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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

SCHILLER / "SEHNSUCHT"

2008-03-07 16:12:38 | music6
Sehnsucht


?Denn die Götter leih'n kein Pfand,
 Nur ein Wunder kann dich tragen
 In das schöne Wunderland.


     -Friedrich von Schiller (1759-1805) / "Sehnsucht"


□ Schiller / "Sehnsucht" (Ltd.Super Deluxe Edt.) [Box-Set]

Once Upon a Time
Let Me Love You (Mit. Kim Sanders)
Wehmut
Tired (Mit. Jaël)
Lichtung

Release Date; 22/02/2008
Label; "Island @ 407(8001)"
Cat.No.; 06025 1757837 1
Format: 2CDs + DVD
Note: includes Special Booklet with Box Set.

>> http://www.schillerserver.de/sehnsucht/

Sbox_2


>> tracklisting.


CD: EINS

01. Willkommen
02. Herzschlag
03. Denn wer liebt (feat. Anna Maria Mühe)
04. Sehnsucht (feat. Xavier Naidoo)
05. Wehmut
06. Black (feat. Jette von Roth)
07. Mitternacht
08. Let Me Love You (feat. Kim Sanders)
09. Nacht ( feat. Ben Becker)
10. Fate (feat. Isis Gee)
11. Porque Te Vas (feat. Ana Torroja)
12. In der Weite (feat. Anna Maria Mühe)
13. Sommernacht
14. Everything (feat. Helen Boulding)
15. Lichter
16. Ile Aye (feat. Stephenie Coker)
17. Once Upon A Time



CD: ZWEI

01. Der Kuss
02. Wunschtraum
03. Tired (feat. Jaël)
04. Lichtung
05. Breathe
06. Zenit (Ausschnitt feat. Klaus Schulze)
07. In The Dark (feat. Jette von Roth)
08. Tagtraum
09. Destiny (feat. Despina Vandi)
10. White
11. Lonely (feat. Damae)
12. Sehnsucht (Reprise)
13. Vor der Zeit (feat. Ben Becker)
14. Forever (feat. Kim Sanders)



DIE DVD.

Videos -in 5.1ch surround

01. Denn wer liebt
02. Herzschlag
03. Wunschtraum
04. Let Me Love You
05. Everything
06. Mitternacht
07. Sommernacht
08. In der Weite
09. Wehmut
10. Forever



Berlin-Calcutta

TIEL 01
TIEL 02
TIEL 03



Schiller Mit Klaus Schulze:
Zenit



Interview:
Gestern und heute

Photo Gallery


Live in Kiew: -in 5.1ch surround

Schiller
I Saved You
Irrlicht
Nachtflug


MINI-BUCH
36 seiten ueber entstehung von SEHNSUCHT.



Artist Links.

Musikalische Gäste:
Xavier Naidoo   >> www.xaviernaidoo.de
Kim Sanders    >>  www.kimsanders.de
Jette von Roth   >> www.myspace.com/jettevonroth
Anna Maria Mühe >> de.wikipedia.org/wiki/Anna_Maria_Mühe
Ben Becker   >> www.benbecker.de
Klaus Schulze >> www.klaus-schulze.com
Ana Torroja   >> www.anatorroja.info
Helen Boulding  >> www.helenboulding.com
Stephenie Coker >> www.stephenie.de
Despina Vandi  >> www.despinavandi.com
Isis Gee  >> www.isisgee.com
Jael    >> www.jaelonline.com
September >> www.septembermusic.se
Damae  >> www.damae.de
Bernstein >> www.paradies.cc


Instruments:
Deutsches Filmorchester Babelsberg >> www.filmorchester.de
Ralf Gustke (drum) >> www.world-of-groove.de/
Christian Kretschmar (cello) >> www.krmw.de/
Mickey Meinert (multi instuments) >> www.mickeymeinert.de/


Photos:
Ben Wolf, Philip Glaser

Artwork:
Katja Stier



Tear Sehnsucht                  .

