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マンツーマン、オシムJAPAN。 マークの受け渡しの問題

2007年02月02日 | 日本代表 (オシムJAPAN)
■ ガーナ戦:日本代表〔3-4-3〕

昨年 10 月に対戦したガーナはダイヤモンド型の4-4-2で、日本は3-4-3で対応した。トップ下を鈴木啓太がマークし、左右のMFには三都主と駒野が対応、ボランチには遠藤が対峙する形。相手の4バックには佐藤寿人、巻、山岸をぶつけた。形の上では、これが最もズレが少ない。

引用元:World Soccer Plus -
マッチアップと守備のできるFW text by 西部 謙司

◆ガーナの中盤について
 西部氏の記事に関して、(よく揚げ足取る人がいますが、好きでないです)・・・ガーナの中盤は、ダイヤモンド型ではなくボックス型が初期状態だったと思います。(参考
一応、西部氏のコラムのベースは、“日本が守備(マンツーマン)に回った時”を前提に書いていると解釈して進めていきます。

ガーナの攻撃時は、〔4-4-2(ダイヤモンド型)〕になります。
エッシェンかアッピアーが攻撃的にシフトするということです。
(もう一度ビデオ見ないと分からないですが、多分、エッシェンの方が前掛かりだったような・・・)

(左図参照)西部氏の書いている内容を図解にしてみました。
日本の守備は、マンツーマンでしたのでガーナのFWに対してDF陣は阿部をリベロ的に残していますし、MF陣もマンツーマンです。そして、FW陣の特徴は、ガーナのSBに対して、山岸と佐藤寿人をぶつけサイドバックの攻撃参加をケアさせる狙いです。そこで、西部氏の指摘の部分になります。

◆根本的な問題は、日本のDF陣の守備力
ところが、ガーナのMFの左右を務める選手はサイドに張っているわけではなく、どんどん流れの中でポジションを変えていく。三都主と駒野が中へ引っ張られるケースが多くなり、空いたサイドにはサイドバックが出てきた。ウイングポジションの山岸と佐藤は下がらなければならない。マルチタイプの山岸はともかく、相手ゴール前が本領の佐藤にとっては負担が大きかったかもしれない。

日本は、マンツーマンを採用しているので、西部氏の指摘している『佐藤にとっては負担が大きい』というのは、いたしかたありません。仮に、ガーナのSBの攻撃に対して佐藤がマンツーマンで付いて行かなければ、日本の右サイドはガーナに制圧されてしまいます。

そうなると次に、駒野がガーナの左SBのマークに行かざるを得ません。
すると今度は、駒野がマークしていたガーナの左MFを今野か鈴木がケアしなければなりません。最終ラインには阿部が一人残っているので単純に考えれば数的不利な状況は発生しませんけど・・・

しかし、この佐藤の守備範囲?に関しては、ゾーンディフェンスの場合でもあり得ます。
例えば、オランダ代表に象徴される3トップ(2ウィング)の場合、ウィングの選手は、ハーフウェイ・ライン周辺までが自分の守備のゾーンとなります。勿論、状況次第ではありますが。この辺については、また機会があれば書きます。(いつもみたいに長くなりそうなんで・苦笑)

◆根本的な問題は、日本のDF陣の守備力
オシム監督は、日本のDF陣の能力が世界基準と比較した際に劣ると考えているようです。
つまり、欧州リーグ等では普通ですが(相手チームの)2FWに対して4DF(2バック)の形では、日本のDF陣は対応出来ないということです。

このDF陣の守備能力の問題を解決する為に、オシムJAPNでは明確にいわゆるリベロ的にDFを1枚残す方法を採用しています。
・相手FWが2枚=日本DFが3枚
・相手FWが1、3枚=日本DF4枚
ちなみに、ジーコJAPANの時の3バック、4バックの使い分けの基本的な考え方は、中盤の構成に依存していました。オシムJAPANとは、根本的な発想が違います。

このリベロ的な役割がガーナ戦では阿部、サウジ戦では闘莉王でした。
これによってカバーリングが出来る選手が一人残る為、DFラインでのリスクが軽減するということです。

※ コラム内にある[4-4-2]の類型に関しては、こちらを参照下さい

■ サウジアラビア戦:日本代表〔3-5-2〕
◆日本代表が[3-4-3]だったら・・・
 11 月に対戦したサウジアラビアはボックス型の4-4-2だった。マークの受け渡しが必要になるフォーメーションである。ガーナ戦のように3-4-3にすれば、形の上でズレは最少になるが、そうなるとMF4人の構成が難しい。サイドにいる相手の攻撃的MFをマークするために守備的な選手を起用するとして、中央の2人も守備的な選手では、あまりにも守備に傾きすぎてしまう。相手のボランチ2人に攻撃型2人をぶつけると、中盤の真ん中が空いてしまう。


(上左図参照) 西部氏のコラムの中での内容を図解にしました。仮に日本が[3-4-3]だった場合・・・(この試合のメンバーで[3-4-3]と考え)

ガーナ戦同様に相手(サウジ)のSBにFWをウィング的にポジション配置させることによってサイドからの攻撃のケアが出来ます。しかし、今度はサウジの中央の守備的MF2枚へのマークの問題が発生します。日本の中央MF2枚(鈴木、中村)が前からマンツーマンにいった場合、バイタルエリアががっつり空いてしまいます。マンツーマンですので相手選手を捉えている分には問題はありませんが、もし、個人の能力の差(ミスマッチ)が生じた場合には、一気に劣勢になり兼ねません。そこで・・・

