銀座の甚平喰い倒れ日記

甚平を愛するサラリーマンの食生活を綴った日記。銀座界隈を中心に東京の美味しいお店をご紹介。

元町 梅林にて「¥12,000コース」をいただきます

2008-01-21 23:16:52 | 旅歩き(国内・海外で食べる)

いよいよ旅のメインイベントだ。

ちょうど1年位前だっただろうか?

日記によく来てくださるmymyzu氏が
元町に面白いお店があると教えてくれていたのを
横浜旅行を思いついた際に思い出したのだ。

店の名前が思い出せなかったので
mymyzu氏にメールを入れて再度確認すると
その店の名は元町 梅林というお店だった。

こちらのお店。夜は17:00と19:30の2回転のみ。

メニューの方も¥8,000。10,000。
¥12,000。¥15,000の4種類で、
手をしっかりと入れた料理を恐ろしいほどの点数で
もてなしてくれると言うのだ。



梅林は元町の商店街を外国人墓地の方にそれ、
まっ暗闇にボヤ~っと浮かぶお墓を
左手に眺めながら進んだ先。

店内に飾られたお店の看板は故黒澤明監督直筆のもの。

昔は我が家に帰るようだとこちらのお店で
忘年会をされていたとどなたかの日記にも記載されていた。



予約にゆとりがある日には
1部屋まるまる使わせていただけるそうだが
連休ともなると流石にそうも行かない。

同年代のカップルが
結納をどうしようかと相談しているのを
耳に挟みながらおよそ1年半前の夏の
自分たちの結納なんかを思い出しながら
おもてなしを受けることになった。



今日の日記は本当に長い。
トイレに行ってから読まれるのがよろしいだろう。

1品目 かまぼことエノキの和え物。

ゆずを上品に利かせ、
嫌味のない酸味を押さえた酢が
ゆずの風味を優しくサァーっと広げてくれる。

旨い。



立ち上がりはキリンを頼み
嫁とお持ち帰りメニューにある
お稲荷さんやらうなぎの笹巻きやらに
食指を伸ばそうかと相談していたのだが

2品目 お稲荷さん

順番に多少驚いたが
甘すぎず辛すぎず煮付けられた揚げに
白ごまとはんなりとした酢で味付けられた稲荷は
最初の上り坂とは思えないほどぺロリだった。



3品目 牛刺

こちらのお店。

贔屓にしているお肉屋が2軒あるそうで
松坂やら神戸やらと銘柄指定はせず、
その日の一番良い肉を持ってくるように
頼んでいるそうだ。

牛肉には何も付けずにパクリとやると・・・

肉の旨みだけが噛めば噛むほど滲み出てくる。

味噌と大根ときゅうりが添えられていたが
きゅうりには軽く味噌を使い大根は
大根の甘みが知りたくてそのままいただいた。

野菜が甘い。旨い証拠だ。



4品目 前菜の盛り合わせ

あわびにいくらのきゅうりのせ、
伊達巻にスモークハム、サーモンに
黒い椎茸のように見えるのはなんと栗。

栗の甘煮だった。

とにかく驚いたのが栗の大きさだ。
あれだけデカイのは初めて食べたのだが
甘過ぎないようにかと言ってしっかりと、
ギリギリの甘さ加減が絶妙だった。



5品目 揚げ餅

私は揚げ餅自体は大好物なのだが
嫁の国こと越後では武蔵と比べると
相当にメジャーな食べ物だそうで、
本返しかと蕎麦つゆの話をしたくなるほど
しっかりと作られたタレの味が油を優しく溶け落とし
無心にハモハモさせてくれた。

こいつも旨い。



6品目 鯛といわたけのお吸い物

やや強めの塩加減の吸いは
具材を潰さぬギリギリの塩梅だ。

この加減。料理人の方はおそらくは
西方のご出身ではなさそうだがなかなかの出来栄えだ。



7品目 さわらの西京焼き

さわらに添えられているのは
柚子の皮を甘く煮付けたものだ。

さわらに干渉することなく
すっきりと食べさせてくれる脇役なのだが
こいつはどうやって作るのだろうか?