今やドイツのエレクトロミュージックを代表する人気を誇る、Christopher von Deylenによるプロジェクト"SCHILLER"の5th Album。その名を冠したシラーをはじめとする文化史上最も重要な詩人たちの言葉を巧みに引用した、アンビエントともダンスポップともつかない、凛とした詩情溢れる音響世界を電子の波紋に描く。

表題の"Sehnsucht"(憧れ)は、12世紀フランスの吟遊詩人Chrétien de Troyesの詩の一節に因んでいるが、作中では他にバイロンやゲーテ、グリルパルツァーの詩が要所に散在し、若手女優のアンナ・マリア・ミューヘと、舞台出身俳優で、シラー詩の朗読に定評のあるベン・ベッカーがそれらのモノローグを担当している。因に、シラーやゲーテの詩に歌曲を付けるという試みは、かつてシューベルトやチャイコフスキーらによっても行われている。

また、今作のジャケットのモチーフは「涙」だと思われるが、Jaelの歌う"Tired"において"Tears"がテーマとなっている。


Tears2 Sound of Sehnsucht              .

Schillerのサウンド・コンストラクションは、音響、演奏技巧、楽曲性の何れにおいても、常に前作を凌駕し続けながら進化を遂げている。4th Album "Tag und Nacht"では、まるで壮大なスペース・オペラを眼前にしているようなシネマティックで重層的なサウンド・メイキングを見せていたが、"Sehnsucht"では自身のルーツであるエレクトロニカ、アンビエントポップのカラーに立ち返り、トライバルでありながら、鋭い都市感覚でソフィスティケイトされたビートテクスチャに、電子音やアトモスフィアといったループサウンドのシンプルな音色を定着させ、全く新しい洗練された雰囲気を醸し出すことに成功している。

スタイルとしては、これまでと一貫してインストゥルメンタルとヴォーカルトラックがストーリー性を以て紡がれるサウンドトラック方式を取っているが、アルバムを彩る楽曲毎の特色は様々である。


Tears3 Guests of Sehnsucht              .

Kim Sandersや Jette von Rothといった古くからのコラボレーターの他に、過去にはSarah BrightmanやMoya Brennan、Mike Oldfield etcetc....と、毎回多方面から著名なゲスト・ミュージシャンを起用してきたSchillerだが、今作では遂にジャーマン・エレクトロニカの生ける伝説、Klause Schulzeとの競演を果たした。

また、Deep ForestでもフィーチャーされていたAna Torrojaや、ナイジェリア出身の才能豊かなブラック・ミュージシャンStephenie Coker、シェフィールド出身の実力派シンガーソングライターHelen Boulding、ギリシャの国民的人気歌手Despina Vandi、FragmaやKyau & Albertで人気を博したDamae、スイスのトリップホップバンド"Lunik"やDeleriumでヴォーカルをとるJael、アダルトコンテンポラリーで才能を発揮するISIS GEE、今最も勢いのあるダンスポップアーティストSeptember。

そしてドイツで絶大な支持を集めている南アフリカ直系のHip-Hopアーティスト、Xavier Naidooがタイトルトラック"Sehnsucht"を力強く歌い上げる。実に蒼々たる顔ぶれが揃った。


Tears4_2 Music of Sehnsucht             .

上述の通り、この二部構成の作品はそれぞれコンセプトアルバムとしての体を成しているが、序曲から終曲に至る世界観を辿る経路は一筋縄ではない。今作の特徴を一つ挙げるとすれば、それは楽曲の表面上にはない『静謐さ』についてであろう。蒼い月明かりの下、凍てついた雪原を闇をたずさえて歩くような、研ぎ澄ました暗沌の纏わりつくかの如き麗艶さが感じられるのである。

スロートヴォイスの陰影にスムースなハイハットを刻む"Wehmut"(憂愁)のそれは、正に『すべての歓びから離れ 虚空のかなたを見つめる』(ゲーテ 「Wilhelm Meister」より "ただ憧れを知る者だけが" )者の、果てしのない孤独と渇望の逍遥と捉えられるだろう。アルバム中には他にも"Mitternacht"や"Nacht"と、「夜」を題材にした楽曲が目立つ。

"Once Upon a Time"終結部で、不協和音を発しながらフェードアウトしていくストリングスの上昇音も寒気がするほど美しい。

ヴォーカルトラックについても、これまでのダンスポップ然とした明快なビートと高揚感を狙った部分は少なく、どちらかというと切々とアンニュイに歌い上げるものが多い。ビート自体、ドラムの単音ではなく、超巧細微に渡り音色をレイヤーサンプリング、他の追随を許さない独自のブレンディングを確立している。そして今作においてはチェロやオーケストラの存在感も顕著に増している。


