“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

東北電力女川原発の再稼動申請

2013年12月29日 10時59分13秒 | 臼蔵の呟き

安倍、自民党政権の政治的な反動姿勢を敏感に感じ取り、一気に原発再稼動再稼動の動きを各電力会社が行っています。国民の半数以上が再稼動反対、原発ゼロを要求しているにも関わらず、その声を無視して、電力会社、ゼネコン、大手金融機関(電力会社への貸付は巨額、株主でもある)、重電メーカーの要求に沿った強引な政治行動を取っています。

軍事面では、国家安全保障会議設置と稼動、特定秘密保護法、集団的自衛権容認をセットにして、戦争できる国日本に突き進んでいます。自衛隊の国軍化、海外派兵の仕組みを目指す。

経済面では、TPP協定参加で、多国籍企業の利潤追求、税逃れを促進しようとしています。これらの基準は、アメリカの経済ルール、法律の適応を参加国である日本に適応させることを意味しています。世界でもっとも貧富の格差が拡大しているアメリカ社会構造を日本に作り出すことになります。エネルギー政策では、原子力事故を反省もせずに、原子力依存体質を再構築しようとしています。これらは電力会社、金融機関、ゼネコン、重電メーカーの利益追及源として確保し続けたいとの思惑から出ています。彼らの眼中には、安全安心などは全くなし。念仏のようなものです。

東北電力は、被災地にある電力会社であり、福島第一原発事故の影響を身近で一番良く見た電力会社です。宮城県も同様です。その地元企業が福島第一の事故原因が判明もせず、汚染除去も出来ず、巨額の経済的な被害と負担を地域にもたらしていることを深く考慮もせずに、再稼動申請をする姿は、狂っているとしかいいようがありません。沖縄県知事が、激しい怒りで糾弾されていますが、地元自治体、市町村、住民の声を無視して、再稼動を強行するような経営姿勢は糾弾されて当然です。企業の社会的な責任を放棄したものといわざるを得ません。

 <河北新報社説>

東日本大震災後、長期停止中の女川原発(宮城県女川町、石巻市)について、東北電力が27日、2号機(出力82万5千キロワット)の安全審査を原子力規制委員会に申請した。
 女川では津波対策などが進められている。新たな規制基準に適合するのかどうか国の判断を仰ぐことになるが、女川は言うまでもなく震災で現実に被災した原発だ。
 宮城県内ではこのまま廃炉にすることを求める意見書を可決した市議会もある。仮に再稼働を議論する状況になれば、全くの白紙から始めなければならないし、原発事故と避難のあり方などをめぐって多くの県民の意見を募ることも必要になる。
 今回の申請前にも、地元での真剣な議論が望まれた。必要なのは東北電力の情報発信だが、宮城県などへの説明は前日の26日だった。県民への十分な説明を心掛けたとはとても思えない進め方だ。
 福島第1原発事故が起きたのは隣の県であり、飛散した放射性物質の影響も被っている。なし崩し的に進むような事態は絶対に避ける必要がある。
 行政も事業者側と緊張関係を保ち、住民の意向の変化も考え合わせて、安全性により厳しい目を向ける姿勢が不可欠だ。原発事故以前と変わらない漫然とした対応では、県民への説明責任を果たせない。
 東北には震災時点で4原発14基の原子炉があった。東北電力が青森県の東通(1号機)と女川(1~3号機)、東京電力が福島第1(1~6号機)と第2(1~4号機)で、女川と福島の計3原発は被災した。東通は震災約1カ月後の最大余震で被災している。
 女川には高さ13メートルの津波が襲来し、火災や浸水に見舞われた。送電設備の被災で一時、5系統ある外部電源のうち4系統まで失った。1号機は震災の揺れによって、原子炉格納容器のふたの開閉に使うクレーンも損傷した。
 福島第1原発のように、冷却できなくなって炉心溶融(メルトダウン)を引き起こす事態は免れたが、緊急事態に陥ったのは確かだ。

 それなのに東電の柏崎刈羽原発(新潟県)と比べても議論不足が甚だしい。東電は申請の2カ月以上も前に新潟県知事に事前に説明した。新潟県はその後、安全性追求のために東電に厳しい姿勢で臨んでいる。
 宮城県は規制委の審査を見極めてから安全確認作業を行うつもりだという。安全審査申請のための事前了解も不必要との立場だ。
 これではまるで他県の出来事のような対応ではないか。申請前にきちんと計画内容をチェックし、必要なら追加や変更を求めるべきだし、規制委と並行して検証しても一向に構わない。再稼働の是非は国の安全審査だけでは済まない。最終的には地元の意向が大きく関わる。そうであるなら原発事故を教訓にして早く、丹念に原子力の安全性などに踏み込むべきだ。 

