“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

朝鮮半島の平和と安定

2016年02月29日 11時40分00秒 | 臼蔵の呟き

北朝鮮による軍事挑発、核開発・ロケット打ち上げなどの挑発行為を止めさせなければなりません。同一民族、韓国から見た北朝鮮の軍事挑発は許しがたいものです。同時に、その軍事挑発への対抗策として韓国の軍事力強化、核武装論が盛んに出ていることは東アジアの平和と安定に極めて重大な危険です。

紛争を話し合いで解決させる。

この基本的な原則を崩せば、核には核武装で対抗する。ミサイルにはミサイルで対抗する。軍事力の拡大競争と威圧が何をもたらすかは旧ソビエトとアメリカによる冷戦構造が歴史の教訓であったはずです。巨大な軍事力維持が当事国の経済的な疲弊を早め、国力の消耗を進行させました。自国民を疲弊させ、国民生活の安心、安全をおろそかにした冷戦は、避けなければなりません。まして、同一民族であり、将来は、政治経済の統一を目指す韓国、北朝鮮における核開発競争などあってはならないことと思います。

<朝鮮日報>「日本のようにいつでも核武装できる能力を確保せよ」李相禹(イ・サンウ)新アジア研究所所長

 新アジア研究所の李相禹(イ・サンウ)所長(前国防先進化推進委員長)は14日、本紙とのインタビューで「現在の国際情勢から考えると、韓国が今すぐ核武装を行うのは難しい」とする一方「NPT(核拡散防止条約)の範囲内でできることは全てやるべきだ。それにはまず米国を説得し、われわれも日本のようにいつでも必要なときに核兵器を製造できる潜在力を持つレベルまで行かねばならない」と主張した。

 李所長は「韓半島(朝鮮半島)非核化宣言は、北朝鮮が核兵器開発を行っているためすでに実質破棄されている」とした上で、上記のように述べた。李所長は「NPTは使用済み核燃料の再処理を禁じているわけではないが、わが国は自ら非核化宣言を行いこれができなくなっている」「核兵器を製造できる潜在的な力を持つことで『核武装選択権(nuclear option)』を行使するレベルを目指すべきだ」などとも述べた。

 李所長は「過去70年間韓国は、北朝鮮が何かを言ったりやったりすればそれに対応する、いわゆる『消極的(ネガティブ)戦略』ばかりに終始してきた。韓国においては軍隊は防御用であり、政治イデオロギーは反共ばかりで、北朝鮮を主戦場と考えたことはなかった」「今や対北朝鮮政策を考えるに当たり、こちらから先手を打って何ができるかを考える『積極的(ポジティブ)戦略』へと考え方を改めることが重要だ」とも訴えた。

 李所長は「今後は軍事戦略も能動的な抑制戦略へと見直し、北朝鮮の核兵器はもちろん、戦争関連の施設を事前に完全除去できるよう、海兵隊や特殊戦部隊の能力も強化しなければならない」「北朝鮮の戦略はこれまで一度も見直されたことはなく、南北が妥協すれば何かができるというのは錯覚だった」などとも指摘した。李所長は李明博(イ・ミョンバク)政権当時、国防先進化推進委員長として72項目にわたる国防政策課題を提示したことでも知られる。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者  朝鮮日報


産業経済構造の着実な改革を

2016年02月29日 11時00分44秒 | 臼蔵の呟き

「必要なのは、各国が抱える構造上の問題を解消する道筋を示し、市場に安心感を与えることだ。日本は税と社会保障の一体改革や財政問題、中国は過剰な生産設備の解消や国有企業改革だ。欧州は財政統合を進め、金融不安を解消することも不可欠だ。時間はかかっても着実に進めるべきだ。 」

<信濃毎日社説>G20閉幕 各国は構造改革を急げ

 打つ手が乏しい苦境が浮き彫りになった。

 中国で開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議である。世界経済の安定に向け、各国が政策を総動員するとした声明を採択し、閉幕した。財政出動を伴う景気対策や構造改革などを想定している。

