治安問題に関する法律は必ず変質する そして、共謀罪は立憲主義をゆがめる
2つのことを言いたいと思います。治安問題に関わる法律は何年か経つと必ず変質すると言うことです。今政府は今回の共謀罪は内心の自由にも触れないし、一般の人には関わりがないと言うことを説明しています。過去のことを振り返ると今から100年前明治42年に公布された新聞紙法はどうだったでしょうか。時の政府は新聞・雑誌の発行条件を整えて整然とした発行体制を作るためだと説明しました。条文にあった「安寧秩序を乱し、風俗を乱す」、これを理由に内務大臣は政府批判、軍部批判の新聞や雑誌を発行禁止に追い込んできました。そして新聞雑誌の発行者、編集者、記者、筆者たちを逮捕してきました。結局この法律は敗戦の時まで続き36年間続き、戦前、戦中の言論を統制する役割をになった。
治安維持法はこの法律はもともと朝鮮の政治犯罪を取り締まる、ここに源流がありました。日本には関係ないと説明されていました。ところが今から90年前、大正と昭和の2度にわたって改訂された結果、すべての社会活動を禁止する法律に変わっていました。そして違反者を死刑にするなど戦争が終わるまで猛威をふるう法律に化けていました。
戦後はどうでしょうか。民主主義国家になった、そういう事はありえないと思っていないでしょうか。しかし国旗国歌法はどうでしょうか。平成11年に制定された国旗の掲揚や君が代の斉唱を強制するものでは無い、と当時の政府が説明していました。しかし、それから10年もたたないうちに学校では君が代斉唱、国旗掲揚が義務化され、そして今や先生や生徒は口パクでないか点検され、違反した教師たちは次々と職場を追われていきます。
道徳教育と言うのはどうでしょうか。もともとこれは教育勅語に基づいて天皇制の教育を行う修身として戦前、戦中に行われてきたものを原型としています。昭和33年、あまりにも子どもたちがやんちゃだと言うので道徳と言う時間が作れました。公衆道徳を身につけると言うだけの話でした。今年、文科省は算数や国語の授業と同じように格上げし、ちゃんと日本人になっているかと言う点数までつけるものになりました。
政府や権力者はこういう法律は一般市民を縛るものでは無いということを、そして、必ず社会の秩序ある発展と市民の安全、安心を図るものだと説明をします。けれどいつも、これらの法律をねじ曲げ、拡大解釈して市民の内心の自由、言論の自由に介入して、彼らが邪魔だと思う言論、思想を排除してきます。
第2点、共謀罪は立憲主義をより歪めていくものだと言うことです。立憲主義は人権を保障し、三権分立を保障する憲法に基づいて、政府と国会、司法は律しられなければならないという民主主義の大原則です。あらゆる法律はこの原則に基づいて制定されています。しかし今度の共謀罪は、もう一つの全体を律するものを持ち込み、法律全体を運用しようとしています。これは憲法の原則を骨抜きにし、市民を監視し、内心の自由や言論の自由を踏みにじるものだと言わざるをえません。
内心の自由、表現の自由に関する法律はいつでも拡大解釈され、変質し悪用されます。それは歴史が証明し、今の政府の動きが証明しています。
明治以来テロで殺害された人のほとんどが戦争に反対した人々、共謀罪は再びあの暗黒のテロ国家に
4月1日、朝 新聞を見ておったまげました。閣議決定で教育勅語が容認される、学習指導要領に銃剣道。銃剣道と言うのは自衛隊がやっている訓練だけです。とんでもない時代を迎えています。教育勅語容認の言葉の中に憲法、教育基本法に反しない限り認める、という言葉が入っている。教育勅語は1948年に各院で排除と失効が決まっている。なぜ排除と執行が決まったのか。これは憲法と教育基本法とは全く相入れないと言うことで決まったわけです。この国会決議を閣議決定1つで覆してしまう、こんな首相は要りません。
共謀罪、びっくりしました。テロ対策とんでもない。戦前の歴史を思い起こしてください。日本は世界有数のテロ国家でした。特に1930年代以降、特高警察を媒介にして何人の政治家が、何人の市民が、何人の知識人がテロの被害にあったでしょうか。この根幹をなすのは何でしょうか。治安維持法です。治安維持法がなければあんなテロ国家にはならなかったんです。私、今回、明治以来テロで殺害された人を調べてみました。ほとんどが戦争に反対した人々です。共謀罪がもし施行されたら日本は再びあの暗黒のテロ国家になってしまうのではないでしょうか。
