“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

消費税率引き上げについての見方

2014年03月31日 12時59分04秒 | 臼蔵の呟き

海外の報道機関が、4月1日消費税率引き上げ、日銀の金融緩和をどのように見ているかがよく分かる考察です。大手企業、富裕層などを利する一方で、低所得者、国民に負担と犠牲を強いるものであることを率直の語っています。

<WSJ>

東京に住む野田英夫さんは最近せっせと買い物をしている。息子のためのスマートフォン「ギャラクシー」やロボット掃除機「ルンバ」、衣料品、食料品などだ。野田さんは4月1日に消費税が5%から8%に引き上げられるのを前に買いだめをしているのだ。NPOのマネジャーを務める彼は、増税後は支出の引き締めを覚悟しており、今年の冬休みは恒例の家族旅行もあきらめなくてはならないと考えている。

 彼と同じように多くの日本の世帯は、駆け込み買いのあとには支出を抑えると見られている。これは安倍晋三首相が1年4カ月前に打ち出した景気回復を目指した政策、アベノミクスにとって最大の試練になる。

 この増税は、膨れ上がる社会保障費を補い、日本の経済規模の倍以上に膨張し、先進国の中で最大となっている公的債務を減らすことが目的だ。しかし、15年以上にわたるデフレのあと、日本の慎重な消費者が支出を続けると期待している政府にとっては時期が悪い。

 過去の経験からしても安心はできない。1997年4月、政府が消費税を3%から5%に引き上げると、消費は急減し、また当時のアジア金融危機の影響も相まって、日本はリセッションに陥り、これは1年半以上続き、15年間のデフレへと突入した。

 この1年間に行われた日銀の大胆な金融緩和策は財政出動と並んで、資産価値を押し上げ、センチメントを高め、最終的に消費を増やした。2013年上半期の日本の経済成長率は約4%と、先進国では最高を記録した。

 黒田東彦日銀総裁の名前にちなんで命名された、2年間で2%の物価上昇を実現するために金融システムに大量の資金を注入する政策「黒田バズーカ」も結果として円を下落させ、日本の輸出業者の利益が改善、輸入価格の上昇でインフレにも寄与している。

 消費者物価指数は多くのエコノミストの予想を上回るペースで上昇し、2月は3カ月連続で前年比1.3%の上昇を記録した。

 しかし、アベノミクスのインパクトは弱まっている。金融緩和の影響力が弱まっていることから、円の対ドル為替レートは今年これまでに3%近く上昇している。輸入エネルギーコスト高による物価の上昇も弱まりつつあり、インフレ率の上昇は長くは続かないかもしれないとの懸念が強まっている。株式も今年に入って10%下落した。13年下半期の経済成長率は1%に満たなかった。

 そして消費税の引き上げだ。多くのエコノミストは、今年第1四半期(1-3月)の成長率は駆け込み買いで4%以上になるだろうが、第2四半期はその反動で約4%縮小すると予想している。

 当局者はこの縮小は一時的だろうと述べているが、共同通信の世論調査では、支出を減らすと答えたのは回答者の66%に上り、支出を変えない人は33%だった。また、80%近くの人は景気見通しに不安を抱いている

 政策立案者は、昨年アベノミクスの原動力となった輸出の増加が国内消費の減少の衝撃を緩和するのに役立つだろうと期待している。だが、これまでのところ輸出は期待外れだ。日本の企業が過去数年間に生産を中国などに移したことも一因となり、円安もその効果を発揮できないでいる。

 増税の影響を和らげるために政府は5兆5000億円の補正予算を組んだが、公的債務問題があるため、一段の財政刺激策の余地は限られている。多くの投資家は、財政面での制約から判断して、日銀が金融を緩和するため、7月にも債券購入を増やすと予想している。

 確かに、増税の負担を軽減する賃金引き上げなど明るい材料もある。春闘―そして安倍首相の再三の催促―を受けて、トヨタ自動車、パナソニックなど多くの大手企業はこの何年間かで初めてのベースアップを決めた。

