご迷惑をおかけしちゃって……」
「いいって、別に。これ飲みなよ」
 そう言って男はテーブルの上にコーヒーカップを置いた。
「あ、ありがとうございます。いただきます」
 俺がカップを口元に運ぶのを、佐々木は自分のコーヒーに砂糖とミルクを入れながら見
て、こう言った。
「あれ? キョンってコーヒーはブラック派?」
「うん。あれ? 知らなかった?」
「初めて知ったよ。と言うか、今まで僕の前でコーヒー飲んだことって無かったんじゃな
い?」
「そんなことないと思うけど」
「そうか、じゃあ僕が今まであまり注意して見ていなかったってことだね」
 佐々木はスプーンで掻き混ぜていた手を止めると、コーヒーに息を吹きかけて冷まし、
ゆっくりと口をつけた。
 俺も一口飲んだ。熱い液体が喉を通って腹の中まで落ちていくのが感じられた。

 コーヒーを飲み終えて、マンションを出る頃には外は明るくなっていた。
「すいませんでした本当に。色々と」
「いいって。じゃあ、気をつけて帰りなよ」
「はい。ありがとうございました。じゃあね、佐々木」
「うん、また月曜日」
 朝靄に霞む街を、家に向けて自転車を扱ぎ出した。朝の空気は冷たくて、口から吐く息
は真っ白になったけど――。
 多分、コーヒーで温まったおかげかな。
 自転車のペダルは、とても軽やかだった。







315 :流星に何を願う:2007/06/01(金) 16:01:49 ID:dxIrdRCf


        9


 年が明けた三日目。
 受験を目前に控えた身にそんな余裕があろうはずもないのに、俺はしっかりとテレビの
年越しカウントダウンイベントも見た挙句、今現在もおせち料理をつまみながら、つまら
ない正月特番に見入って、寝正月を決め込んでいた。
 親の手前、少しくらいは勉強をする姿勢を見せるべきなんだろうけど、何しろ家族全員
揃ってだらけムードで、だらけてないのは弟くらいのもんだ。親も正月くらいは大目に見
てくれてる。
 そんなだらけきった我が家の門を正月から叩く奇特な奴がいた。
 来客を告げるベルの音に呼ばれていった母さんが俺の名前を呼んだ。
「お友達よ」
 はて、今日俺を訪ねる予定のある友達はいないはずだけど。
 俺は口の中の伊達巻をお茶で流し込み、奥歯に数の子が挟まってるような感覚を覚えな
がら客人を出迎えた。
「あけましておめでとう、キョン」
 うすうす予想はしてたけど、客人の正体は佐々木だった。
 佐々木はよほど寒がりなのだろうか。耳当てをして帽子を被り、マフラーと手袋を着け
ていた。小柄な佐々木がずんぐりに着膨れていて、その様相はまるでぬいぐるみのようで、
妙に愛らしさがあった。
「初詣に行こうと思って。合格祈願も兼ねて。やや遅くなった感もあるけど、昨日、一昨
日は親戚回りでね、今日やっと暇になったんだ」
 暇になったんなら寝てりゃあいいのに。とは口には出さなかった。
「で、俺はまた駅までお前を乗せて自転車を扱がなきゃいけないわけだ」
「バスもあるよ」
「いいよ別に。もったいない。たださ」
「何?」
「お前が事前に俺に電話をして自分の家まで来いって言ったら、俺がお前を乗せて走る距
離は半分で良かったわけだし、何よりお前もバス代使わなくて済んだんじゃないか」
「あっ、なるほど、それは迂闊だった」
 これだ。佐々木は賢いくせに時々妙に抜けている。俺にはこいつの思考回路は読めない。
 ま、そうは言っても俺は別に佐々木を乗せて走るのは嫌じゃないし、良いんだけどね。
 俺は一旦佐々木を待たせて自分の部屋に戻り、外行きの服に着替えた。
「お待たせ。じゃあ行こうか」
 佐々木を自転車の荷台に乗せて、走り出した。

 電車で二駅行ったところに、この地域で一番大きい神社がある。
 新年明けて三日になってもまだまだ沢山の初詣客で溢れかえっていて、三日目でこれで
は元日がどうだったかを想像すると恐ろしくなった。
 人込みの中へ分け入っていくと、早速佐々木の姿が消えた。
「さっ、佐々木!?」
「キョン! ここ! ここだよ!」
 声はすぐ近くからした。後ろを振り返ると、俺のすぐ後を歩いていた人の肩から、ぴょ
こぴょこと飛び跳ねる手が見え隠れしていた。あの手袋は確かに佐々木のだ。
 なんのことはない。ただ俺と佐々木の間に人が一人二人割り込んだだけだ。
 そして、たったそれだけのことで見失ってしまうくらい、佐々木は小さかった。


316 :流星に何を願う:2007/06/01(金) 16:03:23 ID:dxIrdRCf
「ああ、びっくりした」
「気を付けなよ。この人の中に埋まっちゃったら二度と見つけられないぜ」
 俺と佐々木ははぐれないように手を繋いで進むことにした。
 しかし、それでも不足だということをすぐに思い知ることになる。
 進むにつれてさらに人の密度が増した。すると、突然繋いでいた手が急激に後ろに引っ
張られ始め、俺の手を握る佐々木の力が抜けてするりと俺から離れていった。
「佐々木!」
 佐々木の腕が人込みの中へ飲み込まれて消えていく。俺はそれを見失う寸前に掴むこと
に成功し、力ずくで強引に引き寄せた。
「本当にお前は、もう」
「すまない」
 手を繋いでもだめならしょうがない。俺は佐々木の肩を掴んで、しっかりと抱き寄せて
その状態で進むことにした。
 やれやれ、こういうのは本当なら俺がされる側だと思うんだけど。
 そうやってなんとか賽銭箱の前まで辿り着いたのはいいけど、このおしくらまんじゅう
状態では財布を出すこともままならない。両腕が自由な佐々木はまだ良いけど、特に片腕
で佐々木の肩を掴んでいる俺はどうしようもない。放したら佐々木はどっか行っちまう。
「佐々木、俺のぶんも投げといてよ。代金は後払いで」
「それってご利益あるのかな」
「知らない」
 賽銭箱の前でも立ち止まることは許されず、人の流れに流されて、折り返し地点を通過
し強制的にUターンさせられて、佐々木がようやく財布から二枚の硬貨を取り出した時に
はだいぶ賽銭箱から離されていた。
「えい!」
 佐々木は力いっぱい賽銭を放ったけど、賽銭箱よりもずっと手前で失速して落下してし
まった。たぶん誰かの頭を直撃したことだろう。南無。
 賽銭箱に向けて無数の硬貨が飛び交う様は、機銃の一斉掃射を連想させた。
 俺たちは少し人の流れから外れて、境内の隅のほうで休憩することにした。
「はああ、疲れる」
「全く、僕などは呼吸もままならないよ。この服装は失敗だったかな。人込みの中は暑い」
「あ、あそこでおみくじ売ってるよ」
 俺と佐々木はおみくじを買って開いた。
「やった! 大吉だって。佐々木は?」
「末吉だってさ。残念。試験はもう間もなくだから末に良くなっても遅いな。まあ、所詮
こんなものはただの紙切れ、当たるも八卦、当たらぬも八卦だよ」
 そう言う佐々木はどこか悔しいのを堪えているようで、俺はなんだか可笑しくなってし
まった。
 俺は自分のくじに書かれている文をもう一度見直した。
『待ち人来る』
(待ち人……ねえ)

 初詣を終えて地元の駅に戻ってきた俺たちは疲労困憊していた。
「やっと帰ってきたよ。疲れた」
「ほらほらキョン、もうひと頑張りだ」
 佐々木は小悪魔的な笑みで自転車を指差した。
「ちぇー、図々しいの。ねえ、たまには佐々木が運転しない?」
「うん、それは無理だな」
「へいへい、わかりましたよ」
 悪態をつきながらでも、自転車に跨って、佐々木の両腕が腰に回されると頑張る気にな
ってしまう。
 不思議なもんだな、と俺は思った。





317 :流星に何を願う:2007/06/01(金) 16:05:43 ID:dxIrdRCf
(――続く――)



とりあえずここまで。
次あたりで完結できると思います。

佐々木スレ10-270 もし佐々木団+キョンが北高生でSOS団光陽園学生なら(1)

2007-07-20 | その他

270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 01:05:36 ID:YCVegK6A
もし佐々木団+キョンが北高生でSOS団光陽園学生なら

「そろそろ通りかかります。」
 まるで噂話をするかのように声のトーンをおとし、橘がそう呟いた。
「あ、ほらほら。見えてきましたよ。」
 声のトーンを落としたままそう続けた。何を興奮しているのか先ほどより若干大きくなっているが。
 しかしまだ見えたといっても一人の女子学生が歩いていると確認できる程度で、こちらの声なんか聞こえる距離ではない。
 この距離で聞こえるならそいつの耳はどうかしてる。普通に声を出せばいいものを。
「いや、それは一概には言えないんじゃないかな。科学で証明されているだけでも人間には20以上もの感覚が存在するんだ。
一般的な五感だけでも聴覚以外に視覚というものがある。耳で聞こえなくても目で見て勘でなんとなく気づく人だっているってことさ。
僕にだって今のキミの憂鬱そうな気分くらいなら分かるからね。」
 声を押し殺すような独特な笑い方をしながら佐々木が語りかけてきた。
 相変わらず小難しい会話をしてくるな。悪いが俺の頭は認めたくはないが谷口と同レベルだぞ。
 誤解のないように言うが学力なら、ということだ。
「お前とは中学の時から一緒だからな。それなりに付き合いもあったから分かるが。」
 佐々木とは週に2回ほどとはいえ一年ほど共に塾に通い通学まで一緒だったからな。
 しかし佐々木ももっと上のレベルを狙えただろうに北高にくるとは物好きなものだ。
 毎日ハイキングをして通学するような場所にあるってのによ。
「北高にも特進クラスがあるからね。とりあえず一年間は様子を見てからそっちにいくかどうか決めるよ。
それにあの通学路は中々健康的でいいじゃないか。運動部に入っていない僕たちにはちょうどいい運動さ。」
 そのおかげで毎日予鈴寸前で学校に通う羽目になってるんだがな。しかしつくづく頭の出来が違うと感じる。
 俺がもし真剣に進学を考えるならそんな暇はないと断言できる。頭のいい人間の考えることはよくわからん。
「それよりキミはそれなりの付き合いと言ったが、僕とキミとの一年間はそんな薄っぺらい物だったのかい?
少なくとも僕にはそれ相応にキミのことを理解しているつもりだがね。」
 そう言いつつ少し皮肉交じりに微笑しながら、俺をからかうような目線を送っている。
 まぁお前は確かに中学校時代親しくした友人の一人だ。
 そんな会話をしていると突然、あからさまに不機嫌な声色で会話に混じってきた。


