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肝炎友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2007.9.4より新規開始しました。

肝硬変症の繊維化が治療できる時代がはじまっている!? 日経メデイカルから抜粋

2015年06月26日 | 学会研究会報告
  
日経メデイカルからの抜粋です。肝硬変の治療薬が実現化に向けてはじまりました。すごいです。北大で受けれるってことで、北海道の患者さんにも可能性が広がり朗報かと思います。
写真は肝硬変だった肝臓がインターフェロンが効いて治ってきてるときの写真でこんな変化がどんどんおきるってことになります。

日本発の肝硬変治療薬候補の開発が臨床段階に 2015/6/17

開発が期待されるのが線維化を抑制し、沈着した線維を分解するような肝硬変治療薬だ。現在、国内外で開発されている肝硬変の治療薬候補の中には、日本で創製されたものも少なくなく、日本発の肝硬変治療薬の開発が着々と進んでいる。

その1つが、非上場のベンチャー企業であるPRISMPharma(横浜市緑区、社長:小路弘行氏)が創製したPRI-724(開発番号)という蛋白質間
相互作用阻害薬。Wntシグナル伝達経路構成因子であるcAMP応答配列結合蛋白質(CBP)と、転写因子のβカテニンの結合を阻害し、癌細胞の
増殖を抑えたり、分化を誘導する作用メカニズムを有することから、主に癌を対象に海外で開発が進められている。

 その一方で進んでいるのが国内でのC型肝硬変を対象とした医師主導臨床研究だ。がん・感染症センター都立駒込病院肝臓内科部長の木村公則氏らは、C型肝硬変のモデルマウスなどで線維化改善効果が認められたことなどから、昨年から医師主導治験として、PRI-724の第1相試験を始めた。対象はC型慢性肝炎から肝硬変に進展した患者のうち、肝硬変の程度を示すChild‐Pugh分類でグレードAとグレードBの18人。第1相は用量漸増試験であり、既に最低用量での投与を終了し、「重篤な有害事象は認められず、安全性が確認された」(木村氏)。

ステージB患者の肝予備能を改善し抗ウイルス薬投与を可能に
 今後、第三者委員会が最低用量での有効性についても評価を行う予定だ。木村氏は、「PRI-724により、ウイルス排除後のステージA
の患者の線維化を改善できれば、発癌リスクを下げることにつながる可能性がある。また、ステージBの患者の肝予備能を改善し、ステージAに移行させられれば、抗ウイルス薬の投与対象となる」と話しており、PRI-724とDAAsを組み合わせることで、ウイルス排除と発癌リスクの低減を達成することが期待される。

 もう1つが、日東電工が札幌医科大学特任教授の新津洋司郎氏と共同で、肝硬変を対象に開発している核酸医薬、ND-L02-s0201(開発番号)だ。ND-L02-s0201は、HSP47遺伝子の発現を抑制するsiRNAを含むビタミンA提示型リポソーム製剤であり、リポソーム製剤に提示されたビタミンAがレチノール結合蛋白質(RBP)に結合した後、肝硬変で活性化している星細胞上のRBP受容体に結合。星細胞特異的に取り込まれ、siRNAにより、コラーゲンの合成過程に必要なシャペロン蛋白質であるHSP47の発現が抑制され、コラーゲンの合成・分泌が抑制されるというメカニズムを有する。

 これまでは欧米で開発が先行していたが、今月にも国内で安全性を確認するための第1b相試験がスタートする。対象は、B型肝炎やC型肝炎、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)などを有するF3またはF4で、代償性肝硬変の患者9人。治験の実施施設である北海道大学医学研究科内科学講座・消化器内科学分野教授の坂本直哉氏は、肝硬変が、星細胞によるコラーゲンの合成が活発化し、コラゲナーゼによる分解が追い付かない状態だとした上で、「ND-L02-s0201により、コラーゲンの産生が抑えられれば、分解系が相対的に高まり、沈着しているコラーゲンまで分解されるのではないかと期待している」と話している。
 振り返ってみると、C型慢性肝炎のDAAsの開発は、海外の製薬企業の独壇場だった。近年は、医薬品や医療機器の輸入超過を指摘する声も年々大きくなっている。それだけに、こうした日本発の大型新薬候補の実用化に掛かる期待は大きい。

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4 コメント

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Unknown (miya)
2015-06-27 23:37:10
先生、こんばんは~。
この記事は私も読んでいましたが、PRI-724は今のところ、ウイルス未排除の患者が対象の治験のようですが、ステージAでは、排除後の患者も視野に入れていると書いてありますね。Bのかたが早く使えてウイルス消せる治療につなげて欲しいですね。
この治験、肝生検2回行うので、ちょっと引きますが、
http://www.cick.jp/kanzounaika/ishishudou/

ps. 大阪、和歌山、お疲れさまでした。
そうなんですよねえ (Kawanishi)
2015-06-28 03:54:27
miyaさん こんにちは
この手の治験は肝生検が必要なんですよね。そういう意味では、協力できる患者さん少ないかも知れないんだけど、より確実な診断を背景にしているってのは、安心でもあります。
北大でND-L02-s0201を行ったときの話を聞いていて効果はすごいと思いました。まだ詳しくかけないけど。。。
駒込のページ教えて頂いてありがとうございますー。

大阪和歌山お仲間さんに会えて良かったですー。いつもありがとうございます。
C型肝炎~肝硬変 (hiro)
2016-09-22 09:51:47
現在49歳男性ですが20年前からC型肝炎です。薬は時々服用していますが数値は下がりません、この頃背中の痛みと胸のみぞうちの痛みがあります。やはり肝硬変なのでは?と思いどのような病院でどの科に行けばいいのか教えて下さい!奈良県なのですが何処がいいのですか?
ひろさんへ (Kawanishi)
2016-09-22 13:46:52
受診するかを迷う場合は、まずかかりつけの開業医さんか、近くの内科に受診して相談するのをお勧めします。専門医にかかることをすすめてない場合は、自分で専門医にかかれるところを探す必要がありますが、その際は、肝炎相談窓口が各自治体の拠点病院にありますのでそちらを保健所等に問い合わせてみるといいと思います。

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