【下河辺淳御大】
NPO法人フォーラム自治研究(FJK)の下河辺淳(しもこうべあつし)特別顧問が8月13日に逝去されました。享年92歳。元国土事務次官であり、国土審議会会長、総合開発研究機構(NIRA)理事長、阪神淡路大震災復興委員長等を歴任されました。
特筆されるべきは「全国総合開発計画(全総)」の1次から5次までのすべての策定に携わってきたことであり、それだけに「ミスター全総」とも称されていました。また、その時空を超えた発想のスケールの大きさと、会う人の心をいつの間にか包み込む独特の雰囲気から、誰が言うともなく「御大」と呼ばれてもおりました。
NPO法人フォーラム自治研究の特別顧問には、3年前の発足以来、ずっと就任していただいておりました。そのお願いに伺った折、開口一番にこう話されていたことが鮮烈でした。
「ところでここでいう自治とはなんですかね? だいたい自治省のような中央組織が存在する国に自治などというものがあるんでしょうか。自治省の言うことを具体化することが自治体の役割であるかのような、そんな事態になっています。おかしなことです」。
衰えることのない下河辺節の強烈な一つと受け止めながらも、日本社会における各自治体の閉塞状況を考えると、まさに正鵠を得た指摘と感じ入ったものでした。ことほどさように、私にとっては人生でもっとも啓発を受け続けた恩人です。