Schillerは鐘・撥弦楽器によるオリエンタルでクセの強い旋律を独特とする為、リスナーによって好き嫌いがハッキリ別れやすい。しかしハマる人はとことんハマってしまうオリジナリティを兼ね備えている。昨年リリースされたDVD "Tagtraum"で呈示された同名曲のそれは、流動の激しい電子音楽シーンにおいて極限までシェイプされた、その最前線の姿で"Sehnscht"にお見えした。


Tears2 Schiller Mit KLAUS SCHULZE / "ZENIT"    .

ジャーマン・プログレのグールー、Tangerine Dreamの開祖メンバーにして現役の音響系/アンビエントクリエイター、Klaus Schulzeとの共作"Zenit"(天頂)。アルバム中では13分弱の編集版を耳にすることが出来るが、DVD収録、Dolby Surround Mix(2ch)のフルレングス版は30分超の大曲である。

気の遠くなる程ビッシリと敷き詰められたビートのスプレッドに、闇に渦巻く重厚なサウンドエフェクト群、イスラムのスーフィー音楽や、キラキラと眩い音の破片といった様々なエレメントが浮かんでは消えて行く、ソリッドテクスチャ・アンビエント。一定の長いリズムを刻むベースは後半10分で加速し、アトモスフィアはより分厚く音色を重ねながら、暗黒の蜷局を巻く星の深淵に沈降していく。


Tear DVD Contents               .

プロダクトについての紹介が後に回ってしまったが、当作品は2枚組のCDとDVDに、メイキングエッセーを綴った36ページの小冊子"entstehung von Sehnsucht"がバンドルされている。各フィーチャリングアーティストとの仕事上の経緯や、Sarah Brightmanをフィーチャーした"The Smile"を作曲する際にNemo Studio(Frank Petersonのスタジオ)を訪れ、Ben Beckerとの出会いから"Sehnsucht"の着想を得たというエピソードも語られている。

Schillerのリリース陣は常に商品戦略に長け、アルバムに付随する関連プロデュースが充実している。特に5.1ch Dolby Surround MixされたVideo Clipがこうして完成していて、同時に届けられるということはファンとしては有り難い限りである。


Deylenが"Tag und Nacht"仕様のレトロな車でベルリン-コルカタ間を旅したロードムービー、"Berlin-Calcutta"も収録されているが、その旅の詳細はブックレットに記されているようである。(映像はコルカタのみ)今アルバムにも大きく影響した旅路であったことには間違いないだろう。

他にもフォトギャラリー、キエフにおけるライブの模様を収録。ライブは前作"Tag und Nacht"の延長にあるものだが、ブラスバンドを配した編成を目にするのは初めてで、パフォーマンスも中々興味深いものに仕上がっている。今後、恒例として"Sehnsucht"のライブツアーDVDが一年以内にリリースされる可能性は高い。


Tears4_2 Videos                 .

Video Clipに採用されたトラックは全て5.1ch Dolby Surroundにミキシングされ、どのトラックも凄まじい臨場感を味合わせてくれる。Schillerの音楽については複雑に絡み合った音像の輪郭が捉えやすくなるのが特徴だろう。監督はPhilip Glaserら他、Enigmaの"A Posteriori" DVD等を手掛けたTITANFILMが製作した。


1. Denn Wer Liebt Denn_wer_liebt_1 Denn_wer_liebt_2 Denn_wer_liebt_3_3 .

淀んだ空間に浮かび上がる一つの環。Anna Maria Müheによるトロワの詩の朗読で幕を開ける導入曲。何かが蠢くように響くバックグラウンドに重ねてチェロの耽美な旋律が絡む。画面には次々と詩のスクリプトが浮かんでは消え、紅蓮の万華鏡の如き暗曇に覆われた後、次第に接近する"Sehnsucht"の文字列の闇に呑まれていく。


"Denn wer liebt,
der ist voller Sehnsucht und findet nie ruhigen Schlaf,
sondern zählt und berechnet die ganze
Nacht hindurch die Tage,
die da kommen und gehen."


