ヨシムラ・サイエンス・ラボ

身近な物を材料視点で解説「サイエンスライター」
銅の良さを伝え広める「伝銅師」、金属のお悩みへの相談「メタルソムリエ」

高岡銅器と同じ金属が携帯電話にも。。。

2011年02月24日 | 高岡銅器
こんばんわ。

伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。
今日は、高岡銅器には銅の次に欠かせない錫(すず)に関するサイエンス 第2回目です。

現代生活で無くてはならないモノとなっている携帯電話。
最近は、スマートフォンと呼ばれる更に進化した多機能携帯電話もかなり普及しています。
数年前は、スマートフォンを持っていると「スマートフォン、持ってるんだ!」って少し注目されましたが、今ではあちこちでスマートフォンを持っている人を見かけますよね。
実は、この携帯電話を初めとするハイテク機器に、高岡銅器と同じ金属が使われているて知っていましたか?

高岡銅器には青銅(せいどう)と呼ばれる銅(どう)に錫(すず)を混ぜた銅合金が用いられていることは前回お話ししましたよね。
携帯電話にも、銅に錫が入った リン青銅 と呼ばれる銅合金が、電気配線の部品に使用されています。
リン青銅は高岡銅器に使用されている青銅と同じ錫を含む銅合金なので、人間で例えるとちょうど兄弟のような位置づけです。

青銅の弟分のリン青銅は、かなり強くてたくましく、ばねのように曲げてもすぐに戻る、ハイテク機器には欠かせないピカイチの銅合金の一つです。

次回は、この錫の地金価格についてサイエンスします。
錫は、銅に負けず劣らず、高騰しています。
お楽しみに。

金属の錫(すず)から音が出る??

2011年02月22日 | 高岡銅器
こんばんわ。

伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。
今日は、高岡銅器には銅の次に欠かせない錫(すず)についてサイエンスします。

高岡銅器には青銅(せいどう)と呼ばれる銅合金が使用されています。
青銅とは銅(どう)に錫(すず)を混ぜた銅合金の一種で、紀元前4000年から使用されている最も歴史ある金属です。

この錫は、融点(溶ける温度)が230℃と低く、容易に溶かしたり固めたりできる金属の一つです。
そのため、錫は鉛(なまり)と混ぜて、電子部品を回路に取り付ける はんだ にも使用されています。

また、錫は体に対する有害性も低いため、食器にも使われます。
確か、京都の工芸品で錫でできた ぐい呑み も有名だったと思います。
科学的な原理はよく理解していませんけど、錫でできた ぐい呑み で飲むお酒は、甘くてまろやかな味になるそうです。

あと、錫は曲げたりつぶしたりすると、「ピキッ」という独特の音が発生します。
金属から音が発生するって知らなかったでしょ?
これは、金属の結晶構造が変形によって変態するためです。←ちょっと専門すぎて難しいですよね。
この現象を、錫鳴き っていうですよ。

次回も錫についてサイエンスしたいと思います。
それではまた。

もう一つのサイエンスブログ 「ママたちの金属辞典」始めました

2011年02月18日 | お知らせ
ヨシムラ・サイエンス・ラボからのお知らせです。

ヨシムラ・サイエンス・ラボから、
もう一つのサイエンスブログ「ママたちの金属辞典」 (http://ameblo.jp/renaeijipapa/)を始めました!
ブログ内容は、ママたちが日頃使っている家庭用品に関する内容です。
家庭用品はかなり身近ですが、それをかたち作っている金属については注目しませんよね?
そこで、家庭用品をかたち作っている金属を事例で分かり易く紹介し、「エッ?そうなの」という驚きをお届けします。
また、ママたちの疑問にもどんどんお答えしま~す!
あて先は、メール(renaeijipapa@yahoo.co.jp)まで。


更新は不定期ですが、いろいろと興味深い記事を紹介しますので、お楽しみに!

1号、2号の正体

2011年02月18日 | 高岡銅器
こんばんわ。
材料科学の観点から伝統工芸をサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

今日は前回に引き続き、故銅についてサイエンスします。

前回、故銅は日本工業規格(JIS)で32種類に分けて規定されていること説明しましたが、その詳細についてふれておきます。

まず、最も不純物を含まない純銅に近いものが1号銅線屑です。
これは、1本の銅線の太さが1.3mm以上の純良な銅からなるもので、表面が光った状態なのでピカ線とも呼ばれます。

次に、次に純度が高いのは2号銅線屑です。
これは、1本の銅線の太さが1.3mmに満たない銅線屑です。
表面が真っ黒になった被覆物を焼いて除去した銅線も2号銅線屑にあたります。
この表面が真っ黒になった銅線を焼き線とも呼びますが、被覆物を焼く際にガスが発生するため、最近は環境問題の観点からあまり焼き線を見なくなりました。

最近の銅価格高騰に対する対応として、この様な純度の高い故銅が有効に活用されています。

次回は、高岡銅器の原材料で銅の次に多く使用される錫(すず)についてサイエンスします。
お楽しみに。

故銅の呼び方って、まるで仮面ライダー?

2011年02月12日 | 高岡銅器
こんにちは。

前回は、高岡銅器を始めとする銅製品の原材料である銅の価格が高騰している状況について述べました。
今回は、その銅価格高騰への対策に役立つ故銅(こどう)についてサイエンスします。

製品化を進めていく過程で発生した廃材や、製品として使用された後に廃品となって集められた銅は、スクラップ、すなわち屑として回収、元にもどして原料として再利用されます。
この再利用される銅のことを故銅と呼びます。

みなさん、環境問題の話題の際に、3Rって聞いたことありませんか?
資源を大切にし循環型社会を作るという観点から、リサイクル(recycle)、リユース(reuse)、リデュース(reduce)の3つの頭文字Rをとって、3Rと言われています。
故銅は、廃棄物や不用物を回収・再生し、再資源化するわけですから、3Rのうち“リサイクル”に当てはまりますね。

故銅は日本工業規格(JIS)で、電線・伸銅品・鋳物にわたり、合金の種別によって大別され、またそれぞれの品質及び形状によって32種類に分けて規定されています。
それらの呼び名って変わっているんですよ。
例えば、1号銅線(いちごうどうせん)や2号銅線(にごうどうせん)。
まるで仮面ライダーのようですね。

「仮面ライダー」って引っ張ってくるところで、年齢バレてしまいますね(笑)。

次回はこれらの種類についてサイエンスしたいと思います。
おたのしみに。

原材料の高騰 特に銅価格が急騰!

2011年02月05日 | 高岡銅器
こんばんは。

本日は高岡銅器を始めとする銅製品の原材料である銅価格についてです。

最近、新聞で各種材料価格が軒並み高騰しているという記事を目にしませんか?

原油、樹脂・金属などの原材料の価格が最近高騰しています。
これは中国などの新興国の需要増大と、原油価格と連動した商品市場の投機ブームによるためのようです。

添付のグラフは、平成7年から今年の1月までの銅価格の推移です。
平成18年から21年にかけて価格高騰と乱高下が続き、リーマンショックにより一旦は下落しましたが、最近、また上昇傾向にあります。

原材料価格の高騰は、その原材料を用いた製品の販売動向に大きく影響を及ぼしますので、高岡銅器を始めとする銅製品にとっては最近の銅価格上昇は気になるところです。

このような原材料高騰の際に、活躍するのが故銅(こどう)と呼ばれるリサイクル銅です。
次回は、故銅について述べてみたいと思います。