◆日本代表は[3-5-2]を採用
このときの日本は3-5-2。
バイタルエリアに鈴木を置き、相手のボランチ2枚には三都主と中村憲剛というマッチアップ、相手の攻撃的MFには加地と駒野がマークした(相手に加地と駒野をマークさせるという意図も含まれていた)。日本のFW2人に対してサウジアラビアは4人のDFがいるので、前線から完全にフタをすることは無理だ。

(上中央図参照) 「前線から完全にフタをすることは無理だ。」というのは、サウジの両SBへのマークを3トップの時のように出来ないという意味です。

◆マークの受け渡しの問題・・・
そこで、相手のサイドバックが上がってきたら、MFの1人が自分のマークを捨てて対応し、捨てたマークをフリーマンの鈴木が拾うやり方になる。

ただし、この方法だとプレッシングをかける位置が低めになりがちだ。高めからいくには、FWが頑張ってサイドバックを追い込む必要がある。もしそれができれば、日本の中盤は1人(鈴木)が余っているから守備は厚い。

(上右図参照) 実は、このマークの受け渡しの部分って結構重要な要素だと思うのです。マンツーマンに限らずゾーンディフェンスの場合でも起こり得ることなのですけどね。さすがに長くなったので、今回は割愛しましたが、マークの受け渡しでのミスなど、これまでの7試合で、失点に直結しそうな局面は幾つかありました。この辺がアジアカップでの日本代表の守備面の課題(問題)になりそうな予感はします。

また、リベロ的に闘莉王を配置するのも鈴木をボランチとして1枚余らす事もカバーリング---保険のようなものです。ミスマッチによって交わされたり、付ききれなかったケースを想定してのものだと思うのです。あと、以前も書いたのですが、中央の守備ブロックを強固にするという発想は、現代サッカーでは当然のことです。

最後まで読んで下さって、ありがとうございます。
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最後に、西部氏の言っている『ただし、この方法だとプレッシングをかける位置が低めになりがちだ。高めからいくには、FWが頑張ってサイドバックを追い込む必要がある。』
以前、オシム監督が不調の巻を使い続ける理由を記者に質問されて答えた内容が以下の引用部分です。
攻撃は最大の防御である。逆に、最大の防御は攻撃の中にある。巻はその点で実践している。つまり、攻撃の先頭の選手でありながらディフェンスもする。攻撃の能力という点で問題がないわけではない。しかし巻が果たす役割は、汚れ役だ。大事な役割を果たしていることを忘れてならない。相手のゴールとハーフウエーラインの間を走り回り、時にはスライディングタックルまでする。そういうFWがほかにいるだろうか? エネルギーを使っているし、非常に消耗するわけだ。消耗する中で、ボールをもらったときに、もっと集中力があれば、もっといいパフォーマンスができるだろう。

引用元:スボナビ - サウジアラビア戦後 オシム監督会見



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お久しぶりです (CSKA352)
2007-02-03 00:10:51
最終ラインと中盤で人を余らせる方法はよく見ますね。浦和とかインテル・ナシオナルとか・・・
誰と誰が受け渡すかが決まっているマンマークでなく、ポジションが決まっていてそこで受け渡すゾーンDFですが。
強力な攻撃タレントがいるなら守備的ですが、効果的です。
こうした人数を掛けない攻撃ができるのであれば日本もW杯でもっと点を取れたでしょう。久保・・・?

日本のよさであるコンビネーションでの崩しを行うには、余っている後列からの攻撃参加と攻守に運動量をかけることが必要なのでしょう。
後半しか見てませんがサウジ戦ではアレックス(山岸)と巻(羽生)は二人分の守備運動をしていたように感じました。鈴木や加地のために。

FWのDFに関しては前線からのプレスも必要ですが
アーセナルのアンリなどのように下がってきて守備をするとコンパクトになって流動性も出るので面白いとおもいます。
でも自陣で耐えるサッカーより、相手より走ってボールを奪い
次々とパスを出しながら時間をかけて崩していく方が日本らしいですかね?

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バイタルエリア (CSKA352)
2007-02-03 02:26:39
リベロが阿部、闘莉王なので彼らがこの前のスペースをどう使うかですね。
ここをボランチに任せてスウィーパーとして後ろをカバーするのが守備重視。
ここでタイミングよくリベロが攻撃参加するのが、積極的な守備。ストッパーの対応によってはオフサイドも取れるでしょうがその辺はどうなっているのでしょう。
二列目の攻撃に対する受け渡しもあるのでここでの守備は重要です。

攻撃に対しては、サイド偏重のイメージがあります。
攻撃渋滞の原因かもしれません。
センターが上がってバイタルエリアを開けるより、逆サイドがゴール前に入ってくる方がよいのでしょう。
ドイツW杯アルゼンチンのマクシ・ロドリゲスやカンビアッソのようなゴールがさんこうになるといいですね。
返信する
コメントのお返事 (コージ)
2007-02-04 00:43:04
CSKA352さん

お久し振りですm(__)m

>余っている後列からの攻撃参加と攻守に運動量をかけることが必要なのでしょう。

>リベロが阿部、闘莉王なので彼らがこの前のスペースをどう使うかですね。

この2点に関しては、同じ次元の話だと解釈させてもらうと、闘莉王のオーバーラップも、ボランチに入った選手(鈴木)の攻撃参加もあえてフリーマンを作っておくことにより、守備→攻撃の幅を持たせることが出来るかなぁ~って思います。おっしゃる通り、積極的な守備をすればかなり効果的だし面白いサッカーになると思いますね。

あと、今後は、遅攻と速攻の使い分けも大きなポイントかもしれませんね。

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