佐久市 ヤナギダ 趣味の店

長野県佐久市野沢93番地
ヤナギダ☎0267-62-0220

「遠 恋」恋よりも烈しく ー1-

2017-06-30 17:00:00 | 日記
桜の季節に、佳代子は東京にやって
きてわたしの部屋に泊まり、不倫
の恋を終わらせた。

 別れ話しの前の夜には「京都に
戻る前に、奥さんのところに乗り
込んでいく」と息巻いていたけれ
ど、翌日の夕方、わたしが仕事か
ら戻ってくると、佳代子はベット
の中から力なく「お帰りなさい」
とわたしを出迎え、

そのあとに、「疲れた。別れと同
時に魂も、抜き取られたみたい」
と呟いた。その夜遅く、学ぶさ
んからわたしの部屋にかかって
きた電話に、佳代子は「いない
と言って」首をふった。

走るのを、佳代子はやめたのだ
った。

わたしはひとりで、走り続けて
いた。三月が終わり、四月が来
て、桜がすっかり散り、五月(
さつき)の蕾が膨らみ始めても
―――来る日も、来る日も。

朝、目覚めた時にはまっさき
に、あのひとのことを考えた。
朝には夕暮れ時の風景を、夜
になると朝の風景を、思い浮
かべる癖がついた。なぜなら
東京の朝は、ニューヨークは
まだその日の朝だから。

成田空港で、あのひとは教え
てくれた。
午前と午後を入れ替えて、二
時間引いたら、俺の時間。四
月になったらサマータイムに
なるから、引くのは一時間だけ。

これからは、同じ時間を共有
することさえできないのだと
思った。
俺の方がいつもあとから、追
いかけてるってこと。

朝と夜が反対になるなんて、
悲しいな。

なんで?
だって、同じ時間に同じ空、
見られないでしょ。
その代わりに、ふたつの時間
が持てて、ふたつの空を見ら
るじゃん。


コーヒーとクロワッサンと
フルーツの朝食をとって、
ひとり暮らしのアパートを
出るのは、七時四十分。あの
ひとの時間は夕方の六時四
十分。

わたしはいつも、少しずつ
暮れていくニューヨーク
の空を思い浮かべた。街を
思い浮かべようとしても、
行ったことがないから、
うまくいかない。

ひとりの例外もなく、誰の
心の中にも、大切な人が
棲んでいるのだと、当たり前
のことなのに、まるで初めて
知ったことのように、思う。

あのひとは今、わたしのこと
を想ってくれているだろうか。
わたしが想っているほどに。




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「海の音」 :佐久市 金買取り ヤナギダ ブログ:

2017-06-30 15:06:32 | 日記
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ーブログー
今日限り 今日限り
ふるえる覚悟はできている
雨音におどろかされ

とまどった砂の上
足跡もないくらい
波音がこだまして
ほほえんでうつむいた

後れ毛に目がくらむ
覚悟の恋





佐久市野沢93番地十二町
ケヤキの木の真向かい
ぴんころ地蔵側
  ~ヤナギダ~
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「あなたの顔ばかり見てる」:佐久市 金買取り ヤナギダ ブログ:

2017-06-30 13:36:03 | 日記
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ーブログー
あなたに会うために走ってきた
テレビも本もレコードも宿題も
すりぬけて走ってきた

電話のベルのルルルが
今日は明るく聞こえた

あなたに出会えてよかったと
走りながら思ってた
あなたに出会えてよかったと
言おうと思って走ってた

でも
あなたに会ったらそんなこと
もうどうでもよくなって
あなたの顔ばかり見て笑う

あなたの顔ばかり見て笑う



佐久市野沢93番地十二町
ケヤキの木の真向かい
ぴんころ地蔵側
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佐久市 金買取 ヤナギダ店長コラム:相続税【そうぞくぜい】

2017-06-30 10:56:32 | 日記
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ブログ:
「古い街の古い蔵から、とき
どき、ビックリするような
ものが発見されるでしょう。
蔵を調べてないんじゃないん
です。

