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カタール戦、攻守の問題点 【詳細分析】

2007年07月10日 | アジアカップ2007
■ 勝ち点1の原因を考える

この試合後、色々なブログや記事を読むと、「まだまだこれから」という人と「悲観的な人」と二分されているように思えます。
この試合は、1-1のドローで勝ち点1でした。しかし、勝てた試合(勝ち点3)を取れた試合だと皆さんが思っていたので、上記のような意見が出ているのだと思うのです。

では、この試合の問題点は何だったのでしょうか?理想は『 追加点を取りつつも失点0に抑える。すなわち勝ち点3をゲットする』だったと思います。ところが、願いは叶わなかった。その原因は、2つ。
 ・追加点を奪えなかった。(1得点しか挙げられなかった)
 ・FKを与え、失点をしてしまった。(さらに、時間帯が最悪だった)


つまり、この2つの原因のうちどちらかがクリア出来ていれば、理想に近い形で試合が終わった。少なくとも、一番重要な勝ち点3を得る事が出来たというわけです。
この試合を観ていて、3つの大きな要素に分けて考えることが出来ます。上記2の原因・・・「攻撃面」と「守備面」そして、「精神面」です。これら3つについて私なりの切り口で進めてみました。

■ 攻撃面、2つの問題

昨夜の試合直後の記事『日本vsカタール / オシム、キレる』でも書いた内容ですが・・・
 ・ボールホルダーがパスの出しどころを探すシーン
 ・1トップ[4-2-3-1]とプレーヤーの問題

簡単に分ければ、この2つが攻撃面での問題。翻って考えれば「追加点を奪えなかった。(1得点しか挙げられなかった)」ことの原因だと思うのです。
◆ ボールホルダーがパスの出しどころを探すシーン
パスの出しどころを探すシーンに関しては、チームとしての連動性・意識の共有性などありますので、徐々に改善されていくと思われます。ただ、失点の前にもこの辺の問題が隠れていたりと、チームとして選手間での意見のぶつけ合い、すり合わせが必要だと思われます。とりあえず、長くなるので今回は割愛させていただきます。

◆ 1トップ[4-2-3-1]とプレーヤーの問題
昨日のコメントで、新右衛門さんがちらっと書いてくれていましたが、今回のカタール戦に限らず、オシムJAPANで[4-2-3-1]を用いる時に重要なのは、「3」の部分に配置された選手(山岸、遠藤、中村俊輔)だと思うのです。

1トップの場合、2FWのように「起点、崩し、コンビネーション」など、相手DF中央から崩すという方法は難しいのです。しかし、昨日の高原は非常にクレバーなプレーをしていました。(さらに、ゴールを決めるたことはFWとして最高の評価)そうなると必然的にサイドを使わざるを得ない。しかし、山岸も中村俊輔もウィンガータイプの選手のように、自ら突破というのはプレースタイルとして持ちえていません。
 
一応、誤解のないように書いておきますが、オシムJAPANにおける両サイドは、初めからウィンガータイプのプレーを求めているのではなく、中村俊輔であれば、それこそセルティックのプレーと同じでサイドで攻撃の起点となる役割。山岸であれば、相手右SBとの駆け引きで裏のスペースを狙う動きを要求しています。

そうなると遠藤は、もっとセカンドトップのようにゴール前に顔を出すべきでしょうし、自ら積極的にゴールを狙いにいかないとダメだと思いますね。仮に松井なんかいれば、左サイドやらせて、羽生を「3」の真ん中で使えば運動量も豊富ですし、それこそ昔の森島のような動きで得点に絡むことが出来ると思うのですが・・・但し、スキルを上げないとチャンス潰しまくりになりかねませんけど(苦笑)

最後に重要なのは、両SBとの関係性です。今回であれば「俊輔+加地」と「山岸
+今野」。この2ペアでサイドで相手より優位に立たなければなりません。サイドは、攻撃時は2人で崩し、守備時は2人で防ぐ。そういうプレーがもっと欲しかった。

昨日の試合に関しては、この辺のシステム的な問題が上手く行っていた時間が少なかった。ボールポッゼッション率が高く、カタールもズル引きで来ていたので、どうしてもスペースを見つけて飛び出したりというのが難しかった。しかし、その中でも光明がありました。前述した高原のクレバーな動きやゴールが決まった時間帯が良かった理由を次に説明します。

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◆ ギャップを使う
まず、次の4つの画像をご覧下さい。
 ゴール直前、今野のクロスへ至る動き
 モンテネグロ戦
前線などの大きなスペースではなく、ポジションのズレに生じたスペース(ギャップ)を上手く使ったシーンの例です。
高原がクレバーなプレーをしていた理由です。何度か前線から中盤まで引いてボールに触れたり、ドリブルを仕掛けてみたり、スペースのない局面で、縦の深さを作り出そうとしていました。

(左上画像)---こちらは、羽生がおもいっきりオフサイドになったシーンですが、これも高原が引いてドリブルで仕掛けCBがアタックに来た時に生まれたギャップを羽生に使わせたシーンです。

