三筋北陸・ワインダー(糸捲き機)の専門機料店

繊維産業のウラ話に迫る、メンテナンスのお気楽日記。

メンテお気楽日記 8月30日 糸商のお仕事

2013-08-30 | メンテナンスお気楽日記
「案の定」なんて、あまりにも無責任な言い方かもしれませんが
糸の加工事故が増えているのは、事実です。

近くの加工所の事故ならば、糸を見せてもらえばある程度の原因が特定できるが、
電話での相談・問い合わせでは、糸も加工環境も解りません。さらに糸見本を
郵便で送られても、原因なんて想像の範囲でしか わかりません。

今日も「セレテックス(節取り機)を世話して欲しい」から話が始まりました。
事故は、壁撚糸を練った際?出来たリングの大きいのを取り除きたいとのことでした。

まず、セレテックスは節?箇所の近くで糸をカットして、結び直すことを説明し、
不良個所が多ければ、当然結び目だらけの糸になることも説明。

根本の対策は壁撚糸を見直すことですが、ここでも「撚糸屋が悪い」「練屋が悪い」の
責任のなすり合い。でももっと深く考えれば原因は「糸商」にもあるのです。

特に壁撚糸は難しいのですが、糸や生地を練る(精練)すれば、糸が変化するのは常識?
だから、「繊維設計」が間違っていれば、事故は当然のように発生する。

前記のカビ繭も精練すれば、見違える程きれいな製品になります。しかし糸自体は
何%の痩せを生じており、それらを計算されなければムラ製品として現れます。

加工指示の確認をおこたった一端は、糸商にもあると言わざらなければならない。

「糸商」に関しては、加工工場から見れば、うらやましい環境で仕事をしています。
まず事務所がりっぱ?クーラーの効いた部屋で電話とパソコン、女子事務員も何人かいて
仕事をサポートしています。加工所の若専務が「なんで?」と言うのも理解出来ます。

しかし、それだけのことをする為には大きな「リスク」も必要です。
糸材料の買い付けや先買い資金だけで出来る筈も無く、客が望む製品の「加工知識」
それを委託する加工所の確保。なによりも糸及び加工方法の「知識」が財産でもあります。
それらは、これまでの加工依頼から受け継いだ「技術伝承」でもあった筈なのです。

ところが、以前?の様な大口注文が無くなり、多品種少ロットの対応に追われる現状では
技術の伝承が、おろそかになる事は、無理からぬことかも知れない。

只、現場からの意見として、責任や悪者捜しはお門違い。
ものづくりの先頭に立つ立場として、教え・伝え・指導していくのも「糸商」の仕事です。

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メンテお気楽日記 8月28日 長距離出張

2013-08-28 | メンテナンスお気楽日記
                          市場はまだ、小型機械ばかりです。

商談がまとまる時って、こんなもんかも知れない。

2日前に問い合わせがあり、色々と電話でのアドバイス。
3錘のワインダーだから、指示さえすれば先方でなんとか出来ると思っていた。

ところが本日メンテ依頼。おいおい、関東で3錘機のメンテナンスかよ。
どう考えても、1~2時間の仕事に片道6時間、往復なら12時間だよナ。

いらぬ心配かもしれないが、出張料で中古の機械が買える様な仕事になってしまう。
そりゃ、「来て欲しい」と言われれば、どこでも行くのがお仕事ですが・・・ネ!

これまでも、機械の納品込みでは随分長距離出張はあったけど、3錘や6錘機のメンテだけの
出張はやはり気が重い。だって工料よりも出張料の方がはるかに掛かってしまう。

関東地区にも職人さんは知ってはいるが、はたして自分の気持ち?をお客さんに
届けてもらえるかとなると一抹の不安。やはり自分で・・・これが貧乏症の原因。

さっそくパソコンで地図検索。都会?の街中だょナー、車も多いんだろうナー。
名神高速や、まして大阪市内の出張にも躊躇する田舎者。東京ってだけでも気が重い。

一人での出張、まして初めての客先。いくらナビが教えてくれるったって周りの車が
気になって、つい曲がり角をオーバー。結果知らない通りをグルグル。何度か経験済み。

その分帰りのコースはスイスイと走れるのですが、待っているのが高速の長い夜道。
毎回のことだが、サービスエリアの自販機の灯りだけには虚しささえ感じる。

お仕事。お仕事。仲間から言われた「初めての取引、それに個人工房なら現金決済
帰りのフトコロは暖かくてイイなー」でも半分以上は経費ですから・・!

