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日本vsコートジボワール 【キリンカップ2008】

2008年05月25日 | 日本代表 (岡田JAPAN)
■ キリンカップ2008
   日本(1-0)コートジボワール
    ・前半21分 玉田(日本)


この試合の詳細は、ブログランキングにてサポーターの方のエントリーをご覧下さい。


■ コートジボワールのみなさんありがとう

試合の内容については、週末のゴールデンタイムということで観た方も多いと思われるので、超簡単に。

試合は、前半21分、今野から右サイドのスペースへ動き出した長谷部へ展開、長谷部のクロスに玉田がフリーの状態で合わせ、日本が先制。前半20~30分くらいまでは試合はホームの日本のペース。その後、徐々に拮抗して前半終了。
 後半になると、前半の最後の方でチャンスがあったコートジボワールもエンジンが掛かり、後半のほとんどの時間をコートジボワールのペースで試合が進み、結果は1-0と前半に玉田の挙げた1点で勝利。

コートジボワールは、2~3日前にパラグアイ代表と一戦交えた後の日本戦。また、欧州リーグでプレーする選手が多いので、シーズンが終わった時期ということで、疲労はピーク、コンディションも良くなかったと思います。ふと思ったのですが、欧州の代表チームであれば、親善試合やユーロなどでそれなりに観ることは出来るのですが、コートジボワール代表ってドイツW杯の時しか見たことないんですよね。(南米代表だとたま~にW杯予選とか見ることもあるな)

さらに、知らなかったのですが、コートジボワールの代表監督(ハリルホジッチ)は、監督就任2試合目らしいので、まだ監督としてほとんど仕事をしていないんじゃないか、チームとして一つにまとめる作業も戦術も選手選考なども中途半端なんじゃないかと思われます。
つまり、この監督が指揮する元でのコートジボワール代表としての明確な方向性・やり方が浸透していない状態だったのかなと思います。よってピッチ上の選手達は、「それなりに試合をした」って感じがあるかもしれません。放送中の情報では、W杯アフリカ予選が控えているようで、状況としては日本とちょっと似ている。コンディション良くない中、一生懸命試合に取り組んでくれて感謝したいものです。

しかし、岡田監督は、日本人且つこの試合で5試合目となるということで、多少両監督の状況は異なるとは思うのですが。

◆ 注目すべきポイントを2~3
 ・前回のバーレーン戦の「その後」という見かた。
 ・「オレ流宣言」した岡田スタイル。
 ・海外組(松井、長谷部、中村俊輔(あとで合流))

という感じでしょうかね・・・この辺に絡んだ内容について。

■ 普通の日本代表チーム出来上がり

◆ 今のコンセプトを試すのに最高の相手
今回の招集メンバーは、Jリーグで調子の良い選手、監督の求めるタイプの選手を集めたと思うのです。そして、フォーメーションは、オーソドックスな「4-4-2」。その中で、今回、岡田監督が試合前後の会見で口にしていた「今のコンセプトを試すのに最高の相手」という主旨の発言は、コートジボワールのサッカーは、オーソドックスなスタイル(フォーメーションは「4-3-3](1トップぽい))だったと思うのです。その中にエブエのような個の能力が加わる。(今回のコートジボワールは、ベストメンバーではない)さらに、コートジボワールは、アジア3次予選で日本と戦うチームのように守備を固めてワンチャンスで狙うというスタイルではないので、上手く言えませんけど・・・要は、岡田監督としては、結果が求められない大会ということもあり、大学生と練習試合をするよりはテストケースとしては良い相手だったと思っていたはずです。それにベストメンバー・ベストコンディションでなくてもコートジボワールの方が力が上なのは分かっていることですから。

そして、全体的な感想・印象としては、今回の1試合を見る限りでは、良くも悪くも「普通の日本代表」というチームになったという感じ。前回のバーレーン戦は、酷かったから余計にそう見えたのかもしれないけど(苦笑)

◆ 普通の日本代表になった理由
ちょっと話逸れますが、最近めっきり話題にならない「日本化」。
色々と考えていた時期もありましたが、今回の試合をビールを飲みながら観ていて・・・結局、『“日本化”ってのは、中盤の構成次第なんじゃないか?』と感じたのです。(将来的には分からないですけどね)

多分、岡田監督であろうと他の人が監督をやったとしても、今回のようなチームがまず最初に出来上がるでしょう。
問題は、ここからどのようにその監督、その時代の選手(代表チーム)のカラーを作り上げるか・・・また、それが継続しスタイルとして「日本化」となるかだと思うのです。この辺は、ずっと先の話かもしれないし思っているより早いかもしれない。

そして、次の段階として細部に目を向ければ、「チーム戦術」、「攻守のロジック」、「個の融合」などになる。
勿論、大前提として「選手選考」があるのですが、今回の招集メンバーが来月のW杯アジア3次予選の“核となるメンバー”でしょうし、もしかしたら、もう少し中期的なビジョンで見れば、W杯最終予選まで“核となるメンバー”は大きく変わらないかもしれない。だから、「オレ流宣言」したのは、あくまでもここからが岡田JAPANのスタートでしかないですよ、ということだと思うのです。それまでの時間を考慮すれば、ちょっと遅かった感じはしたけど・・・