(右上画像)---こちらは、今野がクロスを上げる直前の形です。カタールの右SBが釣り出されて、そこを今野が狙ったシーンです。

(左下画像)---こちらは、今野のシーンと同様にカタールDF陣のポジションのズレです。多分、DFは山岸に気づいてない。しかし、ゴールを外す山岸(苦笑)

(右下画像)---こちらは、以前キリンカップのモンテネグロ戦でも、矢野とのコンビネーションで高原がこのギャップを使いオフサイドになったシーンです。

相手がズル引きの状態でスペースがなくてもFWの上下の動きなどによりスペース(ギャップ)を作り出すことが出来ます。やっぱりその為には「縦パス」が重要だったりします。そして、そのギャップをチームとして意識の共有・連動性がないと高原の動きも結果的に意味をなさなくなります。

◆ シュートへの意識
それでは、次に攻撃で気になった悪いシーンを・・・2つほど。
これは、ギャップというよりもカタールのDFラインと中盤の間に広大なスペースが生まれたシーンです。カタールは失点後、積極的に前からプレスを掛けてきました。ところが、それによってDFラインと中盤の間に、“ついに”スペースが生まれ出しました。日本にとっては、願ったり叶ったりで、ぜひとも使わない手はない。

(左アニメーションgif)これは、遠藤がボールを受け、同じエリアに俊輔もいるシーンです。ここは、シュートに行って欲しかった。G大阪だと打ってるんじゃないですかね?しかし、近くに仲良しの俊輔クンがいたのでパスを出しちゃいました。多分、俊輔は遠藤が打つと思っていたはずです。

改めて見ると高原もスペースで欲しがっている感じもしなくもないですが、カタールDFがそこは読んでいてスペースを消しています。やはり、遠藤はフィニッシュすべきでしょうね。結局、パスされた中村俊輔もどうしたらよいか分からず、不用意なバックパスを出し奪われてしまいました。



◆ W中村、意識の違い
   
こちらはさらに象徴的なシーンでした。上記の遠藤のシーンと同様にスペースが、いわゆるバイタルエリアに存在しています。ここでのポイントは2つ。

 ・中村俊輔がスペース発見!!央に絞ってDF陣の前でボールを受けたい。
 ・さらに、(名前入れ忘れたが)高原もそれに気づいてあえて、引かずにDFを背負っている。

しかし、中村憲剛は、このスペースを見つけられなかったのか、パスコースがなかったのか、理由は分からないが右サイドへ展開。一人たたずむ中村俊輔(笑)

極端な言い方をすれば、W中村の能力・経験の違いが顕著に現れています。多分、俊輔にすればこれくらいのスペースあればなんとか出来るスキルがあり、ボール貰ってシュートかスルーパスのイメージまであたと思うんですよね。しかし、ボールは通り過ぎて行った・・・この辺は、もっと選手間でプレーのすり合わせが必要でしょうね。仮に、出し手が「相手のDFいるから危険」と感じていても、受け手が「これくらだったら大丈夫なのに・・・」と思っていたら、意識のズレが生じていることになります。皮肉なことに、欧州組同士は、このシーンで意識の共有はあったと思います。

■ 失点にいたる過程

◆ 小さなミスの結晶
阿部のファウルになった対応が問題といっている人も多いですが、まぁあのプレーだけを拾い上げて見れば、ちと軽いプレーだったかもしれません。しかし、チームとして守備の大きな問題はなかったと思うのです。闘莉王、水本の離脱など手薄のDF陣の中で中澤・阿部はそつなくこなしたと思います。むしろこの時間帯におけるチームとしての守備の意識に問題があるような気がします。

 1.DF陣と中盤の底でボールを回しているが、パスコースがなく川口までボールが戻る。中村俊輔、羽生などが一度引いてチームとして守備ブロックを形成するなどして、中途半端に間延びした状態を落ち着かせるべきだった。

 2.橋本のプレスは、実際には微妙な判断。出たなら潰さないと。また、CBが1トップの状態で並んでいる。マーカーとカバー役がルーズだった。この辺はさんざんマンツーマンを徹底していたのに・・・(この局面では、ゾーンもマンツーマンも同様の発想)

 3.PKの壁がルーズ過ぎる。相手選手が3~4人壁に入っているし・・・ここは川口の指示がなかったのか?あまりにも初歩的なミス。

つまり、失点したこの時間帯に小さなミスが存在していた。ボランチの問題は、実は以前にもちょこっとあって、随分以前から書いてます。(アジアカップ予選-サウジ戦(ホーム) 、 コロンビア戦-KIRIN CUP)この辺は選手達は分かっているはずです(多分)。だから、もう少しDFとボランチの連携については、様子を見るつもりです。

■ 精神面

◆ ドイツW杯と同じ轍を踏む、古井戸組
見かたによっては、昨年のドイツW杯のオーストラリア戦と同じような試合展開。逆転されなかったのは、カタールが当時のオーストラリアより弱かった、カタールの監督にヒディンクのような策がなかったからに過ぎません。
あの時のメンバーが結構この試合に出ていたのにも関わらず、防げなかった事実は、相当問題で、オシム監督が激怒する理由もわからなくもないです。
 ■ カタール戦後 選手コメント(なぜか、ドイツ経験者ばかり・笑)

