世界的なオーディオ・メーカー、LINNからリリースされているアルバム、kuniko plays reich のライブを聴きました(2012年1月23日、ムジカーザ)。
このCDには、打楽器奏者の加藤訓子が自身でアレンジをほどこし、スティーブ・ライヒ本人のお墨付きを得たというプログラムが収録されていますが、SACDでリリースされているほかに、LINNが運営するハイレゾサイトでは192khz/24bitという最高音質の配信が行われています。
この日は富士通テンのスピーカー、イクリプスの新製品発表会におけるライブでしたが、高性能スピーカーから流れるプリレコーディングされた音と加藤訓子の生音によるElectric Counterpoint、Six Mrimbasといった曲の演奏を間近に見ることができたのは収穫でした。
ライヒの音楽は能動的に「聴く」というよりは、受動的に「包まれる」という感覚があるのですが、この日も8本のスピーカーに囲まれつつ、プリレコーディングされた音と対話しながら進行する加藤の演奏は、卓抜なタイム感覚と鮮やかな色彩感に満ちていました。ミニマル・ミュージックのなかに浮かび上がるアフリカやインドネシア(ジャワ)あたりの土俗的なリズムの中に、最先端の音響技術の向こうに立ち現れたヒトの根源であるピテカントロプスの幻影を見るようで、それは不思議な官能にあふれた時間でした。