ある家の蔵もそうなんです
けど、ヒョッとすると貴重
なものがあるかもしれませ
ん。

価値があるとなると課税
対象。
もちろん相続税がドーン
ときます。
結局、手放すことになりま
すから、それで蔵の中を調べ
ないんです。

発見されるときは、孫の頃、
しかもTV「何でも鑑定団」で、
税務署は家、庭の大きさも
分かるので録画を忘れません。








佐久市野沢93番地十二町
ケヤキの木の真向かい
ぴんころ地蔵側
  ~ヤナギダ~
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「感じる」

2017-06-30 06:28:44 | 日記
  ほんの一瞬でも
私をここからつれさってくれる
   あの感覚

   たとえば
  本のページのにおいや
ヘッドライトの強い印象など
それを常にひきおこしてくれる
    あなたが
   そうなのです







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お勧めミュージック:Just the way you are (Bossa Nova version)

2017-06-30 06:25:57 | 日記
YouTube
『Breeze - Just the way you are (Bossa Nova version) 』



YouTube
『BREEZE - Também bate um coração! (Desafinado by Jobim) 』



YouTube :シネマ・パラダイス/ ゲスト: ヨーヨーマ
クリス・ボッテイ(トランペット)
『Cinema Paradiso • HD1080p • Chris Botti feat Yo Yo Ma in Boston 』

YouTube
『少女がお金を恵んだらオーケストラの大演奏のサプライズ 』

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「遠 恋」 ―刹那―Ⅵ

2017-06-29 17:15:46 | 日記
広いガラスの自動ドアの向こ
うに、ベンチがいくつか並んで
いた。まるで恋人たちに必要な
孤独を守ろうとするかのように、
ひとつだけ、空いているベンチ
があった。
見えない手に導かれるようにし
て、わたしたちはそこに腰かけた。

忘れな草の水色を滲ませた、夕暮れ
前の空。

ときどき、急に何かを思い出したよ
うに、吹いてくる突風。
ごーっと唸るジェットエンジンの音。
日常から切り離された、どこかよそ
よそしい、緊張を孕んだ空気に包ま
れて、わたしたちはただ、寄り添っ
ていた。

あのひともわたしも、言葉を失って
いた。五分前に会えた。でも五分後
に迫っている。別れを前にして。
目の前で、まるで意を決したように、
一機の旅客機が飛び立とうとしてい
た。

「あれが俺の乗る飛行機だったり
して」
と、あのひとは言って、わたしは
顔を覗き込んだ。泣き顔のように
なってしまっている、わたしの笑
顔を。

「俺けっこうドジだから、そういう
こと、よくあるんだよね」
わたしは黙って、あのひとのそ
ばに座っていた。喉がからから
に渇いていた。けれど、それは
何かを飲んでも、決して癒えな
い渇きだと知っていた。

「よく来てくれたね」
そう言ったあのひと声は、心なし
か、掠れていた。

「会いたいから」
「さっきは、驚かなかったなんて
言ったけど、ほんとはすっごく驚
いてた。心臓が止まりそうなくら
い」
「驚かせてごめんなさい。でもどう
しても会いたくなって」

「俺も。もう、どれだけ会いたいか
ったかというと」
言葉はそこで途切れて、長い両腕を
持てあますようにしながら、ぎこち
なく、それでいて、まるで電流のよ
うに容赦なく、あのひとは、わたし
の躰を抱きしめてくれた。

男の腕だと思った。欲望を感じた。
わたしの欲望だ。心臓が、早鐘を
打ち鳴らしていた。あのひとに、
聞こえてしまうのではないかと
思えるほど、好き、好き、好きと。
恥ずかしいくらいに。

でもその時、わたしの耳はちょうど
あのひとの心臓の真上にあった。
だから、聞こえた。あのひとの
胸の鼓動。それはわたしの鼓動
よりも何倍も烈しく、波打って
いた。

それから、キスがやってくる。

記憶の中ではすでに一万回、
いいえそれ以上、幾度も幾度も
重ねてきた―――たった一度
だけの―――わたしたちのキス。
繰り返し、繰り返し、すり切れる
まで再生しても、決して古びる
ことのない記憶。