多分、岡田監督としたら、オシム監督の土台をなるべく生かそうとは思っていたと思います。現実的には、その方が効率的だから。
例えば、“考えて走る”と言われていたオフザボールのスペースを意識した動きや2~3人と流動的に動く方法、また、守備のシステム、アジアカップでのポゼッション志向など、ある程度形として出来上がっていたと思うのです。それを踏襲しつつ次の段階に移行出来れば、監督としたら楽なこと限りなし。(自分でいちいちやる必要ないから)
でも、岡田監督には、出来なかった。もしかしたら、岡田監督に限らず、他の監督であっても、前任者の(広義での)システムを踏襲しつつ進めるってのは、難しいことなのかもしれない。

ちょっと話は、飛びますが、チェルシーを解任になったグラント監督は、前任者が、ザ・カリスマって感じの方だったので、比較されることが多かった。でも、プレミアリーグ、CLともに2位という所までチームを持っていったのは、見かたによっては凄いことなのかもしれない。今シーズン、欧州サッカー好きの人であれば、各国リーグで監督の交代劇って多かったというのは知っていると思います。その中でも上手く移行出来たチームとそうでないチームは、はっきりと分かれた。(バレンシアなんか降格の危機まで陥ったし、プレミアのトッテナムは、カーリングカップ獲ったり)

この辺の内容に関しては、いつか機会があれば、別途書こうかなと思います。(最近、以前の自分の書いた記事を読み返すことがあり、こういう風に書いておきながら、忘れて書いてない内容多いんですよね・・・苦笑。まとめておかないとですね)


■ 世代交代と長友の起用

◆ 海外組
次に、選手について。
今回のコートジボワール戦に出場した松井、長谷部の海外組は、なかなかやるな!という印象。やはり、プレーに自信が感じられる。ただ、チームとして考えた場合には、連携面でまだまだとは思われる。特に、松井の使い方があれだと、威力が半減すると思う。長谷部は球際でのハードワークなどは非常に良かったと思う。(浦和サポーターの方であればもっと詳しく分かるんでしょうけど)プレーがシンプルかつ力強さを感じたのは、結局は、ヴォルクスブルグに移籍してスタメンクラスとして戦ったことで自信がついたからだと思う。
その他、中村俊輔、稲本、小野、中田浩二などこの辺りを今後招集するのか、どう使うのかだと思う。(俊輔は、次は出るんだろうけど)

◆ 長友について
それと、他に言及しておく必要がある選手は、左SBに入った長友。
以前FC東京でのプレーを見たけど、初の代表であれだけ出来れば十分だと思う。決まらなかったけど強烈なミドルシュートなどは、豊田スタジアムを訪れた人達にも印象を残したでしょうし、多少、守備面での粗さなどはあるけど、個人的には及第点を挙げれる出来たと思う。長友にしろ香川にしろ、その他の内田、安田とか若い世代の選手がスタメンの中に2人くらい入って経験を積ませる事が大事だと思う。ベテラン選手の伸びしろはもう少ないけど、若い選手達は伸びしろはまだまだあるし、何かのきっかけでブレイクする可能性もあると思う。

結局、世代交代ってのは、11人のスタメン(3人の交代)の14人の中で、チームがどれだけ出場させれるかだと思う。ただ、出場させれば良いという意味ではなく、チーム状態などを大きく落とすことなく、その若手をフォロー出来るだけの余裕がチームにあるかどうかの話。勿論、この辺は、監督やチーム事情などそれぞれだけど・・・思い返すと中田英寿が代表入った頃なんか、今のACミランでパトくんがプレーしているのと似たような感じの状況だったと思うしね。

■ 受動的ではなく能動的に試合をせよ

◆ ビルドアップの問題に潜む根本的な問題
最後に、少しだけ試合内容について。
大きく問題視されたのは、後方からのビルドアップだと思う。それと同じくらい後半にコートジボワールに攻め込まれ続けたのも問題だったと思う。
今回の日本代表のメンバー構成でもきちんと「ビルドアップ~崩し(ペネトレーション)~フィニッシュ」まで出来ると思うし、出来なければならないと思う。

問題は、チームとしてその段階まで行っていなかったこと。しかし、それ以上に15年目を迎えたJリーグ(日本サッカー)がピッチ上の代表選手達ですら、自分達で考えて、自然発生的にこの問題を回避出来なかったという事実をもっと重く受け止めてもいいと思う。

例えば、ボールを奪ってから攻め急いだシーンがあったり、パスミスでコートジボワールのボールになっていた。
押し込まれながらも相手の攻撃を遮断したり楢崎のファイン・セーブなどもあり、結果的には1-0となんとか勝利出来たが、中盤でボールを奪取した後に、もう一度ビルドアップし直したり、パスを回したり周りの選手が動いたりして、自分達のボールポゼッションを高めつつ“試合のリズム”を変えることが出来なかったのが、非常に気になった。