 方向性をある程度打ち出したことは評価できる。その一方、どのような規模や中身で景気対策、構造改革に取り組むかは各国に一任された。政策協調には程遠い。

 各国が依存する金融政策は通貨安競争を招きかねず、これ以上緩和する余地は少ない。公共事業など大規模な財政出動が可能な国も限られる。各国は将来の成長につながる構造改革に真っ正面から取り組み、実効性のある政策を打ち出す必要がある。

 世界経済が不安定な状況に陥った主因は、中国経済の減速と、需要不足に伴う原油価格の低迷だ。米国の利上げのほか、欧州の難民問題や金融機関の経営懸念なども複雑に絡み合う。

 声明は、世界経済の見通しがさらに下方修正される懸念を示し、「金融、財政、構造改革のすべての政策手段を用いる」と盛り込んだ。「金融政策のみでは均衡ある成長につながらない」と強調し、通貨安競争を回避する方針でも一致している。

 協調できたのは方向性だけだ。2008年のリーマン・ショックの際はG20が重要な役割を果たし、各国は大規模な財政出動と金融緩和で協調し、一定の効果を上げている。現在は当時と状況が大きく異なる。各国が採用している政策の方向性に違いが目立つ。

 日本と欧州はいずれもマイナス金利政策を導入するなど金融緩和を進めている。一方で米国は景気過熱を懸念して、昨年12月に利上げに踏み切っている。

 市場混乱の要因となった中国は財政出動に意欲をみせるものの、生産設備過剰が悪化する懸念がある。日本は財政規律上、財政出動には限界がある。原油安の問題では輸出国間で利害が異なり、明確な対策を打ち出せない。

 国際的に一致して一つの政策で協調するのは難しい。

 必要なのは、各国が抱える構造上の問題を解消する道筋を示し、市場に安心感を与えることだ。

 日本は税と社会保障の一体改革や財政問題、中国は過剰な生産設備の解消や国有企業改革だ。欧州は財政統合を進め、金融不安を解消することも不可欠だ。時間はかかっても着実に進めるべきだ。 


金融資本主義を改めること

2016年02月29日 10時05分02秒 | 臼蔵の呟き

「消費を担う中間層(中流意識に代表された)が減少し、何より所得格差は教育機会の格差となって将来の国富の喪失につながる」

「あふれ出させたマネーによる株価や原油価格の乱高下に慌てる陰で、貧困や経済格差といった問題は一顧だにされていないのです。」

「長期停滞論によれば、実質金利がマイナスで推移しても、国内総生産(GDP)の水準が経済の実力(潜在GDP)を下回ったり、勤労者の所得が増えなかったりする。まさに日本がその典型です。異次元の金融緩和を三年続けてきたが、一向に物価上昇目標は達成できず、GDPの伸びもほぼゼロ。追加緩和を繰り返し、マイナス金利という手法にまで至りました。」

 G20で話し合われた対策は、対処療法であって、新の要因を分析することでも、根本的な対策を検討することでもなかった。そのことが指摘されています。では、なぜそのようになるのでしょうか。資本主義が新自由主義を志向し、アメリカ、イギリス、日本などがすべて大手企業、多国籍企業、超富裕層の富の独占により貧富の格差を容認し、放置する支配層に牛耳られているからです。格差を改善させるはずである教育の機会均等の保障も格差の放置で機能せず、あらゆる問題が世襲されるようになっています。

 非正規労働を改善し、正規労働中心の労働行政に変更すること。働く労働者の賃金改善と労働条件を改善し、国内消費を活性化させること。通貨安競争による輸出促進型経済構造を改善させること。食料、燃料などのエネルギー自給率を高めること。持続可能な社会経済構造を目指すことなどが必要です。