271 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 01:08:53 ID:YCVegK6A
「まだなのか?全く無意味な時間をすごしているようでならないな。」
 声だけではなくうんざりとした表情で藤原は言った。あまりの不快感からか唇まで大きく歪んでいる。
 そこまで嫌なら別にお前はついてこなくていいんだぜ?お前のその顔を見ているとただでさえ気分が悪いのに更に悪化する。
「あんたに言われるまでもなくついていくつもりはさらさらなかったがこれも指令なんでな。」
 女子生徒の待ち伏せまで指令に入ってるとはご苦労なことだ。ストーカーに間違われないようにな。
「―――退屈」
 そう一言ぽつんと九曜が言った。量の多い髪はそよ風が吹いても少しもゆれることはない。
 初対面のときから慣れたとはいえ、無機質な顔にガラス玉のような黒い瞳は未だに少し不気味だ。
「何ぶつぶつ言ってるんですか?だんだん近づいてきてるんですからお静かに。」
 すこし怒気を含みながら橘が話を戻した。俺だって好きでこんな無愛想な野郎としゃべってるんじゃねぇよ。
「佐々木さんの…いや、世界を元に戻す第一歩なんですからしっかりしてください。」
「俺はまだ一言も協力するとと言ってないぞ。」
 いつの間にそんな展開になっているんだ?佐々木の誘いがなければこんな馬鹿なことに付き合うつもりすらなかった。
 俺たちのそんな思惑を知ってか知らずか女子生徒は刻々と俺達の方に向かっている。
 桜の花はとっくに散り早くも夏の陽気が垣間見る5月の終わりの午後、俺達はある人物を待ち伏せていた。
 その人物とは…
「あれが涼宮ハルヒさん。佐々木さんの力を間違えて宿している人よ。」

多分こんな感じになったんじゃないかと勝手に妄想。誤字脱字が多くて矛盾だらけだから適当に読んでほしい。



352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 22:29:41 ID:y1KnvWSI
もし佐々木団+キョンが北高生でSOS団が光陽園学生なら

「そろそろ通りかかります。」
 まるで噂話をするかのように声のトーンをおとし、橘がそう呟いた。
「あ、ほらほら。見えてきましたよ。」
 声のトーンを落としたままそう続けた。何を興奮しているのか先ほどより若干大きくなっているが。
 しかしまだ見えたといっても一人の女子学生が歩いていると確認できる程度で、こちらの声なんか聞こえる距離ではない。
 この距離で聞こえるならそいつの耳はどうかしてる。普通に声を出せばいいものを。
「いや、それは一概には言えないんじゃないかな。現在科学で証明されているだけでも人間には20以上もの感覚が存在するんだ。
僕たちがこうしている間にも日々科学は発達しているのだから、将来更に見つかる可能性は十分に残されていると言えるね。
それに一般的な五感だけでも聴覚以外に視覚というものがある。耳で聞こえなくても目で見て勘でなんとなく気づく人だっているってことさ。
僕にだって今のキミの憂鬱そうな気分くらいなら分かるからね。」
 声を押し殺すような独特な笑い方をしながら佐々木が語りかけてきた。
 相変わらず小難しい会話をしてくるな。悪いが俺の頭は認めたくはないが谷口とほぼ同レベルだぞ。
 誤解のないように言うが学力なら、ということだ。
「お前とは中学の時から一緒だからな。それなりに付き合いもあったから分かるが。」
 佐々木とは週に2回ほどとはいえ一年ほど共に塾に行き帰りが一緒だったからな。
 だが佐々木と俺の学力は昼寝をする前のうさぎとかめくらいのどうしようもない差があった。
 だからてっきり俺たちはそれぞれの学力に合った高校に行くと思ったのだがなぜかこいつはここにいる。
 もっと上のレベルを狙えただろうに北高にくるとは物好きなもんだ。
 毎日ハイキングをして通学するような場所にあるってのによ。


353 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 22:30:59 ID:y1KnvWSI
「北高にも特進クラスがあるからね。とりあえず一年間は様子を見てからそっちにいくかどうか決めるよ。
それにあの通学路は中々健康的でいいじゃないか。運動部に入っていない僕たちにはちょうどいい運動さ。
キミと歩きながら色々話もできるし僕としてはとても有意義な通学路なんだよ。」
 そのおかげで毎日遅刻寸前で学校に通う羽目になってるんだがな。
 それでもなんとか遅刻をしないのは母親に命ぜられ面白半分で起こしにくる我が妹と、
 それをわざわざ待ち続ける佐々木のおかげといっても過言ではない。
 しかし通学路に対する考え方だけでもつくづく頭の出来が違うと感じるね。
 もし神様がいるなら一言くらい文句を言っても罰は当たらないんじゃないか?
 まぁ宗教に無縁な俺が語っても説得力が微塵もないわけだが。
 俺がもし真剣に進学を考えるならそんな暇はないと断言してもいい。
 頭のいい人間の考えることはよくわからん。
「それよりキミはそれなりの付き合いと言ったが、僕とキミとの一年間の思い出に関してどう認識してるんだい?
少なくとも僕にはそれ相応にキミとの思い出を育んだつもりだがね。」
 そう言いつつ少し皮肉交じりに微笑しながら、俺をからかうような目線を送っている。
 それ相応の付き合いか。まぁ佐々木とは塾の行き来を1年ほど続けていたとはいえ、
 他はクラスでの会話などありふれた内容が多くて特別何かあったわけでもないんだよな、俺が覚えている限りでは。
 いつもなら他になにかあったかと思い出そうとするんだが生憎今はそんな場合ではない。
 だがお前は紛れもなく中学校時代親しくした友人の一人には違いないさ。
 そんなことを考えていると突然、あからさまに不機嫌な声色で会話に混じってきた。


354 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 22:32:27 ID:y1KnvWSI
「やっとお出ましか。全く無意味な時間をすごしていたようでならないな。」
 声だけではなくうんざりとした表情で藤原は言った。あまりの不快感からか唇まで大きく歪んでいる。
 ただでさえ普段から無愛想なくせにこうなると更に忌々しい。
 というか俺は別にお前について来いと頼んだわけじゃないんだぜ?
 お前のその顔を見ているとただでさえ気分が悪いのに更に悪化する。
「あんたに言われるまでもなくついていくつもりはさらさらなかったがこれも指令なんでな。」
 女子生徒の待ち伏せまで指令に入ってるとはご苦労なことだ。
 未来でアイドルやら有名人やらになると決まっている女子生徒の情報を確保し金儲けでもするつもりなんだろうか。
 もしそうならストーカーとして逮捕されちまえばいい。
「―――退屈」
 そう一言ぽつんと九曜が言った。量の多い髪は強い風が吹いても少しもゆれることはない。
 初対面のときから慣れたとはいえ、無機質な顔にガラス玉のような黒い瞳は未だに少し不気味だ。
 以前九曜本人から聞いた話によるとはここの時間の流れは元々いた場所よりかなり遅いらしい。
 そのせいかいつもぼーっとしてたり眠そうに過ごしている。正直何を考えてるのかほとんどわからん。
 まさか宇宙人ってのはこんな変なやつばっかりなんじゃないだろうな。こんなのはこいつだけと信じたいもんだ。
「何ぶつぶつ言ってるんですか?だんだん近づいてきてるんですからお静かに。」
 すこし怒気を含みながら橘が話を戻した。俺だって好きでこんなぶつぶつ言ってるわけじゃねぇよ。
「佐々木さんの…いや、世界を元に戻す第一歩なんですからしっかりしてください。」
「俺はまだ一言も協力するとは言ってないぞ。」
 いつの間にそんな展開になっているんだ?
 俺は佐々木の誘いがなければこんな馬鹿なことに付き合うつもりすらなかったのだが。


355 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 22:34:04 ID:y1KnvWSI
 俺たちのそんな思惑を知ってか知らずか女子生徒は足早に俺達の方に向かっていた。
 遠くから見る限り普通の女子生徒にしか見えないのだが、橘の説明どおりならとんでもない存在だ。
 だがこの頃の俺はまだ橘の言うことはほとんど信用していなかった。
 まぁ同時に自分の運命が変わり始めていることにも気づくことができなかったわけだが…。
 
 桜の花はとっくに散り早くも夏の陽気を垣間見る5月の終わりの午後、
 日が傾き始め俺達を赤く染め始めた頃のことである。俺達ははある人物を待ち伏せていた。
 その人物とは…
「あれが涼宮ハルヒさん。佐々木さんの力の所有者よ。」


―――多分、というか絶対と言い切ってもいい状況だと思う。
今この前置きだけではなぜこうなったのか…なんてのはほとんど分からないんじゃないだろうか。
説明口調は橘や藤原のほうが得意だし俺としてもこいつらに任せたいのだが俺が話し手である以上語らなくてはならないようだ。
元々不向きなのは重々承知してるさ、だから多くは望まないで聞いて欲しい。