<関連記事>

「将来に禍根を残す」「動かせるなら早く」。東北電力が27日に女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の安全審査を申請したのに対し、住民の賛否が渦巻いた。再稼働手続きの第一歩になることもあり、宮城県内の反原発グループは一斉に批判の声を上げた。
 「経営の都合。市民に具体的な説明がない」。市民団体「脱原発東北電力株主の会」(仙台市)の篠原弘典代表は東北電の対応を批判し「株主総会や宮城県議会への請願で再稼働に反対していく」と言葉に力を込めた。
 「原発問題住民運動宮城県連絡センター」(仙台市)は同日、東北電に抗議を申し入れた。約10万人分の再稼働反対署名が集まっているといい、庄司捷彦共同代表は「福島第1原発事故の原因もはっきりしていない。このままでは地域の将来に大きな禍根を残す」と語った。
 申請を容認する声もある。女川町の仮設住宅で暮らす無職湯山四郎さん(71)は「原発停止で電気料金が上がっている。事故情報の公開が徹底されるなら早く動かした方がいい」と話した。
 震災で被災した気仙沼市の小売業の男性は「電気料金を考えると歓迎の気持ちもあるが、福島では多くの人が苦しんでいる。再稼働はまだ早い気がする」と複雑な心境を打ち明けた。


宇都宮氏出馬=「脱原発」訴え-都知事選勝利を

2013年12月29日 06時59分59秒 | 臼蔵の呟き

宇都宮氏出馬へ=「脱原発」など訴え-都知事選

昨年の衆議院選挙で、自民党が政権に就き、この1年で政治の反動化、歴史の歯車を逆転させることが連続しています。その上に、自民党が支持した東京都知事が5000万円の賄賂を徳洲会から貰い、辞職に追い込まれました。自民党政権は、自民党都議団と連携して、自民党への政治的批判にならないように、猪瀬氏を辞任させるように動きました。いずれにしても自民党政治の首都版、都知事の汚職は事実であり、自民党型自治体行政の利益誘導型政治の批判が巻き起こったことは事実です。

安倍、自民党政権は政権について1年という節目で、靖国神社参拝で中国、韓国、アジア周辺国から、軍国主義的な政治家として、徹底した批判を受けるにいたっています。同時に、沖縄県知事を力でねじ伏せ、国の予算で利益誘導を行い、沖縄県民の相違を乱暴に踏みにじりました。彼らの政治心情、主義主張がいかに異常であり、世界の政治常識とかけ離れたものであるかを証明しました。首都の知事が汚職で辞職、年明け早々に知事選が行われます。首都の知事選という位置づけよりも、安倍、自民党型反動的政治勢力が支持されるのか、反対に反原発、利益誘導型自民党政治の脱却を選択するかの政治的決戦になると思われます。

前回、時点であった宇都宮さんが立候補することは良いニュースです。個人的な知名度で何がなんだか分からない人気投票で知事が決まることだけは避けて欲しいと思います。自治体選挙なので国政選挙とは異なります。しかし、安倍、自民党政権が暴走する中で、この時期の都知事選挙は重要な政治的意味を持つと考えられます。その意味では、宇都宮さんが当選して欲しい。当選することで、安倍、自民党政権に痛打を浴びせて欲しい。また、沖縄県知事の愚劣な決定で苦しむ沖縄県民、名護市市長選挙にも通じる良識ある政治勢力が多数派を形成できるように願うものです。普天間基地の県内移設を押しとどめること。原発の再稼動に歯止めをかけること。などへの政治的な影響が出ることは避けられない。そう期待をします。

 <都知事選への出馬を表明した宇都宮健児氏>

 前日弁連会長の宇都宮健児氏(67)は28日、東京都内で講演し、猪瀬直樹前知事の辞職に伴う都知事選(来年1月23日告示、2月9日投開票)について「出馬の意思を固めた」と述べ、立候補する意向を表明した。都知事選での出馬表明は、宇都宮氏が初めて。来年1月上旬に記者会見を開き、正式に発表する。