さわらの出来栄えに文句はない。



8品目 栃尾の豆腐

旨い豆腐には何も付けないのが良い。

大豆の濃厚な甘さが
願うことなら私のカルビ肉をやっつけて欲しいものだ。

栃尾も越後の国。

県下で名を馳せる
大豆の名産地に嫁のテンションも上がった。



9品目 千草焼き

申し訳ない。思わずぺロリと食べてしまったうえ
どんなものだか忘れてしまった・・・

10品目 刺盛

まぐろは赤身と中とろ、すずきに鯛が2種、
いかとあわびにほら貝、さざえ、伊勢海老と豪華絢爛。

伊勢海老は〆たばかりで
上半身は必死に蠢く新鮮さ。

海老で味噌汁を作ってくれるそうなので
そちらから手を付けていただければと伝えられた。

海老は甘みたっぷりで
こいつに醤油を使うのはもったいない。



まぐろは大間だそうだ。

運が良い。

酒もキリンから私の祖先が住む
高知の酔鯨の純米吟醸に切り替えた。

ちなみに私は醸造アルコール大っ嫌い派。
日本酒は純米酒を極力飲むようにしている。

特筆はツマの仕上がりだ。

旨い大根を見事に切りそろえる技は
口に入れれば一目瞭然。

ふぁさっ~と甘味と共に広がる。

ツマは魚の脂を考えても
料理人の力量を測ることを考えても
是非とも残さず食べるべき。

無理強いはしないが
部下のゴン太やエヴァが残したら
私はカンカンだ。



11品目 カブの冷製スープ

こいつも刺身に夢中で写真を撮り忘れてしまった。

カブってこんなに甘みがあったかと
驚きをもって口に広がってくれた。

12品目 帆立で煮込んだカブ

どんなものでも残さず食べる私だが
乾物の帆立のエキスが染み出たものはちょいと苦手ながら
そのクセが出ないように抑える術があるのだと
感心させられた。



13品目 魚介のホワイトソースグラタン

実は意地でも完食してやろうと
鼻息荒く入店していたのだが、
無理して喰うことこそもったいなく感じてしまった。

こちらのお店。

田舎のお婆ちゃんの家に行って
腹一杯食べさせられた挙句、
沢山お土産を持たせてくれるようなお店だ。

お店もお腹一杯になってもらうつもりで
焼き物や煮物など日持ちするものは
料理を出す際にこちらはお持ち帰りもいただけますが
お腹の加減はいかがでしょうか?と
思い出と共に持ち帰らせてくれるのだ。

私も喰い意地は捨てて腹八分目の心地よさを
味わってみたくなってしまった。

こちらは翌日美味しくいただいた。



14品目 野菜の田舎煮

こんにゃくやらいちじくやら
かぼちゃに蓮根、椎茸、にんじん、牛蒡etc。

里芋に似たのは八ツ頭ではなかっただろうか?