 2月の失業率は3.6%と、98年以来の低い水準で、消費支出が減少し、輸入価格が落ち着いてきても、賃金上昇が物価の上昇圧力を維持するとの期待を強めている。HSBCのエコノミスト、デバリエ・いづみ氏(香港)は「2月のインフレと労働市場統計は、(15年に)2%のインフレを実現できるとの日銀の確信を強めるだろう」としながらも、増税後はインフレ率が1%で横ばいになる公算が大きいことから、この目標達成には日銀の新たな緩和策が必要になるだろうと見ている。

 景気を押し上げられなければ、アベノミクスへは強い反発を招く可能性がある。アベノミクスは既に、一般の日本人を犠牲にした緩和策でバブルを生み出しデフレ脱却を図ろうとする政策だ、との批判に直面しているのだ。


日銀の金融緩和

2014年03月31日 11時00分27秒 | 臼蔵の呟き

20世紀後半、21世紀初頭の日本経済の低迷要因は、国民所得の低下、低所得者層の拡大、多国籍企業による生産拠点の海外移転でした。その間、日本以外の政治経済要因により、円高が進み、円は1990年120円、2000年105円、2010年80円から90円で推移し、値上がりし、食料、原油などが値下がりし、価格が安定した状態が続きました。一方で、失業者数は1989年225万人、1990年210万人に若干減少、2000年473万人に激増、2010年505万人と20年間で2.2倍に増加しています。日本経済の低迷、閉塞感は、貧富の格差拡大、中間所得層の没落・貧困層の激増、多国籍企業による海外生産拠点の移設、製造業労働者の減少、非正規労働の激増によっています。

デフレ現象は、円高、所得の急激な減少、大衆課税の強行と収奪によってもたらされたものです。円高による輸入価格の引き下げ、維持が相対的に国民生活の窮乏を緩和させていました。ところが、安倍、自民党政権、日銀の超金融緩和により円安が急激に進み、輸入品価格の上昇が国民生活を圧迫しています。その上に消費税率の引き上げ、医療費の負担増、年金切り下げにより、中・低所得者層の生活は、急激に悪化しています。

デフレ現象と、日本経済の低迷要因は、労働者所得の低迷、低下、非正規労働の拡大による購買力の低下が、企業業績の低迷、停滞を招いていることです。もう一つは、大手企業、多国籍企業が生産拠点を海外に移転し、就労人口が増えないこと、製造業労働力の減少により年収の現象が構造化していることです。大手企業、多国籍企業の技術が大量消費、大量生産技術体質から抜け出ることがなく、中国、韓国、インドなどの新興国企業のコスト競争に勝てないことによります。その意味では、日本経済の構造転換が必要であり、再生可能エネルギー開発、産業の創造、環境対策を行う技術開発、産業の育成が決定的に立ち遅れていることです。

国債買い入れによる致命的な欠陥は、国際価格の低下、円の暴落を招くことです。その結果、制御不能の物価上昇を招くことはあきらかです。また、この異常な国債購入、通貨の乱発は、変更、終了することが非常に難しい政策となることです。この超低金利状態は日本、アメリカなどに共通する問題であり、長期化し、その状態からの脱却ができないでいます。国民から見れば、預貯金金利が0になり、大手金融機関は国民に支払わなければならない金利を横取りされた状態が続いています。年金運用が予定金利にならないことで支給率の低減につながる問題ともなっています。

このような円安政策、金利0政策を止めることが必要です。また、労働者の賃金を引き上げ、非正規労働の拡大を止めるべきです。また、産業構造の変更を行うために再生可能エネルギー産業、環境ビジネス、高い技術力、基礎研究などの分野への投資がどうしても必要です。異次元の緩和などで日本経済の低迷が解決することがないことは確実です。

