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子どもの日 内部被曝の恐怖25 近畿原爆症集団認定訴訟 大阪高裁判決文よりICRP基準の問題点

2011年05月05日 | 内部被曝の恐怖

今日は子どもの日ですね。

子ども達が健やかに育ち、幸せになれるように、子ども未来法律事務所は「子どもの未来を考える大人と子どものための法律事務所」として微力を尽くしたいと思います。

現在のところ、法科大学院入試対策ばかりしていますが(笑)。

よろしくお願いいたします。

さて、私も(最後までやり通せなかったけれど)初代事務局長(最初だけ。名前だけ)として訴訟準備段階から関わった近畿原爆症集団認定訴訟は、2008年(平成20年)5月30日、原告9人全員について、大阪地裁に続いて大阪高裁でも、厚生労働省が原爆症申請を却下したのはすべて誤りであるとして却下処分が取り消されました。原告全員が勝訴したのです。

(全員勝訴というのは原爆症認定申請却下処分の取り消しが原告9人全員認められたと言うことです。国賠請求は棄却されました)

本来、厚生労働省の原爆症認定は行政処分ですから、全部の処分が正しくないといけないわけです。厚生労働省の原爆症認定基準が正しければ、当然、原告らの認定申請却下は正しかったので原告の請求を棄却する判断が出るはずです。ですから、原爆症訴訟が国に対して19連勝したという時には、本来、被告厚生労働省の却下処分が原告全員に関して正しいとされるべきなのに、一部又は全部の原告について認定すべきだったという判断が出たということを意味します。

まして、この近畿訴訟では、厚生労働省の原爆症申請却下処分が原告9人全員について誤っていたという判断が出たのですから、厚生労働省の審査基準がとんでもない代物であることは明らかでしょう。

なお、原爆症認定は、原告の被爆者の方々に、被爆当時、脱毛などの急性症状が出たかどうかということが非常に重要な要素として考慮されます。つまり、原爆投下による原爆症というのは、当然ながら原爆が爆発して生じるわけですから、福島原発事故で子ども達、付近住民、原発作業員の方々にも、決して起きてはならないことの連続です。

逆に言えば、60年以上前の放射線被曝が原因で、今現在ガンが出たのだと証明できるのがいかに限られた場合かと言うことです。

「低線量被曝」といっても、原爆症訴訟では、今回の原発事故で住民が浴びた放射線とは桁の違う議論がされています。この判決文を読んで放射線量を見る場合に、ここでの議論からしたら、年間20ミリシーベルトなんてまるでたいしたことない話だ、などと曲解しないようにしてください。

 


 

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さて、この長大な判決文をこの裁判に関わっていない方々がお読みになるのは大変なので、内部被曝に関する重要ページを指摘しておきます。

p2 事案の概要

p3 基礎的事実(裁判所が文句なく採用した事実)

 p7 原爆症認定要件

p15 争点 放射線起因性の判断基準

 p16 原告らの主張

  p20 内部被曝
   p31 審査の方針の問題点

    p33 線量評価の誤り~DS86・DS02の問題点

    p45 線量評価の誤り~残留放射線の軽視

    p47 線量評価の誤り~内部被曝の無視

     p48 低線量被曝について

    p52 放射線影響研究所の疫学調査の問題点

p221 当裁判所の判断

 p239  放射線起因性判断基準としての被曝線量算定方式

 p263 放射線起因性判断基準としての原因確率の算定
 p267 放影研の疫学調査の概要

 p286 審査の方針の依拠する線量評価方式に対する指摘等

  p310 低線量放射線による被曝の影響に関する指摘

  p315 放射線による急性障害の調査結果と発症の機序についての見解

 p330 放射線起因性の判断基準(争点①)について

  p335 審査の方針における被曝線量算定基準の合理性

  p348 放影研の疫学調査の評価等

 

この判決が裁判所の判断として、ICRPの基準そのものについて、以下のように問題点を指摘していることは非常に重要です。

「1審被告らは,ICRPによって世界的基準とされている事実をもって,DS86が世界的に承認されたシステムであり,何ら問題がないと主張するが,ICRPは,後に大きな欠陥があったとされるT65Dをリスク決定の基本資料として利用し,世界的に推奨していた時代もあり,現時点で他に有力な評価システムがなく,相応の合理性を有しているという以上にICRPが採用していることを過大評価することは相当でない
また,1審被告らが指摘する上記英国の例では,DS86ないしDS02の線量を一方的に適用しているわけではなく,原因確率のもつ不確実性についての認識の上に,原子力産業の雇用者と放射線労働者の組合との協定によって適用されており,原因確率が低い場合でも,個別要因の有無を専門家パネルに照会する道が設けられていることに留意が必要である(乙A205の1・2)。」