野菜の田舎煮は煮汁が影響しそうなものは
全て別々で煮込まれていた。

ひとつひとつがしっかりと煮込まれている分
食べ進めると口の中の残り香が喧嘩してしまわぬか
余計な考えを巡らせてくれたが、私が馬鹿ちんだ。

7色の花火が口の中に広がる感覚。

特に蒟蒻といちじくは秀逸だった。



15品目 花豆のふくべ煮

初めて聞いた名称で活字があっているか不安だが
瑞々しい煮汁は夏場の日中の疲れた炎天下で
キンキンに冷やして飲みたくなるほどの
素晴らしい甘味。

田舎煮同様、煮物の非凡さは抜けている。

女将の平尾さんは御歳70数歳。
煮物なんかは今でもご自身でやられているそうだが
横浜のこの場所にも無形文化財があったかと
今日この日に来れたことを感謝した。



16品目 鰻の笹巻き

お持ち帰りメニューにもあった気になっていた品だが
卵にも鰻にも必要以上に味付けはせず、
笹の香を楽しみながら純朴な味わいに舌鼓を打つ。

旨い。

腹八分目を心がけながらも
ついつい箸が伸びてしまう。



17品目 いちごの白和え

驚いた。本当に驚いた。

胡麻の風味が息づいた白和えに
旬のいちごを付けて食べる。

白和えがいちごの酸味と甘味を
こんなにもはっきりと感じさせてくれるとは
全くもって予想すらできなかった。



18品目 蓮のお餅

こいつも素朴な味が
甘みと共に広がってくれる旨さだ。

稲荷に笹巻き、この蓮餅と
大分ごはんものが増えてきたので
そろそろ40km地点を越えてスタジアムが
見え始めるのかと思いきや・・・まだまだ30km地点。

胃袋破りの坂が待ち受けていた。



19品目 うどと数の子の和え物

しっかりと塩抜きされた数の子が
仕事の確からしさを裏付けている。

申し訳ないがこいつもカメラをすり抜けて
胃袋に隠れてしまった。

20品目 炭火焼きのステーキ

肉はやはり炭焼きに限る。

この肉も銘柄こそ不明だが
素晴らしい肉質だった。

ただし、このお店で2つだけおやっと?思ったのが
鯛の刺身とこの肉に対する塩加減だ。

すずきや大間のまぐろは旨い刺身だったが
鯛は2切れ目に醤油を使わせていただき、
この肉に対する塩加減は半分位でないと
もったいないと感じてしまった。



21品目 伊勢海老の味噌汁

先ほど食べた伊勢海老が我々の元に帰ってきた。

海老の頭は裏に身がしっかりと・・・
疲れたはずの胃袋をまるで魔法をかけるように
復活させてくれた。



22品目 車海老のフライ

大皿にのせられているので小さく映るかもしれないが
とてもとても見事なでかさだ。

この日¥12,000のコース料金に
ビールに酔鯨サービス料と2人で¥33,000程度支払ったが、
私はこの金額に十分納得している。

むしろ安いとさえ思っている。

当初、箱根じゃ2人で6万円と
予算を意識して横浜ツアーを敢行したが
納得の予算オーバーだったのだ。



23品目 車海老の釜飯

実はこのメニュー。

相当に悩んだ末の選択だった。
予約時に名物の平尾さんの爆弾おにぎりと
この釜飯を迫られるのだが、
旨い握り飯も本当に食べたかったのだが
このお店がどんな釜飯を炊き上げるのかも知りたかった。

具財は海老だけのシンプルな釜飯なのだが
海老の一生が炊き汁と一体になって炊き上がる釜からは
1+1が時には3にも4にもなることを
具現化していた。

こいつは旨い。

完全にお持ち帰りモードだった嫁に
最後の力を振り絞るように促し、
重くなった箸を再び走らせたのだが・・・

結構食べれるんだね・・・



24品目 メロン

久しぶりに食べたメロンは懐かしく感じた。

25品目と呼んで良いのか疑問だが
暖かい煎茶で腹を落ち着けて今回の梅林訪問は
幕を閉じた。

他の方の日記にも書かれている通り
女将の平尾さんは1組1組に来店の礼と
口にあったかと尋ねて回っていた。

一様に「美味しかった」との言葉を聴けば
「あぁ~良かったと」無邪気に同じように
喜びホッとしていた。

わざとらしくも何ともない。
美味しいが聞けて嬉しいだけなのだ。



このお店の良さは仲居の子達が物語っている。

自分達が何を出しているのかよく理解し、
お客さんがどんな期待感を持ってここに来ているのか
重々承知していて、女将に仕込まれた以上に
ここにいることのメンタリティを感じさせられた。

まさかお孫さんだとは思わないのだが
このお店で働くことの責任感を
気負わず堂々と全うしていたのだ。

私はこの店が気に入った。

平尾さんがどのような経験をされて
こんなにもお腹一杯になる有り難味を
植え付けてくれるのかは知らないが、
日本もいずれは食べれなくなる。

空腹の辛さを知っているからこそ
食べれるうちにしっかり食べておきなさいと
どこにも見当たらないメッセージを感じてしまった。

もう食べれません。
お腹一杯ご馳走様でした。 ふぅ~っ

元町 梅林
横浜市中区元町1-55
TEL045-662-2215
11:30~15:00 17:00~19:00 19:30~22:00
月曜定休(祝日の場合は営業)

¥12,000コース(別途サービス料10%、消費税、酒代別)

甚平満足度 ★★★★★
甚平満腹度 ★★★★★★★


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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ついに食べちゃいましたね。。。 (mymyzu)
2008-01-22 08:22:00
甚平さん、おはようございます。

「元町 梅林」に行かれたんですね。
満足度が★5つのフルマークにほっとしましたが
満腹度は★7つ!!!
私の知る限り歴代のお店でもピカイチでしょうか???