<東京新聞社説>サヨナラ金融資本主義

 世界経済を覆っている不安を拭うことはできるのでしょうか。G20の財政と金融の責任者が政策総動員を打ち出しましたが、一時しのぎではないか。

 所詮(しょせん)、「モグラたたき」をしても後手後手に回るだけで問題を根治しなければ、また繰り返す-。経済不安の震源地、中国の上海で開かれた二十カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議。目先のリスクを封じ込めようと躍起になる当局者たちの姿をみると、そんな印象を覚えます。

 あふれ出させたマネーによる株価や原油価格の乱高下に慌てる陰で、貧困や経済格差といった問題は一顧だにされていないのです。

◆G20の協調と限界

 危機とまではいえないが、危機になるおそれがある。そんな不安感の下でG20会合は開かれました。いわく現在の世界経済で不安要因といわれるのは、原油安、株価や為替の急激な変動、そして「世界の工場」だった中国経済の減速だといいます。

 しかし、忘れてならないのは、元はといえばリーマン・ショック後に日米欧で強力に進めた金融緩和などが招いた事態だということです。それらが複合的に絡み合っているのが厄介なのです。

 例えば、原油安になって産油国の財政が苦しくなったので世界で投資していたオイルマネーが引き揚げられ、それが世界同時株安の一因になった。

 また、原油価格が為替相場を左右する大きなウエートを占めるようにもなったこと。その原油価格はといえば、中国経済の減速によって原油の需要が減り、それが値崩れを加速させた面がある。このようにマネーを媒介して不安要因同士が絡み合い、共振して危機を拡大させるのです。

 そこでG20は、目の前の不安要因を一斉に封じ込めようと、各国が協調して政策総動員することを決めました。すなわちマネーの移動が市場を不安定化させるのだから資本流出対策を打ち出す。自国に有利な通貨安を競う動きが強まれば他国にしわ寄せがいくので通貨安競争をやめる。過剰な生産設備を抱える中国は早く消費主導の経済へと構造改革を急ぐ。余力のある国は財政出動して景気を刺激する、といった具合です。

◆借金日本の異常金利

 でも、これらはどうみても対症療法でしかありません。会合では金融政策の限界論も一部に出たようですが、それでも目先のリスクにとらわれて金融緩和を続け、財政出動に頼るのです。日本と欧州は「まだ追加緩和の余地がある」といった姿勢ですし、米国は昨年末、九年半ぶりに利上げに踏み切ったが、それが中国や新興国からの資本流出を招いたとして今後の利上げに「待った」がかかった格好です。

 これでは緩和マネー中毒から抜け出せず、バブルを繰り返すことでしか景気を立て直せない。問題は、立ち直ってもちょっとしたショックで世界同時株安が起きる脆弱(ぜいじゃく)な経済なのです。

 それはサマーズ元米財務長官が二年以上前に唱えた「長期停滞論」の通りなのかもしれません。その長期停滞論によれば、実質金利がマイナスで推移しても、国内総生産(GDP)の水準が経済の実力(潜在GDP)を下回ったり、勤労者の所得が増えなかったりすると指摘しました。

 まさに日本がその典型です。異次元の金融緩和を三年続けてきたが、一向に物価上昇目標は達成できず、GDPの伸びもほぼゼロ。追加緩和を繰り返し、マイナス金利という手法にまで至りました。世界一の借金を抱えた国なのに金利は下がり続け、とうとうマイナスです。

 しかし、これはむしろ借金まみれだからこそのマイナス金利とみるべきかもしれません。国の利払い費が抑えられるからです。すでに無きに等しい財政規律が一層緩むおそれがある。

 参考までにサマーズ氏の処方箋はというと、職業教育の拡充や企業の技術革新力(イノベーション)の底上げ、インフラ更新などの公共投資拡大を挙げています。確かに、日本では「革命的」な新製品やサービスが出たとしても小粒化しているといえるでしょう。

