2016.1.8 11:07

【北朝鮮核実験】

安倍首相と中谷防衛相「水爆とは考えにくい」

衆院予算委員会で、自民党の新藤義孝氏の質問に答える安倍晋三首相=8日午前、国会・衆院第1委員室(斎藤良雄撮影)


 安倍晋三首相は8日午前の衆院予算委員会で、北朝鮮の核実験について「地震の規模から考えれば、一般的な水爆実験を行ったとは考えにくいと認識している」と述べた。

 その一方で首相は「核兵器開発に技術的な成熟が見込まれる。今回は試験のため通常の水爆よりも爆発の規模を小さく押さえた可能性は否定できない。弾道ミサイル能力の増強とあわせて考えれば、わが国の安全に対する重大な脅威だ」としたうえで、今後も「国際社会の平和と安定に対する責任をしっかり果たす。同時に、わが国独自の措置の検討を含め、北朝鮮に対し毅然(きぜん)たる断固たる対応を行う」などと、制裁強化に言及した。

 中谷元(げん)防衛相も8日午前の記者会見で「一般的な水爆実験を行ったとは考えにくい」と明言した。地震規模が、過去3回の原爆核実験と比べ、大差がない点などを理由に挙げ、さらに分析を進める考えを示した。

 また中谷氏は、韓国が対抗措置として、南北軍事境界線近くで拡声器による宣伝放送を再開するとしていることに関し「南北間の緊張が高まる可能性も考えられる」と指摘。北朝鮮が国際社会からの批判に反発し、「ミサイル発射を含むさらなる挑発活動を実施する可能性も否定できない」と、警戒感をにじませた。



衆院予算委、安倍首相「水爆実験と考えにくい」

 8日から始まった衆議院の予算委員会でも北朝鮮の核実験の問題が取り上げられ安倍総理大臣は「水爆実験を行ったとは考えにくい」という見方を示しました。国会記者会館から報告です。

 安倍総理は「地震の規模からすると水爆実験を行ったとは考えにくい」と話す一方で、「爆発の規模を小さく抑えた可能性は否定できない」とも話して、さらに分析を進める考えを示しました。

 「今度の実験は成功したのか、そして水素爆弾だったのか水爆だったのか」(自民党 新藤義孝前総務相)

 「地震の規模から考えれば、一般的な水爆実験を行ったとは考えにくい。北朝鮮が今回の核実験においては、試験のため通常の水爆よりも爆発の規模を小さく抑えた可能性は否定できないことなどから、さらに分析を進めていく必要があると考えています」(安倍首相)

 また、安倍総理は北朝鮮への制裁について「わが国独自の措置の検討を含め、毅然かつまた断固たる対応を行っていく」と強調しています。

 国会は、8日午後に衆参両院で北朝鮮に抗議する決議を採択することにしています。

 予算委員会ではこの後、民主党の枝野幹事長が政府が秋の臨時国会を召集しなかったのは憲法違反だとして、安倍総理の見解を質すことにしています。(TBS 08日10:55)

 

 

2016.1.6 23:13 産経新聞

【北朝鮮核実験】

「水爆」に疑問 「威力は広島型原爆の半分程度で失敗」との指摘も 波形は過去3回と同規模


希ガスを調べる装置が積み込まれるC130輸送機(防衛省提供)


 北朝鮮が強行した核実験について、気象庁は6日、観測されたのはマグニチュード(M)5・0相当とし、過去3回の核実験で観測した地震波形と比較した結果、「規模は同程度」と推測した。データは北朝鮮が主張する「水素爆弾」ほどの威力がなかったことを示しており、有識者からは「威力は広島型原爆の半分程度で実験は失敗した」との声も上がっている。

 北朝鮮は平成18年10月、21年5月、25年2月の計3回、核実験を行っている。今回、気象庁が観測した地震波形は過去3回と同様、通常の地震なら観測される2段階の形状が不明瞭な上、震源地もほぼ同じだ。