<信濃毎日新聞社説>

日銀の黒田東彦総裁が「異次元緩和」と呼ばれる大胆な金融緩和政策を実施し、間もなく1年になる。安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」に呼応し、過去に例のない規模の国債を買い入れ、市場に大量の資金を供給してきた。

 15年にわたるデフレから脱却するため「2年程度で2%の物価上昇目標を実現する」ことを掲げる政策である。

 この1年を振り返ると、異次元緩和が円安・株高の流れを後押ししたことは間違いない。円安効果で企業業績が回復し、資産効果で個人消費も伸びた。金融緩和、財政出動、成長戦略の「3本の矢」のうちで、どうにか効果を示せた政策と言えるだろう。

 それまでの政策の小出しをやめ、物価上昇に強い決意を示すことで人々の意識を変えようとした。「物価は下がるもの」と思われているかぎり消費や設備投資は増えない、日本経済は頑固なデフレ体質になっている、との認識に基づくものだ。確かに消費者物価は昨年6月、前年同月比でプラスに転じ、この1月は1・3%までプラス幅を拡大している。最近の講演で黒田総裁は「目標への道筋を順調にたどっている」と自信を見せた。

 だが、異次元緩和の真価が問われるのは2年目のこれからだ。物価目標の実現には日銀内部にも懐疑的な見方がある。

 まず壁となるのが4月からの消費税増税だ。駆け込み消費の反動でマイナス成長になった後、短期間で克服できるかが鍵になる。

 円安・株高効果も2年目は期待できない。景気を引っ張るはずの輸出は伸びず、日銀の期待通りになってはいない。製造拠点の海外移転が進んだことや、競争力の衰えが指摘される。

 むしろ円安で輸入物価が上昇し、景気の足を引っ張る悪い面が心配になってきた。株価も年明けから下落傾向にある。恩恵を受ける人が限られるのも難点だ。

 この春闘で賃上げの裾野が広がらなければ、物価上昇や増税が家計を圧迫し、景気を冷やすことになりかねない。

 国債の大量購入による副作用も心配になる。金利が高騰すれば、財政はさらに厳しくなる。

 黒田総裁は「物価上昇目標を実現するために必要なら、ちゅうちょなく調整を行う」と追加緩和に含みを持たせる。日銀が国債を買い支えていると見られないよう、市場との対話を重視し、政府と一線を画した政策が求められる。

「量的・質的金融緩和」とはどのようなものですか?

「量的・質的金融緩和」とは、日本銀行が、2013年(平成25年)4月4日に導入した政策です。日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するため、マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以上に延長するなど、量・質ともに次元の違う金融緩和を実施しています。現在実施している具体的な内容は以下の通りです。

マネタリーベース

量的な金融緩和を推進する観点から、金融市場調節の操作目標を、それまでの金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)からマネタリーベースに変更しました。そのうえで、マネタリーベースが、年間約60~70兆円に相当するペースで増加するように金融市場調節を行っています。この方針のもとで、マネタリーベース(2012年<平成24年>末実績:138兆円)は、2014年(平成26年)末に270兆円となる見込みです。

長期国債買入れの拡大と年限長期化

様々な期間に応じた金利の全般的な低下を促す観点から、長期国債の保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行っています。この方針のもとで、長期国債の保有額(2012年<平成24年>末実績:89兆円)は、2014年(平成26年)末に190兆円となる見込みです。

また、長期国債の買入れ対象の40年債を含む全ての期間の国債としたうえで、買入れの平均残存期間を、3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度に延長します。

ETF,J-REITの買入れの拡大

資産価格のプレミアムに働きかける観点から、ETFおよびJ-REITの保有残高が、それぞれ年間約1兆円、年間約300億円に相当するペースで増加するよう買入れを行っています。この方針のもとで、ETFおよびJ-REITの保有額(2012年<平成24年>末実績は、それぞれ1.5兆円、0.11兆円)は、2014年(平成26年)末にそれぞれ3.5兆円、0.17兆円となる見込みです。

量的・質的金融緩和の継続

日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続します。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行います。


消費税率引き上げ反対、10%引き上げは中止せよ!