356 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/06/01(金) 22:34:55 ID:y1KnvWSI
 話は一ヶ月半ほど前に遡る。桜はまるで始めたばかりのジグソーパズルのように木に花がついているだけでかなり散り始めており、
 路面やそのあたりあちこちに桜の花びらがそよ風で舞う季節。
 希望と不安に満ちた高校生活やあのハイキングコースのような通学路にもそろそろ慣れ始めた頃である。
 北高には俺の興味をそそるような部活はこれといってなかったし、寝ている時に耳からコーラを注がれるような出来事もまったくあるはずもなく俺は漫然と過ごしていた。
 この日の朝も目覚ましと我が妹の二段構えで叩き起こされ、母親にもっと早く起きなさいと聞きなれた文句を聞きつつ朝食を食べ学校の支度をしていた。
「キョーンくん。早く学校行かないとおくれちゃうよー」
 朝聞くにしてはちょっとした騒音にもなりかねない声で呼ぶ妹とともに俺は家を出ると、
 そこにはいつものように如何にも待ってたというわけではなくゆったりと立ち尽くす佐々木がいた。
「おはよー佐々木さん」
「よぉ佐々木」
 春に似つかわしい元気な声と倦怠感溢れる冴えない声で挨拶された佐々木は控えめな笑顔を返していた。
「やぁキョン、そして妹さんおはよう。今日はちょっとしたジョギングになりそうだね。少し肌寒いから体が暖まってちょうどいいかもしれない。」
 いつも悪いな、俺がもう5分早く出ればこんなことにはならなかったろうに。
 しかし朝の貴重な時間の5分という睡眠時間は何事にも変えられないのはお前も分かってくれるよな。
「じゃあ僕が余分に待った5分は貴重な朝の時間に入らないのかい?時は金なりというじゃないか。」
 まことに正論だ。余計な言い訳はこいつには通じないどころか反撃を食らってしまうのをすっかり忘れていた。
「すまん、気をつける。」
 この一言を予想していたかのようにくっくっと佐々木は笑った。
「そういう素直なところはキミの長所だね。僕としても言葉を送った甲斐があるというものだよ。」


505 :もし佐々木団+キョンが北高生でSOS団が光陽園学生ならの:2007/06/02(土) 23:40:16 ID:sZvppAwM
 それからどたどたと転んだら怪我をするくらい元気よく走り去る妹を見送った後、俺達は足早に学校へと向かった。
 佐々木は肌寒いと言っていたが昨日と同じく天気は晴れており雨など降る気配は全くなさそうだった。
 更に運良く信号につかまらなかったため、早歩き程度で済みそうなのも俺にとってはささやかだが喜ばしいことだ。
 とはいってもいつものように佐々木の小難しい話を聞いたりする時間の余裕はほとんどなく、
 俺達は交わす言葉少なめに学校に辿り着きいつもの教室いつもの席についた。
 ちなみに俺の席は教室の一番奥、窓際の一番後ろで佐々木がその前だ。
 机に漬物石のように重かった鞄の中身を入れ終えたとところで俺は目線を前にあわせると佐々木が振り返ってこちらを見ていた。
「ふぅ、肌寒いとはいえ急いであの通学路を通るとやはり暑いね。
 今日はキミに僕が読んだ本の中でよかったものを話したいと思ってたんだが残念ながらそんな時間はなかったようだ。
 これはまた明日の楽しみに取っておくことにするよ。」
 俺はここ最近本など読んだ記憶がないぞ。折角の話も馬の耳に念仏を唱えるようになると思うんだがな。
 そんな俺の考えを読み取っているのかいないのか佐々木は表情は目を細め悪戯っぽく微笑んでいる。
 顔色は暑いといってたためか薄い桜の花のような色をしていた。
「ずいぶん暑そうだな。大丈夫なのか。」
「生物学的にみてキミと僕の性別は違う。男性であるキミのペースは女性である僕にとっては少し厳しいものだったらしい。
 世間一般的に見てもほとんどの女性は男性より体力面で劣ってしまうから、僕がこのような状態になるのも不本意ながら仕方ないのさ。」
 俺でもかなり疲れる通学路だからな。軽く体育の授業の1限くらいには匹敵する道程だ。
 運動神経が悪くはないとはいえ佐々木には結構堪えたらしく俺の胸に罪悪感が芽生え始めた。
「朝から結構な運動につき合わせて悪かったな。後で飲み物でも奢らせてもらえないか。」
「中々気が利くじゃないか、キョン。別に通学路ひとつで大層なことじゃないから気にしなくてもいい、
 と言いたい所だがキミのその仏心を無駄にしないためにもひとつ僕に飲み物を買ってもらうことにしよう。」
 そういいながら佐々木は俯いて笑いを堪えていた。


507 :もし佐々木団+キョンが北高生でSOS団が光陽園学生なら:2007/06/02(土) 23:47:59 ID:sZvppAwM
 その後朝のホームルーム、担任岡部のいつもの挨拶を聞きその日の授業が始まった。
 俺はというと春の陽気に誘われ睡魔と戦ったりグラウンドで賑やかなんだかだるそうにしているのか微妙な体育の授業を受ける生徒を眺めたりと、
 要するに授業なんざ筒抜けで聞いていたわけだ。そんな感じで過ごしていればあっという間に昼休みになるわけで。
 さっきまでの教室の空気がまるで鳩の群れに人が走りこんだように消え活気付いている。皆思い思いの席で飯を食うものもいれば食堂に行くやつもいる。
 俺は今日も変わり映えしないメンバー谷口と国木田と飯を食う予定だったのだが…
「キョン、今朝の約束を果たしてもらおうか。」
 佐々木がこんなことを言い出してきた。
「別に俺は構いやしないが何も今じゃなくていいだろう。俺が飯を食う時間がなくなっちまう。」
 まぁ急いで食べればそんなこともないだろうが。
 だが学校の中でも放課後の次くらいに貴重な時間をカラスの行水のようにただ飯を食うだけで済ませてしまうような過ごし方はできればしたくはない。
「じゃあその問題が解決すればいいんだね?簡単じゃないか、食堂に食事を持ってきて僕とキミと一緒に食べれば済む話さ。
幸い僕は今日は食堂で食べる予定だったし、お昼で食堂が混みあってるとはいえ一席くらい拝借しても大丈夫だろう。」
 いきなり何を言い出すんだこいつは。普段一緒に食う奴がいるだろう。
 そいつらを放って俺と食うなんてそんなに飲み物が欲しいのだろうか。
 まぁ飯に飲み物はかもとねぎくらい相性のよいものだし必要といえば必要だが。
「普段一緒に食ってる奴に悪いんじゃないか?飲み物なら帰りにでも奢ってやるし今欲しいなら金だけでも渡しておいてもいい。
だからいつもの奴らと食っておいたほうがいいぞ。」
 そう言って俺は小銭を出そうと財布の中を確認している途中佐々木はこう言った。
「ちょっと聞いて欲しいことがあってね、是非キミの意見を伺いたいのさ。実を言うと飲み物よりもこっちが本題なんだ。
放課後の帰り道春の夕暮れや、通学路の遅咲きの桜を楽しみながら話しても良いんだが出来れば早急に対処したい。」
その言葉に反応した俺は顔を上げた。佐々木の顔は少し笑みが残っているものの普段とは違いすこし神妙な雰囲気が漂っており、
どうもそれなりに真剣な話になりそうな気配を醸し出していた。友人と呼べる奴の頼みは俺としてはできるだけ協力をしてやりたい、
それが身の回りに近い奴や世話になってる奴なら尚更だ。
「わかったよ、じゃあ行くか。」
そういうと佐々木は控えめに微笑み俺の顔を何やら興味深くみていた。
「助かるよ。ありがとう、キョン」

佐々木スレ10-212 無題(1)

2007-07-20 | その他佐々木×キョン

212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/31(木) 19:52:18 ID:S2tw+ild
「よぉ、佐々木。待たせたな。」
駐輪場で待ってもらっていた佐々木は、声をかけてようやく俺の存在に気がついたようだ。
「ああ、気にしないでかまわないよ。
ただ、キミが運悪くも先生に仕事を頼まれてしまった、それだけのことだろう。
まさかそのあとどこかで道草を食っていたとも思わないし、そんなことはないだろう?」
ああ、俺は人を待たせてそんなことをするやつじゃないぜ。
「ところでお前の持ってるそいつは何だ?」
「ああ、これかい?最近の若者はあまり使っていないようだね、ラジオだよ。携帯式の。」
そうかい、確かに最近のやつらはケータイもってるからな。使わんだろうよ。
そういいながらぐちゃぐちゃに絡み合った自転車の中から自分のものを引きずり出す。
「ほら、乗ってくれ。」
「ああ、いつもすまないね。ただ、今日はキミの用事で少しばかり時間をとってしまった。
少しばかり以上に急がないと遅れてしまいそうだね。」
そう言って左腕につけている丸っこい小さな腕時計を見せ付ける。その腕の白さと細さに
ああ、やっぱり佐々木は女なんだなと最近時々思うようになった。
「ん?どうしたんだいキョン。僕の腕時計に何か思うところでもあったのかい?」
「いや、なんでもない。さて、急ぐぞ。俺が遅れることはなんとも思わないが、
俺のせいでお前が遅れるようなことがあったら、何を言われるかわからんからな。」
しっかりつかまってろよ、振り落とされないようにな。
そういうが早いか、全速力で出発。
「キョン、ちょっと早すぎはしないか?さすがにこの速度だと、
抑えていてもスカートがめくれてしまいそうだ。
いや、僕としてはそこまで大きな問題だとも思っていないんだがね。
やはり、少しは気になるものなのだよ。このぐらいの年頃では特に、ね。」
むぅ、そういわれては速度を落とすしかないじゃないか。だが、それでは塾に遅れてしまう。
塾に遅れたら、お前は困るだろ。
「どうするのが最善の策だ。俺には思いつかん。」
「おやおや、キョン思考放棄かい。
まあ、確かにどうしようもないという選択も1つの選択肢であることに間違いはないけれど、
あまり良い考えだとはいえないな。」
云々、佐々木の話を聞いているうちに結局そのままついちまった。
「どうやら間に合ったようだね、結局先ほどの問題は解決されないままだが、
また今度改めて考えることにしようじゃないか。くっくっ」
佐々木は何がおかしいのか、肩を揺らして笑っている。
自転車止めてくるから先に行っとけ。ここまできて遅れたらそれこそ元も子もない。
「そうかい、悪いね。では教室で先に待たせてもらうことにするよ。」
さて、どこが空いてるかな。あーくそ、こういうときに限って空いてねぇ。
きちんととめることをあきらめて、誰かの自転車のあいだに押し込む。
そこから教室までダッシュ!