愛ゆえに
想い焦がれ 安らかならざる眠りさへ
夜ごと昼ごと指折りに この日々も過ぎゆる

-Chrétien de Troyes Yvain / "Botin der Königin"



2. Herzschlag Herzschlag_0 Herzschlag_1 Herzschlag_2 .

Deylenが荒野から夜のカジノをあてども無く歩き続ける。音楽、映像ともに1st Album "Zeitgeist"の頃より一貫したスタイルを保持しており、"Tagtraum"と並び、"Sehnsucht"におけるマイルストーンの一つと言える。


3. Wunschtraum Wunschtraum_1 Wunschtraum_2 Wunschtraum_3 .

コインランドリーを訪れる1人の女性。何やら頻りに背後の視線を気にしているようだが、次第に物欲しそうな表情で、頑として動じないマネキンの男性にモーションをかけはじめる。シャボン玉の暗喩が卑猥である。ベルのロングトーンやグロッケンシュピールの幻惑的な旋律の提示といい、実に巧くイメージの的を射た作品。


4. Let Me Love You Lmly_1 Lmly_2 Lmly_3 .

電子音響に聖歌風のループを被せたイントロ。古参Kim Sandersによる"Sehnsucht"のメインヴォーカルトラック。95年来、Deylenが持ち味として来たクラブトランス・アレンジのエッセンスがここにある。画面端アップで慈愛豊かに歌うKimの他に、赤いソファで寄り添い、様々な愛情表現を交わす人々が映し出される。国籍、年齢、性別を超えた愛の形。Kimは"Don't Hold back if you're afraid to a sensual sin is what awaits you" と彼らの勇気を鼓舞する。

Video Versionではカットされた後半部分のドラムシークエンスは、ここ数年のライブ・アクトから取り入れた非常に高揚感に溢れるシークエンスであり、その硬質でトライバリスティックな強烈なキックは、Schillerにおいては比較的新しいトレードマークと言えよう。距離感を置いて遠くで響く水滴に似た音がドラムの裏打ちとなっている緻密な構成。


5. Everything Everything_1 Everything_2 Everything_3 .

今売り出し中のイギリスの新人女性シンガー、Helen Bouldingの登場。現在ニューアルバム"New Red Dress"をリリースし、ライブ活動に余念がない。デジタル・ペインティングされた暗雲立ちこめる架空の未来都市。飛行船、ビルの谷間など、至る所のモニターに歌うHelenの姿が映し出される。一定の高揚感もあるマイナーコードのダンストラックではあるが、蒼い色彩に染まった無人の景観も相俟って非常に退廃的に感じられる。スピーカーランプに見立てた信号機が面白い。やはり力強いドラムアクセントの節回しが印象に残る。


6. Mitternacht Mitternacht_1 Mitternacht_2 Mitternacht_3 .

小気味の良いベースに乗って、遙か銀河の彼方より遠来する神の視点。地球を見下ろし、雲間を縫って大地に降り立ち、自然と生物の営みを見つめる。ハイスピードカメラで記録された雨滴、開花、ハチドリの戯れから、海中生物の賑やかな往来が映し出される。土着的なリズムセクションに被せて、神秘的なエスノシャントのループ。Schillerの得意とするチルアウト・トラックの新境地である。


7. Sommernacht Sommernacht_1 Sommernacht_2 Sommernacht_3 .

ススキの合間に覗く灰色の世界。寒風吹き荒ぶ中、不安げに一人波打ち際を歩く男の目に何かが留る。大きく赤い旗を掲げたもう一人の自分の姿。彼は訝しげにするものの、自身の写し身から赤旗を託され、自ら辿った道を振り返る。その表情からはもはや戸惑いと恐れは消え去り、眼差しは凛とした決意の色を帯びている。そして彼の視線がその先に捉えたものは・・・。Schiller独特の都市感覚的な寂繆感で包み込みながらも、絞り出すように感情を高ぶらせるシンセ・ストリングスがマッチした良質のミニマルトラック。


8. In Der Weite In_der_weite_1 In_der_weite_2 In_der_weite_3 .

ドイツを拠点にサウンドトラック演奏を手掛ける、バベルスベルク・フィルム・ オーケストラによる抒情詩。一遍の映画を切り取ったようなスコア・ライティング手法が取られている。壮麗な雪山に臨む一軒の山小屋を舞台に愛し合い、戦に引き裂かれた男女の慕情と郷愁。もう帰ることのない彼を孤独に待ち続ける女性の姿は、さながら映画"Cold Mountain"の情景と重なる。