2014年03月31日 09時12分52秒 | 臼蔵の呟き

明日からの消費税率引き上げに備えた小売業の価格付け替え作業、プライスカード変更のために営業時間を変更して対応する企業が出ています。また、ガソリンスタンドは消費税率引き上げ3%、環境税の導入分でダブルの増税が行われるために、事前給油の車列が出ています。安倍、自民党政権の消費者いじめ、貧困者いじめは許すことができません。多くの国民は、決まったことだから仕方がない。10000円で3円くらいの増税は仕方がないと応えています。しかし、消費税が導入されてから、消費税として吸い上げられた税収は25年で282兆円となりました。反対に法人税率は一貫して引き下げられて255兆円も引き下げられました。

民主党菅、野田政権が唱えた社会保障制度の充実に使うなどはまたくのデマ宣伝であったことが証明されています。自民党、安倍、自民党政権は汚いこと、選挙民に不評なことは民主党政権を攻撃し、彼らにやらせてきました。いずれにしても自民、公明、民主党の税制は国民いじめ、多国籍企業、富裕層の代理人として優遇する政党、政権であることははっきりしています。

社説でも言うように、アメリカ、イギリス、日本などで広がる格差拡大は、深刻な社会問題化しています。日本では、導入時、5%への引き上げ、今回の8%引き上げ時に住民税の支払い免除者数は拡大の一途をたどり、日本では人口の約2割が免除になっています。それだけ、低所得者が増加しています。弱者に厳しく、富裕層、大手企業に有利な消費税制度を止めるべきです。また、マスコミが財務省と一緒になり、多国籍企業、大手企業、富裕層擁護の論陣を張り、消費税率引き上げ賛成世論作りを担ったことも糾弾されなければなりません。

<北海道新聞>

スーパーなど道内の小売店で、4月1日の営業時間を変更する店が相次いでいる。消費税率引き上げに伴う値札交換や確認作業を円滑に行い、トラブルを回避するためだ。開店時刻を通常よりも遅らせるケースが多いほか、臨時休業を決めた店もある。

 ホクレン商事(札幌)は、運営する「ホクレンショップ」と一部の「エーコープ」について、リスク回避のため臨時休業させると説明する。同社は1日朝から各店で、商品約1万品目の値札を取り換えるほか、レジに記録された価格を更新する。その後、正しく更新されたかどうか1品ずつ確認するため、かなりの時間がかかるという。

 31日の閉店後に切り替え作業を始めるコープさっぽろ(同)も、1日午前は作業が続くと判断。営業開始時刻を正午に遅らせることを決め、店内で告知している。イオン北海道(同)は4月から、大半の店舗で食品売り場を3月までよりも1時間早い午前7時にオープンさせる予定だが、増税対応が必要な1日に限り全館で9時開店とする。また、サッポロドラッグストアー(同)も「切り替え作業を間違いなく行うため」(同社)ほとんどの店で開店時刻を大幅に遅らせ、午後3時からとする。(経済部)

<北海道新聞>

消費税増税前の最後の休日となった30日、道内の小売店は衣料品や家電などを買い求める消費者でにぎわい、駆け込み購入のピークを迎えた。中でもガソリンは、4月から地球温暖化対策税(環境税)も上がる“ダブル増税”となるため、多くの車が給油所に列をつくった。駆け込み購入は31日まで続く見通し。

 ガソリンは、石油など化石燃料に課される地球温暖化対策税の増税で、利用者負担は1リットル当たり25銭増える。消費税増税と合わせ、レギュラーガソリン1リットルの価格は、直近の道内平均(158円80銭)と比べ5円ほど上がる。