213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/31(木) 19:55:25 ID:S2tw+ild
「やぁ、キョン。どうやら間に合ったみたいだね。でも、どうせ自転車置き場に空きがなくて、
そのままあいだに押し込んできたんだろう。帰りには誰かが躓いてドミノ倒し的にこけているかも
知れないね。ところで、キョン、もともとドミノというのは倒して遊ぶものではなく外来遊戯のひとつで……」
そこで、教師が入ってきた。
「よーし、はじめるぞ。38ページをひらけ~」
奇妙なピンクのシャツを着た中年男の話を右から左へ流しつつ
(ラジオか、確か昔古くなったやつをもらって物置にしまっといたよな。)
あとで引っ張り出してくるか、とかいろいろ考えているうちに授業は終わっていた。

みんなが、ぞろぞろと帰っていく中その波に乗って自分も駐輪場に向かう。
っと、佐々木はどこだ?
「キョン」
後ろから、突然。
「ああ、佐々木。」
「どうしたんだいキョン。誰か探しているのかな。それとも、
僕が先に教室を出たのに気づかずに、『っと、佐々木はどこだ?』とでも思ってたのかな?」
ご名答、よくわかるな。
「それはキョン、キミのことだ、授業で半分眠ったようになっている頭で、
ほかの人より、そんなに背の高くない僕を見つけるのは難儀なことだろうからね。
それにしても、わざわざ親御さんに高いお金を払ってもらっているんだから、
せめて、ノートぐらいはまともに取るべきではないかなと忠告しておくよ。」
ちゃんととってあるさ、それだけはやってるはずだ。ここでは
「だったら、あとで見直してみるといい。きっと半分は読めないだろうからね。
まあ、僕もそんなに忙しい身じゃないし、わからないことがあったら休憩時間にでも
きいてくるといい。わかるように説明できるかは保障できないがね。」
テスト前は頼むぜ。
「そういえば、お前、今日ここにくる前ラジオ聞いてたよな。」
「ああ、これのことかい。」
そう言って佐々木が取り出したのは黒いポケットラジオだった。
「これは、先日うちにきた従兄がくれたものだ。今大学2年生でね。僕が3年になって
受験勉強をしていると聞いて、くれたんだ。受験前になるとどうしても
親が、テレビを見る時間を減らすだろうから、部屋でこれでも聞きながら勉強しろとね。
それで、聞いてみるとなかなか面白いじゃないか。それですっかりはまってしまってね。
朝の登校中なんかにも聞いたりしているのさ。」
ってことは、学校に持ってきてるんだろ、休憩時間にでも聞けば良いのに。
「何をいっているんだいキョン。学校ではキミがいるじゃないか。僕にとってもっとも有意義な
時間だよ。それをわざわざつぶしてまでラジオを聞こうとは思わないさ。」
「そ、そうか」
「あぁ、バスがきてしまったみたいだ。キョン、また明日学校で…」
ああ、またな。
その日から、時々ラジオを聞くようになった。確かになかなか面白いもんだな。
初めて投書するときは、さすがに緊張した。結局放送されなかったけどな。
まあ、そんなこともある。そして、このなかには佐々木の投書も混ざっているのだろうか?


214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/31(木) 19:57:40 ID:S2tw+ild
そして、春休みも過ぎた頃だ。

「やぁ、キョン。」
この前佐々木と会ってからまだ、2週間ほどしかたっていない。
「佐々木か、よく会うな、最近。」
「そうだね。僕にとっては大変喜ばしいことだよ。キミにとってもそうではないかな。
もし、キミに合いたくなかったんだと言われたなら僕はとてもショックだが、
キミは仮にそう思っていたとしてもそんなことは言わないだろうね。
キミは優しすぎるほどに優しいから。」
「さあな、俺が優しいかどうかは俺にはわからん。
ただ、ただお前に会いたくなかったなんてことはないな。」
むしろ、お前に会いたくないなんてやつがいるなら見せてもらいたい。
「そんな、僕は会いたくないと思われる人がいないほどの善人ではないと思うけれどね。
まあ、人に恨みを買うような行為をわざわざするつもりもないけれど、中学時代に
僕が振ってきた彼らは僕にあったらどんな顔をするだろうね。くっくっ。
ところでキョン、ここにいると言うことはまた涼宮さんたちを待っているのかな?」
今日は誰を待ってるんでもねーよ。テスト前だからな。国木田のとこにでも行って
わからんところを教えてもらおうと思っただけだ。約束してたわけじゃなくて、
今から押しかけようとしてるだけなんだがな。
「そうかい、確かに彼の説明はなかなかに明瞭だ。ただキミのわからないところというのは
要するに寝ていたところではないかな、特に数学の。それより、キミは現在話している相手が
僕だということを失念していないかな。さすがにそれはないって。
だったら、僕が協力させてもらっても問題ないだろう。彼よりもうまく教えられるという
とは言い切れないけれども。彼とはいつでも話せるだろう。久しぶりに2人で時間を取れるんだ
こんなときぐらいは頼ってもらえないだろうか?」
お前が教えてくれるほど頼りになるモンはないな。家庭教師をできるぐらいの秀才だしな。
「家庭教師か、どうだろうね。あまり僕に向いた仕事とは思えないしそんなに僕は秀才でも
ないよ。君が思っているほどはね。ただ、『キョンの』家庭教師というのであれば、
それにはまったく不服はないね。むしろ光栄なぐらいだ。キミほど教えていて楽しい生徒は
いないだろうからね。」
どうせ俺は基礎の問題でも当然のように躓く授業中に寝てる劣等生だよ。
「キョン、拗ねないでくれたまえ。僕はただほめているだけだ、以前に話したかもしれないが、
キミは授業を理解していないのではなくて理解しようとしていないだけではないかな?
現に、中学のときのテストでも、僕が教えたところだけは、ほぼ全部正解していたし。」
学校の授業中には羊がそこら辺を漂って俺を睡魔と言う魔物にひきあわせてるんだよ。


215 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/31(木) 20:00:27 ID:S2tw+ild
「くっくっ相変わらず面白いねキミは」
ところで佐々木よ、お前誰かを待ってるんじゃないのか?
「どうしてだい、キョン。僕は別に誰も待っていないさ。第一誰かと約束があるのなら
僕はキミに勉強を教えようかなどとは言わないと思うはずだ。キミがどうして
僕が誰かを待っていると思ったのか。ぜひとも教えてほしいね。」
そういわれてみればそうだな、どうやらテスト前で注意力が散漫になってるんだろうよ。
「どうしてかっていわれたら、それだな。」
そう言って、佐々木の胸元を指し示す。そこにあったのは、黒いラジオだった。
「このラジオは、確か前に見せたことがあったね。いつも君が先生に呼び出されて
それを待っているときだったかな。確かに、誰かを待っているのでもない限り、外で
わざわざラジオを聞くような変わり者は少ないかもしれない。ただ、今回は
買い物に行くついでにバスの中で聞いていただけのことさ。気に入っている番組が
この時間にあってね。」
買い物って、何買うんだ?
「服をね、先日目をつけていたものが、2着ほどあったんだけど、1着しか金銭的に
都合がつかないんだ。ちょうどいい、キョン、キミに決めてもらおうじゃないか。」

佐々木にぐいぐいと腕を引っ張られて、デパートに引きずり込まれる。やれやれ、
昔からこんなに強引なことがあっただろうか。せいぜい、傘を忘れたときに無理やり
入らされたぐらいだと思うんだがな。
「さて、キョンどちらが良いだろうか。キミのことだ、服にたいしたこだわりはないだろう
こんなときはむしろ悩まずに直感で決めてくれたほうが、いいのかもしれないね。」
そういわれてもな、さすがに決めかねるぜ、俺でも。
自分のならテキトーにこれでいいやで決められるんだが、そうだな。
いくらか手にとってじっくり見た後
「こっちだ。」
一方を示す。
「決めかねると言った割には存外あっさりと決めてしまったね、キョン。
一体どういった基準で決めたのかな。」
気にするな。第六感ってやつが俺にささやいてきたんだよ。
「では、そういうことにしておこうか。」
支払いを済ませて、俺たちは駐輪場へ向かう。
「しまったな。」
「ん、どうしたんだいキョン。何か買い忘れたものでもあったかな。昔からキミは
何かにつけ、遅刻したり、忘れ物をしたり、課題をやってこなかったりしたものだが」
「ああ、悪い、ノートと赤ペン。切れてんだ。すぐ戻るから。先に駐輪場行っててくれ。」



216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/31(木) 20:02:43 ID:S2tw+ild
言うが早いか彼は走っていってしまった。
「まったく、こんなときは小さな買い物でも一緒にしたいと言うのが乙女心だと
わからないのかな。まあキョンらしいと言えばキョンらしいのだけど。」
はぁ、と浅いため息がこぼれる。私がこんなにも思っているのに
彼は何で気づいてくれないのだろう。ああ、そういえばラジオの電池が切れたんだった。
駐輪場へと向かいながらケータイを取り出す。1コールで反応。彼にしては早い
「キョン、僕だ。」
『佐々木、どうした?何かあったか?』
こんなときでも心配してくれる。彼のいいところであり好きなところでもある。
「いや、ただついでに単4電池を買ってもらおうと思ってね。
それとももう支払いは済んでしまったかな?」
『ああ、まだだ。わかった、ついでに買っとくよ
………………………ああ、はいそれで良いです。』
小さい声で彼の誰かとの会話が聞こえる。敬語を使っていることから推測するに店員だろう。
年上の女性の・・・まったくキョンは・・・
『じゃあ、切るぞ。いいか?』
「ああ、悪かった。頼むよ。」
それにしても、なぜノートと赤ペンを買うのに店員と話をする必要があるのだろうか。
妙にあせっていたようだけどそれと何か関係あるのだろうか。