思い出すたびに、胸の奥から湧
き出してくる情熱の息吹。それを
感じるたびに、わたしは無条件で、
愛を信じることができる。
わたしの唇に、あのひとの温かな
唇が触れた、その刹那。

それは、わたしの中でもうひとり
のわたしが生まれ、わたしのもう
ひとつの人生が始まった瞬間だった。




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佐久市 金買取り ヤナギダ ブログ:「青い空の下で」

2017-06-29 11:04:32 | 日記
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ーブログー
あなたと はじめてのことを
たくさんしたいから

知らないことを
たくさんとっておく





佐久市野沢93番地十二町
ケヤキの木の真向かい
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佐久市 金買取 ヤナギダ店長コラム:「 男の毒牙 」

2017-06-29 10:24:52 | 日記
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ブログ:
女は誰でも
「天使」を着て、
この世に生まれてくる
という。

傷つかなければ死ぬまで
天使のままだ。

裏切られれば天使だって
泣き叫ぶし、
包丁を手にするかもしれ
ない。

男の毒は、先天的なもの
だけど、
女の毒って、男の毒の
触媒がなければ発生
しないもの。

愛が注がれれば、
天使の服は再生可能。
・・・・・・・・・・・・・。





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お勧めミュージック:2タイトル

2017-06-29 06:39:18 | 日記
YouTube
『Quartetto Moderno –
Love Theme from Spartacus』
イージーリスニング;フルート
演奏者:Quartetto Moderno
イタリアのジャズバンドによる
心地よいラウンジミュージック




YouTube
『Ryuichi Sakamoto & Jaques e
Paula Morelenbaum² - O Grande Amor

演奏者:Jaques Morelenbaum
ジャンヌ:ボサノバ



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「遠 恋」 ―刹那―Ⅳ

2017-06-28 20:55:19 | 日記
このひとには「確信」という
言葉が似合う。
その時、そんなことを思った
記憶がある。
生まれてからきょうまで、数え
切れないほど多くの人とすれ
違い、出会いと別れを繰り返し
てきた。

これからも、それは繰り返され
ていくだろう。

おそらくこの世には、別れの来
ない出会いはなく、永遠に変わ
らないものなど、何ひとつとし
て、ないのかもしれない。
にもかかわらず、あのひとは今
でも、わたしにとって唯一の
「確信」であり続ける。

あのひとは、晴れた海。この世
でただひとり、わたしに「確かな
ものはある」と、信じさせてくれた
人。

「おなか、空いてる?」
「空いていない」
「喉渇いてる?」
「乾いてない」
「行きたいところ、ある?」
「アメリカ」
あのひとは笑った。声をあげて
「じゃあ一緒に行くか」。
それからあのひとは、搭乗券に目を
落として。言った。

「あと十分くらいは、一緒にいられ
るかな」
ひとりごとのようにも聞こえた。

ああ神様と、わたしは思った。時間は
止められない。わかっているけれど、
神様、どうか止めて欲しい。
止まって欲しい。一分でも、十秒でも
いいから、止めて。わたしたちの頭上
で。

「飛行機でも、見にいくか」
あのひとは呟くように言い、わたし
は小さく頷いた。
エスカレーターに並んで乗って、展望
ロビーまで上がっていった。わたし
の躰は、あのひとの躰に、引き寄せれ
たままだった。

「まるで恋人同士みたい?」
わたしが問うと、あのひとは答えた。
「恋人同士だよ。文句ある?」
エスカレーターに乗っているあいだ
に、交わされた会話はそれきりだった。






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「一瞬」: 佐久市 金買取り ヤナギダ ブログ

2017-06-28 10:53:40 | 日記
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【6月 28日(水)即買値】

ーブログー
あなたの笑顔の一瞬や
あなたの憂いの一瞬と
出会えた時

写真のようにこの感じを
忘れないように胸に刻む

思い出すために すこしでも強く
思い出すために すこしでも長く
悲しくもこの恋が純粋であるように
心をこめて
またあなたを思い出すために





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佐久市 金買取り ヤナギダ ブログ: 天才【てんさい】

2017-06-28 10:10:56 | 日記
K18金  ¥3290
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【6月 28日(水)即買値】