◆貧困・不平等の解消を

 「格差拡大は経済成長を妨げる」-。先進国クラブといわれる経済協力開発機構(OECD)が、そんなリポートをまとめたのは一年半前です。それは、消費を担う中間層が減少し、何より所得格差は教育機会の格差となって将来の国富の喪失につながるのだ、といいます。

 つまり成長戦略というのなら格差を縮める政策こそが重要なのです。アベノミクスも刷新し、貧困や不平等解消を目指す真の成長戦略をG20会合の場などで堂々と発表してもらいたいものです。


思想信条、報道の自由を守れ なんのための放送法か 

2016年02月28日 11時00分50秒 | 臼蔵の呟き

憲法が国民に対し表現の自由を保障する理由は何か。国民が自由にものを言えないようでは民主主義が成り立たないからだ。」

放送は国民主権を確かなものにするためにある。政府の道具ではない。4条の基準は放送の国民に対する約束、自らを律する倫理規範と考えるべきだ。4条違反を理由に政府が放送局を処分するのは法の趣旨を逸脱する。」 

「放送に対しては多くの国で法的規制がある。根拠の一つには、放送メディアの影響力の大きいことが挙げられる。」
「政府、自民党による介入の根っこには放送に関する権限を政府が握っている事実がある。政府が放送を監督下に置く国は先進国では少ない。」

 政治権力が、自らの政権支持率を維持し続けるために、言論統制、情報操作を意図することは歴史が示す通りです。旧大日本帝国憲法下では、天皇批判を極刑にし、そのもとに存在する日本軍に絶対的な権限を集中させ、侵略戦争へ突き進みました。その進行過程で、治安維持法による民主勢力への弾圧・殺害が公然と行われ、天皇制批判、日本軍による侵略戦争と政権批判はすべて刑事罰の対象となりました。このことが、暗黒政治の象徴でもありました。その反省を受けて、憲法における表現の自由、思想信条の自由保障と放送法の制定へと結実されました。

これらの教訓を守ることが必要です。安倍、山口自公政権、極右集団による憲法無視、報道の自由への政治介入で崩壊させてはなりません。

<信濃毎日社説>あすへのとびら なんのための放送法か 国民主権を確かにする

 高市早苗総務相の発言を糸口に、放送法について考えてみたい。8日の衆院予算委での答弁だ。

 「行政が何度要請しても全く改善しない放送局に何の対応もしないとは約束できない。将来にわたり(電波停止処分の)可能性が全くないとは言えない」

 安倍晋三政権に批判的とされるキャスターの番組降板が相次いでいる問題を野党議員が取り上げた。番組が政治的公平を欠くと政府が判断しただけで「電波停止が起こり得るのではないか」、との質問への答えである。

   <制定経緯を振り返る>

 放送法は4条で、番組編集の四つの基準の一つに「政治的に公平であること」を挙げている。電波法76条は、テレビ局が放送法に違反したときは電波の停止を命ずることができると定めている。

 条文の限りでは、総務相が言う通り、4条違反を理由にして電波を止めることができると読み取れないでもない。

 それは正しい解釈なのか。答えは「ノー」だ。

 放送法が制定された経緯を振り返る。成立したのは日本が占領下にあった1950年。電波行政の基本を定める電波法とセットだった。政府から離れた立場で電波行政をかじ取りする電波監理委員会の設置法と合わせ「電波三法」と呼ばれた。

 日本政府はこのとき、放送を戦前、戦中と同様に政府の管理下に置く仕組みを作ろうとした。だが連合国軍総司令部(GHQ)は放送の自由を保障するよう求める文書を政府に突きつけた。担当者の名前をとって「ファイスナー・メモ」と呼ばれる。このメモが放送法のベースになった。

 ファイスナー氏は占領が終わった後も日本にとどまり、2010年に宮城県の自宅で死去している。99歳だった。

 放送法は1条で法の目的に「放送の不偏不党、真実および自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」を掲げている。この規定は憲法21条「集会、結社および言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と響き合う。