「やあ、キョン、ノートと赤ペンを買うにしては少し遅かったね。」
悪かったな、ノック式の赤ペンが見つからなかったんだよ。
「で、勉強場所は、どうする。ここからだと俺の家が近いが。」
「そうだね、いや。やっぱり、僕の家ですることにしよう。久しぶりに君の自転車にも
乗りたいしね。」
「そうかい、そんなにいいもんか、あれが。」
「人の価値観はそれぞれさ。キミにとってつまらないものでも僕にとってはかけがえのない
ものだってあるだろう。その逆もまた然りだね。」
まあ、そうかもな。それにしても、あれからもう1年経ってるとはな。
「そうだね。キミは涼宮さんのおかげで楽しそうだね。忙しそうではあるけど。」
「そうかもな、お前はどうだ。何か楽しいことは?」
「先日話したばかりだが、やっぱり勉強のための勉強というのは押し付けられている
感じがしてどうも性に合わないし、キミがいないとこういった話をする相手がいなくてね、
すこしつらいかな。おっと、久しぶりでもろくなっているのかな。
いつになく弱気になってしまったようだね。何心配しなくても良いさ。
僕は大丈夫。なにせ今日キミに会って存分に話をしていられるからね。」
わるいな、わざわざ土曜日つぶしてまで勉強につき合わせて。
「キョン、それを聞いて僕はキミが僕の話を聞いているのか少しばかり不安になってきたよ。
つらいのは日々の勉強をすることによって消耗していく体力ではなく。
話す人がいないという孤独感からくる精神の消耗なわけだ。
そしてキミとの会話はその精神の消耗を回復する手段の一つなんだよ。」
わかってる。そういう意味じゃなくてだな、勉強以外のことができればよかったってことだよ。
「そうかもしれないが、それはまた次の機会にとっておこう。さて、ついたね。
僕としてはもう少し乗り回してもらいたい気もするが、そのせいでキミの勉強時間を
削るのも罪悪感があるしね。ああ、自転車はそこに置いておいてくれたまえ。」

佐々木スレ10-212 無題(2)

2007-07-20 | 予備校ss

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/31(木) 20:04:01 ID:S2tw+ild
久しぶりに入った佐々木の部屋は変わっていなかった。
変わったことと言えば教科書が中学のものから高校のものになり、辞書の数と参考書の数が
増えていることだろうか。相変わらず円卓と机とベッド、本棚しかない女の子らしからぬ
部屋に妙に安堵する。
「まずは数学からだ。さあ、教科書を出したまえ。キミにとっての最難関であり、
僕の最も得意とする教科だ。」
しばらくそうして佐々木に問題を出されては、悩み、教わりを繰り返していたところで
突然チャイムが鳴った、
「出てくるよ、そのあいだにこの問題を解いておきたまえ。」
時計を確認する、現在時刻は6:10。2分ほどして佐々木は、ピザとオレンジジュースを
もって現れた。
なんだそれは。
「ピザだよ。母が出張なので、頼んでおいたものだが、キミに会う直前に父から
飲み会の予定が入ったと連絡があってね。キャンセルしようかと思ったんだが、
そこでキミにあったというわけさ。どの道一人では食べきれない。夕食にしては
軽いかもしれないが、一緒に食べようじゃないか。」
ああ、ちょっとまて
そう言って、ケータイを取り出す。
「ああ、母さん。今日は友達と夕食食べることになったから。ああ、わかった。
大丈夫、金はあるから。」
「親御さんに連絡かい。賢明な判断だね。さすがにこれを食べたあとで普通の夕食は
厳しいだろうし。」
「そうだな、それはそうと、佐々木よ。ラジオをつけてくれないか。」
「いいよ。どこの番組だい?」
俺は、番組名を告げると
「ああ、僕も毎週聞いているんだ。ちょうど良かった。」
その番組は、投稿された詩を紹介したり歌を流したりしている、まあ、結構ありふれた
番組だ。
佐々木は、わざわざカセットに録音しているようだった。
「わざわざ録音しておくようなものか?」
「いや、キョン君と話をして聞き逃すこともあるだろうし、僕もふと書いてみたくなってね。
書いたのは良いんだが、送り先がわからないんだ。間違った先に送っても恥ずかしいし、
住所などの個人情報も記されている。間違いのないように録音しているだけさ。
いつもいつもしているわけじゃない。で、キョンはこの番組に投稿したことがあるのかな。」
ああ、2,3回な。
”さて、今週も多くの方からの投稿ありがとうございました。では早速いってみましょう。
まずは、ペンネームみちるさんからの投稿でタイトルは『時』だそうです。”


218 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/31(木) 20:05:59 ID:S2tw+ild
「それにしてもキョン。キミが、この番組を聞いていたとは思わなかったよ。」
そうかもな、俺だって自分が何で聞いてるのかわからない。ただ・・・・
なんとなく無性に聞きたくなってくるんだよ。たまにな。
「そうかい、なんとなくか、くっくっ、まったくキミらしいね。それとも僕が特殊なだけかな。
物事すべてに理由がなければいけないなんていう気はないけれど。娯楽を求めるのに、
面白いとか、何らかの情報を手に入れたいという理由すらなく聞いている。
ただ、何かを聞いていたいと思う。」
佐々木よ、そろそろわけがわからんぞ。
「そうかい。別に脈絡のない話をしているつもりもないんだが、まあいい、
せっかくだ。一緒に聞いていようじゃないか。」
そう言って佐々木は、ラジオのほうを指す。どうやら先ほどの詩がおわったようだ。
”さて、次は92,35s,00,さん。なんて読めばいいんでしょうねこれ?
何かの暗号のような気もしないでもないですが。からですね。タイトルは「SaKaSa」です。
どうやら、見紛う事なき恋の詩のようですね。

『あいつが俺に微笑む。その笑顔はただきれいだ。そこには俺への思いがあるのか。
ちがう、間違いだ。そんなはずがない。思い込みを即座に否定する。
あいつが俺の手を握る。思わず体が硬くなる。俺はあいつのことを思っているのか。
今のあいつに俺の手は届かない。容姿端麗、秀才、そんなあいつに・・・
この想いはあいつにとって迷惑なだけだろう。それでも想わずに入られない。
あいつの言葉に、しぐさに、表情に、心臓が高鳴る。
やめろ、勘違いするな。それは俺がそう思いたいだけ。
ただの、どこにでもいる凡人。ただ平凡なだけの俺はあいつと釣り合わない。
わかっていてもとまらない。あいつの言うとおりだ。恋はただの病気でしかない。
俺の想いは止まらない。それは、あいつにとって邪魔だろう。
わかっている。この想いをうずめて、隠して、笑う。いつかはきっと・・・』

さて、聞いているこっちが恥ずかしくなりそうな、まっすぐな詩ですが
だからこそ、胸にしみてきますね。私も若い青春を思い出しました。
ですが、なぜ「サカサ」なんでしょうね?名前と同じく何かの暗号とか?
このまま推測を続けるのも楽しそうですが。まだ、たくさんのお便りが、待っていますので。
次に移りましょう。”
「なんというか、熱いね。まったく僕には到底かけそうにない。あんなことをかける人もいる
世の中は広いね。キョン、そうは思わないかい?」
そうだな、どうやら、こいつの想い人はお前と同じようなやつらしいな。
「おや、どうしてだい?」
「終わりのほうにあったろう。『あいつの言うとおりだ。恋はただの病気でしかない。』って」
「そういえばそうだったね。何か引っかかりを覚えないでもないけれど。
まさか、キョンこれを書いたのがキミと言うことはないだろう?」


219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/31(木) 20:06:57 ID:S2tw+ild
お前は俺がこんな恥ずかしいことかけると思ってるのか?
「そうだね。まさか、キョンほどの朴念仁がこんなことを書けるとは思ってないよ。
まあ、もしかしてとおもってカマをかけてみた。そんなところかな。
さて、キョンピザは食べ終えたようだね。そろそろ勉強に戻ろうか。」
「そうだな、でも、遅くなっても悪いし。そろそろ帰るさ。」
「そうかい、まあ、こんな時間だ。土曜日だし、いっそのこと泊り込みでもいいかとも
思ったんだけど、準備もなしにそれは無理だろうね。続きは明日にしようか。」
あ、明日もやるのか。
「何をいっているんだい。キョン。当然じゃないか。結局今日は数学と英語だけで
終わっているんだからね。少なくとも物理と科学だけはやっておかないと。」
そうか、明日・・・
「何か用事でも入っているのかい。それならば無理にとは言わないが、僕としては
やっておいたほうが良いと思うけどね。」
「いや、じゃあ、頼む。何時からだ?」
「14時ぐらいからかな。午前のうちに国語社会と今日の復習をしておくことをお勧めするよ。」
わかったよ。じゃあまたな。