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メンテお気楽日記 8月23日 女工さん(工員さん)の知恵袋

2013-08-23 | メンテナンスお気楽日記
              機結びは基本のはずだが、これがなかなか・・・の状態

お盆の休日仕事の記事。最後の一行が話題にのぼっています。
「本に出来ないか?」とまで言われましたが、当の本人も知らない事のほうが多い。

工場とすれば、お金を掛けなくても仕事がウマく出来れば願ったり叶ったり。

仕事をしている女工さんにとっては、ごく当たり前のことでも、困っている人には目からウロコ。
経験から生まれた知恵や対策は、なかなか外へでる機会も無いし外へは出ない。

仕事柄、糸編工場でのアイデアは目にする機会はあっても、真似できるのは
部品が手に入らないなどの、よほど困った時しか思い出さない。

まず多いのは、静電気対策。これは水を利用することで環境を変えることが出来る。
次に見かけるのは、解除抵抗を減らす方法とか、ビリを止める方法などなど。

ドリンクの瓶を使ったオイリング装置なんてのもあった。すべて廃品?利用。

ところが自分の知っているのは、ワインダー回りだけであって撚台や糸繰り機にも
いろんなアイデア・対策があると想像される。知ったかブリも底が知れている。

茶飲み話では「ものづくりの財産」とまで言われたが、こんなことが出来るのは
ヒマ人?の組合ぐらい。いや、組合だからこそしなければならない事業かも知れない。

別に仕事を世話しろとか、工賃アップを何とかしろなんて言っている訳でもなく
お金の掛からないものづくりを伝承していく、意義もあるのでは・・・

なあ~んて、話をはぐらかしている自分なのですが
実際、そんな本ができれば一番先に読みたい気持ちもあります。


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メンテお気楽日記 8月21日 死に繭?カビ繭?

2013-08-22 | メンテナンスお気楽日記
絹撚糸屋からの呼び出し「お茶飲みにこないか?」「・・・」
何のことは無い、返品された加工糸をチェックして意見が欲しいとの事だった。

当然、商社にも電話して訳を聞いたが担当者と連絡がとれず、事務方のほうから
「次工場(練加工)からのクレームで、再加工して欲しいとのことでした」の返事

絹撚糸屋へのクレームといえば、撚り不良は別としても、ワインダー加工の綾落ち?
特に気が付かないのは、天然素材ゆえの「節」取り不良事故などがある。

対策としては、セレテックスやウースターなどの電子機器に糸を通し「節」があれば
糸自体をカットし、節を取り除いて繋ぎ直す方法がとられている。

しかし、電子機器といっても機器は機器。感度調整もあれば、コンデンサー等のヘタリ
カッター刃などのヘタリもあることは事実。最後は人間の感覚?が必要となる。

機械や糸に目が行き届いていれば「何かオカシイ?」となるのだが、
残念?なことに、女工さんの数が確保できない事情もある。大半は機械まかせ?

さて、今回も?場所を変えての巻き返しチェック。節が出てくることは無かった。
気になるといえば、捲き玉の端にでるリング?白とグレーの差がはっきり見える。

おやじによれば「死に繭が混ざっていれば出ることはある」とのこと
しかし極端すぎる。綛からボビン、ボビンを撚台へ、シリンダーからコーン捲き。
汚染繭が入っていたとしても、半分以上グレーになること自体オカシイ?

自分では解らないので、知人に教えを乞うた。そこで出てきた言葉が「カビ繭」
せっかく選別された繭でも、長い保管期間で乾燥事故は起こることはある。

その場合なら煮繭・繰糸段階で色の変化も考えられる。でも合併加工は?・・

なんとかココまでは勉強できたが、カビ糸?がソフト捲き、しいては練加工に
どう影響するのかは、次工場の知識がなければ解らない。
まだまだ、知らない事の方が多いのダ。

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メンテお気楽日記 8月20日 小型綛揚げ機?

2013-08-21 | メンテナンスお気楽日記
                  機械式小型綛揚げ機。これがあればピッタリなのだが・・

笑い話にもなりそうな、悲しい現実です。
綛揚げ機をお世話しようとした、お客さんから「とじ糸って何ですか?」の返答。

「綛揚げ機を探しています」のメールあり。メールだけでは内容がつかめないので、
電話連絡。声から推測すれば若手のバリバリ?自分に出来る事は応援しなくちゃ。

ところが、工場というより工房前?天然染料でいろんな色に挑戦したいとの趣旨。
原糸を買って、綛を作り、いろんな色に染めて販売したい。製品はまだ考えていないが
糸で販売するってことはコーン捲きも必要かも?ワインダーもお願いできますか?なんて。

ン、ン何かエラク先走っている感じ、夢は大きいほうがイイが、段取りってものもあるだろう。
ここは、ちゃんと説明して置かないと、とんでもない事になる。

「今、こちらでお世話出来るのは産業機械タイプばかりです。錘数でいうと25錘、
幅も2m50以上、ワインダーみたいに分割して小型化することは出来ません。」

「まず綛糸を作りたいなら、3~5錘の木製機がお勧めです。ネットで探すことも出来ます。
産業機は便利ですが、あくまで量産型で経費や場所が掛かります。手間をかければそれだけ
糸と向き合うこととなり、糸を理解でき、しいては自分自身の勉強にもなる筈」

なんて、おっさんのいらぬ?お節介が口に出てしまい、商売の話はペシャ!

ところが、そのあとの長電話で???。
最近問題の多い「機結び」の話から入り、特に綛揚げは北陸でも女工さん不足で大問題。
まず、手間作業で後継者不足以上に「とじ糸」の手が動く人がいない。なんて話題。

そこで出てきたのは「とじ糸って・・」おい!おい!おい!

ものづくりの夢は充分理解できるが、せめて現場にも足をはこんで欲しい。
本やネット?では見えない技術がいっぱいころがっているのが現場。

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なんかモヤモヤがいっぱい残る電話だったが、考える先に現実は来ている。