天才【てんさい】

「天才はいくらでもいます。
その天才を認めて、育てる
人がまるでいないんです
“みやぞん”を見てくだ
さい!」
    ※
「二十二歳で『大つごもり』
二十三歳で『たけくらべ』
     『十三夜』
二十四歳で亡くなって・・・。
樋口一葉も作曲家の滝廉太郎
も二十四歳で亡くなってます
が、明治までですね、老成
した天才というのは」


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お勧めミュージック :ジャズ・フージョン ★★★★★

2017-06-28 07:20:39 | 日記
You Tube:
CHRIS BOTTI IN BOSTON |
"Emmanuel" w/ Lucia Micarelli | PBS

映像は、バイオリニストとトランペット
のクリス・ボッティ、視聴に一見の価値アリ。

演奏者:クリス・ボッティ
“トランペットの貴公子"=クリス・ボッティの
豪華絢爛なライヴ・アルバム!


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「遠 恋」―刹那―Ⅲ

2017-06-27 17:12:37 | 日記
根こそぎ自分をどこかに持って
いかれるような、心許ない感覚。
心許ないのに、それは限りなく
純粋で、石のように確かだった。
千夏ちゃん、教えて。

これって、恋なの?
わたしはこれから、どこへ向かっ
て、走っていけばいい?
次の瞬間、天井からまっすぐに、
答えが降ってきた。

「カノちゃん、想っているだけ
じゃだめだよ。想いは行為に変
えて、示さなければ、相手に
伝わらない。伝わらない想いは、
生きてる想いじゃない。
そんな想いを後生大事に抱えて
いたって、結局ミイラになって
しまうだけだよ」
千夏の声だった。

行かなくては、と、わたしは思
った。
あのひとに会いに行かなくては。
今、行かなかったら、わたしは
一生後悔する。

この列車が東京駅に着くのは
二時四十九分。
飛行機の出発時刻の一時間十
五分ほど前。
新幹線を降り発車寸前の成田
エクスプレスに飛び乗った。

成田空港の出発ロビーは、東京
駅の何倍もごった返していた。
人混みをかき分けるようにして、
チェックインカウンターの近く
まで突き進んだ。幾重にも重な
った行列。

矢のように視線を飛ばして、あ
のひとの姿をさがし求めた。
どこにいる?
まだここにいる?
お願いだから、いて。
黒いマントみたいなコート。ぶあ
つい毛布みたいな生地の。あの
コートさえ、見つけられたら―――、

見つけた!
遊牧民コート。
すらりと伸びた長い足に、ブルー
シーンズ。
あのひとは帽子をかぶり、首に
マフラーを巻いていた。遠目から
見ても、すぐにわかった。あまりに
も、すてきだったから、男っぽくて、
眩しくて、でもなんだか可愛くて。
「井上さん」

声をかけるより先に、あのひとは
わたしに気づいて、右手を上げ、
その手を下ろさないまま「おいで
おいで」と手招きしてくれた。
そばまで駆け寄っていくと、
わたしの肩を抱き寄せながら、
広げたコートの中に包に入れて
くれた。

その時、嬉しくて、きゅんと
軋(きし)んだ、わたしの躰。
「また会えたね」
と、あのひとは言った。優しい
春風のように。

息を弾ませて、わたしは問いかけた。
「驚いた?」
「驚かなかった。全然」
そう言って、あのひとは笑った。
肩を抱く手に力を込めて。
「どうして」
「絶対会えるって、わかってたから」
「ほんとに?どうして?」
「どうして?って、さっきからおん
なじことばかり言ってる」

「わかったさ。理由なんて、ないよ。
ただ、わかっただけ」
どうして、そんなことが、わかるの。
また「どうして」と言いそうになって、
その言葉を押し止め、代わりに深呼吸
をひとつ、した。

「よかった。間に合って」
あのひとは大きく頷いていた。
「決まってたんだよ」
そのあとに、続けた。力強く、押し
寄せる波のように。
「間に合うに決まってる。ここで
会えるって、最初から決まってたん
だから」






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