そういうと彼は、帰っていった。もう少し遅くまで引き止めておくつもりだったのだが。
まあいい。また明日。約束はできたのだから。そのとき突然チャイムが鳴った。
父だろうか?それにしては早すぎる。キョンが何か忘れ物でもしていったのだろうか?
疑問に思いつつ玄関をあける。
「宅急便です。佐々木さんのお宅で間違いありませんね。」
「はい、そうですが。サインで良いですか?」
「はい、では、こちらにお願いします。」
誰からだろう。受取人は自分で、差出人の名前は書いてない。中に入っていたのは
「服・・・どうして?」
それは、今日買わなかったほうの服だった。あの服のことはキョンにしか見せてない。
それも今日のことだ。今日半日一緒に行動していたのだから、彼ではないはずだ。
とりあえずその服を広げて見る。間違いない。ほしかった服だ。
「あれ?」
服の中から一枚のカードが落ちてきた。そこには『少し早いけど誕生日おめでとう』
とだけ書いてあった。宅急便なのだから、誕生日に直接指定して贈ればいいものを。
だけど、差出人の名前はない。やはり、キョンなのだろうか?
裏を見ると。そこには『XY X:1→9=わ→か、Y:1↓5=あ↓お s=small』とかいてあった。
XYには2桁の数字が入るのだろう。でも、そんな数字は手元にない。
しばらく、考えながら、食事の後片付けを済ませる。服はハンガーにかけて近場にかける。
明日はこれを着よう。
5分ほど悩んでいるとメールがきた。どうやらパソコンのフリーメールから送っているようだ。
誰から送られてきたのかはわからない。ただし、タイトルは「挑戦状」
そして、中にはただ「逆」とだけ書かれていた。
ヒントのつもりだろう。確かにこれだけで十分だ。カセットを巻き戻して再生。
「次は92,35s,00,さん・・・・・・」この数字、Xは行をワ行から順に前に
Yはあからしたに順番と言うことなのだろう、この暗号は。
00はあ~をにふくまれない「ん」sは小さい文字だとすると。
「キョン?」
まさか、でも、服のことを考えるとやはり彼なのだろうか。
だとしたら一体どうして私にあんな詩を聞かせたのだろうか。決して私ではないだろう。
でもそれならなぜ私に聞かせたの。あぁキョン、一体何のつもりなの!!?
はぁ、明日どういう顔して会えばいいんだろう。

fin


220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/31(木) 20:09:19 ID:S2tw+ild
わざわざこんな長駄文をよく書いたもんだ
今後の参考にもバシバシ叩いてくれ

番外

同時刻、佐々木が心の中であらざる奇声を上げていたころ
「閉鎖空間に『神人』とおもわれる人型存在を確認。周りの建築物を破壊しています。」
今までになかった報告を受けた橘はあせっていた。
「一体何が原因でこんなことに、彼は今自分の家にいる、電話しているわけでもないのに
でも、彼以外に佐々木さんをこんな不安定な状態にさせる人なんて・・・」
どうやら今夜は橘にとって眠れぬ夜になりそうなのだった。

佐々木スレ10-126 無題

2007-07-20 | その他佐々木×キョン

126 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/30(水) 22:35:27 ID:vpVqWq6O
人が人を好きになる瞬間と言うのはいつなのだろうか。
俺の場合それは恐らくあいつと一年ぶりに出会った日だった。

四月。太陽の光がぽかぽかと暖かくなり、そろそろ半そでで外に出てもいいんじゃないかと心も軽くなる季節。
俺が佐々木と再会したのは春を象徴するかのようないい天気の日だった。
虫達と一緒にハルヒの活動もより活発となり、俺たちはまたいつものように駆り出されていた。
佐々木に会ったのはそんなどこにでもある日常だった。
出会いは唐突でまったく予期していない出来事だったが、久しぶりに見る佐々木は変わっていなかった。
肩のところで切った栗色の髪、相変わらず勉強ばかりしているのか白い肌に細い肩。涼しげに笑う口元。
春風になびく髪はそよぐ茂った草木をイメージさせた。
それなのに佐々木の眼の色はこの陽気な季節とは不釣合いでどこか寂しげだった。

「ほ、ほらキョン!いつまでボーっとしてんのよ、さっさと行くわよ!」
「あ、あぁ」

ハルヒがぐいと強引に俺の腕をひっぱる。

「またね、キョン」

佐々木はハルヒの方を少し見てどこか寂しそうに俺を見て笑っているだけだった。
そのときからだろう、俺の頭の中の隅にいつも佐々木がいるようになったのは。
佐々木が時折見せる物憂げな顔、その曇りを晴らしてやるのが俺の役目のような気がした。運命と言うやつであろうか。
佐々木を笑顔にしてやりたかった。


127 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/30(水) 22:36:24 ID:vpVqWq6O
最初のデートの誘いはいたって簡素な物だった。「久しぶりに話でもしないか」とかいったそんな簡素なメールを送っただけである。
そうして俺たちは喫茶店で待ち合わせることにした。
高校に入ってしゃれっ気も出たのだろうか、普段見るより幾分かおしゃれだった佐々木は新緑の季節に輝いて見えた。
二人だけでこうやってちゃんと会って話すのは少し気恥ずかしかったが、一年のブランクなどすぐに埋まり、
会話は思っていたより弾んだ。

それからも佐々木とはちょくちょく二人で会うようになり、俺は佐々木に想いを告げようと決心した。
どこの誰が考えたのか知らないが、六月の花嫁は幸せになれる。そんなコピーを覚えていた。
別に結婚とかそういった大げさな物ではないが、俺にとっては告白もプロポーズも同じような物である。
きっと佐々木を幸せにしてやる。そういう意気込みもあった。

六月の灰色の空は街行く人々の気持ちを暗くし、しとしとと降り続ける雨は止むことを知らない季節に
俺は佐々木に思いを告げた。
生まれてこの方一度も告白などしたことがなかった。テレビドラマや小説の中で、主人公はヒロインに甘い文句を連発し、
世界中では今もこの瞬間にいくつものカップルが誕生しているだろうが、あんなに緊張するものだとは知らなかった。
佐々木は少し照れたように含み笑いをしながら
「いいよ、君がそう言うなら。」
といってくれた。
その日以来すべてが輝いて見えた。水びたしになった建物や草木はきらきらと光り、汗ばむ肌も陽気な夏の到来を予感させ、
自転車に乗れば常に追い風が吹いている気さえした。チープな表現だが俺は無敵だった。
俺は幸せだった。


130 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/30(水) 22:38:12 ID:vpVqWq6O
夢を見た。
いつものように佐々木と会う夢。これからどこへ遊びに行こうか、今日は少し背伸びしておしゃれなレストランへ行ってみようか、
そんなことを考えていると佐々木がポツリと言う。
「ねぇキョン、僕の名前を覚えてる?」
佐々木の名前?バカだなそんなの忘れるわけが――
あれ、なんだっけ。佐々木の名前――

夢はそこで終わった。
俺の見る夢にはぼんやりとはっきりしとはしないがなんとなくなら覚えている夢、そして起きた後も生々しく記憶に残る夢の
二種類の夢を見る。今回の夢は後者だった。佐々木の名前、もちろん忘れるわけがない。はっきりと覚えている。
だが―
学校に行く途中ずっと頭がはっきりしなかった。頭の中をもやもやが取り巻いていてすっきりしない。
佐々木の名前のことだ。はっきりと思い出せるが何か得体の知れない違和感のような物が頭の隅にあった。
教室に入ると俺は中学校が同じだった国木田のところへと向かった。国木田も確か佐々木と面識があるはずである。

「やぁおはようキョン」
「国木田、変なことを聞くがいいか?」
「どうしたのさ?」
「実は――」

国木田から聞いた佐々木の名前は俺の知っている佐々木の名前と同じ物だった。当たり前である。
国木田は俺のことをさして変なやつと可笑しそうに笑っていた。
そうかこいつは俺と佐々木のことを知らないんだったな。俺は佐々木とのことを誰にも話していなかった。
谷口やハルヒにばれるといろいろと面倒くさそうだったからである。そしてそれ以上に周りに秘密にしていることが楽しかった。
一時間目の国語が始まり、俺は古典の教科書を開いた。ノートが湿気でべたつき気持ち悪かったので俺はノートをとる事を破棄し、
しばらく雨の降る校庭を眺めていたが、30分が過ぎたころで俺は教師の講義の声を子守唄にして眠りについた。


131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/30(水) 22:39:35 ID:vpVqWq6O
―――キョン
―――ねぇ、キョン

誰かが俺を呼ぶ声が聞こえた。佐々木か?
目の前に佐々木が現れ、また俺に言う。
キョン、僕の名前を思い出してくれたかな
忘れるものか、お前の名前は――

「キョンったら!」

俺は背中をつつかれ眼を覚ました。

「あんたいつまで寝てるつもりなの?そろそろ授業が終わるわよ。」

なんだ、夢の中の声はハルヒだったのか。
時計を見るとハルヒの言うとおりあと五分少々で授業が終わろうとしているところだった。
結局黒板を写したのは最初の三行だけ。まったく中間試験が近づいてきているというのに、われながら呆れる。
それより――またあの夢を見た気がするな…。今回の夢ははっきりと覚えていなかった。

休み時間、俺はもう一度国木田の席へと向かった。
朝ともう一度同じ質問を国木田にすると、予想通り不思議そうな顔をして答えた。

「どうしたの?さっきも言ったじゃないか。佐々木の名前は――」

あれ?そうだったっけ、佐々木の名前。
信じられないことだが俺は今生まれてはじめて佐々木の名前を聞いたような感覚に陥った。
国木田から聞いた佐々木の名前は確かに俺の知っている佐々木の名前だったが…
なんだろう、この今はじめて聞いたような響きは。
その感覚は「新鮮な響き」という表現とは遠く、なにかもっと気味の悪いものだった。


132 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/30(水) 22:40:50 ID:vpVqWq6O
昼休み。いつものように谷口国木田の二人と昼食を取った俺は五時間目の準備をし、
食堂から帰ってきたハルヒと雑談していた。

「なあハルヒ、おまえ人の名前忘れたことってあるか?」
「え?」
「だから、クラスメイトの名前を思い出せなかったりとか…」
「なによいきなり。忘れるも何もこのクラス全員の名前を言えって言われたって無理よ」
「そんなんじゃなくてさ、もっと身近な人の名前だよ。例えば、朝比奈さんや長門なんかの」
「そんなの忘れるわけないじゃない。」

