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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

長崎を忘れないで

2011年08月09日 | 被爆者援護と核兵器廃絶

 

広島の陰に隠れがちですが、今日は長崎原爆忌。


30年前、大学一年生の時に広島・長崎を訪問して、初めて被爆者の方々と出会ったのですが、広島に比べて長崎の方々の方が温和で、なんだか波長が合ってしまって、それ以来広島より長崎によくでかけています。

広島の被爆者では被爆医師肥田舜太郎という巨人との出会いがあったのですが、日本で世界で最も愛されている被爆者と言えば、山口仙二さんでしょう。私も家族ぐるみでお世話になっています。若い人もみんな仙二さん、仙二さんとなつきます。これは肥田先生とはまた全く違う、天が与えた美質です。


右から仙二さん、肥田先生、仙二さんの奥様、池田真規弁護士

 

 

仙二さんのケロイドはひどくて長崎の原爆資料館でも写真が展示されているほどです。

若いときには世をはかなまれ、確か3回自殺未遂をされたはず。たぶん小学校しか出ておられず、1996年にオランダ・ハーグの国際司法裁判所にご一緒したときに、「私の肩書きは被爆者、だけです」とおっしゃっていました。当時の日本被団協の共同代表委員の一人が伊東壮さんといって、山梨大学の総長だった方ので、あえてそうおっしゃったかのかもしれません。

優しくて穏やかで謙虚な仙二さんですが、アメリカの原爆投下に対しては激しい怒りを持っておられて、1989年、長崎港に寄港したアメリカのフリゲート艦艦長が平和祈念像に献花した花束を踏みにじってしまったことがあります。

「えらい怒られてしもうて」とおっしゃっていましたが、私は無理もないことだと思っています。

長崎の被爆者の方々も、東北の方々と同じで、あまりに良い人過ぎて、怒るべき時にも怒れないところがあるんですもの。

もっと怒っていいんです。


 

 

ところで、「自虐史観」を正すと言っていた「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史教科書が、長崎の原爆写真を広島の原爆に誤用していたそうです。

冒頭の教科書の写真ですが、長崎の原爆投下をアメリカ空軍が写した有名な写真なのですが、『広島に投下された原子爆弾」とキャプションがつけられています。

長崎の原爆はプルトニウムだし、カラー写真だし、まるで広島のとは絵柄が違うのです。

こんな教科書を通してしまう教科書検定制度が恥ずかしい。

 

彼らは歴史を歪曲化して、自分たちの罪を矮小化したいだけではなくて、自国民の苦しみを真面目に勉強していない、考えていないことがよくわかります。

だから戦争を美化できるのでしょう。

それにしても、ウヨクでさえ、自国民が戦争犯罪の被害者になった広島と長崎のことを忘れてしまっているんですねえ。。。。。

 

ここの教科書は10年も前のよその教科書の年表を盗用していたことが最近明らかになったばかりです。

そんな彼らの分派の教科書が横浜市全部の公立中学校で公民と歴史教科書として採択されました。

世も末です。

  

さらに、広島の原爆記念日の前の日にわざわざ、石原都知事がアメリカのようにシミュレーションで核実験をやったらいい、核兵器の原料であるプルトニウムはたくさんあるんだから、強力な軍事国家になるべきと記者会見で放言しました。

広島・長崎の被爆者の方々の心を踏みにじるだけでなく、福島原発事故の放射能汚染で苦しむ日本国民を徹底的に馬鹿にした話です。

こういう国民の苦しみをわからない為政者こそ、国賊とか非国民とか呼ばれるべきなのに、全く責任追及されない。

 

 

本当は長崎原爆忌は穏やかな写真と記事にしたかったのですが、できませんでした。


みなさん、長崎を忘れないで。

広島・長崎を忘れるということは、いつか福島を忘れるということです。

 

 

 

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つくる会教科書、長崎原爆の写真を広島と誤記

写真:自由社が掲載した原子爆弾の写真(左)。写真説明について訂正申請する=「新しい歴史教科書 中学社会」2012年度版から拡大自由社が掲載した原子爆弾の写真(左)。写真説明について訂正申請する=「新しい歴史教科書 中学社会」2012年度版から

 

 「新しい歴史教科書をつくる会」主導で編集された「自由社」(東京都文京区)の2012年度版の中学校歴史教科書で、長崎で原子爆弾が爆発した写真を「広島に投下された原子爆弾」と誤記していたことがわかった。

