【ネタバレらしきものもある・・・のか?】
この映画のストーリーは、奪還サスペンスというジャンルの枠から一歩も外に出ていない。
2発のミサイルのうち1発が無くなった。
やべー!はやく見つけないと!という話。
ただそれだけ。
それでも、おれは最後まで画面に釘付けになっていた。
映画のおもしろさはストーリーでは決まらない。
より正確には、ジャンルの約束ごとという表面はフリでしかない。
『シリアナ』が観客の目と心を奪うのは、表面のストーリーであったり決まりきったメッセージなどではなく、その背景で起こっていることによる。
冒頭、ジョージ・クルーニー諜報員(デブ気味&ヒゲ)が建物から出てくる。
次の瞬間、駐まっていた車が豪快に爆発する。
だが、その爆発はあくまで背景の出来事としてしか映されない。
「そう、これだよこれ!」と唸った。
露骨なクローズアップやウザイ強調など邪魔なだけである。
映画は、画面内に映る複数の物体(人間の体も含む)の間で何が起こっているのかを描けば、それだけで必要十分におもしろい。
『ミュンヘン』のようなアブノーマルな映画とは違う。
『シリアナ』はジャンル映画の基本を忠実に踏襲した、これぞアメリカ映画という傑作である。
ただ今書いたことは実は嘘で(おい!)、この映画がどんなジャンルなのかは中盤までまるで分からない。
おれも前半話がさっぱり分からなかったが、今回ばかりは「おれがバカだから」ではない。
途中まで話が全然分からないようになっているんだもの。
え?そんなのダメ映画じゃないかって?
いやいや、話を伝えようとして伝えられないならダメだが、『シリアナ』の場合最初から伝える気がないからいいのだ。
え?余計にダメだって?
そんなことは全然ない。
なぜなら、これは『宇宙戦争』もビックリの出来事映画なのだから。
ひたすらに断片的な出来事が羅列される作劇たるや、もう分かりにくいとか大人向けとかいう次元を超越して清々しい。
何よりも、画がめっさ充実している。
だからおれは中盤まで、ずっと画ばっかり追いかけていた。
映画は画面を観るものである、当たり前だが。
いい顔の役者が豪勢に登場し、彼らがいちいち見応えあるイベントに絡んでいく。
もうそれだけで至福。
そして優れた映画は、画面に触れているだけで自然とストーリーが頭に入ってくるものだ。
実際、後半になるとちゃんと話も分かった(大体は)。
これが普通の映画というものではないだろうか?
初めからストーリーを追うから分からなくなるのである。
なにも難しいことはない。
仮に話が分からなくても「おもしろかった」で済まされる・・・それも嘘かな。
おもしろい映画は人の好奇心を刺激するので、もっともっと知りたくなるだろう。
例えば『シリアナ』について知りたいと思うことは、世界のことを知りたいという欲求に直結する。
おもしろいとは、そういうことだ。
映画は、自分の世界に引きこもるための道具ではない。
そう言えば、ふたりの若者がある高徳な指導者に近づき、ふたりのうち一方が「こいつ、童貞なんですよ」と話しかけるシーンがある。
当然からかい半分なんだが、指導者に「うむ、それは素晴らしい」と予想を裏切る返答をされたその若者は「いや、実はおれも童貞なんですよ」とアドリブで切り返す。
唐突にこういうギャグを入れてくるところが愛嬌いっぱいで大変よろしい(しかもこの3人はその後深刻な運命を辿るので、ちょっとした伏線にもなっている)。
フツーにウケてしまったのだが、場内で笑っているのはおれだけだった。
どうしてこういう人類共通のギャグに反応しないでいられるのか、とても不思議である。
みんな、映画をどんな風に観ているのだろう?