 アイックス(札幌)が運営する札幌市手稲区のセルフ式給油所ではこの日、朝から多くの車が訪れた。

 百貨店の大丸札幌店によると、今週末の来店客数は前年同期より1割増え、客単価も3割増。ここ数日の気温の高まりを受け、春物衣料が好調だった。一方、ヤマト運輸や佐川急便など物流各社では、駆け込み需要に伴う荷物の急増により、一部の宅配便配送が遅れている。関東地方からJR貨物で道内に運ばれてくる荷物などで遅れが目立つという。<北海道新聞>

<毎日新聞社説>

 全国各地のスーパーや家電量販店などは、4月1日の消費税増税を目前にして買い物客でにぎわっている。税率5%のうちに日用品や保存のきく食料品などをまとめ買いしたり、家電製品を駆け込み購入したりする人たちだ。

 消費税8%となる2014年度の家計の負担はふくらむ。みずほ総合研究所によると、年収300万円未満の世帯で年間平均5万7529円、年収600万〜700万円の世帯で9万5562円、それぞれ増える見込みだ。

 国民裏切るかけ声倒れ

 負担増をやわらげようと、消費者は生活防衛を図る。それに比べ、税の効果的な使い道を考え、国の財政のかじ取りを任された現政権には、節約の発想も、やりくりの工夫も見られない。

 安倍晋三首相は昨年10月の記者会見で消費税増税を表明し、国民に「歳出のむだは不断に削減していく」と約束した。ところが、実際にはかけ声倒れが続いている。

 昨年末にまとめた新年度予算の政府案は、公共事業費をはじめ、防衛、農業関連などの主要な経費がそろって増額だった。予算規模は95兆円を超えている。

 今年になって国会で成立させた13年度補正予算は「だまし討ち」のようなことが起きた。政府の行政改革推進会議が「むだ」と判定し、新年度予算からそぎ落とした事業の多くを復活させたのである。

 自らの身を削って、えりを正すための改革もできていない。

 「国民に負担増を求める以上、身を削る必要がある」と自民、公明、民主3党が、衆院の大幅な定数削減で合意して1年4カ月もたつ。しかし、定数を「0増5減」する応急手当てだけで、放置したままだ。

 今回の負担増が、社会保障制度の充実や将来の不安解消に大きな力となるならば、まだいい。実際のところ、税率8%で生まれる財政のゆとりはわずかで、借金を穴埋めするのにも不十分だ。新しい対策はほとんど始められない。

 法律に定めた通り15年10月に消費税率を10%に引き上げ、財政の余裕度をもう一段高めることが、将来につけを回さず、次世代への責任を果たすうえで欠かせない。だが、むだを見直さず、自らの身を削ろうとしないまま現政権がそれを言い出しても、国民は納得しないだろう。

 今、求められるのは消費税増税の二つの原点の再確認である。

 まず社会保障を持続可能なものにすることだ。

 制度改革の骨格となるプログラム法は昨年末に成立した。所得に応じて負担を上乗せしたり、給付を減らしたりする新しい考えに基づいている。痛みを伴う方針転換だけに、強い反発があるだろう。だが、圧力に負ければプログラム法を肉付けする個別分野の法改正が遅れ、給付の抑制が進まない。政治的な困難さを克服して着実に実行すべきだ。

 緩んだ財政規律を改め、むだを削る姿勢を国内外に明らかにすることも非常に大事だ。

 国の借金残高は昨年6月、ついに1000兆円を超えた。借金増加の勢いは衰えない。一方で、民間も含めた国としての「稼ぐ力」である経常収支は12年度まで黒字だが、その黒字額は小さくなる傾向にある。「双子の赤字」が現実味を帯び、内外の市場関係者が今後の動きと政府の対応を注目している。