 一方、今回の規模はM5・0相当だが、最大だった21年のM5・3より0・3小さかった。一般的にマグニチュードが0・2大きくなると地震のエネルギーは2倍になる。単純計算すれば今回の爆発エネルギーは21年の半分以下だが、気象庁は「(震源地の距離などから)誤差もある」として、爆発の規模は過去3回の実験と同程度との見方を示す。

 筑波大学の八木勇治准教授(固体地球物理学)は「気象庁の観測は遠隔地の人工爆発を正確に測定できないが、波形からすると25年の実験と類似する」と話す。

 水爆の威力は原爆の100倍とも1千倍ともされる。北朝鮮は「初の水爆実験が成功裏に行われた」と表明したが、北朝鮮に詳しい軍事ジャーナリストの恵谷治さんは「実際は水爆ではなく、強化した原子爆弾ではないか」と推測する。

 恵谷さんが観測データなどを基に独自計算したところ、今回の規模は強力爆薬TNTに換算して7キロトン相当とみられる。広島型原爆が15キロトン、長崎型が20キロトンとされ、今回は広島型の半分程度という。恵谷さんは「これまで北は徐々に実験の威力を強めてきたが、今回は弱まったことで実験は失敗したと考えている。今後も繰り返さざるを得なくなった」と指摘する。


韓国の情報機関「水爆の可能性低い」

1月7日 2時39分 NHK


 
北朝鮮が「水爆の実験に成功した」と発表したことについて、韓国の情報機関、国家情報院は、爆発の規模が小さかったことなどから実際に水爆だった可能性は低いと判断していることを明らかにしました。
 
北朝鮮が6日、「水爆の実験を行い、成功させた」と発表したことを受けて、韓国の国会は、6日夜、緊急の情報委員会を開き、国家情報院のイ・ビョンホ(李炳浩)院長らが今回の核実験に対する見方を説明しました。

出席した議員らによりますと、国家情報院は、水爆であれば爆発の威力が15メガトンから50メガトンあり、仮に北朝鮮が主張するように小型化されたものだとしても50キロトンから60キロトンはあったはずなのに、今回の爆発の威力は6キロトンだったと指摘しました。また、今回の核実験によって起きた振動の波形は、北朝鮮による過去の核実験の波形と似ているということです。

こうした点から、国家情報院は、今回北朝鮮が行った核実験は実際に水爆だった可能性は低いと判断しており、引き続き、どのような爆発だったのか詳しい分析を行っているということです。

一方、国家情報院は、過去3回の核実験とは異なり、北朝鮮は中国やアメリカなどに事前通報せず、韓国を含めて各国とも実験が差し迫っている兆候はつかめなかったことを明らかにし、キム・ジョンウン(金正恩)第1書記が各国に衝撃を与えるために秘密裏に準備をさせたという見方を示しました。

米国「初期段階の分析と一致しない」

アメリカ、ホワイトハウスのアーネスト報道官は6日の記者会見で、「『水爆の実験に成功した』という北朝鮮の主張は、われわれの初期段階の分析と一致しない」と述べ、核実験だったものの水爆だったかどうかについては疑わしいとして分析を続ける考えを示しました。

そのうえで「いかなる核実験であれ、挑発的であり、目に余る国連安全保障理事会の決議違反だ」と強く非難し、北朝鮮に挑発行為をやめるよう求めるため関係国と連携して圧力を強めていく考えを示しました。

ロシアの専門家「水爆ではない」

北朝鮮が「水爆の実験に成功した」と発表したことについて、ロシアの専門家も国営テレビに対して、水爆の可能性は低いとの見方を示しています。このうち原子力の専門家のウバロフ氏は、「北朝鮮は、何らかの技術を使った実験を行ったにすぎない。本物の水爆ではない」と述べ、懐疑的な見方を示しました。

また、ロシア軍の戦略ミサイル部隊の元幹部も、水爆ではないとの見方を示したうえで、「北朝鮮の声高の声明は、敵対する相手を威嚇したいだけだ」と述べました。


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