安倍首相も無視できない「小泉・細川」脱原発の広がり

 宇都宮氏は講演で、政府・与党が推し進める原発の再稼働や海外への輸出、特定秘密保護法の成立などを挙げ、「安倍政権の暴走にストップをかけて東京から国政を変える」と強調した。
 講演後、記者団に対し、無所属で立候補する意向を表明。「政策を支持していただける政党であれば、どの政党にも支持を求めたい」と述べた。また、「知事になったら、東京電力の株主総会で(新潟県の)柏崎刈羽原発の廃炉を提案する」と「脱原発」に取り組む考えを示した。 
 宇都宮氏は弁護士として、多重債務問題や地下鉄サリン事件の被害者救済などに取り組んできた。2012年の都知事選にも無所属で出馬。未来、共産、社民の3党から支持を受け、当選した猪瀬直樹氏に次ぐ約97万票を獲得した。
 都知事選をめぐっては、舛添要一元厚生労働相や東国原英夫前衆院議員らの名前が浮上している。自民、民主など各党は候補者選定作業を急いでおり、年明けにも対応を決める予定だ。


知事埋め立て承認 即刻辞職し信を問え 民意に背く歴史的汚点

2013年12月28日 12時59分00秒 | 臼蔵の呟き

琉球新報の怒りは、沖縄県民多数の怒りと悲しみを代表していると思います。安倍、自民党政権がいかに姑息で、民主主義を破壊する勢力であるかが分かると思います。沖縄県民の多数、全市町村長の建白書で普天間基地の撤去、国外・県外移設を要求していることを知った上での、県民の気持ちを無視し、蹂躙した決定行為は決して許されるものではありません。

アメリカ政権、アメリカ軍の要求、尖閣列島をめぐる中国との政治的、軍事的な軋轢を口実とした、米海兵隊の前線基地維持を安倍、自民党政権がこだわったからにほかなりません。沖縄自民党議員、沖縄県知事の屈服は、彼らの浅はかさと、政治的な堕落を象徴しています。このような人物を議員、知事として選出したことを反省し、彼らを政治的に追及し、辞職に追い込む、次期総選挙で必ず落選させることが必要です。政治家で大切なことは公約を守ること。公約を守るために、どれだけの政治的な取り組みを行ったかが問われています。このようなことを繰り返すことで、選挙民、沖縄県民の政治不信が増幅していくことは犯罪的です。政治倫理を守ることは何にもまして大切なことです。

軍事力の強化は、基地の維持は、結果として中国、アジア諸国への脅威、軍事的な威圧そのものであり、対応する国家の軍事的緊張を高め、軍事力の増強に発展することは誰が考えても当然です。その結果、平和的な話し合いはどんどん遠のき、緊張だけが増すことにならざるを得ません。おろかな安倍、自民党政権です。このような政権は退陣するしか道はありません。

<琉球新報社説>

 仲井真弘多知事が、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた政府の埋め立て申請を承認した。「県外移設」公約の事実上の撤回だ。大多数の県民の意思に反する歴史的汚点というべき政治決断であり、断じて容認できない。
 知事は、2010年知事選で掲げた「県外移設」公約の撤回ではないかとの記者団の質問に対し「公約を変えたつもりはない」と述べた。しかし、どう考えても知事の説明は詭弁(きべん)だ政府も当然、知事判断を辺野古移設へのゴーサインと受け止めるだろう。知事は責任を自覚して即刻辞職し、選挙で県民に信を問い直すべきだ。

見苦しい猿芝居

 知事の声明は法律の適合性についての根拠が曖昧なほか、安倍政権の基地負担軽減策を恣意(しい)的に評価しており、詐欺的だと断じざるを得ない。
 安倍政権の沖縄に対する思いを「かつてのどの内閣にも増して強い」と評価した。政権与党が自民党の県関係国会議員や県連に圧力をかけ「県外移設」公約を強引に撤回させたことなどまるで忘却したかのようだ。知事の政権評価は、県民の共感は到底得られまい。
 首相が示した基地負担軽減策で、普天間飛行場の5年以内の運用停止は「認識を共有」との口約束であり、日米地位協定は抜本改定ではなく新たな特別協定締結に向けた「交渉開始」と述べただけだ。
 米海兵隊輸送機MV22オスプレイについても、訓練の移転にすぎず沖縄への24機の常駐配備に何ら変化はない。要するに負担軽減の核心部分は、実質「ゼロ回答」なのだ。辺野古移設反対の県民意思を顧みない知事判断は、県民の尊厳を著しく傷つけるものだ。
 日米両国が喧伝(けんでん)する自由・民主主義・基本的人権の尊重という普遍的価値の沖縄への適用を、知事自ら取り下げるかのような判断は、屈辱的だ。米の二重基準の欺まん性を指摘し「沖縄にも民主主主義を適用せよ」と言うのが筋だ。
 知事の埋め立て承認判断は、基地問題と振興策を取引したこと一つを取っても、国内外にメディアを通じて「沖縄は心をカネで売り渡す」との誤ったメッセージを発信したに等しく、極めて罪深い。
 辺野古移設で取引するのは筋違いだ。振興策も基地負担軽減も本来、国の当然の責務だ。その過大評価は県民からすれば見苦しい“猿芝居”を見せられるようなものだ。