さらに今国会に議員立法として提案されている家庭教育支援法。国家のための人材育成になっているか、それを家庭でチェックすると言うのです。同じような通達が1930年に出ています。文部省から出されました。これは1942年に戦時家庭教育要項。これが出されたことによって隣組ができてしまった。みんなが監視役になって総動員で戦争に動員される体制、これを作り上げていくのが家庭教育支援法です。ここまで3点セット揃ったこの状態を一刻も早く抜け出しましょう。
今、起こっているのは「かこつけ」の政治
今、起こっているのは「かこつけ」の政治です。安倍首相は南スーダンの平和にかこつけて自衛隊を出しました。安倍首相にとっては自衛隊を外に出し、武器を使う、それ自体が目的です。
同じかこつけのポーズがそのまま共謀罪にも当てはまります。テロにかこつけて共謀罪。
本来政策と言うのはみんなのため、きちんとした目的があってそれを実現するための手段であるはずです。しかし今、安倍政権が目指している政策は共謀罪にしてもことごとく政治家や官僚のやりたかったテーマを実現する。むしろ国民の生命や自由を抑圧するような、権力の肥大化を招くようなものばかりです。
もう一つ私が感じるのは感情の堕落です。森友学園の問題の財務省のふざけた役人の態度、今や官僚は憲法で規定している全体の奉仕者、国民への公僕ではなくて、自民党政権の召使いに成り下がってしまった。このような役人たち、警察官僚や法務官僚が共謀罪と言う武器を手にしたら一体何が起こるのか、自民党に逆らうまっとうな神経まっとうな良識を持った市民をことごとく弾圧しにかかることはもう火を見るよりも明らかではないでしょうか。既にそのことは沖縄でもう起こっています。
テロの内容が書かれていない、準備行為の限定がない、殺人予備罪など現行法で取り締まれる
全く立法事実はない共謀罪法案をなぜ先に強行しようとするのか全く理解ができないのです。
法案はテロ等準備罪と呼ばれていながら、テロ対策のための情報が条文には全く入っていないんです。脱税共謀罪と同じなんです。テロの内容が書かれていないんです。うその情報で国民をだまそうとする。これは民主主義に対する重大な攻撃だと思います。
共謀罪の構成要件を限定したと言われていますが、処罰範囲が明確にされていない。組織的犯罪集団というのは既定の認定をしておりません。ある時点から捜査機関がそうだと言えばそうなってしまうわけです。「テロリズム集団」と言うのを無理矢理挿入したんだけれども、その後に「その他」って書いてあるので、どんな集団も該当してしまいます。
準備行為が必要だと言われているけれども従来、予備罪や危険犯の処罰の時に必要とされていた実質的な危険が要件になっていないので、カレーを作る、お金をおろすといったような行為も含まれる、これも法案に、その他という言葉がありますので限定がない、と言うことになる。
3月31日、自民党の法務調査会は党所属の国会議員宛に国民のための説明資料と言うのが出たんです。この中に嘘がいっぱい書いてあるんです。国連条約、これは2004年に出された立法概要の中で、もともと協約に処罰の規定のない国は導入する義務はなくて、それに匹敵するような対応すれば足りる、ということが明文に書いてあるんです。ブルガリアとノルウェー以外に共謀罪立法した国は知られていない。
また自民党の文章の中には、現行法ではテロ組織は水道水に毒を混入することを計画し、実際に毒物を準備した場合にあってもこの時点で処罰することがありません、となっているんですが、こんなの殺人予備罪も成立するし、毒物劇物取締法違反でも処罰することができます。このようなあからさまな嘘を使って国民を騙そうとする。許すことができません。
リアルタイムの生の情報で、それぞれが根拠のしっかりした貴重な発言でした。このことを多くの人に知ってもらいたいです。
日本ペンクラブ 吉岡忍