内部比較法によって,非被爆者(対照群)のリスクを推定する場合,被曝線量が過少評価された低線量被爆者が対照群に含まれる危険性が生じ,その結果,特に低線量被爆者について,被曝線量当たりの過剰リスクが検出されなかったり,低く算出される可能性が生じる。また,死亡率調査において,死因について相当の誤差があり,その誤差を修正すると,固形がんのERR(過剰相対リスク)推定値が約12%,EAR(過剰絶対リスク)推定値が約16%上昇することが示唆されており,放射線によるリスクが過小評価されている可能性が否定できない。さらに,ABCCによる寿命調査開始(昭和25年)までの多数の死者が対象とされていないことにより,高線量被爆者の可能性の高い死亡者を排除することによって,高線量被爆者のリスクが低く算定され,その結果,低線量被爆者についても低いリスクが与えられるおそれを否定できない。」

 

以下、内部被曝の恐怖、特にICRP(国際放射線防護委員会)の安全基準の基礎データとなっている、放射線影響研究所(放影研)の被爆者調査の誤りに関して特に重要な部分を抜粋、引用します。

 

原告らの主張

p30 厚生労働大臣の認定基準とその問題点
(1) 概要
1審被告らは,現在,原爆症認定申請に係る疾病等の放射線起因性の判断において,DS86及びDS02による被曝線量推定が正当であり,また残留放射線及び放射性降下物による被曝の影響が無視できるものであることを根拠として,原因確率という経験則を作り上げ,これに個々の被爆者を当てはめることを認定審査の基本としている。
しかし,この原因確率は,被爆者の個体差,被爆状況の違い,被爆後のそれぞれの人生などの差異を無視し,疾病と性別ごとに,爆心地からの距離と被爆時年齢で一律に起因性を判断するものであって,恣意的かつ不合理であり,被爆者に生じた現実(遠距離被爆者や入市被爆者に急性症状が発生したことやその他被爆者に現実に生じた急性症状が放射線の影響によるものであること)を説明できず,科学的な放射線起因性の判断基準となり得るものではない。

p33 線量評価の誤り
(ア) DS86・DS02を用いることの誤り
審査の方針では,原因確率への当てはめの前提としてDS86により申請者の被曝線量を推定している。しかし,DS86による被曝線量推定方式には現実と符合しない多くの問題点がある。しかも,DS86は,放影研の疫学調査の基礎にもなっており,DS86の誤りは疫学調査の結果の誤りに直結し,原因確率の誤りにつながる。DS02によっても,この問題点は解消されていない。
(イ) 残留放射線の軽視
審査の方針では,線量評価において誘導放射能による被曝と放射性降下物による被曝の一部を考慮しているが,これは全く不十分なものである。遠距離被爆者や入市被爆者に生じた急性症状の実態からすれば,審査の方針が用いるこれらの線量評価が被爆者の受けた被曝線量を無視ないし著しく軽視していることは明らかである。
(ウ) 内部被曝の無視
審査の方針では,線量評価において外部被曝線量のみを考慮しており,内部被曝による被曝線量を特に算出していない
,内部被曝は,放射線被曝態様の重要な一つであり,これを無視することは許されない。

p45 線量評価の誤り~残留放射線の軽視
審査の方針では,線量評価において,誘導放射能による被曝と放射性降下物による被曝の一部を考慮している(別表10)が,これは全く不十分なものである。前記のような遠距離被爆者や入市被爆者に生じた急性症状の実態からすれば,審査の方針が用いるこれらの線量評価が被爆者の受けた被曝線量を無視ないし著しく軽視していることは明らかである。

p47 線量評価の誤り~内部被曝の無視
ア内部被曝の重要性
審査の方針では,線量評価において外部被曝線量のみを考慮しており,内部被曝による被曝線量を特に算出していないが,内部被曝は,呼吸や飲食等を通じて人の体内に取り込まれて骨組織等に沈着し,放射性降下物が長期間にわたってアルファ線,ガンマ線,ベータ線等を放出し続けることによって,直接の被爆者だけでなく,入市被爆者の被曝の原因となっており,放射線被曝の態様の重要な一つであり,これを無視することは許されない。
イ内部被曝線量の推定
1審被告らは,内部被曝による被曝線量は極微量で,その影響は無視しうると主張するところ,その根拠はDS86報告書の「セシウム137からの内部被曝線量」であるが,この研究は,セシウム137のみを対象としており,原爆によって生じたその他の放射性物質(未分裂の核物質,核分裂生成物,誘導放射化された物質)を測定していない点において不完全である上,半減期の短い放射性物質は,短い期間で大きな放射線影響を与えたはずであるが,これらについて一切考慮されていない。
ウ外部被曝との機序の違い
外部被曝と内部被曝では,人体に影響を与える機序が全く異なり内部被曝の場合,放射性物質に近接した周囲の細胞が集中的に放射線被曝を受ける(ホット・パーティクル理論)のであるから,当該細胞から見れば,高線量被曝であり,受けた線量が同じであれば影響に差がないとするのは実態を無視するものである