 憲法が国民に対し表現の自由を保障する理由は何か。国民が自由にものを言えないようでは民主主義が成り立たないからだ。

 放送は国民主権を確かなものにするためにある。政府の道具ではない。4条の基準は放送の国民に対する約束、自らを律する倫理規範と考えるべきだ。4条違反を理由に政府が放送局を処分するのは法の趣旨を逸脱する。

 以上は憲法やメディア法研究者の常識になっている。そう考えないと憲法と整合性がとれない。政府もかつては国会答弁で、放送法違反による処分は難しいとの判断を示していた。

 政府は1960年代から放送への介入姿勢を強めてきた。社会派ドラマやドキュメンタリーが番組表から消えていった。68年には北爆下の北ベトナムに入ってリポートしたTBSのキャスター、田(でん)英夫氏を降板させている。

 自民党は昨年4月、「やらせ」問題などでNHKと民放の幹部を党本部に呼び事情聴取した。「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、または規律されることがない」と定めた放送法3条に照らし、問題の多い行為だった。

 放送に対しては多くの国で法的規制がある。根拠の一つには、放送メディアの影響力の大きいことが挙げられる。

 ラジオが普及し始めた1930年代にジャーナリストの長谷川如是閑(にょぜかん)が書いている。「ラジオは意識の統一の道具としては、印刷物の到底もち得ざる有利の条件をもっている」。支配階級はラジオを通じ「その統制をほしいままにすることを得る」。

 ナチスはラジオの力を最大限に使って政権を握ったのだった。

 世界には放送が権力者の道具になっている国が多い。戦前、戦中の日本がそうだった。歴史の反省を踏まえ、電波を国民のものにしておくために放送法は定められた。そう考えるべきだ。

   <第三者機関をつくれ>

 政府、自民党による介入の根っこには放送に関する権限を政府が握っている事実がある。政府が放送を監督下に置く国は先進国では少ない。国立国会図書館の07年の調査リポートも、主要国では「放送の規制監督は政府から一定の独立性をもった組織が担うのが一般的」と書いている。

 政府が電波停止の可能性を持ちだして放送局を脅すようでは、放送の自律は難しい。放送を政治から切り離すために、日本の独立回復とともに廃止された電波監理委員会を時代に合った新しい形で復活させることを考えよう。 


韓国から見た事故から5年の福島第一原発事故現場と廃炉作業

2016年02月28日 10時15分28秒 | 臼蔵の呟き

「小野明・福島第一原発所長は「福島原発の廃炉は30-40年かかる作業であり、登山でいえばまだ1合目」と述べた。」

「例えば汚染水の場合、トリチウム以外の汚染物質は取り除いたというが、逆に言えば「トリチウムは残ったまま」ということになる。以前より汚染の度合いが弱まっただけで、汚染水であることに変わりはない。今後も汚染水を全て原発内に貯蔵して管理しなければならない。」

<朝鮮日報>福島原発事故から5年、廃炉作業はまだ「一合目」

 田舎道は早朝から車でいっぱいだった。トラック、バス、乗用車など大小さまざまな車が2車線道路を埋め尽くし、北に向かって走っていた。

 ここは福島県楢葉町。5年前、最悪の原発事故が発生した東京電力福島第一原子力発電所のすぐ近くだ。当時、この地域は震度6強の激しい揺れに襲われ、原発では原子炉内の核燃料が溶融する「メルトダウン」が発生した。半径30キロ以内の住民は、着の身着のまま住居を離れた。その後ゴーストタウンのようになっていたが、今はどちらを見ても車が走り、人が動いていた。「東京電力の社員1200人、原発作業員7000人、計8200人が毎日福島第一原発に出勤しています。しかし3年前までは1日に3000-4000人でした。社員の宿泊施設とオフィスを新たに建設しています」(オカムラ・ユウイチ東京電力スポークスマン)