そうだよな、それなのに俺の頭はどうしてしまったんだろうか。
もうなんかいもあいつの耳元で囁いたはずである佐々木の名前を忘れるなんて。

授業が終わってからも俺の頭のもやもやが晴れることはなかった。
直接佐々木に会いたかったが部活をサボろうとするとハルヒが烈火のごとく怒り出すのは火を見るより明らかだったので、
俺と佐々木が会えるのはもっぱら休日のみだった。佐々木もそれを理解していてくれた。

佐々木は俺たちの他人が知っても何の面白みのない部活の話をいつも楽しそうに聞いていた。
自分も北高に入って俺たちと一緒にそんなわけの分からないことをしたかったと、うらやましそうに語っていた。

部活が終わると用事があるとみんなには嘘をつき、一人だけ帰り道からはぐれ佐々木に電話をかけた。
せかすようにコール音が数回鳴ると佐々木が電話を取った。もしもし。
佐々木の声…最後に聞いてからそんなに時間は過ぎてないはずである。佐々木の声、こんなんだっただろうか。
いつもは俺の心を満たしてくれる佐々木の声は、俺に何の感動も起さなかった。
会いたくてたまらないはずなのにあまり長く喋る気にはならなかった。
俺は会話を済ますと電話を切った。
俺は寄り道することなくまっすぐ家へと向かい、中学の卒業アルバムを探した。
やはり佐々木のことが気になっていた、俺の中の佐々木が消えかかっている。そんな不吉な思いさえした。

物置でホコリまみれになっていた卒業アルバムを引っ張り出してくると、佐々木のページを祈るように開いた。
いつもの佐々木を感じたかった。俺を安心させてほしかった。
だが――

俺は背筋が凍りつくかと思った。
そこにあったのは黄ばんだ紙面にびっしりと印刷された無機質な数字や見たこともないような文字。
まるで佐々木のページだけが文字化けを起したかのように、まるっきりそのページだけが異質な世界だった。


133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/30(水) 22:42:00 ID:vpVqWq6O
一瞬気を失いそうになった俺は目を閉じて深呼吸すると、改めて恐る恐る佐々木のページを覗き込んでみた。
そこには今さっきのようなおかしな文字はなく、あったのは他のクラスメイトとなんら代わりのない、各々の好きな歌手や将来の夢などを書き連ねた
何の変哲もない卒業文集の1ページだった。
ふつう卒業文集を開くときはノスタルジーな気持ちが生まれるものであるが、今の俺にはそんな余裕はなかった。
あるのは得体の知れない恐怖だけだった。
俺は佐々木のページのある文章に目が止まった。

「はやくみんなでタイムカプセルを開けたい」

タイムカプセル…。そうだ、俺たちは卒業式のあとクラスメイトみんなで校庭の桜の木の下にタイムカプセルを埋めたのだ。
俺の記憶では確かに佐々木もタイムカプセルに参加したはずである。
何かが狂っている。俺の知っている佐々木とみんなが知っている佐々木。何かがズレている気がする。
気付いたときには俺はスコップと懐中電灯を準備して雨の中を自転車で全力疾走していた。

外はすっかり暗くなり雨も本降りとなっていた。
びしょ濡れになっていることなんか気にも留めず俺はかつて通っていた中学校を目指した。
天気が幸いしてか外を出歩いている人もおらず、誰にも見つかることはなかった。
校門を乗り越えると、俺はなるべく周囲を警戒してタイムカプセルを埋めた桜の木へと急いだ。

桜の木に近づくにつれ気付いた。誰かが立っている。
俺はスコップを身構えながら恐る恐る近づく。だんだんとシルエットがはっきりしてきた。
そいつは傘もささず、ただぽつんと俺を待っていたかのように立っていた。
懐中電灯をゆっくりと向けると、俺はそこに立っているのが誰だかわかった。

「長門…」


135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/30(水) 22:42:59 ID:vpVqWq6O
長門は雨が降りしきる中じっと俺の眼を見ていた。
いつから立っているのか、ずぶ濡れになっていた。

「長門、こんなところで何をしている」
「あなたを待っていた。」
「俺を?」
「計画は失敗した。」

長門は意味不明な言葉をつぶやくと続けた。

「話がある。」

今俺は長門のマンションの一室にいる。髪と服を乾かした俺は、長門と向き合って座っていた。

「なんだよ話って」
「順を追って説明する。まずわたし達ヒューマノイドインターフェイスがこの惑星に送り込まれた理由について」
「ハルヒの観察だろう?」
「そう、当初の主な目的は涼宮ハルヒの観察だった。もうひとつの目的は監視。
この全宇宙の有機生命体において彼女の存在は並外れて特異であり、
宇宙の環境さえ変えてしまう可能性があった。しかし途中で状況が変わった。原因はあなた」

そういって長門は俺を見た。

「なんだと?」
「あなたが涼宮ハルヒと接触を開始してから古泉一樹らの言うところの"閉鎖空間"と呼ばれる次元断層の発生が活発化された。
情報統合思念体は次元断層の拡大は宇宙を飲み込み、やがては世界を崩壊させる。そう判断した」
「…」
「涼宮ハルヒは人間にとっても、宇宙にとっても危険をもたらす爆弾。このままではいつそのときが訪れるか分からない、
起こりうる危惧に対しては事前に防護策をとるべきと判断した。そして情報統合思念体はある計画を遂行した。
情報統合思念体の作り出した有機生命体に、涼宮ハルヒの人智を超えた能力を移植させようというもの」


136 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/30(水) 22:43:59 ID:vpVqWq6O
俺は背中に寒気を感じた。佐々木が長門の一味が作り出した人間だったと言うのだ。
信じられなかった。
こんなウソのような話、誰が信じるものか。しかし長門が言うことによって、その信じがたい話はよりいっそうリアリティを増した。
長門がハルヒをかれこれ一年もの間だまって観察していたのはこのためだったのだろう。
俺が佐々木の顔を思い浮かべると、長門はまた続けた。

「彼女はわたしたちと同じタイプのヒューマノイドインターフェイスではない。どちらかと言えばあなたたちと同じく
感情を持ち、成長する有機生命体。そして同時に器の存在。彼女は4月に生まれたばかり。それまでの生い立ちなどは
情報操作によりあなた達の記憶の中に刷り込ませた。」
「な、じゃあ俺が佐々木と過ごした中学三年間ってのは…」
「あなたの記憶の改ざんによって造られた幻。このまま行けば万事うまくいく予定だった。
ただここでまたひとつ不具合が生じた。あなたが原因で彼女の存在を維持出来なくなった。
ここ数日あなたが感じた違和感がそう。」
「俺が原因って…」
「造り出された彼女をこの世界に融和させるにはあまりに複雑な情報操作が必要。エラーの発生を回避することは困難だったが、
これほどのまでとは予想外だった。親密な人間関係はより彼女に関する情報の複雑化を強いられる。だから」
「それが、俺のせいだって言うのかよ」
「……」
「それで、佐々木はどうなるんだ!」
「………」
「長門!!」

正直言ってここから先は聞きたくなかった。
佐々木はもう長門たちにとってはエラーなのだ。冷酷非情な長門の親玉がエラーに対しどう処理するかなんて、聞かなくたって分かる。

「彼女をこのままにしておいて安全であるとは断言できない。この先世界に対して何らかの悪影響を与える可能性は無いと言えない」

そのひと言は、俺を絶望させるには十分だった。

「なんとか…佐々木を助けてやれる方法はないのか…」
「無い訳ではない。今ある選択肢は2つ、ひとつは彼女をこの世界から消し去ること。もうひとつは彼女から涼宮ハルヒに繋がる力をなくすこと。
この場合彼女は今までと同じように生活を送ることができる。ただし、後者を選んだ場合、彼女の記憶を一切消すことになる。」
「な、なんだと!」
「酷な選択なのは分かっている。わたしもあなたのことを思って最善を尽くしたつもり、分かってほしい。」

長門は同情の眼で俺を見ていた。その眼が俺に対するものか佐々木に対するものかはわからないが…
それよりも今回のことは長門でもどうしようもなかったのだ。
俺が4月に佐々木と再会したことを、いや初めて出会ったことを勝手に運命だと感じているのなら、これもまた運命なのだろう。

「情報連結解除開始は今から24時間後、それまでに…」

それ以上は何も言わず長門は俺にスイッチを渡した。これを押せば佐々木は普通の生活を送ることが許され、助かる。
だが俺は佐々木を失うことになる。その代償は俺にとってあまりに大きかった。


137 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/30(水) 22:45:07 ID:vpVqWq6O
最期の日、俺は佐々木にめいっぱいいい思いをさせたかった。
今まで俺は何もしてやれなかった。もっと二人だけで遠くに出かけてみたかったし、誕生日も祝ってやりたかった。
せめてなにかと、俺は佐々木にプレゼントを渡した。俺と佐々木のイニシャルの入った指輪。
例え佐々木の記憶がなくなったとしても、佐々木の近くに俺の身代わりを置いておきたかったのだ。
少しサイズが大きかったが、佐々木は満足そうな顔をしてくれた。

「ありがとう、大切にするよ」
「サイズわるかったな、今度からはちゃんと調べるよ」
「じゃあ指輪はその時まで待ってこれはネックレスにして首にかけるよ。
今度はペアにしようか!ねキョン、いいアイデアだとは思わないかい?」

落ち込んで見える俺を励まそうとしたのか、佐々木は楽しそうに笑った。
今度は――か、本当に今度があったらと思えば思うほど涙がこぼれそうだった。

「キョン、今日はずいぶんと優しいんだね」
「そうかな」

夕暮れが近づいてきていた。
佐々木には本当のことは言わないでおこうと決めた。

「なぁ佐々木」
「なんだい?」
「もし佐々木が次の朝起きて記憶喪失になってしまったらどうする?俺がどこの誰かも分からない、そうなったらどうする?」

佐々木は一瞬あっけに取られたような表情になったが、すぐにいつもの表情に戻るといつものように笑った。

「そのときはキョンが僕を助けてくれるんだろう?」


夕日に照らされた佐々木の顔はきれいだった。
そうだよな、また一からやり直せばいいだけだよな。
またこうやって一緒に夕焼けを見られる日が来るのはいつになるか分からないが、諦めないさ。
佐々木がいる限り。

FIn

佐々木スレ10-77 God knows...(佐々木ver)

2007-07-20 | 佐々木ソング

77 :God knows...(佐々木ver):2007/05/30(水) 13:32:27 ID:5BVopQn0
泣きたい想いで追いかける
ごめんね 何も言えなくて
醜い私のエゴでさえ
あなたは受け入れてしまう

仮面守るため振り向かず
この想いを封じ込めよう
on the lonely rail

だから寂しくないよ
嘘じゃないよ 君との想い出があるよ
私忘れはしないから
暇な日常さえ
我慢できる それさえ虚勢なんだけど
my heart 泣きたいよ
今君へと God bless...