エ核医学診断に関する評価の誤り
1審被告らは,核医学診断が一般的に行われていることを理由に,内部被曝の健康影響が無視しうるものである旨強調するが,核医学診断においては,診断終了後,患者に投与された放射性物質を速やかに排出するための方策がとられ,放射性物質による内部被曝の影響を可能な限り少なくする努力が図られているし,核医学診断による内部被曝の影響(障害)が生じていないことの証明もなされていないのであって,内部被曝による健康影響を否定できるものではない。

p48
低線量被曝について
ア低線量被曝の存在
低線量被曝の人体影響については,現在においても未解明な部分が多くを占めている。これは低線量被曝の人体影響を疫学的に証明するためには1000万人規模の疫学調査が必要となり,疫学的側面からの裏付けが事実上不可能だからである。しかし,細胞レベルや動物実験レベルにおける研究においては,逆線量率効果やバイスタンダー効果,ホット・パーティクル理論,ゲノム不安定性等の現象が報告されており,これらの現象は低線量被曝の危険性を示唆するものである。

p52
放影研の疫学調査の問題点
放影研の行っている寿命調査や成人健康調査は,疫学調査(コホート研究)であり,死因調査である寿命調査については10万人以上,発症率調査である
成人健康調査についても2万人に及ぶ調査集団を設定し,その後約50年にわたって継続して調査をしているが,以下のような問題がある。
(ア) 線量評価の誤り
放影研の疫学調査は,現実との乖離が甚だしく,その正確性に問題があるDS86に基づいて被爆者の初期放射線量を推定している上,残留放射線や内部被曝を全く無視している。
(イ) 疫学調査の手法の誤り
a 対照群設定の誤り
疫学調査のコホート研究によってある要因の影響を特定するためには,他の条件が一致している非曝露群を対照群として,曝露集団との比較をして,非曝露群に現れる罹患・死亡を基礎として,曝露集団に現れた現象について,用量-反応関係を分析する必要がある。被爆者に対する疫学調査の設計を提案したフランシス委員会の勧告においても「被曝線量の最も少ない群における放射線の影響は,非被爆者と比較せねば推定できない」として,非曝露群の設定及び非曝露群との比較が構想されていた。
しかし,放影研は,リスクの分析において,対照群(非曝露群)を設定せず,曝露群について回帰分析を行い,得られた回帰式から想定上のゼロ線量における罹患率等を推定し,バックグラウンドリスクとしている(ポワソン回帰分析に基づく内部比較法)。このような手法を用いるためには,線量反応関係が正しく把握されており,かつ,集団の線量が正確に把握されていることが絶対条件であるところ,既述のような問題のあるDS86を線量評価に用いているなど,その条件を満たしておらず,誤った結論を導くものであることは明らかである。
また,放影研の疫学調査では,放射性降下物を浴びたかどうか,原爆投下後にどのような行動を取ったか,内部被曝をした可能性がどの程度あるかといった点を区別せずに扱っており,調査設計の構造上,低線量被曝のリスク,放射性降下物によるリスク,残留放射線によるリスク,内部被曝によるリスクを持った集団同士の比較をすることとなって,初期放射線以外の被曝のリスクの分だけ原爆放射線のリスクが過小評価され,その結果,バックグラウンドリスクを過大評価することになる。
b 死亡率調査を基本としていること
放射線起因性の判断においては,現に生きて苦しんでいる被爆者の疾病が原爆放射線の影響によるものであるかが問題となる。ところが,放影研の疫学調査及び児玉報告書では,死亡率調査を解析の基礎とし,死亡の直接原因となった疾病のみを抽出しているため,死亡に直結しない疾病が見落とされることになる(例えば,がんに罹患した被爆者が交通事故で亡くなれば,死因は単なる事故死となる。)。
また,調査対象の観察期間についても,発症までの期間を用いず,死亡までの期間を用いている疑いがあり,がん発生に関する放射線の影響が過小評価されている。
c 調査開始までの被爆者の死亡を無視する誤り
昭和20年12月までに死亡した被爆者数は約11.4万人とされており,全被爆者の3分の1程度は死亡したことになる。すなわち,調査開始時点である昭和25年ないし昭和33年までの間に,放射線感受性の高い被爆者は死亡しており,調査開始時に生存していて調査対象となった被爆者は,放射線感受性が低い被爆者に偏っていた可能性がある。そうだとすると,平均的な被爆者を調査対象とした場合よりも,放射線の影響が表面化しにくいことは明らかである。
また,放影研の寿命調査集団については,昭和25年までの死亡者,成人健康調査集団については,昭和33年までに死亡した被爆者の調査は行われていない。すなわち,昭和20年8月から調査が開始されるまでの5年間(寿命調査),あるいは13年間(成人健康調査)の間に放射線障害を始めとする被曝に起因するなにがしかの原因により死亡してしまった数十万人もの被爆者は,調査の対象になっていない。このように,放影研(ABCC)による調査は,いわゆる「生き残り集団」しか対象とされていないという,大きな欠陥を持っており,放射線の影響を過少評価している可能性が十分にある。
(ウ) 原因確率の算出に当たっての誤り
原因確率の算出の基礎とされた疫学調査に前記のような問題がある上,審査の方針においては,放射線白内障以外について,その疫学調査で考慮されていた中性子線の生物学的効果比が無視されており,被曝線量が過小評価され,寄与リスクを低下させている疑いがある。