再び「捨て石」に

 知事は25日の安倍首相との会談の際、「基地問題は日本全体の安全保障に役立ち、寄与しているという気持ちを持っている。われわれは今(政権の)応援団。ありがとうございます」とも述べた。
 強烈な違和感を禁じ得ない。沖縄戦でおびただしい数の犠牲者を出した沖縄の知事が悲惨な歴史を忘却し、軍事偏重の安全保障政策に無批判なまま、沖縄の軍事要塞(ようさい)化を是認したに等しい妄言である。今を生きる県民だけでなく、無念の死を遂げた戦没者、沖縄の次世代をも冒涜(ぼうとく)する歴史的犯罪と言えよう。
 知事の言う「応援団」の意味が、軍事を突出させる安倍政権の「積極的平和主義」へ同調し「軍事の要石」の役割を担う意思表明であるならば看過できない。沖縄戦で本土防衛の「捨て石」にされた県民が、再び「捨て石」になる道を知事が容認することは許されない。
 知事の使命は、県民の生命、財産、生活環境を全力で守り抜くこであるはずだ。知事は県民を足蹴(あしげ)にし、県民分断を狙う日米の植民地的政策のお先棒を担いではならない。
 県民大会実行委員会や県議会、県下41市町村の首長、議長ら県民代表が「建白書」として首相に突きつけたオール沖縄の意思は、普天間飛行場の閉鎖・撤去と県外移設推進、オスプレイ配備の中止だ。県民を裏切った知事の辞職は免れない。


普天間飛行場へのオスプレイ配備撤回と基地負担の軽減を政府に求める「建白書」

2013年12月28日 10時59分00秒 | 臼蔵の呟き

 2013年1月27日の日比谷野外音楽堂での大集会・デモに続いて、沖縄全市町村の首長らが28日、首相官邸で安倍首相らに対して、普天間飛行場へのオスプレイ配備撤回と基地負担の軽減を政府に求める「建白書」(要求書)を提出した。建白書は沖縄差別を問題にし、占領地であるかのような「国民主権国家日本」のあり方を問うている。

建白書(全文)

 内閣総理大臣 安倍晋三殿 2013年1月28日

 われわれは、2012年9月9日、日米両政府による垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの強行配備に対し、怒りを込めて抗議し、その撤回を求めるため、10万余の県民が結集して「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」を開催した。

 にもかかわらず、日米両政府は、沖縄県民の総意を踏みにじり、県民大会からわずかひと月もたたない10月1日、オスプレイを強行配備した。

 沖縄は、米軍基地の存在ゆえに幾多の基地被害をこうむり、1972年の復帰後だけでも、米軍人等の刑法犯罪件数が6千件近くに上る。

 沖縄県民は、米軍による事件・事故、騒音被害が後を絶たない状況であることを機会あるごとに申し上げ、政府も熟知しているはずである。

 とくに米軍普天間飛行場は市街地の真ん中に居座り続け、県民の生命・財産を脅かしている世界一危険な飛行場であり、日米両政府もそのことを認識しているはずである。

 このような危険な飛行場に、開発段階から事故を繰り返し、多数にのぼる死者をだしている危険なオスプレイを配備することは、沖縄県民に対する「差別」以外なにものでもない。現に米本国やハワイにおいては、騒音に対する住民への考慮などにより訓練が中止されている。

 沖縄ではすでに、配備された10月から11月の2カ月間の県・市町村による監視において300件超の安全確保違反が目視されている。日米合意は早くも破綻していると言わざるを得ない。

 その上、普天間基地に今年7月までに米軍計画による残り12機の配備を行い、さらには2014年から2016年にかけて米空軍嘉手納基地に特殊作戦用離着陸輸送機CV22オスプレイの配備が明らかになった。言語道断である。

 オスプレイが沖縄に配備された昨年は、いみじくも祖国日本に復帰して40年目という節目の年であった。古来琉球から息づく歴史、文化を継承しつつも、また私たちは日本の一員としてこの国の発展を共に願ってもきた。