 現在学校で使われている10年度版には、投下地を特定せず「爆発した原子爆弾」との説明で同じ写真が掲載されているが、つくる会の執筆者が12年度版を作る際に、広島の写真と思い込んだという。

 現在、来年度から使う教科書を各社の12年度版から選ぶ「採択」の作業が、各地で行われている。同社は今後、文部科学省に訂正を申請し、12年度版の使用が始まる来年春までに修正すると説明している。

 自由社の12年度版をめぐっては、東京書籍(東京都北区)の02年度版教科書から年表の多くの部分を流用していたことが判明しており、自由社は文科省に訂正申請して新しいものに差し替える考えを示している。同社の担当者は「教科書の信用性を失う問題が続き、大変申し訳ない」と述べた。2011年8月8日 朝日新聞

 

横浜市もつくる会系・育鵬社の教科書採択 来春から使用

2011年8月4日 朝日新聞

 横浜市教育委員会(今田忠彦委員長、6人)は4日の定例会で、来春から市内の市立中学校で使う歴史と公民の教科書に「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版を採択した。全国最大の採択地区で、149校(在校生徒数約8万人)が対象となる。

 6人の委員の記名投票の結果、いずれも賛成多数で決まった。市立中高一貫校でも使用が決まった。

 委員のうち、今田委員長を含む4人は中田宏前市長が任命した。市教委は中田市長時代の2009年夏の採択で、市内18区のうち8区の市立中学校で使う歴史教科書に「つくる会」系の自由社版を採択している。

 

 

核保有シミュレーションを=石原都知事が主張

 東京都の石原慎太郎知事は5日の記者会見で、日本が核保有国に囲まれた中で存在感を維持していく方策として、核保有のシミュレーションを行うべきだとの考えを示した。
  知事は、米国のオバマ大統領が「核なき世界」を唱えてノーベル平和賞を受けた後も臨界前核実験を実施したことに言及した上で、「日本だってそれぐらいのこ とをやったらいい。(核を)持とうと思ったらいつでも持てますよと。プルトニウムは山ほどあるんだから」との考えを示した。
 さらに、「日本は強力な軍事国家にならなかったら絶対、存在感を失う」と主張。宇宙航空技術を応用したミサイル開発の必要性を訴えた。
  その上で、「北朝鮮と中国とロシアと、日本の領土をかすめ取ったり、かすめ取ろうとしたりしている国で、しかも核を持って歴然たる敵意を持っている国にこ んなに間近に囲まれた国は、世界中に日本だけだ」と強調。「対抗することを考えなきゃいかん。経済力なんかでとても通用する時代じゃなくなった」と述べ た。 (時事通信 2011/08/05-17:39)

 

 

 東京都の石原慎太郎知事は5日の定例記者会見で、日本の防衛戦略について「米国は新しいニュークリア・ウォーヘッド(核弾頭)のシミュレーションをやった。日本だってそのくらいのことをやったらいい。持とうと思ったらいつでも持てますよ、と。スーパーコンピューター駆使すれば原爆のシミュレーションなんかすぐできる」と述べた。

 続けて石原知事は「日本は強力な軍事国家にならなかったら絶対存在感失う。北朝鮮、中国、ロシアが日本の領土をかすめ取ったりかすめ取ろうとしている。核を持って、歴然と敵意を持っている国に間近に囲まれているのは日本だけだ」と危機感を強調した。

 ただ核武装は主張せず、「米が核弾頭を積まない新しい戦略兵器の開発を言い出した。そういう核に関係ないものを日本が作る努力をしたらいいじゃないか」とした。【柳澤一男】

毎日新聞 2011年8月6日 東京朝刊

 

 

 


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1 コメント

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首相からしてこれだから(怒) (ray)
2011-08-09 21:38:57
菅首相、長崎原爆投下日を8月8日と間違える
2011年8月9日(火)20:36読売新聞
 
 菅首相が9日、長崎市の平和祈念式典後に行った記者会見で、冒頭に「昨年に続いて8月8日、長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に出席させていただいた」と述べ、原爆投下日を間違える場面があった。

 長崎原爆遺族会の正林克記会長(72)は「原爆は国にとっての惨禍。その日を間違うとは、情けない気持ちでいっぱいだ」と憤慨。一方、この日、菅首相と面談した長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長(71)は「首相も随分疲れているのだろう」と気遣っていた。
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