分かり易い例だと、南米のチームなどは、この辺の能力が高い。アルゼンチンなどもチンタラボールを回しながらも一気に加速したり、クラブW杯に出場する南米のクラブもよくやる一つの方法だが、これは、あくまでも“試合のリズム”を変えるためであって、目的ではない。つまり、パスを繋ぎ試合のリズムを自分達のリズムにしたいからである。

ところが、日本は中盤でプレスを仕掛け、ワンパターンのように速攻を仕掛ける。それを繰り返す内に、プレスも掛からなくなり守備ブロックが後退させられ試合のリズムを失った。サッカーにおいてミスはしょうがないが、自分達のリズムを失った後、次にどうやってリズムを取り戻そうかという所で行き止まりになっている。

例えば、前からプレスばかり掛けないで、“後退させられる”のではなく、“後退して”守りロングカウンターを仕掛ける方法もあるだろうし、サイドの深い位置までロングボールを入れて中盤を広げるという手もある・・・要は、「受動的」ではなく「能動的」に試合をしなければならない。それは、「今日は、前線からプレス掛けて速攻を仕掛けて・・・」という事前のゲームプラン通りに行かなかった時に、ピッチ上の選手が考えるべきことであり、極端に言えば、自然発生的にチームとして出来なければならない。

試合後のコートジボワール監督のコメントで興味深い発言があったので、引用して終わりたいと思います。
 まず、スタートはよくなかった。1人の選手が(試合後)言っていたのだが、後半に疲れが出るのは嫌だったので、開始時はゆっくりやろうと考えていたようだ。

引用元:スポナビ - コートジボワール代表ハリルホジッチ監督会見

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6 コメント

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Unknown (チャン)
2008-05-25 19:42:01
ビルドアップについての私見ですが、4バックの4人だけで前に運ぶ気概を見せて欲しいです。ボランチに当てるのが全部悪いわけじゃないけど、今野も長谷部も前を向けてないんで、DFへのバックパスか、ボランチでのパス交換が多かったように思います。
松井が引いて受けていましたが、松井や中村俊輔は仕掛けのポジションに置いておく人材と思う次第です。

前線からプレスするのは別にいいですが、FWのチェイスと後ろの8人がバラバラだったような。前線からプレスを掛けるというか、中盤がボールを深追いしすぎてスペースを空けすぎている気もしました。
リヴァプールの守備構築は自分は結構好きなんですが、それに比べると無駄と消耗が多いなと思いました。
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コメントのお返事 (コージ)
2008-05-25 22:55:55
チャンさん

こんばんは。
ご指摘の点は、私も同感です。
方法論は、色々あるでしょうけど・・・
アジアカップで見せたポゼッション的なアプローチがほとんど見受けられませんからね~^^;

プレスに関しては、適宜ラインコントロールも含まれると思うので、今後注目しようと思っていました。
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Unknown (たふた)
2008-05-25 23:43:33
こんばんわ。
試合のリズムを掴み直す事が今の代表には1番の課題ですかね。
この辺の事を考えてプレーする事が出来る選手が少ないのが悲しいです。
返信する
コメントのお返事 (コージ)
2008-05-25 23:55:49
たふたさん

こんばんは。
なかなかね、チーム状態がチーム状態なんで・・・
でも、こういうことって基本的な問題だと思うんですけどもね。
返信する
Unknown (PJ)
2008-05-26 17:27:19
長谷部選手については、浦和在籍時は球際に強いというよりもボールホルダーに対する忠実なチェックが印象的でした。
コンビを組んでいたのが鈴木啓太選手だったので、影響を受けたというか学んだ部分はあると思います。

攻撃時は中盤の底から長い距離をボールを持って運ぶプレーがよくありました。
ボールを奪うのが低い位置なので、必然的にそういうプレーが多かったわけですw
(逆に今浦和が苦労しているのは、長谷部選手の役割を行えるプレーヤーがいない事もあるわけですが…。)
04年の磐田戦@埼スタでのゴールに代表されるように、パスよりもどちらかといえばドリブルのイメージが強いですね。

ただヴォルフスブルグに行ってSHを経験した事により、浦和時代にはあまり見られなかった裏への飛び出しとかサイドに流れてボールを受けるプレーが見受けられるようになりました。
今まではサイドに流れるのは、味方ボールホルダーのフォローがほとんどだったので、そこで仕掛けるといったプレーは見られなかったですね。

なんにしろ、非常に自信を持ってプレーする姿を見て、この半年でまた成長したなぁ、なんて感傷に浸る次第でしたw
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コメントのお返事 (コージ)
2008-05-26 20:09:27
PJさん

こんばんは。
なるほど長谷部の浦和時代のプレースタイル良く分かりました。私が見た時と大きく違わないみたいです。
得点に絡んだプレー、その他守備の対人プレーを見ると、今もオシム体制なら積極起用されてたかもしれないなぁと思いました。
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