タイトル"In Der Weite(彼方にいる)"、及び楽曲中のモノローグは、共にゲーテ著『ヴィルヘルム・マイスター修業時代』から「Nur wer die Sehnsucht kennt,(ただ憧れを知る者だけが)」で始まる有名な「Mignon's Song(ミニヨンの歌)」の引用。彼方にいる想い人を慕い愁悶する心象を描くこの曲は、"Sehnsucht"のテーマトラックと捉えるに相応しい。

Nur wer die Sehnsucht kennt,
Weiß, was ich leide!
Allein und abgetrennt
Von aller Freude,
Seh ich ans Firmament
Nach jener Seite.
Ach, der mich liebt und kennt,
Ist in der Weite.
Es schwindelt mir, es brennt
Mein Eingeweide.
Nur wer die Sehnsucht kennt,
Weiß, was ich leide!



ただ憧れを知るものだけが
わたしの苦しみを知るのです。
すべての歓びに見放され
はるかな虚空を見つめるのみ
わたしを愛し、知るものは遠い何処かに
胸を焦がす この想い
ただ憧れるを知るものだけが
わたしの苦しみを知るのです。



9. Wehmut Wehmut_1 Wehmut_2 Wehmut_3 .

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間違いなく"Sehnsucht"のベスト・トラックに挙げられるであろう暗いシェードに覆われたアンビエント作品。フラクタル・エンジンで造形された歪でアブストラクトな異星の地表と山脈を、リモートセンシングするように鳥瞰する。複素演算によって生成された電子の山脈は、所々に深い谷をつくり、その暗い影に不連続な空間の接合点を垣間見せる。

フリッカーノイズに合わせて響く電子的なヒス音、冷たく吹き抜けるパッド、オブスキュアに沈降するビートとベルのリヴァーストーン、そしてハイハットの刻む無機的で幽遠なリズムが、意識を遙かな虚数空間へと誘う。


10. Forever Forever_1 Forever_2 Forever_3 .

アルバムの終曲にあたる"Forever"は、多様な形式にメタモルフォーゼを経てきた音楽の旅路の果てに、一つの幽愁に染まった人間感情を、聴き手の胸の中に帰還させる。朽ち果てた廃墟の中を、再びDeylenが彷徨う。剥がれたペンキに打ち放たれた窓枠、浸水する床に散らされた木片の数々。臭い立つような寂れた空間に置かれたTVを通して、Kim Sandersが"Nur wer die Sehnsucht kennt...."にインスパイアされた内容の英語詞を、レクイエムの如き佇まいで歌い上げる。

かつてSchillerやGoetheが感受し磨き上げた、幽遠たる霊性の宿る韻律とエレクトロニク・ミュージックとの接合点。この廃墟に見たものが人の無常の影ならば、この現代にSchillerが提示する音楽は、我々が辿る過去と未来を同時に紡ぎ出し、古きと新しきのハーモニックを奏でる普遍的な感性の依り代となり得るだろう。


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Forever.

I'd die a thousand deaths
I'd give a thousand breaths
and sacrifice the rest
to be near you

I'd pay the ransom sum
or lie to anyone
I'd do what is undone
to be near you


But You're not here
You are gone
You're not here
You've moved on
Forever


I know the Angels' face
That caused my fall from grace
and left this hollow space
That I run through


Cause You're not here
You are gone
Youre not here
You've moved on

But I'm still here
You are gone
I'm still here
You've move on
Forever
Forever...

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千の死を経験して
千の生命を息吹かして
この安息を犠牲にしても良い
あなたに寄り添うためなら

贖いならいくらでもする
嘘だってつくわ
私に出来ることなら何だって
だから傍にいさせて


だけどあなたはここにいない
いってしまったのね
私を取り残して
あなたはいってしまった
永遠に


天使の顔を知ってしまってから
私の歓びは堕ちて
よぎる全てが虚空となった


だってあなたがいないから
どこかへいってしまった
私を取り残して
いってしまったから


私はずっとここにいるから
あなたがいってしまっても
ずっとここに
私を残したあなたを
いつまでも
いつまでも.....