無意味な日常繰り返し
覚悟は 風化してしまう
会いたい気持ちに嘘はない
君へと届けこの lonely heart

せめて一目でも構わない
この想いが暴れるから
for your plain heart

私嘘は止める
素直になる これ以上我慢できないの
君に想いを伝えたい
怖くなんかないわ
進むために 幼い仮面は捨てる
Good bye ペルソナは
今壊すよ Break down...

あなたがいて 私がいて
他の人は いらないだけよ
淡い想い 二人だけの楽園で
契りを交わす

だから私君といるよ
どんなモノが二人の仲を裂こうとも
きっと離れはしないから
辛い日常さえ
超えていける 想いは変わらないものよ
our way 幸せよ
今ふたりに God bless...

佐々木スレ10-70 佐々キョンバカ+1

2007-07-20 | その他佐々木×キョン

70 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/30(水) 09:06:21 ID:JpDkLYHg
佐々キョンバカ+1

「橘、お前はどんな超能力が使えるんだ?」

「えっと…内緒です…」

「ふぅん…まぁいいさ。ところで、だ。俺だって超能力の一つや二つ、行使できん事もないぞ」

「そ、そうなんですか!?」

「ほう…キョン、それは初耳だね。キミが超能力を使えるとなると、僕はキミに対しての認識を改める必要が生じるよ」

「まぁ見ててくれ。今から佐々木の顔を真っ赤にしてみせるからな」

「ワクワク…」

「ドキドキ…」

そして俺は佐々木の耳元で囁いた。

「愛してる…」

「…///」

「…///」

「橘、お前まで赤くなる事はないだろ…」

「あ、あなたの超能力の効果範囲が広すぎるのです!」

「き、キョン…もう一度頼むよ…」

ったく、しょうがねえな。

「今度は佐々木の鼻血を出す超能力だ」

再度耳元に口を寄せる。

「佐々木、俺はお前と生涯を共にしたいんだ。結婚してくれ」

「…///」ボフッ

「…///」ボフッ

「だ~か~ら~橘。佐々木はともかく、なんでお前まで鼻血を放出してるんだ?」

「あ、あなたの超能力が下手くそなのです!範囲を設定してください!」

「キョン…もう一度、もう一度だけ…」

以下エンドレス

佐々木スレ10-66 >>1乙に関する考察

2007-07-20 | >>1乙

66 :>>1乙に関する考察 1/2:2007/05/30(水) 07:08:19 ID:lW4/dNxR
「>>1乙」
「へ?」
今何つった? もっぺん頼む。
「いち、おつ」
ぁんだ? って佐々木、もうレス60以上行ってんぞ。それに俺は>>1ではない。
「いや失敬。10スレ目のお披露目のご挨拶も無事済んだし、丁度良いタイミングだと思ってね。それに、
ちょっと声に出して言ってみたかったものだからね」
SOS団御用達の喫茶店で、大きな声で、しかも俺の目を見て言わんでくれないか。俺は周りを見渡す。今日
は喜緑さんはいない。

「それにしてもだ、実に潔い言葉ではないか。新たにスレを立ててくれた>>1に対する感謝とねぎらい、そ
れにホスト規制など諸般の事情でスレを立てられなかったものたちの無念と憧憬の思いなどが渾然一体と
なり、しかして悪意のかけらもない、簡にして要を得た表現と言うべきだろうね。この表現を発明した人
に対しては敬服の至りだ。」
異論はないのでとりあえず同意しておく。俺は何も言わず、眼で続きを促した。中学の時もそうだったが、
こいつとの間ではアイコンタクトで相当の意思疎通ができる。考えてみれば俺が長門の気持ちを読めるの
もこのときの訓練の成果かもな。

「『乙』という当て字がまた絶妙だ。『おつ』は『おつかれさま』の略だと言われているようだが、『乙
枯山』という当て字が高橋留美子の『うる星やつら』にも見られる。まあそれ以前にもあったのかも知れ
ないが。『乙』は『きのと』とも読む。『木の弟』なのだそうだ。中国の十干の一つなのだが、甲乙丙丁
戊とあってだな…」

そのまま話は戦前の五段階評価やら契約書やら焼酎やら赤いちゃんちゃんこすなわち本卦返りの語源やら
に至り、俺の脳内メモリは完全にオーバーフローしてハングアップ。ふと別のことが頭をよぎる。そうい
えば「うる星やつら」をSOS団の三人に読ませてみたのだった。ハルヒが自分の能力を自覚して宇宙人、未
来人、超能力者が日常世界に普通に現れるようになった世界といえば、やっぱコレじゃね? と思ったの
で、連中の反応を見たかったのだ。案の定というか、古泉は泡を吹いて卒倒し、長門は青ざめた。不思議
なことに、朝比奈さんはけらけら笑うばかりだった。たぶん状況の深刻さに思いが至らないのだろうが、
もしかすると、未来世界って意外とそういうところなのかも知れない。何にせよ、ハルヒには決して「う
る星やつら」を読ませないことにしようということで、我々の意見は一致した。買い占めるわけにも行か
ないので、ハルヒが行きそうな本屋に対して長門に情報操作して貰うしかないかな。いっぽう朝比奈さん
に「めぞん一刻」を読ませたら泣かれてしまった。原始社会の未発達な通信に起因して生じる意思疎通の
齟齬と誤解による不幸の悲惨さを思い知った、とのことなのだが。

「キョン、聞いてるか?」
[Ctrl]+[Alt]+[Del]。はっと正気に返る。曖昧に頷くと、佐々木は続けた。

「ところで、『おつ』という言葉には違う意味もあるのは知ってるね。ひとつは、いつもと違ってとか
妙にとか言う意味だ。ツンツンしてる女子に対して『おつに澄ましやがって』とか言うね。」
お前のことだろ。
「キョン、嫌なことを言うな。つまらん冗談を言う奴とは絶交だ」
拗ねたらしく、プイと横を向いてしまった。まあ一番気にしてるところなんだろうな。しかし席を立つわ
けでもなく、俺の向かいに座ったまま横を向いている。どうしてほしいんだか。まあこうしてみると、結
構可愛いところがある。『うい奴』という言葉が浮かんだが、言わないでおこう。

「冗談だよ」
その言葉を待っていたように佐々木はそむけていた顔を戻し、ちょっと照れたように微笑む。
「わかってるさ。しかし涼宮さんにつまらない冗談を言うと死刑にされるぞ。それとも今は罰ゲームかな
? いずれにせよ物騒極まりないから、気をつけた方がいい」
「ああ」
俺は緩む口元を根性で抑えて眼で続きを促す。


67 :>>1乙に関する考察 2/2:2007/05/30(水) 07:09:40 ID:lW4/dNxR
「この用法でも『乙』という字を当てる。なかなか面白い」
まあな。
「もう一つの意味は、粋だとか気が利いたとか言う意味だ。落語でよく幇間、いわゆるたいこもちが旦那
に『よっ、旦那、おつでげすね』とかいうだろう。あれだよ」
SOS団にもそういうのがいるからよく分かる。
「そういえば谷崎潤一郎に「幇間」という佳作がある。また「細雪」にはこの近くのことも出てくるね」
「お前の古風な口調は谷崎由来か」
「別にそういうつもりはないが、谷崎の作品は好きだね。彼は我らの郷土を愛してくれた大作家というべ
きだ」
もうひとりは谷川某だとは言わないでくれよ。
「その件については意見の表明を留保し、後世の評価を待つとしよう。特に当事者たる我々には谷川を論
じる資格はないように思う」
くっくっくっ、と押し殺した笑い。意味がわからんが、まあいい。

「ときに、この表現でも当て字は『乙』だ。他にも、若いとか年少の異性という意味もあるらしい。乙女
とか乙姫とかいうのはここから来ているようだ。この意味でも漢字は『乙』なのだな」
感に堪えた風情であごに手をやる。

「そもそも、『乙』という字は古語でのみ用いられていて、現代の日本語では格別の意味を与えられてい
ないみたいなんだな。これも実に面白い。いや。僕が知らないだけかも知れないのだが。今度調べてみる
としよう」
分かったら教えてくれ。
「当て字としても使われているのは戦前の小説までではないかな。最近ではかたかなで表記されることも
多いようだし。もしかして、絶滅に瀕した字なのかも知れないね」

一人で悦に入っている佐々木を見ていると、ふっと妙な考えが浮かんだ。つまらんジョーク。

「佐々木」
「なにかな?」
「可愛いぞ」
「は?」
「好きだ」



「………絶交だ」

(完)

お目汚し失礼。まずは>>1乙、それから>>54乙です。
さて、この後どうなったかは、読者諸兄の脳内外挿にお任せすることと致しましょう。

キョンのつまらない冗談に心底怒った佐々木さんがフラグをへし折ったか、キョンがそれを見越して
フラクラ発言をしたとか、それともジョークというのは嘘で実はキョンの隠された本音なのかもしれません。
その場で仲直りをしてハッピーエンドもありですね。あるいは怒りを装って喫茶店を飛び出した佐々木
さんをキョンが追いかけて… 

まあこれ以上の詮索は野暮というものですね。反省はしておりません。
おや、こんな朝早くに誰だろう?