 東京電力が東日本巨大地震(2011年3月11日)から5年を迎えるのを前に、福島第一原発を公開した。事故直後と比べて最も目立った変化は、原発の中に入る人たちが以前と異なり顔全体を覆う大型マスクを着けていないことだ。原子炉周辺など一部区域で作業する人を除けば、ほとんどの人は防護服と、鼻・口を覆う防じんマスクだけを装着していた。それだけ原発の除染作業が加速度的に進んでいることを意味しているのだろう。

 東京電力は放射性物質による汚染水65万トンから三重水素(トリチウム)以外のほぼ全ての放射性物質を除去する作業を昨年夏までに終えた。

 また、原子炉1-4号機のうち4号機については使用済み核燃料の取り出し作業も完了した。現在は3号機の使用済み核燃料を取り出す作業を実施する一方、建物上部をドーム型の構造物で覆う作業を進めている。

 これと同時に、東日本巨大地震で水素爆発を起こした原子炉1号機と3号機の建物の残骸についても、ほとんど撤去した。放射性物質に汚染された土壌が風で飛散しないよう、原発の中もセメントで舗装した。

 しかしこれらの成果も、今後しなければならない作業に比べたら「初期段階」にすぎないというのが東京電力の分析だ。小野明・福島第一原発所長は「福島原発の廃炉は30-40年かかる作業であり、登山でいえばまだ1合目」と述べた。

例えば汚染水の場合、トリチウム以外の汚染物質は取り除いたというが、逆に言えば「トリチウムは残ったまま」ということになる。以前より汚染の度合いが弱まっただけで、汚染水であることに変わりはない。今後も汚染水を全て原発内に貯蔵して管理しなければならない。

 このような状況で、新たな汚染水が毎日300トン、1カ月に約1万トンずつ発生している。雨や雪などが福島第一原発に降れば全て汚染水になってしまうからだ。原発敷地の地下を流れる地下水も同じだ。

 これを浄化し続けるのも大変だが、浄化した水の保管も問題だ。東京電力が確保している汚染水貯蔵スペースは85万トン分だが、すでに約75万トンの汚染水がたまっており、あと1-2年もすればいっぱいになってしまう。

 そのため東京電力は現在、汚染水の貯蔵スペースを95万トンに拡張する作業を行っている。地下水の原発内への流入を防ぐために「凍土遮水壁」も設置した。昨年9月からは、トリチウムの濃度を基準値未満まで最大限引き下げた汚染水を一度に数百トンずつ海に放出する作業も進めている。ただし、いずれも根本的な解決策にはなっていない。

 今後、どのような作業がどれくらい残っているのか。これまでに東京電力は、原子炉1-4号機の中でも最も被害の軽かった4号機のみ内部を収拾した。一方で原子炉1-3号機は内部に使用済み核燃料がそのまま残っている状態だ。このため原子炉周辺の一部地域は放射線量が依然として強く、3-4時間立っていれば日本政府の定めた年間の被ばく線量上限値(1ミリシーベルト)に達してしまう。それも防護服を身に着けている場合の数値だ。このため作業員たちも一定時間作業した後は必ず事故地域の外に出なければならない。

 周辺地域の復興も難題として残っている。東京電力はこれまで、周辺の住宅や農地で除染作業を進めてきた。既に住民の帰還が許された場所もある。しかし依然として人の住んでいる家よりも空き家の方がはるかに多いように見えた。

 この問題を少しでも解決しようと東京電力は昨年5月、地域の農産物を使った作業員向け食堂を原発敷地内にオープンした。しかし福島県や原発敷地内の食堂だけでなく、ほかの地域で同じように料理や食材を提供して同じ値段で食べてもらえるのかは、なおも疑問が残る。 

金秀恵(キム・スヘ)特派員 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版