業務報告
●「シリアナ」というのは、ある仮想国家の名称らしい。
興味がある人は各自調べてください。
ちなみに、劇中ではこの言葉は一度も出てきませんので。
●なんか、こういうのばっか誉めると社会派映画好きみたいに思われちゃいそうだけど、最近「楽しい傑作」ってほっとんどないんだもん。
おれが好きなのは「楽しいもの、怖いもの、カッチョイイもの、エロいもの」と昔から一貫している。
どうして「楽しい映画」を作ると凡作になってしまうのだろうか?
ヤな時代である。
●この日映画館は『ナルニア』目当ての家族連れでえらいことになっていた。
ウゼー!
いつも5分でチケット買えるのに30分もかかっちゃったじゃねーか!
しかも「しりあなください」と言ったら「え?そんなの観るの?」みたいな目で見られるし。
ほっとけ!
この映画のストーリーは、奪還サスペンスというジャンルの枠から一歩も外に出ていない。
2発のミサイルのうち1発が無くなった。
やべー!はやく見つけないと!という話。
ただそれだけ。
それでも、おれは最後まで画面に釘付けになっていた。
映画のおもしろさはストーリーでは決まらない。
より正確には、ジャンルの約束ごとという表面はフリでしかない。
『シリアナ』が観客の目と心を奪うのは、表面のストーリーであったり決まりきったメッセージなどではなく、その背景で起こっていることによる。
冒頭、ジョージ・クルーニー諜報員(デブ気味&ヒゲ)が建物から出てくる。
次の瞬間、駐まっていた車が豪快に爆発する。
だが、その爆発はあくまで背景の出来事としてしか映されない。
「そう、これだよこれ!」と唸った。
露骨なクローズアップやウザイ強調など邪魔なだけである。
映画は、画面内に映る複数の物体(人間の体も含む)の間で何が起こっているのかを描けば、それだけで必要十分におもしろい。
『ミュンヘン』のようなアブノーマルな映画とは違う。
『シリアナ』はジャンル映画の基本を忠実に踏襲した、これぞアメリカ映画という傑作である。
ただ今書いたことは実は嘘で(おい!)、この映画がどんなジャンルなのかは中盤までまるで分からない。
おれも前半話がさっぱり分からなかったが、今回ばかりは「おれがバカだから」ではない。
途中まで話が全然分からないようになっているんだもの。
え?そんなのダメ映画じゃないかって?
いやいや、話を伝えようとして伝えられないならダメだが、『シリアナ』の場合最初から伝える気がないからいいのだ。
え?余計にダメだって?
そんなことは全然ない。
なぜなら、これは『宇宙戦争』もビックリの出来事映画なのだから。
ひたすらに断片的な出来事が羅列される作劇たるや、もう分かりにくいとか大人向けとかいう次元を超越して清々しい。
何よりも、画がめっさ充実している。
だからおれは中盤まで、ずっと画ばっかり追いかけていた。
映画は画面を観るものである、当たり前だが。
いい顔の役者が豪勢に登場し、彼らがいちいち見応えあるイベントに絡んでいく。
もうそれだけで至福。
そして優れた映画は、画面に触れているだけで自然とストーリーが頭に入ってくるものだ。
実際、後半になるとちゃんと話も分かった(大体は)。
これが普通の映画というものではないだろうか?
初めからストーリーを追うから分からなくなるのである。
なにも難しいことはない。
仮に話が分からなくても「おもしろかった」で済まされる・・・それも嘘かな。
おもしろい映画は人の好奇心を刺激するので、もっともっと知りたくなるだろう。
例えば『シリアナ』について知りたいと思うことは、世界のことを知りたいという欲求に直結する。
おもしろいとは、そういうことだ。
映画は、自分の世界に引きこもるための道具ではない。
そう言えば、ふたりの若者がある高徳な指導者に近づき、ふたりのうち一方が「こいつ、童貞なんですよ」と話しかけるシーンがある。
当然からかい半分なんだが、指導者に「うむ、それは素晴らしい」と予想を裏切る返答をされたその若者は「いや、実はおれも童貞なんですよ」とアドリブで切り返す。
唐突にこういうギャグを入れてくるところが愛嬌いっぱいで大変よろしい(しかもこの3人はその後深刻な運命を辿るので、ちょっとした伏線にもなっている)。
フツーにウケてしまったのだが、場内で笑っているのはおれだけだった。
どうしてこういう人類共通のギャグに反応しないでいられるのか、とても不思議である。
みんな、映画をどんな風に観ているのだろう?