 不可欠な弱者への配慮

 こうした中で次の15年度予算編成に向けた議論が6月ごろに始まる。増税による経済の停滞が心配になる時期でもあるが、一時的な動きにとらわれて公共事業などの歳出をふくらませる方向を目指さず、長期的な視点に立って歳出膨張に歯止めをかける姿勢を明確にすべきである。

 重要なことがもう一つある。かつての消費税増税時に比べ、目配りしなくてはいけない経済的な弱者が増えている点だ。

 政府は今回、低所得者対策として住民税を払っていない2400万人に1万円を給付する。条件は異なるが、同じ狙いだった消費税導入の1989年度は対象者563万人、5%に上げた97年度は890万人だった。四半世紀で、それだけ生活に苦しむ層が増えているわけだ。

 食品など生活必需品の税率を低く抑える軽減税率の導入を急がなくてはいけない。自民、公明は5月までに「基本的な考え」をまとめる方針だが、10%に引き上げる段階での導入を可能にするため、具体的な制度設計に早く取り組むべきだ。

 食品のほか新聞、書籍類の税率も欧州各国のほとんどがゼロや数%に抑えている。「知識には課税しない」という考えは、だれもが情報を入手しやすい環境を整え、民主主義を支えるうえで不可欠である。

 17年ぶりの消費税増税は、国民の日々の暮らしに大きな痛みを伴う。この痛みが未来の明るい展望につながるならば、まだ我慢できる。しかし、政治の怠慢によって無になるならば、腹立たしい限りである。

 そのためにも消費税を含めた税金の使われ方、さまざまな政策の進め方をしっかり監視し、はっきり意思表示していかなくてはならない。


ウクライナ問題とプーチン露大統領

2014年03月30日 06時04分28秒 | 臼蔵の呟き

アメリカの政界が、ウクライナ問題、ロシアによるクリミア併合にいらだつ姿がよく分かります。アメリカはロシアの軍事侵略に対して、制裁措置を取ること。特に、アメリカ軍の増強、軍事力の再編などを通じて世界におけるアメリカの地位、最強の軍事力確立を要求しています。共和党政権で、イラク、アフガニスタンへの軍事侵略を行ったことを懐かしみ、再度そのような強大な軍事力再確立、軍事的な威圧をもって世界の警察官としてのアメリカを再現したと考える支配層の考え方を良くあらわしています。

21政治初頭のアメリカによるイラク戦争は、多くの彼らに従う国家、政権にも影響を与えました。他国を軍事力で転覆、打倒して恥じない政権、国家を容認することが許される時代でなくなりつつあります。当のアメリカにおいても共和党政権から、民主党オバマ政権に転換したことはそのことを証明しています。アメリカの政治経済支配層(多国籍企業集団)は軍事力による世界制覇、政治経済における支配維持を夢見て、要求しているのかもしれません。しかし、そのような時代は終了しつつあることは誰の目にもあきらかです。アメリカの脆弱な経済力が強大な軍事力保持(年間60兆円にも及ぶ防衛費)を許さなくなっています。このような軍事費をアメリカ国民の生活向上、アメリカ以外の国家、市民のために使うこと(出来れば)でアメリカは軍事力で作り上げたアメリカへの畏怖、追従よりも大切な信頼と、尊敬の思いを実現できるのですが。無理でしょうか。

<WSJ記事>ゲーツ氏(元国防長官)の考察

 ロシアのプーチン大統領には積年の恨みがある。冷戦で西側諸国が勝利を収めたことに憤慨している。特に最愛のソビエト連邦の崩壊を米国のせいだとし、これを「20世紀最悪の地政学的惨事」と称している。

 プーチン氏の根深い不満は、3月18日にロシアによるクリミア併合を発表した演説であらわになった。同氏は1990年代のロシアの恥と自身がみなす事態を苦々しく思っている。具体的には、自国経済の崩壊、北大西洋条約機構(NATO)が旧ソ連独自の「同盟」であるワルシャワ条約機構の加盟国に拡大、欧州の通常戦力を制限する条約(プーチン氏は「植民地条約」と呼ぶ)にロシアが合意、セルビアなどに対するロシアの影響力を西側が排除、ウクライナとグルジアをNATOと欧州連合(EU)に参加させようと西側が画策、西側の政府・実業家・学者が国内外の問題の扱い方をロシアに指図――などだ。