更に上手のお店も世の中にはあるとは思いますが
紹介した側としてはよかったです~♪

私が訪問したときは特大エビフライと特大おむすびは持ち帰りました。

しかし、胡麻の白和えにいちごは驚きですね~♪
釜飯も実に美味しそう!!!

正直全メニューを書いてる暇がないほどに
あとからあとから湧いて来るその品々に驚かされっぱなしですよね~♪
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Unknown (あっきん)
2008-01-22 08:46:47
近いんだから行かなきゃ・・・・!!!
今日、地震になったら後悔するかもーー!^^
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極めつけ (ポケット)
2008-01-22 15:46:13
本当にスゴイお店ですね。
次から次へと登場するお料理が、どれも美味しそうです。
遠くへ旅行するのもいいですが、
横浜での豪華な食べ歩きはサイコーだと思いました。
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食べちゃいました・・・ (甚平)
2008-01-22 16:27:38
mymyzuさん

このお店を知らなかった
数十年間が恥ずかしくなるほど
素晴らしいお店でした。

ありがとうございます。

どうやら平田さんのご実家の方も
梅林を営んでいらっしゃるようなので
次はそちらにしようか義父などを伴い
再びここに来ようか行ったその日から
考えてしまいました。

嫁は平田さんの姿勢に感動し
泣きそうになったと言う程感動を。

身も心も満腹になるいいお店だぁ。
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一押しです! (甚平)
2008-01-22 16:29:48
あっきんさん

こんにちは。甚平です。

近いのに行かないのは野暮と
言いたくなるような良いお店でした。

日本料理や懐石を食べに行くと言うよりは
心のこもった手料理をいただくお店。

是非、行ってみてください。
返信する
結局箱根に行けましたが・・・ (甚平)
2008-01-22 16:32:14
ポケットさん

こんにちは。甚平です。

旅行総代金を考えると
結局、箱根や草津に余裕で行けるほど
お金を使いましたが、
悔い全くなしと言わせていただきます。

3万円以上する食事を安いと思うことなど
今まででは考えられませんでしたから。
返信する
待ってました (メロン)
2008-01-22 17:37:03
こんばんは~。
更新お待ちしてました。

こちらのお店いいですね。
田舎のおばあちゃんのおうちで
おいしいものいっぱい食べた、って感じがします。
懐かしい雰囲気のテーブルの柄が気になってしまいました。

吉田町梅林は、以前行きました。
元町はおなかいっぱいで、
吉田町は雰囲気を重視してるみたいですね。
(お料理とってもおいしかったですよ。)

今度は甚平さんおすすめの
元町梅林のほうへいってきます。楽しみ。
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Unknown (Kyoko007)
2008-01-23 02:02:00
星の数が大変なことになっていますね。

フードファイターの甚平さんの口から
「もう食べれません」

なんて言葉が出るなんて..
かるくショック.....笑

途中から奥様の分もたべたのでしょうか?

ホントに美味しそう、今回のツアーを
まんま、再現してみたくなってしまいます

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座右の銘はもったいない (甚平)
2008-01-23 10:23:17
Kyoko007さん

おはようございます。甚平です。

ご想像の通り嫁の分も結構食べることになり
1つ1つのボリュームは適量ながら
ボディーブロー。利きましたね。

お昼も遅めでギブアップでした。

とは言え動けなくなるような
お腹のいっぱいさと言うよりも
満足感がいっぱい。

ご家族で是非おでかけを・・・
返信する
すごーい! (のぞみママ)
2008-01-23 10:44:10
野菜の煮物がとくにおいしそう!いちじく!
しかも生もの以外なら持ち帰りも出来るんですね。
最近は、衛生上の問題もあると思うけど
お土産用に頼んだもの以外
食べているお料理は持ち帰り出来ない場合が多いですものね。

さっそく両親とおじゃましたいのですが
子どもは連れて行っても大丈夫な感じでしょうか?
予約のときに聞いてからのほうがいいかな。
(うちの子は今年から4年保育の幼稚園へ行きます)
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