ただ、そんなオシム監督の采配に2つ疑問があり。
 ・2トップという選択をなぜしなかったのか?(難しい部分ですけどね)
 ・交代枠1人を残した理由(橋本のように、あの流れに突然入れられるのは大変ですけど、FW変えるとかありだったような)


しかし、試合の内容もそれほど悪いと思いませんし、この気象条件の元、他に観た2試合に比べると日本選手の動きは少し勝っていた印象があります。あとは、次のUAE戦は今回とは違ったプレッシャーの中で戦う事になると思うので、選手、監督、スタッフ一丸となって勝利に向かって頑張って欲しいものです。時間があれば、先日の「ベトナムvsUAE」の記事をUPする予定です。
最後まで読んで下さって、ありがとうございます。
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  ・第1回 アンケート結果 / アジアカップの結果による オシム監督の去就を考える
 【アジアカップのテーマ】
 ・第1回 考えて走るサッカー
 ・第2回 ポリバレントとスペシャリスト
 ・第3回 欧州組と古井戸組
 ・第4回 オシムの采配

 ・オシムJAPANの「最終目標」は?




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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (yohan)
2007-07-10 20:41:47
4-2-3-1をやるとなるとやっぱ3の真ん中がポイントですね。

ジーコのときも韓国戦で久保の1トップに大久保が下り目でやろうとしましたね。退場しちゃったけどww

運動量があってパスも出せてFWもできる。う~ん、太田ですか~。


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コメントのお返事 (コージ)
2007-07-10 23:13:25
yohanさん

こんばんは。
おっしゃる通り「3」の真ん中はとても重要です。
極端な話、MFよりFW的なスキルを持っている選手の方がいいでしょうね。
私も太田は、以前から買っていたので、ぜひ、観てみたいです。サイドで使いつつ央にも意識させれば、良いと思いますね。
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Unknown (九州っこ)
2007-07-11 08:42:33
4-2-3-1の3に快速ドリブラーとSTを兼ね備えた選手がいないとパサーばかりでは機能したとはいえないですね
日本はドリブラーを試合の中で育てないと駄目ですね
相手FKでの壁の作り方はミスでしょうね
返信する
Unknown (新右衛門)
2007-07-11 11:55:55
コージさん、こんにちは。
わざわざ名前を挙げて頂いて光栄です。ありがとうございます。
1名の交代枠を残したことについては、私は仕方なかった部分が大きいと思っています。失点のタイミングはあまりにもぎりぎりで、失点後は時間が無さ過ぎたため、オシム監督の脳裏には、一秒でも(交代で)無駄に使いたくなかったという意識が働いたのではないでしょうか。
ただ、失点前に3枚目のカードを切るということならば、俊輔か遠藤を代えて、「2トップにする」もしくは「さらに守備を固める」という手もあったと思います。
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コメントのお返事 (コージ)
2007-07-11 22:06:34
九州っこさん

こんばんは。ドリブルで仕掛けれる選手がいたら
もっと幅広がるでしょうね。ただ、今回のメンバー選考は、後々どれだけ残るのか?
あくまでも進化の過程ではないでしょうかね?
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コメントのお返事 (コージ)
2007-07-11 22:09:11
新右衛門さん

こんばんは。
ご指摘の通り、よく考えれば残り1枠は失点後の流れを考えてかつ残り時間を考えると無駄にしたくなかったんでしょうね。

私は、前半終わった時点で、2トップにしたら面白いんじゃないかな?って思っていました。
羽生、橋本の投入の意図は十分に理解し得ますけどね。
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Unknown (八百屋)
2007-07-13 17:39:16
初めまして、八百屋と申します。
詳細なレポートとご指摘、唸りながら拝見させて頂きました。
個人的には"2点目が取れなかった"というのがこの試合が負けに等しいドローになった最大の理由だと考えています。
結果的に失点に繋がった決定的なFKを与えたのは守備の稚拙さが問題でしたが、あれは蹴った方も上手かったと思います。
攻撃面では、1トップを採用するには下地が乏しすぎるような気がします。じゃあ2トップだと機能するのか?といわれると答えに窮しますが…
後は俊輔を外してみるのも面白いかと思います。セットプレーは魅力ですが、流れの中での彼の存在はあまり大きくないように感じます…
いずれにしてもUAE戦とカタール戦を引き分けら持ち込んだ最終戦の超アウェー状態でのベトナム戦は、今の代表の試金石になると思います。
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コメントのお返事 (コージ)
2007-07-13 18:42:57
八百屋さん

こんばんは、はじめまして。
今夜のUAE戦、どのような布陣で来るか楽しみにしてます。
仮に、1トップでないとしても、前回失敗したとかという理由ではないと思っています。元々、相手チームによってフォーメーションやシステムを変更するのは、オシムJAPANの一つのスタイルみたいなものなのでね。

個人的には、3トップか2トップで、UAEのボランチとサイドバック(特に右SB)に前線からプレス掛けるような形で入るのかな?って思っています。
理由は、UAExベトナムを見た感想によるものです。

それでは、今後もどうぞよろしくお願いします。
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