2つのことを言いたいと思います。治安問題に関わる法律は何年か経つと必ず変質すると言うことです。今政府は今回の共謀罪は内心の自由にも触れないし、一般の人には関わりがないと言うことを説明しています。過去のことを振り返ると今から100年前明治42年に公布された新聞紙法はどうだったでしょうか。時の政府は新聞・雑誌の発行条件を整えて整然とした発行体制を作るためだと説明しました。条文にあった「安寧秩序を乱し、風俗を乱す」、これを理由に内務大臣は政府批判、軍部批判の新聞や雑誌を発行禁止に追い込んできました。そして新聞雑誌の発行者、編集者、記者、筆者たちを逮捕してきました。結局この法律は敗戦の時まで続き36年間続き、戦前、戦中の言論を統制する役割をになった。
治安維持法はこの法律はもともと朝鮮の政治犯罪を取り締まる、ここに源流がありました。日本には関係ないと説明されていました。ところが今から90年前、大正と昭和の2度にわたって改訂された結果、すべての社会活動を禁止する法律に変わっていました。そして違反者を死刑にするなど戦争が終わるまで猛威をふるう法律に化けていました。
戦後はどうでしょうか。民主主義国家になった、そういう事はありえないと思っていないでしょうか。しかし国旗国歌法はどうでしょうか。平成11年に制定された国旗の掲揚や君が代の斉唱を強制するものでは無い、と当時の政府が説明していました。しかし、それから10年もたたないうちに学校では君が代斉唱、国旗掲揚が義務化され、そして今や先生や生徒は口パクでないか点検され、違反した教師たちは次々と職場を追われていきます。
道徳教育と言うのはどうでしょうか。もともとこれは教育勅語に基づいて天皇制の教育を行う修身として戦前、戦中に行われてきたものを原型としています。昭和33年、あまりにも子どもたちがやんちゃだと言うので道徳と言う時間が作れました。公衆道徳を身につけると言うだけの話でした。今年、文科省は算数や国語の授業と同じように格上げし、ちゃんと日本人になっているかと言う点数までつけるものになりました。
政府や権力者はこういう法律は一般市民を縛るものでは無いということを、そして、必ず社会の秩序ある発展と市民の安全、安心を図るものだと説明をします。けれどいつも、これらの法律をねじ曲げ、拡大解釈して市民の内心の自由、言論の自由に介入して、彼らが邪魔だと思う言論、思想を排除してきます。
第2点、共謀罪は立憲主義をより歪めていくものだと言うことです。立憲主義は人権を保障し、三権分立を保障する憲法に基づいて、政府と国会、司法は律しられなければならないという民主主義の大原則です。あらゆる法律はこの原則に基づいて制定されています。しかし今度の共謀罪は、もう一つの全体を律するものを持ち込み、法律全体を運用しようとしています。これは憲法の原則を骨抜きにし、市民を監視し、内心の自由や言論の自由を踏みにじるものだと言わざるをえません。
内心の自由、表現の自由に関する法律はいつでも拡大解釈され、変質し悪用されます。それは歴史が証明し、今の政府の動きが証明しています。
明治以来テロで殺害された人のほとんどが戦争に反対した人々、共謀罪は再びあの暗黒のテロ国家に
「安全保障関連法案に反対する学者の会」佐藤学さん
4月1日、朝 新聞を見ておったまげました。閣議決定で教育勅語が容認される、学習指導要領に銃剣道。銃剣道と言うのは自衛隊がやっている訓練だけです。とんでもない時代を迎えています。教育勅語容認の言葉の中に憲法、教育基本法に反しない限り認める、という言葉が入っている。教育勅語は1948年に各院で排除と失効が決まっている。なぜ排除と執行が決まったのか。これは憲法と教育基本法とは全く相入れないと言うことで決まったわけです。この国会決議を閣議決定1つで覆してしまう、こんな首相は要りません。
共謀罪、びっくりしました。テロ対策とんでもない。戦前の歴史を思い起こしてください。日本は世界有数のテロ国家でした。特に1930年代以降、特高警察を媒介にして何人の政治家が、何人の市民が、何人の知識人がテロの被害にあったでしょうか。この根幹をなすのは何でしょうか。治安維持法です。治安維持法がなければあんなテロ国家にはならなかったんです。私、今回、明治以来テロで殺害された人を調べてみました。ほとんどが戦争に反対した人々です。共謀罪がもし施行されたら日本は再びあの暗黒のテロ国家になってしまうのではないでしょうか。
