嶋津隆文オフィシャルブログ

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ついに住基ネット切断に市民監査請求が出る

2009年09月29日 | Weblog

国立市が、個人情報が漏えいする恐れがあるとして、住基ネットを切断したのは平成14年の12月のことです。そのために現在、国立市民はとても大きな不便や損失を強いられています。こうした不当な行政は止めてほしいとの意思を込めて、国立市の市民グループが、今日、国立市長に対し住民監査請求を起こしました。大いに待たれた動きといってよいでしょう。

住基ネットは国と自治体を専用回線で結び、行政事務の効率化や住民サービスの向上をめざすとして発足した制度です。すでに全国の自治体で実施され、現在その接続を拒んでいるのは、全1,774の自治体の内、わずか2自治体(国立市、矢祭町)だけ。特に私たちのまち・国立市がもっともかたくなな姿勢をとっていると批判されています。
   
ネット切断は市民に大きな犠牲を強いるものです。例えばパスポートの申請に不要となった住民票を、他の自治体と違い、わざわざ時間をかけて国立市役所に取りに行かねばなりません(その数、昨年1年で5,355件)。国税の電子納税システム(e-Tax)による税額控除も受けることができません。何よりも多くの高齢者にとって辛いことは、年金の現況確認についてその都度、市役所まで足を運ばなくてはならないのです(その人数、昨年1年だけで2,680人)。

住基ネットをめぐる状況はスタートした8年前と比べ大きく変わりました。まず平成17年には個人情報保護法が制定され、情報漏えいへの様々な防止義務が課せられました。平成20年には最高裁判所が「住民の情報が第三者に漏れる危険は生じておらず、プライバシー権は侵害しない」として「住基ネットは違憲ではない」と決着をつけました。市民のもう一つの代表である国立市議会も20年に、住基ネットの接続の決議を行いました。また国と東京都は、ネット切断は違法状態にあるとして、再三その接続を求める是正要求(地方自治法)を出しています。

世間もきびしく見ています。マスコミもこの違法状態を改善しない姿勢に不信を隠しません。読売新聞は、年金の現況届提出やパスポート取得時の住民票添付不要といった住民のメリットを住基ネット切断で崩しているとし、「違法状態は早期に解消せよ」(平成21年2月15日)と社説で指摘しました。日経新聞も、国から違法と指摘されたままで市が放置するのはやはりおかしいとし、「(国立市長は)嫌だから嫌だとすねている子供にしか見えない」(平成21年3月2日)とまで評しました。

それにもかかわらず、国立市は一向に接続する姿勢を見せません。このように社会全体を敵に回して、つっぱる自治体に一体どういうクレームの方法があるのでしょう。現行の法制度のもとで、ただ一つ、残されているものが住民監査請求(住民訴訟)なのです。そこで市民グループが、本来必要のない支出を国立市が行っていることに着眼し、住基ネット切断で生じている違法・不当な公金支出をやめるよう国立市長に監査請求を出すこととしたのです。この良識ある行動に、大いに期待したいものです。

注:このグループの連絡先→「くにたち政治経済研究会」☎042-576-8103

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