 この復帰40年目の沖縄で、米軍はいまだ占領地でもあるかのごとく傍若無人に振る舞っている。国民主権国家日本のあり方が問われている。

 安倍晋三内閣総理大臣殿。

 沖縄の実情をいま一度見つめていただきたい。沖縄県民総意の米軍基地からの「負担軽減」を実行していただきたい。

 以下、オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会実行委員会、沖縄県議会、沖縄県市町村関係4団体、市町村、市町村議会の連名において建白書を提出致します。

 1.オスプレイの配備を直ちに撤回すること。および今年7月までに配備されるとしている12機の配備を中止すること。また嘉手納基地への特殊作戦用垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの配備計画を直ちに撤回すること。

 2.米軍普天間基地を閉鎖・撤去し、県内移設を断念すること。

以上


<琉球新報の特別評論>

2013年12月28日 07時00分13秒 | 臼蔵の呟き

<琉球新報の特別評論>

 歴史は繰り返される。特に沖縄の基地問題はそうだ。日本の国益、時の政権益の影で、沖縄の県益は力ずくで片隅に追いやられる。
 沖縄返還交渉や普天間飛行場の返還・移設問題の節目を振り返ると、政府が対症療法のように繰り出す、基地重圧を改める約束事はほとんど機能しないまま、沖縄に混迷だけをもたらして次の局面に移ってきた。無責任と迷走の連鎖である。
 仲井真弘多知事は、米軍普天間飛行場の「県外移設」公約を覆し、代替新基地となる名護市辺野古埋め立てを27日に正式承認する。移設計画が浮上して不毛の17年が過ぎた。県内移設は不可能だという教訓をないがしろにした知事によって、沖縄現代史に新たな禍根が刻まれることになる。
 クリスマスの25日、首相官邸を舞台に、沖縄への誤解を増幅させる壮大な「詐術」を帯びた劇が日本中を相手に演じられた。「だまし絵」と言い換えてもいい。演出・脚本は菅義偉官房長官、演じる役者は安倍晋三首相と仲井真知事だ。
 「普天間飛行場の5年以内の運用停止」に言及しなかったことに象徴される、基地負担軽減の担保にならない“口約束”に応じ、仲井真知事は「驚くべき立派な内容」「有史以来の予算」「私は(首相の)応援団」「良い正月を迎えられる」と安倍首相を絶賛した。基地の重圧にあえぐ沖縄の知事が、ここまであけすけに時の首相を持ち上げる卑屈な姿を見せたのは、有史以来初めてだ。
 さらに、知事は「140万県民を代表してお礼する」と述べた。「県外移設」を切望する足元の民意に背を向ける知事が、県民の「代表」を標榜(ひょうぼう)することに強烈な違和感を抱く。
 仲井真氏は、「沖縄は金で転ぶ」という安倍政権による印象操作に手を貸し、オール沖縄の世論を割る役回りを演じた。安倍首相の高笑いが聞こえるようだ。政権に従う側とあらがう側をいがみ合わせて力をそぎ、権力側の思惑通りの展開にする。沖縄の知事が、「植民地統治」の核心である「分断統治」に加担してしまう責任はあまりに重い
 もはや、知事としての適格性は失われたに等しい。承認との判断を下すなら、職を賭して県民の審判を受けることが筋だろう。
 米国は、沖縄に圧力をかける安倍政権のお手並みをうかがいつつ、沖縄の民意を注視している。知事が埋め立てを承認しても、年明けの名護市長選の結果によっては、在沖海兵隊の本国や豪州などへの撤収を含む「プランB」が模索される可能性がある。
 民意を押しつぶして、安倍政権が新たな基地を流血の事態の末に築く危険性を米政府や米国の知日派は認識している。護市長選は、「県内移設」の可否に対する直近の民意を示す、文字通りの天王山となろう。
 今、失望や諦念を抱く県民も多いはずだが、沖縄が新たな地平に向き合うことの必要性を自覚したい。
 ここ4年、「県内移設ノー」の民意が一つに結ばれる過程で、私たちは、尊厳を懸けて、基地押し付けの不条理を差別と捉え、敢然と異議を申し立てることの正当性を深く認識した。その歴史的価値は全く減じない。沖縄の力を過小評価せず、沖縄の未来は沖縄が決める「自己決定権」を発揮しよう。局面を変える節目はこれからも到来する
(松元剛、琉球新報編集局報道本部長)