さらに今国会に議員立法として提案されている家庭教育支援法。国家のための人材育成になっているか、それを家庭でチェックすると言うのです。同じような通達が1930年に出ています。文部省から出されました。これは1942年に戦時家庭教育要項。これが出されたことによって隣組ができてしまった。みんなが監視役になって総動員で戦争に動員される体制、これを作り上げていくのが家庭教育支援法です。ここまで3点セット揃ったこの状態を一刻も早く抜け出しましょう。
今、起こっているのは「かこつけ」の政治
立憲デモクラシーの山口二郎さん
今、起こっているのは「かこつけ」の政治です。安倍首相は南スーダンの平和にかこつけて自衛隊を出しました。安倍首相にとっては自衛隊を外に出し、武器を使う、それ自体が目的です。
同じかこつけのポーズがそのまま共謀罪にも当てはまります。テロにかこつけて共謀罪。
本来政策と言うのはみんなのため、きちんとした目的があってそれを実現するための手段であるはずです。しかし今、安倍政権が目指している政策は共謀罪にしてもことごとく政治家や官僚のやりたかったテーマを実現する。むしろ国民の生命や自由を抑圧するような、権力の肥大化を招くようなものばかりです。
もう一つ私が感じるのは感情の堕落です。森友学園の問題の財務省のふざけた役人の態度、今や官僚は憲法で規定している全体の奉仕者、国民への公僕ではなくて、自民党政権の召使いに成り下がってしまった。このような役人たち、警察官僚や法務官僚が共謀罪と言う武器を手にしたら一体何が起こるのか、自民党に逆らうまっとうな神経まっとうな良識を持った市民をことごとく弾圧しにかかることはもう火を見るよりも明らかではないでしょうか。既にそのことは沖縄でもう起こっています。
テロの内容が書かれていない、準備行為の限定がない、殺人予備罪など現行法で取り締まれる
京都大学教授 高山佳奈子さん
全く立法事実はない共謀罪法案をなぜ先に強行しようとするのか全く理解ができないのです。
法案はテロ等準備罪と呼ばれていながら、テロ対策のための情報が条文には全く入っていないんです。脱税共謀罪と同じなんです。テロの内容が書かれていないんです。うその情報で国民をだまそうとする。これは民主主義に対する重大な攻撃だと思います。
共謀罪の構成要件を限定したと言われていますが、処罰範囲が明確にされていない。組織的犯罪集団というのは既定の認定をしておりません。ある時点から捜査機関がそうだと言えばそうなってしまうわけです。「テロリズム集団」と言うのを無理矢理挿入したんだけれども、その後に「その他」って書いてあるので、どんな集団も該当してしまいます。
準備行為が必要だと言われているけれども従来、予備罪や危険犯の処罰の時に必要とされていた実質的な危険が要件になっていないので、カレーを作る、お金をおろすといったような行為も含まれる、これも法案に、その他という言葉がありますので限定がない、と言うことになる。
3月31日、自民党の法務調査会は党所属の国会議員宛に国民のための説明資料と言うのが出たんです。この中に嘘がいっぱい書いてあるんです。国連条約、これは2004年に出された立法概要の中で、もともと協約に処罰の規定のない国は導入する義務はなくて、それに匹敵するような対応すれば足りる、ということが明文に書いてあるんです。ブルガリアとノルウェー以外に共謀罪立法した国は知られていない。
また自民党の文章の中には、現行法ではテロ組織は水道水に毒を混入することを計画し、実際に毒物を準備した場合にあってもこの時点で処罰することがありません、となっているんですが、こんなの殺人予備罪も成立するし、毒物劇物取締法違反でも処罰することができます。このようなあからさまな嘘を使って国民を騙そうとする。許すことができません。
リアルタイムの生の情報で、それぞれが根拠のしっかりした貴重な発言でした。このことを多くの人に知ってもらいたいです。