 プーチン氏は世界でのロシアの権力と影響力を取り戻し、かつて旧ソ連の一部だった独立国をロシアの傘下に取り戻そうとしている。(数々の経済問題に対する責任が伴う)ソ連復活への欲望は表に出していないものの、政治・経済・安全保障面でのロシアの勢力圏を作り支配するつもりだ。まだ本格的な計画や戦略はないが、意志は固く時機をうかがいながら今は耐えている。

 2012年に通算で大統領3期目に入ったプーチン氏は長期にわたる駆け引きをしている。ロシア憲法の下で、合法的に24年まで大統領にとどまることができることから、時間には余裕がある。1990年代のソ連崩壊後、ロシアの民主主義と政治的自由の抑圧に対する国内外の抗議を気にも留めず、プーチン氏は情け容赦なくロシアに「秩序」を取り戻した。

 プーチン氏はここ数年、「旧ソ連諸国」に権威主義的な目を向けている。08年に同氏がグルジアに侵攻した時、西側諸国はほとんど何もせず、ロシア軍は今もアブハジア・南オセチア地域を占領している。同氏はアルメニアにEUとの協定案を破棄させ、モルドバにも同様の圧力をかけている。

 昨年11月には、経済的・政治的影響力を行使して、ウクライナの当時のヤヌコビッチ大統領に、同国を西側諸国に近づけることになるEUとの協定調印を中止させた。このためにヤヌコビッチ氏が追放されると、プーチン氏はクリミアを編入し、ウクライナ東部についても軍事介入をちらつかせている。

 ウクライナはプーチン氏の親ロシア連合構想の中核だ。その規模もさることながら、重要なのはウクライナの首都キエフは1000年以上前のロシア皇帝生誕の地であることだ。同氏はキエフに親ロシア政府が復活するまで満足することなく、手を休めることもないだろう。

 プーチン氏の世界観は欧米首脳のそれとは大きく異なる。欧米人が交渉や正当な手続き、法規によってしか変更すべきではないと考える国境不可侵の原則や国際法に対して西側首脳が抱いている崇敬の念を同氏は持ち合わせていない。人権や政治的権利にも関心がない。何よりも、ゼロ・サム的な世界観に固執している。各国がいずれも満足のいく関係が重要と西側諸国が考えているのとは対照的に、プーチン氏にとっては、どのような取引でも勝つか負けるかだ。つまり一方が何かを得ればもう一方は失うことになる。権力を獲得し、維持し、蓄積するのが何より大事なのだ。

 ロシア周辺国に対するプーチン氏の野望に対抗するには、西側も戦略的な長い駆け引きを仕掛けるしかない。それはプーチン氏の世界観と目標――そして目標達成の手段――がいずれロシアを著しく衰弱させ孤立させることをロシア国民につまびらかにする行動を取ることだ。

 西側諸国も犠牲を払うことになるかもしれないが、欧州はロシア産の石油や天然ガスへの依存度を下げ、ロシアに本格的な経済制裁を科さなければならない。ロシアと国境を接するNATO加盟国は軍備を強化し、同盟軍の支援も仰ぐ必要がある。バルト三国は経済面やインターネット関連でロシアの影響を受けやすい状況を解消しなければならない(エストニアとラトビアにいるロシア人とロシア語を話す人々の数を考えればなおさらだ)。

