胸騒ぎ

2017-12-12 00:17:17 | 日記
冬の雨は粒が大きい。ボール
ペンのダークブルーの色さえ
滲ませる。

見覚えのある懐かしい文字。
部屋に入ってからも、封を切る
勇気がすぐ出てこなくて、

彼女は濡れた髪を拭きながら、
遠目に眺めていた。手紙はリ
ビングのピアノの上に置いた。

白い和紙から、雨の匂いが立ち
昇っていた。その匂いは彼女に
胸騒ぎを起させる。

胸騒ぎは遠い潮騒に似て、遥か
な日々を甦らせる。記憶の底の
遠い過去を。


あなたとの恋は二月の街に
雪に凍って冷たく消えた

暖炉の火さえあなたの瞳の
冷たい光を暖めはしない“
この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 色懺悔 | トップ | 心いっぽんの針 »
最新の画像もっと見る

日記」カテゴリの最新記事