 

 

 


 

 


p221当裁判所の判断

p228 放射線による被害

p233

「外部被曝と内部被曝
被曝態様としては,人体の外部から放射線が照射される外部被曝と人体の内部に放射性物質が入り込み,細胞組織等に作用する内部被曝とがある。外部被曝が総じて体外からの一時的な被曝であるのに対し,内部被曝の場合,体内に入り込んだ放射性物質が,その物質の物理的,化学的性質に応じて,身体内の特定の器官や組織に沈着し(セシウム137はほぼ全身に分布するが,ヨウ素131は甲状腺に取り込まれて影響を与え,また,ストロンチウム90は主として骨に沈着して影響を与えることが一般的に知られている。原審証人安斎育郎),その放射能がなくなるまで,周囲の組織を照射し続けるという特徴を持つとされ,その放射線量が大きい場合には,放射線障害を引き起こすとされている(乙A43)。」

 

p335 審査の方針における被曝線量算定基準の合理性

p3391審被告らは,ICRPによって世界的基準とされている事実をもって,DS86が世界的に承認されたシステムであり,何ら問題がないと主張するが,ICRPは,後に大きな欠陥があったとされるT65Dをリスク決定の基本資料として利用し,世界的に推奨していた時代もあり,現時点で他に有力な評価システムがなく,相応の合理性を有しているという以上にICRPが採用していることを過大評価することは相当でない。
また,1審被告らが指摘する上記英国の例では,DS86ないしDS02の線量を一方的に適用しているわけではなく,原因確率のもつ不確実性についての認識の上に,原子力産業の雇用者と放射線労働者の組合との協定によって適用されており,原因確率が低い場合でも,個別要因の有無を専門家パネルに照会する道が設けられていることに留意が必要である(乙A205の1・2)。」

p344「以上説示したところによれば,DS86及びDS02の原爆放射線の線量評価システムは,相応の合理性を有する優れたシステムであるということができるものの,シミュレーション計算を主体として構築されたシステムにより広島原爆及び長崎原爆の爆発による初期放射線の放出等の現象を近似的に再現することを基本的性格とするものであって,その適用についてはそれ自体に内在する限界が存することに加えて,その計算値が少なくとも爆心地からの距離が1300m以遠の遠距離において過小評価となっているのではないかとの疑いを抱かせるに足りる残留放射線の測定結果が存在していること,爆心地からの距離が2km以遠において被爆した者でも脱毛等放射線の影響が否定できない症状が生じたとするものが一定割合存在すること,この事実からもDS86及びDS02の計算値が少なくとも約2km以遠においてかなりの過小評価となっているのではないかとの合理的疑いを生じさせるに足りるものであることからすれば,広島についても長崎についても,少なくとも爆心地からの距離が1300m以遠で被爆した者に係る初期放射線の算定において,DS86又はDS02の計算値をそのまま機械的に適用するのは相当でないといわざるを得ない。」