 西側諸国による対ロシア投資も縮小すべきだ。ロシアは尊敬の念や合法性を示す主要8カ国(G8)首脳会議などの会合から追放されるべきだ。米国の国防予算は1年前にオバマ政権の14年度予算案で提示された水準に戻すべきだ。米国防総省は諸経費を大幅に削減し、その分を軍艦などの軍備増強に充てるべきだ。欧州からの米軍撤退は中止すべきだ。そしてEUにモルドバ、グルジア、ウクライナとの連合協定締結を促すべきだ。

 だが今のところ、西側諸国の対応は鈍い。プーチン氏の取り巻きやオリガルヒ(国内の新興財閥)の個人資産の凍結や渡航制限は同氏にほとんど影響を与えていない。ロシアの銀行に対する米国の一方的な制裁は、欧州の協力なしには効果はないだろう。純然たる武力侵略に対する西側諸国の言葉と行動のギャップは極めて大きい。これではまるで、プーチン氏がウクライナ東部に軍隊を派遣しなければ、西側諸国がこれ以上制裁を科したり、代償を支払わせたりしないかのようだ。事実上、ロシアのクリミア併合は確定し、ごく一握りのロシア当局者を除き、ビジネスは通常通り続くだろう。

 新たな冷戦、ましては軍事的対立など望む人は誰もいない。われわれはロシアをパートナーにしたいと考えているが、プーチン政権下でそれが不可能なのは明らかだ。プーチン氏が挑んでいるのはクリミアやウクライナだけにとどまらない。同氏の行動は、何よりも独立国が自ら選んだ相手と連携してビジネスを行う権利など、ポスト冷戦体制全体への挑戦だ。

 報復主義者が武力で恨みを晴らすのを黙認することは、欧州であれアジアであれ場所を問わず危機を長引かせ、軍事衝突を引き起こしかねない。中国が東シナ海や南シナ海で攻勢を強めている状況や、イランの核開発問題と中東での介入主義政策、北朝鮮の不安定で予測不可能な状況はいずれも欧州でも注目されている。中国などはシリア問題での西側諸国の無力ぶりを目の当たりにした。今回のロシアの武力侵略に対しても同様に対応が分かれ弱腰になることが、将来、危険な結末を招くと私は恐れている。

 西側諸国は最もタイミングの悪い時期にプーチン氏の挑戦を受けている。欧州は景気回復ペースが鈍く、ロシアとは経済的に強く結び付いている。米国は10年以上に及ぶ戦争から立ち直りつつあり、共和党と民主党のリーダーらは有権者の間で広がる孤立主義に直面している。背景には、新たな海外での大きな問題が現在の政治情勢に影響を及ぼすとの見通しがある。クリミアとウクライナは遠い場所にあり、欧米にとっての重要性が国民にあまり理解されていない。

 そのため、いつものことながら、西側首脳には断固たる行動を取る必要性を説明する責任がある。米大統領だったフランクリン・ルーズベルトは、「政府には政策を立てるだけでなく、常に説得する、導く、犠牲になる、教えるという仕事がある。なぜなら政治家の最大の責務は教育することだからだ」と語っている。プーチン氏の強引で傲慢(ごうまん)な行動には西側首脳の戦略的思考、力強い指導力、鋼のような決意が必要だ――今すぐに。

(ゲーツ氏は1991~93年にブッシュ(父)政権で米中央情報局(CIA)長官、06~11年にブッシュ政権とオバマ政権で国防長官を務めた)


法人税率の推移

2014年03月29日 12時53分36秒 | 臼蔵の呟き

4月1日から消費税率が3%引き上げられ、8%になりますが、この間の法人税率はどのように推移したのか見る必要があると思います。消費税制度が導入されて以降、一貫して法人税率が引き下げられてきました。税収が消費税導入後、増加せずにほぼ横ばい、低下したことは高額所得者の税率低減と法人税率の引き下げによることがよく分かります。

法人税率の推移

法人税率の推移

(注)平成24年4月1日から平成27年3月31日の間に開始する各事業年度に適用される税率。

(※)昭和56年4月1日前に終了する事業年度については年700万円以下の所得に適用。