業務報告
●「シリアナ」というのは、ある仮想国家の名称らしい。
興味がある人は各自調べてください。
ちなみに、劇中ではこの言葉は一度も出てきませんので。
●なんか、こういうのばっか誉めると社会派映画好きみたいに思われちゃいそうだけど、最近「楽しい傑作」ってほっとんどないんだもん。
おれが好きなのは「楽しいもの、怖いもの、カッチョイイもの、エロいもの」と昔から一貫している。
どうして「楽しい映画」を作ると凡作になってしまうのだろうか?
ヤな時代である。
●この日映画館は『ナルニア』目当ての家族連れでえらいことになっていた。
ウゼー!
いつも5分でチケット買えるのに30分もかかっちゃったじゃねーか!
しかも「しりあなください」と言ったら「え?そんなの観るの?」みたいな目で見られるし。
ほっとけ!
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そうそう、整理してみたら、
>2発のミサイルのうち1発が無くなった
これで最後まで引っ張っているんですよね。
途中まではさっぱり分からなかった4つのストーリーの結びつきが、急に分かりだしたと思ったら怒涛の結末に突入でした。
もう一度見ればもうちょっと分かると思うのだけど、気力が・・・・(笑)
つまり、実際に世界で起こっていることも実はシンプルなんだというのがテーマになってるんだと思います。
そして、ミサイル絡みというのが何よりツボでした。笑
言われているほど重い映画でもなく、むしろロボもののアニメとか?そっち系の魅力を感じましたよ。
何がなんだかさっぱり分からない、辛い時間を随分過ごしました。が、私も最後にはなんとか。。分かったような。。分かったつもりのような。。
でも嫌いじゃないです、こういうの。
まあ、話は分からない映画だと思います。
映画に物語性を求めている人にはツライだろうなとは思いましたが、終盤分かりやすいのが救いですね。
個人的には『トラフィック』よりこっちの方がはるかにおもしろかったのですが、逆の意見の人が多いようで・・・
そうそう、この映画、近所のシネコンで観たのですが、やけに混んでるんですよね。何かと思ったら『ナルニア』だったんですね。
客層が全然違うし、シリアナ派は圧倒的に少ないし、何か変な気分でした・・・。
ブログ読ませてもらいましたが、kenさんもまずまず楽しまれたようで。
時期的に劇場で観た人は少ないかと思いますが、いい意味で何回か観たくなる映画でした。
知る限り、今まで一番映画館が混んでたのは『スターウォーズエピ1』の先行上映です。
あれはマジで異常でしたよ。
内容が似てることもあって、『ナルニア』も混み混み&賛否両論みたいですねえ。
他にもたくさん観てるんだけど・・・・書く時間ないです。
だいたいいつも電車の中で携帯に打ってるから・・・
訳あってC○A物はほとんど観てます。
G・クルーニー好きだってのもあるけど、今見られるべき映画だとも思った。
観た直後ならまだしも、後で書こうとすると大変。
Shoomyさんもかなり新作観てるみたいで。 『シリアナ』は、現代的な題材を伝統的なアメリカ映画のアレンジとしてうまく処理してるなあと感心しました。
映画はやはり、観ているときにその表\面をどう感じたかが大事ですよね。
おもしろいならなぜおもしろいのか、つまらないならなぜつまらないのか。
そこからしか映画を考えることはできない気がします。
その基本を見つめ直すことができました。