 
p347「また,内部被曝については,無視することができる程度のものにすぎないと指摘する文献もあるが,他方で,呼吸,飲食等を通じて体内に取り込まれた放射性核種が生体内における濃縮等を通じて身体の特定の部位に対し継続的な被曝を引き起こし障害を引き起こす機序を指摘する科学文献も少なからず存在しているのであって,1審被告らの主張するとおり内部被曝における機序の違いについてはいまだ必ずしも科学的に解明,実証されておらず,現状においては,これらの科学文献の説くところが科学的知見として確立しているとはいい難い状況にあるものの,研究途上というべきであって,内部被曝を全く考慮しない審査の方針には疑問があるといわざるを得ない。
エさらに,低線量放射線による継続的被曝が高線量放射線の短時間被曝よりも深刻な障害を引き起こす可能性について指摘する科学文献も存在している上,放影研の充実性腫瘍発生率に関する19581994年のデータを使用し,爆心地から3000m以内で,主として0~0.5Svの範囲の線量を被曝した被爆者の充実性腫瘍(固形がん)の発生率を解析したところ,0~0.1Svの範囲でも統計的に有意なリスクが存在し,あり得るどのしきい値についても,その信頼限界の上限は0.06Svと算定されたとする文献も存在しているのであって,これらの科学的知見や解析結果を一概に無視することもできない。
オそうすると,残留放射線による被曝線量及び放射性降下物による被曝線量の算定において審査の方針の定める別表10その他の基準を機械的に適用し,審査の方針の定める特定の地域における滞在又は長期間にわたる居住の事実が認められない場合に直ちに放射線起因性がないとすることは,原爆放射線による被曝の実態を正当に評価するものとはいえない

 

p348 放影研の疫学調査の評価等

p350「内部比較法によって,非被爆者(対照群)のリスクを推定する場合,被曝線量が過少評価された低線量被爆者が対照群に含まれる危険性が生じ,その結果,特に低線量被爆者について,被曝線量当たりの過剰リスクが検出されなかったり,低く算出される可能性が生じる。また,死亡率調査において,死因について相当の誤差があり,その誤差を修正すると,固形がんのERR(過剰相対リスク)推定値が約12%,EAR(過剰絶対リスク)推定値が約16%上昇することが示唆されており,放射線によるリスクが過小評価されている可能性が否定できない。さらに,ABCCによる寿命調査開始(昭和25年)までの多数の死者が対象とされていないことにより,高線量被爆者の可能性の高い死亡者を排除することによって,高線量被爆者のリスクが低く算定され,その結果,低線量被爆者についても低いリスクが与えられるおそれを否定できない。」

p351「寄与リスク自体は,あくまでも当該疾病の発生が放射線に起因するものである確率を示すものにすぎず,個々人の疾患等の放射線起因性を規定するものではないから,原因確率が小さいからといって直ちに経験則上高度の蓋然性が否定されるものではない(例えば,原因確率5%という場合,10人全員が5%の過剰リスクを負っていた場合もあるし,10%の者が5人で他は0%の場合もあり,審査の方針のいう10%を超える者であるか否かは,個別の審査でなければ判定できない。)。」


「しかしながら,以上に指摘した点に照らせば,DS86も原因確率も,それぞれに一定の限界があり,特に遠距離被爆者や入市被爆者など,被曝線量が低く評定されている被爆者についてこれらを機械的に適用する場合は,被曝線量を過少に評価し,したがって放射線のリスクを低く評価し,原因確率が低く算定されてしまうおそれがあるといわざるを得ない
また,先に示したように,審査の方針が依拠した資料やより後の期間の経過による症例の蓄積や研究,技術の進歩等によって新たな疫学的,統計的及び医学的知見が得られているのであるから,当該原因確率がそれが算定された当時の疫学的,統計的及び医学的知見に規定されたものであることにも留意すべきであるといえる」

p353「殊に,遠距離被爆者や入市被爆者については,審査の方針の定める原爆放射線の被曝線量の算定に含まれる上記のような問題点や原因確率の算定に含まれる問題点さらには原因確率を当該申請者に適用することについての問題点等にかんがみ,残留放射線による被曝や内部被曝の可能性をも念頭に置いた上で,当該疾病について,疫学調査の結果によって放射線被曝との間に有意な関係(線量反応関係)が認められている事実を踏まえて,当該申請者の被爆状況,急性症状の有無や経過,被爆後の行動やその後の生活状況,疾病等の具体的症状や発症に至る経緯,健康診断や検診の結果,治療状況等を全体的・総合的に把握し,これらの事実と,放射線被曝による人体への影響に関する統計学的,疫学的知見等を考慮した上で,上記事実,すなわち,原爆放射線被曝の事実が疾病等の発生又は進行に影響を与えた関係が合理的に是認できるか否かを個別に判定すべきである。」

 

 

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